お前たちの平成って醜くないか?
おまえたちのへいせいってみにくくないか
概要
『劇場版仮面ライダージオウOver_Quartzer』におけるセリフ。
対義語は瞬瞬必生。
映画公開中のTVCMでISSAがシリアスな表情で発した事から話題になった。
CM開始早々、一般層からは人気絶頂の国民的グループのリーダーが、ライダーファンからすればこれまでに平成ライダーの主題歌を担当してきた人物がこんなセリフを吐き出すのだから、インパクトは相当デカかった事が伺える。
常磐SOUGOの思想を端的に表していると言ってもいい迷言の一つで、平成ライダーの歴史を消滅させて自らが美しいと感じる平成ライダーの歴史を再構築しようという意味合いのセリフである。
身も蓋もない言い方をすると『平成のリセット』が目的なのである。
極め付けは映画館で日本の元号がテーマなのに『平成生まれのもの』なら国籍や生物非生物関係なくリセット対象になるというシーンを見せつけられたのだから実際に見に行った人はこのセリフが忘れ難いものになっただろう。
何の事やら理解できないという初心者の方に説明すると…
このセリフが発せられた背景には仮面ライダーシリーズは長期シリーズであるが故に、年号によって制作方針が異なるという事情がある。
世界観を共有する昭和と、独立している事の多い平成の間では方針の違いや大人の事情からか、様々な諸問題が発生する。(設定や時系列の齟齬、年号のカテゴライズ問題、ゲストヒーローの扱いの難しさ、ファン同士の対立など。)
これを良しとしないSOUGOが言い放った皮肉こそが『お前たちの平成って醜くないか?』である。
よって平成という激動の時代そのものをディスっている訳ではない。(作中でやってる事はどう見ても平成そのものの破壊にしか見えないわけだが。あくまでメタ視点での解釈という事でご理解ください。)
劇中にも「今の俺たちが知っている時代なんて、後世の人が勝手に作った創作物みたいなものかもしれない。」と言うセリフがあるように、現実の「歴史」にだって、未解明の謎や新発見、それに伴う矛盾も多いし、様々な人の思惑や環境で変わっていく。フィクションも然り。そもそもな話、自分の人生というものですら自分の思い通りにはならない。現実もフィクションも凸凹じゃない歴史なんてない事に変わりはないのだ。
用法/反響
インパクトを集めた最大の理由はこれまでメタフィクションを扱ってきた作品は数あれど、物語最大の黒幕、それも物語の外側からやって来た存在が直接平成という元号を否定しに来たケースは前例がなかった事が大きい。
その語感の良さからライダーファンの間では一種の流行語と化しており、TV番組で劇場版主題歌が流れ出すとこのセリフが脳裏をよぎり、平成はまだ終わらないという感覚に襲われるという。
SNSで仮にこのスラングを使っている人がいたとしても別に平成という時代を蛇蠍の如く嫌っている訳ではなく、否定の為のワンクッションといった使い方や振りとして使っている人が多い。(噛み砕いて言うと、翔んで埼玉における埼玉県の扱いのような物だろうか。)
改変次第では褒め言葉や自画自賛、単なる問いかけにも使えるのだから便利なものである。もはや「〇〇ないか?」ぐらいに原型を崩されるパターンもあるが。
(例:「このOP、美しくないか?」/「俺たちの平成って素晴らしくないか?」)
最後に主人公のセリフでこの項目を締めたいと思う。
「人生が美しくないのは当たり前じゃん、本に書いてあるワケじゃないんだから」
関連イラスト
同じ、歴史を題材にした作品という訳でこの作品とのコラボネタもある。特に前者は主流となっている歴史を舗装し直そうという意味で共通点があり、親和性が高い。