概要
このゲームはPC-8801にて発売されたアドベンチャーゲームであり、MSX2でも発売された。
また、家庭用ゲーム機への移植としてはこのゲームの複数の映像と音楽から、PCエンジンのCD-ROM2用ソフトとして1992年に移植されたことをきっかけに1996年にプレイステーションおよびセガサターン、海外用では1994年にメガCDに移植(ちなみに海外では正規発売されたのはこの作品のみ)されている。
内容
このゲームは近未来を舞台とし、サイバーパンク風味の世界観を持つ。この世界にはスナッチャー(英語で、強奪する者・入れ替わる者)と呼ばれるアンドロイドが存在し、目的等は不明であるが人間を殺害し、その人間と入れ替わって生活をしている。
そのスナッチャーを探し出し破壊する公的機関がJUNKER(ジャンカー)である(他にバウンティハンター(賞金稼ぎ)も存在する)。
プレイヤーは新人JUNKERとなったギリアン・シードを操作し、ネオ・コウベ(舞台となる近未来では神戸港を埋め立てた後に作られた都市ということになっている。と言うか当時のコナミの所在地が神戸市ポートアイランド(埋立地)である)を舞台に活躍する!
登場人物
本作の主人公。謎のバイオハザードが発生したシベリアにおいてコールドスリープ状態で発見された人物で、その弊害からか記憶喪失中。
過去にスナッチャーと何らかの関わりがあったらしく、スナッチャーの操作や排除を行う現場担当の【ランナー】としてJUNKERに配属された。
メタル・ギアMk-Ⅱ(Metal Gear Mk.II)
ギリアンを補佐する小型の二足歩行のナビゲーター雄型ロボット。 通称「メタル」。おしゃべりで賑やかな性格。デザイン的にはハリーがメタルギアを参考に作ったと明言しいており、本作はメタルギアシリーズのパラレルワールドとなっている。
なおナビゲーターは(型こそ違うものの)ランナー全員に配備されている(そもそもスナッチャーをスキャニング(透視)により特定するのはナビゲーターの機能である)。
ギリアンの妻(発見時の所持品から)だが、同じく記憶喪失中のためお互い夫婦と思えず現在は別居中。
腕利きのバウンティー・ハンター。一ヶ月に4体ものスナッチャーを処理する凄腕(特別な武器を持たない一般人にしては驚異の数字である)。つかみどころのない性格。
ミカ・スレイトン
JUNKER本部の受付兼オペレーターを務める女性。犯罪心理学に詳しい。局長になりすましていたスナッチャーに人質に取られるが、ギリアンによって助けられた。その後、ギリアンと一緒にスナッチャーの本拠地を割り出し、サミットに集まった要人たちの護衛とネオ・コウベィに核を落とさないように説得する困難な役目を引き受けた。
JUNKER局長。柔道の達人でオリンピックに出たほどの実力者。実はスナッチャーで、本物のカニンガムはギリアンが配属される一ヶ月前にスナッチされていた。捜査の情報をスナッチャーたちに横流ししてギブスンを罠にはめて死に追いやり、ギリアンのトライサイクル(自動車)にも細工して事故に見せかけて殺そうとした。しかし、トライサイクルに細工している現場をハリーに見られてしまい、問い詰められてあっさり正体を明かしてハリーに重傷を負わせた。ギリアンによって処理されるが、死の間際、ロレイン博士やシード博士の存在等、数々の意味深なことを言い残した。
なお、本物のベンソン・カニンガムとは一度本編内で遺体で対面することになるが、これがかなりのトラウマシーンで、スナッチャーを食事をしながらのプレーは決してお勧めできない、とだけ忠告しておく。
ハリー・ベンソン
備品の開発、整備を行うメカニック。通称おやじさん。ノーベル賞を何度も受賞するなど優秀な科学者。両親をバイオハザードで失って天涯孤独。頑固だが根は優しい性格。ギブスンとは親しく、ギブスンが殉職したときは飲んだくれてギリアンに八つ当たりしたりした。
実は失った両親とはギリアンとジェミーの事であり(ギリアン達がバイオハザードを避けるためにコールドスリープをしていた事で年齢が逆転してしまった)、ハリー本人はそのことを知ることなく、カニンガムから受けた傷が元で亡くなった。死んだハリーの愛用の帽子は、エンディングでジェミーがハリーの遺品として持っていた。
ジャン・ジャック・ギブスン
腕利きのJUNKER。元は化学捜査を主にするサイエンスコップだったが、妻がスナッチャー絡みの騒動に巻き込まれて亡くなったことで、JUNKERに転属した。サイエンスコップとしての経験と知識を生かし、スナッチャーの弱点が人工皮膚にあることやスナッチャーのメンテナンス用の病院を突き止めたが、そのためにギリアンがJUNKERに配属された日にスナッチャーの罠にかけられて殺害されてしまう。ギブスンの死体描写は首がねじ切られているという残酷描写であるため、発売機種によってモザイクがかかったりしている。
リトル・ジョン
ギブスンのナビゲーターロボット。パートナーのギブスンの性格に合わせて無口に設計されている。ギブスンともどもカニンガムの罠にはめられて、スナッチャーに完膚なきまでに破壊されてしまった。
ジャン・ジャック・ギブスンの一人娘。モデルをしているスレンダーな美少女。
アリス
ギブスン家の飼い犬。ドーベルマンだが、意外と人懐っこい。中盤、スナッチャーがギブスン家に侵入したときに殺害されてしまう。アリスの死体描写も腹を裂かれて内臓が飛び出しているという残酷描写であるため、発売機種によってはモザイクがかけられている。
ナポレオン
中国人の情報屋。飄々とした性格。スノースギのアレルギーを持ち、よくくしゃみをしている。ギブスンはお得意様だったらしく、ギブスンのことを「ギブスンの旦那」と呼んでいる。ギブスン亡き後、ギリアンにもたびたび協力する。学生時代で得た化学知識から、スナッチャーがJUNKER本部にいることを知る手がかりを与えた。その後、危険を感じて身を隠した。
イザベラ・ベルベット
ホログラム・ビジョンの人気女優。グラマラスな美女。売れっ子になった今も、昔の恩を忘れず、酒場でダンサーをしている。ギリアンの捜査にも(手帳を見せて正体を明かさなければ)気さくに協力してくれる。
イワン・ロドリゲス
スラム地区に住む青年。ギブスンを殺害したスナッチャーの容疑者の一人。金のために、麻薬の売人をしている。家にやって来たギリアンを麻薬課の刑事だと勘違いして襲撃するが、あっさり返り討ちにされて、スキャニングの結果、人間だと判明して麻薬課に引き渡された。
フレディ・ニールセン
タクシー運転手を営む男性。ギブスンを殺害したスナッチャーの容疑者の一人。正体はギブスンを殺害したスナッチャーの一人。本物のフレディはタクシー運転手という職業に目をつけられて、妻ともどもスナッチされていて、フレディの死体はクイーン病院のモルグで無残に放置されて蟲に食われていた。
リサ・ニールセン
フレディの妻。セクシーな体型の美女。歯が痛むとのことで常に片手を頬に当てているが、実はギブスンに引っかかれた事で人工皮膚がはがれてむき出しになった機械部分を隠すためだった。正体はスナッチャーで、フレディと一緒にギブスンを殺害した。本物のリサは夫ともどもスナッチされていて、リサの死体はフレディの死体と同じくクイーン病院のモルグで無残に放置されて腐敗状態にあった。
陳周鳳(チンシュウホウ)
クイーン病院の院長。正体はスナッチャー。本物の陳は地下施設で違法の医療行為を行い逮捕や営業停止処分を受けていた闇医者だったが、そういった環境下にあった陳は病院ともども利用価値があったためにスナッチされ、スナッチャーの人工皮膚を治す拠点にされていた。他の犠牲者と同じく、陳の死体はクイーン病院のモルグで放置されて腐乱していた。
ルイス・ギルモア
殉職したJUNKER。解説書に名前のみ登場。
セルジオ・グレイザー
殉職したJUNKER。解説書に名前のみ登場。
デビッド・ジョンソン
殉職したJUNKER。解説書に名前のみ登場。
シュルツ・デッカード
殉職したJUNKER。解説書に名前のみ登場。
エリア・マッドナー
物語の最重要人物で、スナッチャーたちが創造主と崇める老人。若き日の姿はランダムと瓜二つ。
ペトロビッチ・マッドナー
100歳を超える高齢の科学者。エリア・マッドナーの父親。スナッチャーたちによって監禁されていた。実はランダムは彼がエリアを止める為に創ったアンドロイドであり、ランダムがエリアに似ていたのはそのため。前述のとおりメタルギアが存在した世界観な事から、メタルギアシリーズの登場人物と同一人物(パラレルだが)と思われる。
裏話
このゲームは開発に1年半という時間がかかったため、PC版では本来予定されていた話の半分で終わっている。さらにはPC-8801版のみを発売する企画だったのが売れ行きが怪しいことからMSX2版も出すこととなった。なお、予定していた話およびその続編は結局発売されなかった。そのためPC-8801は「なかったこと」にされたようでありフォローも行われなかったが、MSX2では『SDスナッチャー』というRPGが1990年に発売され、「ADV版の内容+最終章」と言う形で中途半端な終わり方を一応決着させた(逆に言えば『SD』さえプレイすればADV版はプレイする必要が無いと言う事でもある)。しかしながらシベリアの本拠地に乗り込む以降のシナリオはオミットされたのでやはり完結はしていない。
PCエンジン版以降ではADV形式のまま最終章まで描かれた。ただし「ルシファーαと一緒に解毒剤のエンジェルβも開発されていた」などSDスナッチャーで存在した重要ファクターが描かれていないため、シナリオを骨までしゃぶるにはSDスナッチャーをプレイするのが好ましい。
このゲームの作者である小島秀夫氏は自分が直接かかわったPCエンジン版までをプレイすることを推奨している。それ以降のバージョンは「人の手が入っている」とのことである。
このゲームの中にはたくさんの「お遊び」的要素が含まれており、特にCD-ROM媒体となったPCエンジン版以降では顕著となる。
このゲームはエニックスの『ジーザス』を参考にして作られているといわれる。シナリオ的には映画『ブレードランナー』を意識した作品であり「ランナー ブレードランナー」「スナッチャー=レプリカント」「トライサイクル=スピナー」「二つで充分ですよ」等のネタがある。さらに、小島秀夫氏が後に作成したポリスノーツの元となっている。
SEGA-CD版は個体数が少ないこともあり中古ソフトがウン十万円で取り引きされている。模造品が売られている場合もあるので注意が必要である。
関連タグ
レトロゲーム PCエンジン レトロPC プレイステーション セガサターン MSX2 メガCD
ギリアン・シード ジェミー・ロレイン ランダム・ハジル カトリーヌ・ギブスン
MGS4:エンディングにおいて、雷電は息子のジョンの事をリトル・ジョンと呟いている。
MGSV:GZのジャメヴミッションではスナッチャーが登場する。