概要
1999年に地球へ落着した異星人の大型艦「ASS-1」から得られたオーバーテクノロジーを盛り込み、巨人型異星人「ゼントラーディ」との戦闘を想定し戦闘機形態「ファイター」から人型形態「バトロイド」、そして両者の中間形態である「ガウォーク」への変形機構を組み込んだ可変戦闘機。
2008年11月に正式型がロールアウトし、ASS-1を改修したマクロスが進宙するまでに1,000機以上が実戦配備された。
ペットネームは「バルキリー」。その名は後に続く可変戦闘機の総称として定着し、受け継がれていく事になる。
VF-1は、試作機であるVF-1-Xでのトライアルを経て制式採用され、統合戦争時に投入された先行量産型VF-0フェニックスの実戦データを受け継ぐ形で完成した。なお、ガウォーク形態はVF-1-Xのテスト飛行中に偶然見出された形態であり、それに伴う設計変更が行われている。
最大の特徴として、VF-0には搭載されていなかった熱核反応タービンエンジンを搭載した点が挙げられ、取り込んだ大気を高熱圧縮して推進剤として噴射するこのエンジンの登場により、VF-0やSV-51の運用上の問題点(飛行可能時間、エンジン出力など)はほぼ完全に解消され、大気圏内であれば理論上ほぼ無限の航続性能を可能にする。
一方で、宇宙空間では燃料を消費して推進する為、飛行時間は有限。更に可変機構にスペースを食われた事もあって燃料の搭載量は少なくなっており、これを補う為のスーパーパックの開発も行われている。
また、エネルギー転換装甲による機体剛性の向上(民家を破壊しながらの胴体着陸をしてもほぼ無傷。尤もそれぐらいの丈夫さがないと走るだけで足が砕けるが)、腕部補助マニピュレータによる機体の自動修理プログラム、機首の脱出モジュール化など、機体のサバイバビリティの高さも特徴の一つとして挙げられる。
新型機が開発され始めた頃もしばらくは現役主力として運用された名機であり、VF-4ライトニングⅢの制式採用後も運用されて来たが、VF-11サンダーボルトの正式採用を以てその座を降りた。
しかし、その生産数と信頼性の高さから退役後も民間で再利用された機体も多く、マクロス7船団ではミリア・ファリーナ・ジーナスが当時搭乗していた機体を保管し、バロータ軍のエルガーゾルンと互角以上の戦闘を演じている。
バリエーション
VF-0
VF-1の試作モデルとして地球統合軍が開発した可変戦闘機。
実戦運用を想定しない試験機であったが、やむなく実戦投入された経歴を持つ。
ペットネームは「フェニックス」
詳細はVF-0を参照。
VF-1-X
熱核反応エンジンや変形機構の実用試験の為に製造されたテスト機。
ロイ・フォッカーを担当テストパイロットに据え、VF-1の正式採用と完成に大きく貢献した。
頭部は設けられていないが、当機のテスト飛行中に偶然にもガウォーク形態を見出した事でも知られる。
VF-1A
一般兵向けの量産型。生産数が多く、最もメジャーなタイプ故にカラーバリエーションも豊富。
TV版のメインキャラクターでA型に搭乗していたのはマクシミリアン・ジーナス(マックス)と柿崎速雄の二人だけだが、劇場版では一条輝の機体もA型である。
(TV版ではヴァーミリオン小隊長になった輝の下に二人が配属されたという展開だったが、劇場版ではスカル小隊所属で三人は同期となっている)
VF-1J
(劇場版カラー)
新中州重工がライセンス生産を行った際、火力強化の為に頭部を換装したタイプ。
VF-1Aでは一門しか搭載されていなかった頭部レーザー砲が二門になっている。性能もVF-1Aより優れていたが製造数が少なかったため、主に小隊長やエースパイロットに優先配備された。
TV版の輝は訓練生時代から乗っており(当時は灰色に白ラインの機体)、この事に関しては「フォッカーのコネ」「緊急で新人を育成する必要があった当時、飛行機操縦経験者(スタントパイロット)である事が考慮された」等、諸説がある。
メタ的に言ったら主人公機を差別化するための機体である。
フォッカーの戦死で輝がS型を受け継いだのとほぼ同時期に、マックスも昇進して青色に塗装したJ型に乗り換える(柿崎は戦死)。マックスと星間結婚を果たしたミリア・ファリーナ・ジーナスも元メルトランディのエースパイロットであった事をふまえてか(搭乗型のバルキリーとパワードスーツのクァドラン・ローじゃ操縦法が違いすぎるだろ、と言ってはいけない)、マックスに合わせて赤色に塗装されたJ型が与えれられた。
VF-1S
新中州のJ型と同じくノースロム社がライセンス生産で試みた性能向上タイプ。エンジンや頭部の換装によってJ型をも上回る性能を誇る。
スカル大隊長(劇場版ではスカル小隊長)ロイ・フォッカーの専用機として活躍し、彼の死後は輝が隊長の座と共にこの機体を受け継いでいる。
VF-1D
バトロイド・ガウォークへの可変機構を盛り込んだ機体であるVF-1への機種転換訓練のために用意された複座型訓練機。一条輝が初めて搭乗した機体でもある。
コクピットが延長されている事もあってバトロイド形態時の腹部が長く、胸部形状も他のVF-1と比較して若干異なる。
マックスとミリアの結婚式に使われた機体としても有名。
VT-1オストリッチ
VF-1D同様訓練用の複座機。
映画「愛・ぼおえていますか」に登場し、輝とリン・ミンメイがマクロスを抜け出してデートに行く際、移動手段として搭乗している。
VE-1エリントシーカー
EWACシステムを搭載した早期警戒機。
大型レドーム、通信アンテナ、強力な各種センサーなどで味方機への管制、誘導等を行う他、マクロスの主砲射撃時のサポートした。
VF-1X-plus
2020年代の技術でアップデートされたVF-1。
エンジンの換装に加え、アビオニクスや機体一部の材質も改装されている。
強襲潜航母艦「ヴァルハラⅢ」や第727独立戦隊VF-Xレイヴンズ、果ては反統合政府組織ビンディランスなどで運用された。
VF-1X++ ダブルプラス
2057年に新星インダストリーがVF-1X-Plusをベースに少数生産した機体。VF-1は民間に払い下げられた機体も多く、主に素性を隠す必要のある特務部隊等に需要があった。
この機体をベースにパンキッシュ・レース用に改修されたVF-1X++ ダブルプラス ハクナSPなる機体も存在する。
VF-1EX
2060年代の技術でアップデートされたVF-1。
YF-24で実用化されたEX-ギアシステムを導入している。
民間企業複合体「ケイオス」に於いては訓練機として用いられ、AIによる操縦アシスト、教官機による遠隔操作等の機能が付与されている。
オプション
スーパーバルキリー
宇宙空間での戦闘可能時間の短さを補う目的で開発された「スーパーパック(ファストパック)」を装着した状態。開発コードは「ブービーダック」。
これを装備する事でバルキリーの宇宙空間に於ける飛行時間・行動半径は飛躍的に延長されるが、宇宙戦用の装備である為、マクロス艦内や大気圏内では空気抵抗の関係上使用は出来ない。
なお、増加パーツはバルキリーの特徴である三段変形を損なわない形で配されている他、各種パーツは状況に応じてパージが可能。
ストライクバルキリー
スーパーパックの装備編成を変更した「ストライクパック」を装着した状態。TV版には存在しない。
右背部のスーパーパック前部のマイクロミサイルランチャーをマウラーRö-X2A 連装ビームカノンに換装している。高価で取り回しが難しい為、実質的に指揮官機であるVF-1S専用オプションとして扱われている。
マウラーRö-X2Aは構成上左右どちらにも取り付けができ、左右両方に装備したものを「ダブルストライクパック」と呼称する。
アーマードバルキリー
陸戦における装甲の脆弱性、及び必要以上の高出力といった問題点を解消すべく新中州重工が開発したプロテクターウェポンシステムを装着した状態。
初期の装備には開発メーカーの関連からJ型にしか対応インターフェイスがなかったが、後に複座型故に胴体の長いD型を除くほぼ各型に対応可能なように改良がなされている。
デストロイド並みの火力が得られ、マクロス艦上ではデストロイド部隊に混じって対空戦闘に参加した例も見られた。
一方で、この装備の追加によって機動性が低下し、形態がバトロイドに固定されてしまうという欠点があるが、必要に応じて迅速なパージが可能となっている。
裏話
TV版の当初構想ではロイ操縦のVF-1Sは2クールのラストでカムジンの操縦するグラージと相討ちになり、そのまま消失する予定だったが、VF-1Sの玩具セールスが好調だった為、逆に一条輝操縦のVF-1Jが失われる事になり、ロイの形見となったVF-1Sを乗り継ぐ事となった。
また、マックスとミリアがVF-1Jに乗り換えたのもVF-1J乗り換えの救済措置と言われている。
マクロス7のOVA「最強・女の艦隊」では製作プロが交替した為か輝のVF-1SとマックスのVF-1Sが同席している奇妙な場面もあった。(劇場版ではマックスがMIAになり、VF-1Sは失われた為、輝が後任のスカル小隊の隊長になった為、同席出来ない筈であった。)
最もマクロスシリーズは「マクロスワールドで起きた出来事を映像化した」と後付け設定された為、史実ではマックスはメルトランと共に投降または和解し、復隊した可能性もあるが…。