概要
ポリスノーツとは1994年にコナミからPC-9821にて発売され、のちに3DO、プレイステーション、セガサターンに移植されたアドベンチャーゲームである。
小島秀夫率いるゲーム開発チーム、小島組が制作。(後の小島プロダクション。現在は解散。)
世界観としては「21世紀のスペースコロニーを舞台としたハードボイルドSF」である。
あらすじ
2010年にスペースコロニーが完成し、人類は移住を始めた。そしてコロニーの人口が増え始めた2013年、警官であり宇宙飛行士である人々(当初は5名)ポリスノーツが誕生した。
ロス市警の景観であり、その5名のうちの一人であったジョナサン・イングラムは、事故により25年間宇宙空間を漂流する羽目になる。
この事故ののち、宇宙恐怖症となった彼はロサンゼルスと呼ばれていた都市、オールドロスに戻り、探偵の仕事を行っていた。
その中の依頼人にロレイン・北条、彼の元妻がいた。その依頼は「再婚相手の捜索」であったが、依頼確認後に彼の目の前で爆死してしまう。この件が気になったジョナサンは、スペースコロニーへ向かい、調査を始めることとなった……
登場人物
声:田中秀幸
本作の主人公。OLAで探偵業を営む青年。元ポリスノーツ・オリジナル・コップの一人。
声:飯塚昭三
BCP(ビヨンド警察)風紀課主任。ジョナサンの元相棒で、ポリスノーツのオリジナルコップの一人。
声:井上喜久子
北条ケンゾウとロレインの娘。BBCの人気ニュースキャスター。
ジョゼフ・サダオキ・トクガワ
声:家弓家正
トクガワグループ総裁であり、ISPA(宇宙推進開発事業団)理事長。ビヨンド最大の権力を持つ。元ポリスノーツ、オリジナルコップの一人。日系2世であり、日系人しか信用しないレイシスト。25年前にジョナサンの事故を引き起こした張本人で物語の元凶。麻薬密売や臓器売買を行っていて、その悪事を暴こうとした北条や、ジョナサンに北条の調査を依頼したロレインを殺害させた。片腕ともいえるゲイツが死んでも、なおもジョナサンを捕らえて制裁しようとするが、正義に目覚めて駆けつけたBCPの警官たちによって逆に逮捕された。
ゲイツ・ベッカー
声:阪脩
BCP(ビヨンド警察)本部長で、AP(ADVANCED POLICE)部隊隊長。ビヨンドでは最大の警察権力を持つ。元ポリスノーツ、オリジナルコップの一人。トクガワの悪事に加担している物語の元凶の一人。ゲーム中盤に、ジョナサンを罠にはめて窮地に陥らせた。終盤、トクガワグループの本拠地に乗り込んできたジョナサンを追いつめたゲイツが、自らの正義を語る場面は終盤最大の見せ場となっている。
ちなみに終盤見れるゲイツの演説シーンは、機種によって10分以上もある長い場面で、「ポリスノーツ 公式ガイド」でのシーン解説で、リハーサルが終わるたびにゲイツ役の声優・阪脩氏はぐったりしていたと書かれていた。
サルバトーレ・トスカニーニ
声:佐藤正治
トクガワ月面工場保安責任主任。元ポリスノーツ、オリジナルコップの一人。トクガワの悪事に加担しているが、トクガワやゲイツほどの大物ではなく小悪党レベル。トクガワ月面工場に侵入したジョナサンとエドの前に立ちはだかるが、返り討ちにあって死亡(PC98版ではジョナサンたちとの交戦中に宇宙服のケーブルが切れたことが原因で死亡するが、移植版ではそれがなくなり、中ボスとして多少は強くなっている)。
声:塩沢兼人
BCPのAP(ADVANCED POLICE)隊員。EMPS(ゴダード型)を自分の手足のように扱うことから、「Mr.ゴダード」と呼ばれている。政府の買い受けた人工受精卵から孵化した「FROZENER(フローズナー)」であり、人工血液のため顔色が悪い(白い)。BCPのエースパイロットだが、裏ではトクガワの手先として暗躍。ロレインを車爆弾で死に追いやった張本人。また、クリスが自分の母親(代理母)であることを知っていながら、見せしめに撃ち殺すなど、心まで凍りついた冷酷な人間。
メリル・シルバーバーグ
声:寺瀬めぐみ
エド・ブラウンの部下。BCP(ビヨンド警察)風紀課刑事。大柄な女性で、いつもコンバット・ナイフを脚にさしている。
デイブ・フォレスト
声:島田敏
エド・ブラウンの部下。BCP(ビヨンド警察)風紀課刑事。メリルの相棒。メリルに女らしくなるようにブランドのバッグをプレゼントするなど、メリルに好意を持っていた。中盤で撃たれて死亡し、その遺体はトクガワの臓器売買のために解体されてしまう。
ビクトル・ユルゲンス
声:宮内幸平
BCP(ビヨンド警察)の鑑識官。ジョナサンに協力するが、単身、調査に赴き帰らぬ人になる。
アナ・ブラウン
声:冬馬由美
エド・ブラウンの娘。スタイル抜群の美少女。母が死んでいるため、家の家事を一手に引き受けている。マークにとっては母親代わり。料理に凝っているが味の方は微妙。
マーク・ブラウン
声:萩森侚子
エド・ブラウンの養子でアナの義弟。過去のある出来事のショックから緘黙症にかかり言葉が話せなくなった。いつもグラフィック・コンューター「ピクノ8」を持ち歩いており、絵を描くことで自己表現をなんとか行う。エドが撃たれたときは、絵によって、エドを撃った犯人がクリス・ゴドウィンであることをジョナサンに伝えた。事件を通じてエドを理解するようになり、自分の父親として受け入れた。
クリス・ゴドウィン
声:川島千代子
BCCH(ビヨンド中央病院)の女理事長。元トップモデルでありながら、医学博士号を持つ。常にラベンダーの香りの香水をつけている。モデル時代はポリスノーツの面々と雑誌の表紙を飾ったこともあった。代理母として出産経験があり、そのときに生まれた子供がトニー・レッドウッドだった。代理母の出産時の感染症で子供が産めない身体になり、自分の最初で最後の子供であるトニーのそばにいたいために、トクガワの愛人になった。ジョナサンに協力するふりをして、裏でトクガワ側と通じていて、エドを撃って重傷を負わせる。意識不明状態のエドの生命維持装置を切ろうとしていたところをジョナサンに見つかり、説得されてトクガワの悪事を明かそうと決意するが、その直後、レッドウッドに撃ち殺されてしまう。攻略本掲載の設定では「母親として当然のことをした一方で、医者として道を踏み外した不幸な女性」と書かれていた。
ロレイン・北条
声:川島千代子
ジョナサンの妻だった女性。現在は北条ケンゾウの妻でカレンの母親。ジョナサンを一連の事件にいざなった張本人。冒頭でレッドウッドによって車爆弾で殺害される。死の間際、ジョナサンに離れていた間の25年間の想いを伝えて、カレンを助けてくれるように頼んだ。ハードボイルドのお約束である、依頼人の美女的ポジション。
ケンゾウ・北条
ロレインの夫でカレンの父親。トクガワ製薬技術研究所DDS開発チーム主任。娘を溺愛していて、病気のカレンを心配していた。ロレインとは夫婦仲はよかったものの、結婚後もロレインが元夫のジョナサンを忘れなかったことに関しては平行線で、その件でたびたび夫婦喧嘩をしていた。トクガワの陰謀を暴こうとして逆に殺害、その死体は臓器売買用に保存されていて、ジョナサンを罠にかける道具として利用されるなど、死後も悲惨な目にあった不憫な人。
ジュン・石田
声:龍田直樹
BCCH(ビヨンド中央病院)の薬局に出向しているトクガワ社員。陰気な性格。
マイケル・サイトウ
声:林延年
トクガワ製薬のガードマン。
ボブ
声:林延年
BCP(ビヨンド警察)の内勤刑事。署内の受付を担当。
コリンズ
声:岸野幸正
BCCH(ビヨンド中央病院)に勤める医師。カレンの主治医。
その他
- 移植に関してはコナミコンピュータエンタテインメントスタジオ(コナミのコンシューマゲーム開発子会社)が担当。全てのゲームの販売はコナミが行った。
- 発売日はPC-9821(フロッピー、CD-ROM)、平成6年7月29日、3DO(平成7年9月29日、CD-ROM2枚組)、プレイステーション(1996年1月19日、1997年9月18日 (the Best)、2003年8月7日 (Books)、CD-ROM2枚組)、セガサターン(1996年9月13日、CD-ROM3枚組)である。また、PSP・PS3用として、2008年5月14日より発売されたゲームアーカイブス版が存在する。
- このゲームはPC-9821用として発売されているものの、PC-9821自体の機能を使用していないため、実はPC-9801でも動作させようと思えば可能である。
- アメリカではセガサターンでの発売の予定はあったものの、同機種の日本以外の展開の不調のせいか、吹き替えの不調によるものかは不明であるが、結局中止となり、日本以外の国では発売されることはなかった為、これに業を煮やした海外のファンは(イリーガルな手段がらも)PS版を英訳したバージョンを製作している。(下記リンク参照)
Policenauts (PlayStation) English Full Playthrough
- このゲーム内のおもな女性にはセクハラ(胸揺れ)を仕掛けることが可能(ただし中年女性も含まれる)。なお、移植版であるセガサターンに関しては殆どの女性にセクハラ可能(そのため、他の機種よりもその行為に対する監修(女性)が多く、メディアも多くなっている)となった。
- このゲームにおけるミニゲームは難易度が高く、移植版では失敗に対する救済措置が存在する。
- 至る面で『スナッチャー』と印象が重なる点が見られるが、これは意図的に狙った演出であると開発者は発言している。
- 小島秀夫による映画的演出を導入したアドベンチャーゲームというスローガン、これは彼が直前に制作していた『スナッチャー』にも用いられている。これを更に推し進めたものが本作であり、それは後年に発売され世界的なヒットを生んだ『メタルギアソリッド』などにも生かされている。
- 『ポリスノーツ』のゲームシステムを継承したのがあの『ときめきメモリアルドラマシリーズ』であり、システムは『ポリスノーツ』とほぼ同じである。
- このゲームの登場人物をモチーフとしたキャラクターなどが後の『メタルギア』シリーズなどにも登場している。