概要
ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』に登場する艦娘「瑞鶴」を主人公としたノベライズシリーズ。富士見ファンタジア文庫より発売。全6巻。
正式タイトルは「艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆」。
著:内田弘樹、イラスト:魔太郎。
「超弩級“戦記”小説」と銘打たれており、艦娘達が戦いの中で過去の大戦のトラウマを乗り越える事をメインテーマとしたバトルストーリー。他のメディアミックス作品が総じて明るい雰囲気なのに対し、本作はシリアス色が群を抜いて強い。特に同時期に刊行されたノベライズ『陽炎、抜錨します!』とは様々な面で好対照になっている。
作中の戦いのモデルとなるのは、1巻では通常海域の沖ノ島海域(2-4)、2巻では決戦!鉄底海峡を抜けて!、3/4巻ではAL作戦/MI作戦、5巻では迎撃!トラック泊地強襲、6巻では発令!第十一号作戦と反撃!第二次SN作戦である。いずれもゲーム中で多くの提督達を苦しめた海域やイベントであり、作中でもそれに恥じない過酷な戦いが描かれている。その分、燃え度も高く、次から次へと現れる強敵達にこれでもかと追い込まれた後の逆転劇は必見。
なお、ライトノベル雑誌『ドラゴンマガジン』では瑞鶴以外の艦娘をメインにした外伝作品が連載されている。
あらすじ
1巻(沖ノ島沖編)
かつての戦いで沈んだはずの空母・瑞鶴は、目を覚ますと人間の少女となっていた。
周囲では姉の翔鶴など他の艦達も、同じく少女の姿となっていた。
彼女は間もなく、ここが元いた世界とは異なる異世界である事、自身が「艦娘」に転生した事、そしてこの世界を危機に陥れている「深海棲艦」の存在を知らされる。
紆余曲折を経て、艦娘として深海棲艦と戦う事を決心する瑞鶴。
時同じくして沖ノ島沖に強力な艦隊が出現し、攻略に向かった主力艦隊が返り討ちにされてしまった。この艦隊を攻略するため、瑞鶴らに「あ号作戦」の指令が下った。
戦いの中で、自らに課せられた宿命と向き合わされる瑞鶴。彼女にとっての『幸運』とは……?
2巻(鉄底海峡編)
「あ号作戦」から半年後。南方海域での大規模攻勢作戦「SA作戦」が開始された。
だが、サーモン海東部のケ島に存在する陸生型深海棲艦・飛行場姫が最大の障害となっていた。
攻略を試みて突入した艦娘達は次々となぎ倒され、いたずらに戦力を消耗していくばかり。
いつしか「鉄底海峡(アイアンボトム・サウンド)」と呼ばれるようになった戦況を打破すべく、切り札ともいえる戦艦・大和の投入が決定される。
しかし大和は、ある理由で心を閉ざし、戦いに加わろうとしない。
瑞鶴は彼女の心を開き、この難局を打開する事ができるのか……?
3/4巻(AL/MI作戦編)
KA諸島に孤立してしまった人々を救うため、AL列島とMI島への二段階同時攻撃作戦「AL/MI作戦」が提督の独断により開始された。赤城、加賀、蒼龍、飛龍の4人はかつてのミッドウェーでの惨劇を繰り返すまいと、強い決意を胸に戦いへ挑む。
だが深海棲艦の巧妙な罠に嵌り赤城、加賀、翔鶴が落伍。機動部隊は一時撤退、再編成を余儀なくされた。そして蒼龍と飛龍は、作戦に対する考え方の違いから次第にすれ違い始める。
難局を打開するため、飛龍と『鶴龍コンビ』を結成する瑞鶴。だが時同じくして、瑞鶴らの母港・呉鎮守府にも深海棲艦の強力な艦隊が迫りつつあった……!
5巻(トラック泊地編)
AL/MI作戦から半年。新たに着任した正規空母の指導のため、トラック泊地へ派遣される事になった翔鶴と瑞鶴。そこには、本格的なアイドルを目指す那珂の姿もあった。
一筋縄には行かない後輩達に悪戦苦闘しながらも、訓練をこなしていく瑞鶴達。
だがそれも束の間、トラック泊地に深海棲艦の魔の手が迫る。
主力艦隊が到着するまで、瑞鶴達だけで泊地を死守しなければならない。
那珂の知られざる過去が明かされた時、瑞鶴は新たな艤装を纏って戦いに赴く……!
6巻(第十一号作戦編)
トラック沖海戦から二か月後。西方諸国は崩壊の危機に瀕していた。援助のため最短経路となるカレー洋を平定するべく第十一号作戦が発令された。
西方諸国でもその名声が広まっていた瑞鶴は、翔鶴共々西方諸国の技術によって改二甲へと改装され、文字通り希望の象徴として力を振るう事になる。
だが作戦が始まって間もなく、FS海域にて深海棲艦の反抗が始まり、対抗のため戦力を二分化せざるを得なくなった。
さらに、瑞鶴は作戦完了後そのまま西方諸国へ長期派遣される事に。
それは瑞鶴にとって、翔鶴との別れを意味していた……!?
主な登場人物
(※)書きかけなので追記募集中
全巻に登場
主人公。彼女が艦娘として目覚める所から物語が始まる。
勝気ではあるがエンガノ岬での最期を明確に記憶しそれを仕方がない事と受け入れているからか、性格は若干大人びており勝気ながらも感情的になる事はあまりない。意外にも提督に対する爆撃も、最初に会った時の一回しかしていないが、以来提督にセクハラされる事はなくなっている。
深海棲艦との戦いの中で、自らが幸運艦として奇跡を招く手段に利用されている事を知り苦悩しながらも、「みんなを幸せにする『幸運の空母』」を目指して成長していく。時に戦いの中で苦悩、対立する艦娘達の間を繋ぐ役割も果たし、周囲からも『幸運の空母』と認識されるようになっていった。
5巻において改への改装が提案されるも当初は最初の艤装への思い入れから難色を示していた。だがある出来事がきっかけで改装を決心する。
6巻では既にその名声が西方諸国に広まっており、改二甲となって文字通り希望の象徴としての役目を担い戦いに赴く。そして…
瑞鶴の姉。秘書艦も務める。やや天然ボケな部分こそあるが、基本的に妹から頼られている。
不運艦としての運命を自分なりに受け止め、自爆してでも瑞鶴を守ろうとしていたが、共に最後まで戦いたいと願う瑞鶴の思いを受け止め、共に戦っていく事を誓う。
6巻では改二甲となった事を機に、瑞鶴にある思いを打ち明け自ら瑞鶴と袖を分かつ事に…
呉鎮守府にて指揮を執る、純白の第一種軍装をした青年。
セクハラ魔人ぶりが一部の艦娘達に恐れられており、曰く「翔鶴のような優しい人を苛めるのが大好き」。艦娘を戦争の道具として扱わないとする一方で、時に上層部からの指令をあたかも自分の判断のように語って冷酷とも取れる指示をするなど、憎まれ役になる事を躊躇わない節があり、翔鶴をして「難しい人」と言わしめている。
主力メンバーの一角を担う、瑞鶴の先輩。
本作でも瑞鶴ら五航戦を格下に見ているが、模擬戦での瑞鶴の奮闘ぶりを見て「未来の正規空母」と認める。以降、表には出さないものの瑞鶴の事をそれなりに心配しており、その事をからかわれる事も。
3巻および4巻ではMI作戦参加に当たって蒼龍にあるものを託す。また、5巻では一時的ではあるが瑞鶴達に一航戦を名乗る事を認めている。
加賀の相棒。
主力メンバーの一角ではあるが、本作でも相変わらずの大食艦で、加賀曰く「鎮守府周辺のおいしい店の情報をいつも探しており、ダイエットについてもいろいろ教えてくれる」との事。
3巻および4巻では、MI作戦参加に当たって自らがミッドウェー海戦に抱く思いを語り、強い決意を胸に攻略へ挑むが……
1巻エピローグで初登場。翔鶴が不在の時に秘書艦を務める事が多い。
呉鎮守府の艦娘の中でも古参であり、かつて第一線で空母として深海棲艦と戦った腕前はいまも健在といわれているが、戦域の拡大とそれに伴って増大する提督の仕事の補佐のため、鎮守府が大所帯になってきた現在は秘書艦として後方支援の仕事に徹しており、また母親然とした人柄もあって艦娘たちの人柄もしっかり把握しており、『鎮守府の女房役』――台所元締め筆頭として不動の地位にある。
提督とも彼女のその戦闘能力・人格・実務能力も含めて『懐刀』として強い信頼関係で結ばれており、その辺を陸奥に「鎮守府の女房役というより、提督の女房役って感じだけど~」とからかわれてもいる。
なお、鎮守府の食事は基本、間宮や伊良湖が作っているが、その二人でも手が足りない際は鳳翔が台所に立つこともしばしばの模様。
1巻エピローグで初登場。
鎮守府真の切り札というべき存在だが、ある理由から戦場に出るのを拒んでおり、登場早々色を失った瞳で提督に「私を、沈めてください」と進言する。
それは、彼女の過去が大きく関係していたが、瑞鶴や最後の第二水雷戦隊の面々に背中を押されたことで戦場へ赴く。戦いの中で戦う意思を取り戻し、3巻以降は文字通りここぞという時の切り札として参戦するようになる。
伊一六八(イムヤ)
1巻エピローグで初登場。
提督の指揮の下、まだ深海棲艦の勢力圏にある海域の偵察を専らの任務としている。
水上を主戦場とせず隠密製の高い潜水艦という艦種ゆえに提督には重宝(酷使)されており、呉鎮守府には書類上で着任しただけで偵察に出ずっぱりであり、一度も顔を出せていないことを嘆いている。
3巻および4巻ではそのゲーム本編におけるオリョールクルージング以上のブラックな酷使ぶりに慣れ過ぎていたのか、「仲間とともに戦えるだけでとても幸せ」と言い放っており、僚艦の伊一九に心中で哀れまれていた。しかし仲間を思う気持ちは本物であり、6巻では伊八を単独でステビア海へ向かわせようとした提督に異を唱えている。
伊五八(ゴーヤ)
1巻エピローグで初登場。イムヤの相棒として偵察任務に従事。
やはり北方、西方、南方海域とあちこちの海域の偵察や戦果確認など、特殊部隊まがいの任務に酷使されており、鎮守府に出ることもなく、書類提出および改修などで工廠に戻っては任地へ行き来するばかりの過酷な生活だが、むしろ相方のイムヤともどもそれに慣れきった感もある。
任務終了後に提督からご褒美としてもらえるかもしれない間宮羊羹を毎度の任務の楽しみにしている。
なお、イムヤ共々、制服は提督謹製のスクール水着の模様。
脇役ではあるが全巻に登場。瑞鶴らには敬語で話す。
2巻では転生前空母としての本格的な空母戦を経験しなかった姉・祥鳳と共に登場している。
1巻
商船改造空母。なぜか瑞鶴を一方的にライバル視してくる。
洋食好きで鎮守府周辺の洋食屋を全て制覇しており、隼鷹によると体重を気にしているらしい。
飛鷹の相棒。
いつも飛鷹の事をからかっているが、何だかんだ言って心配はしているらしく、飛鷹が瑞鶴と同じ艦隊を組んだ時は気を配るよう瑞鶴に頼んでいた。
本作において最も練度の高い駆逐艦娘2人。
普段翔鶴らとは絡まない艦娘だが、瑞鶴が『幸運の空母』として最善の未来を掴む力があるかどうかを調べていた。1巻終盤では瑞鶴達と共に艦隊を組む。雪風は2巻にも台詞こそないが登場している。
鎮守府工廠において装備開発に携わっている。
瑞鶴と翔鶴に工廠の内部を案内した。
1巻冒頭の戦闘シーンで赤城、加賀、響、雪風と共に初登場。その後、瑞鶴と加賀の模擬戦を見物する。
2巻では四姉妹揃って戦闘に参加。後半で金剛が改装され改二となる。
3/4巻でもMI攻略部隊の護衛として引き続き登場。
艦娘達のリーダー格として扱われている。
主力メンバーの一角……なのだが、1巻・2巻ではいい所がなくほとんどかませ犬役だった。しかし4巻では手薄になった鎮守府を守るべく他の戦艦娘達と共に立ち上がる。
なお、駆逐艦娘の『陸上遠征』(呉の子供達への慰問など)がある際には、長門も駆逐艦たちに持たせる弁当作りのために台所に立つ事がしばしばある様で、長門の作る弁当のタコさんウインナーは駆逐艦たちにも大人気とのこと(陸奥、鳳翔談)。
2巻
姉妹達と共にかつてのヘンダーソン飛行場砲撃の再現といえる飛行場姫撃破に挑む。
榛名は2巻の準主人公的存在で、立場が似通っている瑞鶴と仲良くなり、共に事態の打開に向けて奔走する事になる。
3/4巻ではMI攻略部隊の護衛として、6巻では改二となり第十一号作戦の参加艦として登場。
大和の身を案じており、雪風ら最後の第二水雷戦隊の面々を伴って大和の心を救おうとする。
3/4巻
1巻では顔見せ程度に登場していたが、3巻および4巻では中核を担う。
飛龍とは準同型艦ということもあって非常に仲良し。
艦娘に転生する前、赤城や加賀と同じく、自らの沈んだミッドウェー海戦における敗戦の苦い記憶を強く心に留めており、それの再現ともいえるMI作戦に、強い決意と戦訓を胸に臨む。
赤城らの落伍に伴い再編成された機動部隊の指揮を務める事になったが、ある作戦のためあえて改二改装を拒み、飛龍にも厳しい態度を取り始める。
1巻では顔見せ程度に登場していたが、3巻および4巻では中核を担う。
蒼龍とは準同型艦ということもあり非常に仲良し。
彼女も転生前の最期の記憶からMI作戦には一方ならぬ思い入れがあるが、そのかつてのミッドウェーにおいて蒼龍や赤城、加賀とは違い、最後まで米軍と戦い続け、一矢を報いたという自負も持っている。そのため蒼龍と異なり改二改装を受け入れ、MI作戦を真の誇りとするべく戦いに挑むが……
1巻では顔見せ程度に登場していたが、3巻および4巻ではヒロイン艦娘のひとり。
制空権の取り合いがキモとなるMI作戦において、自身の趣味と才能を生かし、蒼龍・飛龍や瑞鶴の防空作戦に協力。第十七駆逐隊の臨時旗艦として僚艦の浜風、浦風、谷風らと力を合わせて難局に挑んだ。そして……
伊一九(イク)
3巻から初登場。イムヤ、ゴーヤの僚艦としてMI作戦に参加。
『オリョクル時代が幸せに思えるほどの』超ブラック勤務体制についてのボヤきをイムヤに「そんなの潜水艦なら常識よ」と言い放たれ、それに慣れ切ってしまっている先輩二人と、そんな自分の職場環境にいろいろと危惧を抱いている。
なお、オリョクル従事中は『一週間に一度は鎮守府の布団で眠れた』との供述から、先輩二人と違いいちおう鎮守府への顔出しはできている模様。
なお、6巻では避難してきた伊八を預かっての潜水艦組の休暇、そして伊四〇一や伊八の先輩となったことなどを経て、「極悪な勤務体制で酷使されるのが当たり前」というイムヤの考え方に異を唱え、過酷すぎる現状に少しは抗議すべきだとしてイムヤと言い合えるくらいになっていた。
3巻から初登場。これまでは鎮守府における作戦立案に関わり、戦闘に参加する事自体稀であったが、AL作戦/MI作戦の作戦規模の大きさ故に秘書艦に抜擢される。
1巻では演習で瑞鶴らと艦隊を組んだのみであったが、3巻では2人揃って改二となり、MI攻略艦隊索敵の要となるが……
1巻では鎮守府工廠において新型艦載機のテストを行っていたが、2巻では僅かだが冒頭で戦闘に参加している様子が描かれ、3/4巻ではAL作戦の中核を担う。
1巻から5巻まで、僅かではあるが登場している。
AL/MI作戦では、鎮守府に残っていた残留組のひとり。
手薄になった呉鎮守府が深海棲艦に奇襲された際、自らが旗艦を務める第一一駆逐隊を率いてその迎撃に敢闘する。
5巻では改二となった。
AL/MI作戦において、鎮守府に残っていた残留組の航空戦艦娘たち。
深海棲艦の奇襲の報をうけ、長門らとともにその迎撃に立ち上がる。
AL/MI作戦において、鎮守府に残っていた残留組のひとり。呉鎮守府には3巻から着任。
姉の大和と並ぶ最大戦力の戦艦であるが、転生して間もないゆえに練度はまだ未熟であるため、艤装の修理が不完全な大和とコンビを組んで深海棲艦を迎え撃つ。
上述の大和の例から、大和のように転生前の己の艦暦に苦悩や絶望を抱いていないかと危惧されていたが、大和ほどに酷い絶望を抱いてはいないため、提督や長門たちもその事実に安堵している。
5巻
1巻から宴会の司会を務める立場で登場していたが、5巻では川内や神通共々改二となり物語の中核を担う。
戦闘には参加せず、正式なアイドルとなることを目指してライブ活動をしているが、それには過去のある戦いが関係していた。
改二で登場。極度の夜戦好き。
駆逐艦達にも夜戦の指導ばかりしている事を神通に呆れられている。
改二で登場。またの名を「鬼百合の神通」。
穏やかな雰囲気とは裏腹に、「艦隊で最も酷使されるからこそ生き残る術を身に着けてもらいたい」という思いから駆逐艦の指導は人一倍厳しい。
トラック泊地にて錬成訓練を行っていた空母娘達。
大鳳と雲龍は翔鶴の、天城と葛城は瑞鶴の指導を受ける。だが大鳳と雲龍は事ある度にいがみ合い、天城と葛城は艦載機の発着艦もまだ慣れていない状態だった。
トラック泊地への深海棲艦襲来により、彼女達も戦いに出る事になる。
葛城は転生前からして瑞鶴が一航戦を勤めていたころの生まれであるため、艦娘への転生後も瑞鶴を憧れの先輩として強く慕っている。6巻では瑞鶴から離れた翔鶴に代わり瑞鶴の相棒を務める事になった。
トラック泊地にて提督の代理を務めている艦娘。
トラック派遣部隊・通称「T部隊」の指揮を執る。
瑞鶴の改装について提案した工作艦娘。
6巻でも改二と改二甲の違いについて説明する。
伊四〇一(しおい)
MI作戦終結後に着任。偵察にも爆撃にも使える新鋭艦載機「晴嵐」を運用できる新戦力として、
伊号潜水艦組の流儀にもまれ成長していく。
6巻では逃げ延びてきた新入りの伊八の先輩として、親身にあれこれ世話を焼くように。
伊八(はち/はっちゃん)
西方諸国へ技術交換のため派遣されていた伊号潜水艦娘。
5巻ラストで命からがら日本の制海権下まで逃げ延びて保護され、自分を保護してくれた呉鎮守府の面々に西方諸国の危機的状況を伝える。同時に、西方諸国製の装備も分解して運んできており、6巻にて各艦娘へ提供された。
独自設定
他のメディアミックス作品の例に漏れず、本作にも独自の設定がいくつかある。
艦娘
かつての大戦を戦った軍艦が、舞台となる異世界(艦娘たちの祖国と同じ島嶼国家)で転生した姿。そのため、提督も艦娘の過去については詳しく知らない。
感情の高ぶりによって魂の中に封じられた艤装を瞬時に身に纏うが、その整備や補給、開発は自力では行えない。なぜ少女の姿をしているのかについては、海の民が航海の安全を願う神「船魂(ふなだま)」が少女と言われている事と関係があるのではと推測されている。
この作品の主人公・瑞鶴が属する呉鎮守府には100人以上の艦娘がいるが、その全てが最前線で戦っている訳ではなく、後方任務に徹している艦娘もいる。
あまり長距離は移動できないのか、戦闘海域に向かう際には近場まで艦娘待機船と呼ばれる船を使い、そこから出撃する描写がある。
深海棲艦
10年ほど前から世界に姿を現した正体不明の敵。各地に泊地と呼ばれる海上拠点を建造し、そこから侵攻を行っている。
船を襲ってシーレーンを破壊、航空機による輸送も阻み、世界は鎖国同然の状態となっている。その力は強大で、本物の軍艦さえ直接戦闘で歯が立たないどころか探知すらできない、さらに使う限言語も解読不能という有様で、人間の力だけでは沿岸部の警備だけで手いっぱいとなっている。その沿岸部さえ揚陸部隊の襲撃を完全には防げていない。
艦娘達の活躍によって、少しずつではあるが大陸から物資が届くようになり、スーパーやコンビニも潤い始めている。
戦闘面では、泊地の主力部隊の周囲に多数の警戒部隊や前衛部隊を配置しており、艦娘が主力部隊に辿り着くためにはこれを回避、排除しながら進む必要がある。このため侵攻ルートは一定しない。
また艦娘が7隻以上の編成を組めないのは、7隻以上の艦隊を組むと深海棲艦に探知されて、待ち伏せを受ける危険性が倍増するためであり、その反動か深海棲艦側も7隻以上の艦隊を組む事は無い。ただし2巻以降は無視される事も多くなった。
物語が進むに連れて、電探の装備に対抗したチャフを使った欺瞞戦術など、知的な作戦を展開する事も増えてきた。
装甲
本作では、装甲はバリアとして描かれ、艦娘・深海棲艦共通の能力となっている。
鎮守府工廠
艦娘達の艤装や武器の開発を行う場所。
深海棲艦がどこまで艦娘の事を知ろうとしているのかわからないという理由から、機密保持のため内部の詳細を知る事はできない。中には装備開発に携わる艦娘にさえ秘密になっている場所もある。
改二実装
本作においては、非常に高く練度を積み上げた艦娘に対して鎮守府側から辞令を出し、それに同意した艦娘およびその艤装が工廠で改装処置を受けるという形で行われる。
戦闘能力は普通の改装・近代化改修よりもさらに大きく高まるが、艤装が艦娘の魂を根源に展開されるという当作品の設定上、改二の艤装は艦娘の心身にもより強く負担がかかり、艤装側もその影響を受ける仕様となっており、艦娘の精神状態が不安定になれば、艤装そのものは壊れていなくても機能不全を起こす危険も孕んでいる。ただし5巻以降は改二の艦娘が増えたせいか、そのような描写は見られなくなっていった。
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艦隊これくしょん(艦これ) 艦これ派生作品 ノベライズ 富士見ファンタジア文庫