概要
「艦隊これくしょん」を原作としたTRPG。サイコロ・フィクションシステムを使用している。
プレイヤーは多数用意されている艦娘から一人を選んで担当し(重複はできない)、一般的なRPGでいうパーティに該当する「艦隊」を結成する。
キャラ物TRPGらしく、オリジナル艦娘を作る事は(少なくとも公式ルール上は)できず、所謂「プレロールドキャラクター」しか使えない。カスタマイズも初期個性の「フリー」枠を埋める事のみ可能。ただし性格的には、プレイヤーのイメージやプレイ中に生まれた展開を反映した、マイ艦娘へのイメージを投影しても構わないというか推奨(そもそも原作でも、同じ艦娘が複数登場するし)。
ゲームマスター(提督)は、艦隊が所属する鎮守府の提督役となり、艦隊に命令を出したりするほか、模擬戦で対戦するほかの艦隊の艦娘、深海棲艦、鎮守府を取り巻く一般人なども演じる。
※プレロールドキャラクター:作者やGMが用意した「作成済キャラクター」の事。「プレロールド」とは「サイコロを振って決める能力値」に対し「既にふり終えている(既に決まっている)」と言う意味。能力値決めにサイコロを使わないTRPGでも、作者やGMが用意したキャラクターなら伝統的にそう呼ばれている。
派生作品としての設定
あくまで派生公式としての見解であり、この例に沿ってないケースもあるが参考程度に。
・原作では1つの鎮守府(≒サーバー)に提督が大勢所属しているが、こちらでは提督1人ごとに鎮守府1つといった感じで構成される例が多い。大惨事表を使ってランダムに設定する事もできる。
・鎮守府のなかには、旅館型、療養所型、あまりにも奇妙で周辺住民とのコミュニケーションに苦労する型などもある。というか、基本ルールブックである『着任ノ書』掲載リプレイの鎮守府も「まぼろしの富士見温泉」。
・PC艦娘は1つの艦隊を構成するが、(プレイヤーを集める都合上)6人未満である事が多い。そして艦隊名も大惨事表の出番。
・鎮守府に所属する艦娘の人数は、原作(プレイを進めると数十~百隻以上)と比べると少ない傾向があり、PC艦娘しか所属していない鎮守府もありえる。公式リプレイでは、「神聖ラバウル警備府」では5人(うち1人は登場せず)、「栄光なき極楽泊地」には3人しかいない。「まぼろしの富士見温泉」では6個艦隊を擁しているが、第六艦隊は4人構成である。
・艦娘は、その正体や由来は深い機密の霧に包まれている。「あの戦争」とも呼ばれる大戦を戦った艦船の記憶を持つが、記憶の濃淡には差が大きい。
・妖精さんは、艦娘よりさらに謎が多く、「何なのかさっぱり分かりません」とのこと。
・軍務経験者以外の提督も多く、経歴は様々。人外提督もおり、リプレイ「願いは海を越えて」のA提督は妖精さん提督である。二次創作を意識してか、アルファベットの頭部を持つ提督や柴犬の提督もいるらしい。
・深海棲艦は、船を襲うだけでなく、陸地を浸食して海に変えている。数十年前に突如として出現したが、それより前にも出現していたらしく、深海棲艦を封印している神社もあった。
また、洋上交通は、空路も含めて破綻しており、物資の欠乏や沿岸部への攻撃による被害も深刻である。
・おもな舞台は日本であるが、現実世界とは別世界なので、いわば「日本のようなどこか」。「日本のラバウル」騾馬潤町とかも存在する。
・深海棲艦に苦しめられている社会をいいことに、艦娘詐欺が多発。大本営も警告しているが、詐欺はかなり高度化・組織化されて被害が跡を絶たないらしい。
・ブラック鎮守府もある。「願いは海を越えて」のブラ鎮提督は、大型艦建造のやり過ぎで経営がやばくなっていた。
・「提督以外の人間が艦娘を利用する」「艦娘が提督以外の命令を聞いてその戦闘力を行使する」のは、どちらも重罪。
ゲーム進行的な相違
・資材の入手数や価値が、原作とまったく異なる。
・資材は、入渠によるダメージの回復や装備開発だけでなく、ダイスの振り直しに使う【行動力】の回復にも使う(艦種により効率差がある)。リプレイを見る限り、やはり直接食べるらしい。
・艦隊戦の展開は、航空戦→砲撃戦第1ラウンド→砲撃戦第2ラウンド→雷撃戦→夜戦(夜戦突入には判定が必要)。原作とは異なり、戦艦の有無とは関係ない。
・深海棲艦は、中破・大破しても艦載機を飛ばせる。
・深海棲艦の補給艦は、艦隊戦で味方の深海棲艦を回復させることができる。
・艦娘はそれぞれに個性にちなんだ、その艦娘でしか使えない固有アビリティがあり、データ面での各艦娘の差別化は非常に多彩化している。
・無傷で艦隊戦に突入しても、ダメージ次第で轟沈する。演習でも「轟沈」するが、原作の「行動不能になる大破」と同様のものであり、ロストは起こらない。決戦フェイズでは、轟沈後に他の艦娘が回収する事ができるが、判定に失敗すると原作通りにロストする。
これらのほか、リプレイのページ下部には、
・鈴谷がいた鎮守府が、艦娘の遠征中に、提督が鎮守府生活に飽きて帰って来なくなって壊滅した。
・深海棲艦の出没を予測するのは困難であり、どんな僻地の鎮守府であっても、そうそう廃止にはならない。
のようないかにもありそうな話から、
・夕張の中の人がえろす系発言をやらかして、法廷で裁判が開かれる。なお原告は敗訴。
・はぐれ艦娘は銀色で防御力が高く、倒すと経験値を多く得られる。
のような明白な与太話まで様々な情報がある。
艦種ごとの特徴
原作の『艦これ』と共通する部分も多いが、大きく違う点もある。
戦艦・航空戦艦
火力と装甲の高さは原作同様。戦艦なしでも昼戦は二巡するが、一人いるとやはり頼もしい。反面、行動力が低く、運が悪いとあっという間に行動不能に。特に大和型は一度の振り直しで行動不能になるという冗談みたいなことも起こる。システムをよく理解しているか、リアルラックのあるプレイヤー向け。水上爆撃機があればやれることが増える航空戦艦は特に。鳳翔さんや雷の固有アビリティ(鳳翔さんは建造ノ書壱・雷は着任ノ書版)との相性が非常に良いので、初心者が使う場合にはどちらかがいるようにすることをおススメする。
重巡洋艦・航空巡洋艦・軽巡洋艦
原作と同じく、重巡・航巡は戦艦寄り、軽巡は駆逐艦寄りのバランス型で扱いやすい。一番初心者向けの艦種と言える。なお、最上型は改(航空巡洋艦)の方が改造済みであるためか、行動力が高い。リアルラックに自信が無くて、最上型を使うときには改の方がいい。
重雷装巡洋艦
甲標的があれば開幕雷撃可なため、手数が多いのは原作と同じ。ただし、艦娘のステータスに雷撃がないため、原作のような圧倒的な夜戦火力はない。アビリティを生かすためにも甲標的でなくとも魚雷の装備は必須。
駆逐艦
命中・回避・行動力に優れ、色々なシチュエーションに対応できる。だが、サポート役に徹するか、戦闘でも前に出てガンガン戦うのかで使い勝手も大きく変化する。そのため、使いこなすとなると慣れやシステム・使用艦娘の特徴の理解も必要。特に強敵相手の戦闘ではアビリティ・連続攻撃・声援・イベント効果を上手く使うことが他の艦種以上に求められる。『出撃ノ書』で追加された島に進入することができ、その場合にはダメージを島に肩代わりさせられる。
正規空母・装甲空母・軽空母
航空戦や偵察に活躍するのは原作と同じだが、アビリティがあれば夜戦でも攻撃できる。また、艦載機も連撃で使えるので相当な高火力。正規空母は軽空母と比して生存性が少し高く装備も4つまで可能。軽空母は正規空母よりも行動力がやや多いが装備は3つまで。装甲空母(大鳳)が中破状態でも艦載機を飛ばせるのは原作と同じ。装甲空母は【艦種アビリティ】で大破していても飛ばすことが出来るようになる。
潜水艦・潜水空母
行動力は駆逐艦並で高いが、回避や装甲は低い。原作と違って、夜戦で異常な防御力を発揮することはない。潜航だけでなく、浮上も可能。潜航すると、一部の敵からしか攻撃を受けないのと、開幕雷撃・雷撃戦・夜戦でしか攻撃できないのは原作と同じ。浮上すると砲撃戦に参加できるため雷巡並の手数になるが、水上艦と同じ扱いとなり、戦艦や重巡などからも攻撃される。元々の生存性が低いので、浮上はハイリスクでもある。浮上時には追加ルールで導入された島に進入することができ、その場合にはダメージを島に肩代わりさせられる。特殊なルールが多いので、熟練プレイヤー向き。
その他
・水上機母艦は甲標的を連続攻撃で使えるため砲を積めば原作よりもちょっとだけ高火力。行動力は軽空母並。
・明石は艦隊戦中に行動力を消費して、損傷を一つ回復できる。役割的にはRPGの僧侶に近いか。
・大鯨は潜水艦や雷撃戦でのサポート能力がある。
・明石・大鯨・あきつ丸・まるゆは基本的にサポート要員。戦闘で暴れたいという人には向かない。
プレイする時には好きな艦娘を選ぶのが一番だが、何人も嫁艦がいるとか、艦これをやったことがないので誰を選べばいいのか分からないという方は参考までに。
公式リプレイのPC艦娘
「温泉娘の曳航」(『着任ノ書』)
富士見第六艦隊(「まぼろしの富士見温泉」所属)
「網走閃光戦隊!!」(『建造ノ書 壱』)
網走閃光戦隊(「皆殺しの網走同盟」所属)
※コミックリプレイ
「ショートランドからの呼び声」(『建造ノ書 弐』)
夜明けのクルミ旅団(「最後のショートランド提督府」所属)
※コミックリプレイ
「艦これ博士とハジマリの島」(『出撃ノ書』)
夢見る青春天女(所属鎮守府なし)
『願いは海を越えて』
私立金剛娘子軍(「神聖ラバウル警備府」所属)
『空はあんなに青いのに』
極楽第一艦隊(「栄光なき極楽泊地」所属)