CV:鈴木勝美
概要
TVアニメ『超時空要塞マクロス』にて初登場。
一条輝が小隊長に任命された際、マクシミリアン・ジーナスと共に配属された隊員。劇場版では輝と同期。
搭乗するVF-1の指し色は緑。
大柄な大食漢。性格も豪放磊落でありつつもコメディリリーフ的なところがある気の良い男だが、いまひとつ見せ場はなく、TV版・劇場版ともに輝やマックスといった天才パイロットの引立て役に回るハメになる。
TV版の作中で描かれる全6回の出陣のうち、初陣のときは敵の中にむやみに突っ込んで迎撃されて大怪我を負った上、支給されたばかりのバルキリーをオシャカにし、第二戦もやはり迎撃され、敵の艦に侵入した第三戦もブリタイに不意を突かれた。こうした彼の不用意な性格や腕の未熟さが後の悲劇を生む事になる。
TV版・劇場版ともにやたらアクの強い死にっぷりを見せており、物語から退場する様ばかりが語られがちな、変わったキャラである。
TV版
第19話『バースト・ポイント』にて、マクロスの全方位バリアの暴走から逃げる場面、ファイター形態へ変形するも逃げ遅れて戦死する。
「柿崎!遅れるな、柿崎!」
「駄目です隊長!間に合いません!!うわああああ!」
「柿崎ぃぃぃぃッ!」
この時よく見ると、輝とマックスより変形がわずかに遅れている。スカル小隊の一員として決して低くはない操縦技術を持っていたものの、ほかの2人には一歩劣っていたことがわかるシーンである。
この直前のシーンではヴァーミリオン小隊全員で食事を採っており、好物の特大ステーキを食べようとしたが、出撃命令がかかってしまったため一切れで終わってしまい、そのまま命を落とすこととなった。
彼の象徴としてステーキがとりあげられるのはこのためである。
(かなりのサイズだったようで、ステーキを見た輝とマックスは驚きの声をあげている)
制作段階では一切れすら食べられずに戦死となるはずだったが、それではあまりにも可愛そうだというスタッフらの温情により変更となった。
一つ前の放送ではフォッカーが戦死した事もあり、柿崎の死はドラマ的な盛り上がりに欠けていたが、ある意味視聴者の心には印象付けられた死であった。
劇場版
中盤、メルトランディ軍の強さを教えた輝をからかってよそ見していたところ、奇襲をかけてきたミリアの一撃で撃墜され死亡する。
「もしかすると、女ができたせいかな?ふははは、うわああああぁ!?!?!?」
「柿崎ぃぃぃぃッ!」
よく見ると、攻撃を受ける前にセンサーが反応している。
ある意味不可抗力ともいえたTV版に比べ、死の原因に彼自身の油断が占める割合が大きく、名誉の戦死と呼ぶのが躊躇される死にざまである。ドラマ的な盛り上がりもなく、より無駄死にの色彩が強い。
監督の河森正治によれば、現実の戦争ではほとんどが無駄死にであることを踏まえ、メインキャラクターの死や退場に際してはドラマを盛り上げるのが基本であった当時のアニメ作品と対照的な演出を意識した結果、このような展開が出来上がったとのこと。
後の『マクロスF』の時代には、柿崎の死から生じたとは明言されていないものの、「作戦中に同僚を女関係の話題で馬鹿にすると死ぬ」というジンクスが伝わっており、早乙女アルトが触れている。
そして実際にアルトを女の件で揶揄ったマルヤマ隊員は戦死してしまった……。
ゲーム作品
本項ではPS2とPSPのゲーム作品を取り上げる。やはりというべきか、当然のように死ぬ。
PS2『超時空要塞マクロス』では彼を自機に選択出来るが、特定の面で強制的にゲームオーバーとなる。しかもオープニングデモで。当然その時点で撃墜されたものとして扱われ、さらにスコア画面の背景が食べかけのステーキという特殊なものになる。
PSP『マクロスエースフロンティア」シリーズではTV版における彼の死亡シーンが必殺技『最後の晩餐』として搭載されている。
発動すると(ご丁寧に断末魔の叫び付き)、あの全方位バリアが自機を中心に展開され、ほぼ必ず死ぬ。相手が。
同「マクロスアルティメットフロンティア」にはTV版の柿崎死亡回を再現したステージがあり、敵機を早く殲滅することで「フラグクラッシャー」ボーナスを得ることができる。
正攻法では割と難しいものの、上記の「最後の晩餐」で敵機を片付けると容易に取得可能。因果関係の逆転っぷりが実にシュール。
さらに「マクロストライアングルフロンティア」では、敵パイロットが全て彼というとんでもないステージがある。つまり「最後の晩餐」を大量の敵パイロットがどんどん発動してくるステージであり、TV版の彼の絶望感をたっぷり味わうことが出来る。
スーパーロボット大戦
α
スパロボに初参戦となる『スーパーロボット大戦α』では、フラグを立てる事で彼の死亡シーンが再現されるのだが、死なない。
しかもイベント後には強力な隠しユニットまで持ってきてくれる。
これは撃墜されてもらうしかないよな?かくして彼はプレイの度に撃墜される。プレイヤーの手で。
能力的にはやはり他のバルキリー乗りより劣るが、捨て身の精神コマンドを覚える為、瞬間的な爆発力は高い。
ちなみに、ソフトバンクの攻略本ではそのイベントをネタ扱いされ、攻略記事のコメントに
「ああっ!ぼくらの柿崎が!さあ、みんなで一緒に叫ぼう!!柿崎ィィーーっ!」と書かれている。
担当声優の鈴木氏はこの時の顔グラフィックを見て吹いたという。
……とは言うが、わざわざこの柿崎が撃墜される場面のためだけに気合を入れて原作再現してしまった専用の顔グラは凄まじく怖いので原作の展開を知らなかったがために突然恐怖の絶叫を上げて撃墜される柿崎にビビったプレイヤーも多い(ちなみに上記の攻略本でしっかりその顔グラまで出されているので、何気なくページを開いたら突然の柿崎の恐怖の顔グラにビビるハメになったプレイヤーもいた)。
α外伝
ここでは特にネタになる様な事は無い、本人は。
だが搭乗機体であるVF-1A(S)に反応弾を無限に撃てるようになるバグが存在し、一躍最強のバルキリーに(機体だけ)。
まあ、大抵フォッカーか輝に機体取られるんですけどね……
第3次α
先述したαを第1作とするαシリーズの最終作では「登場直後に撃墜される」というショッキングなシーンがある。
これは前述の劇場版における最期を思わせるシーンであり、(前作以降、シャア・アズナブルを筆頭に多数のキャラが死亡している事もあって)
初作からのプレイヤーを「ああ、ついに彼も…」と感傷的な気分に浸らせたが…やはりというかなんというか、死ななかったどころか続編とのクロスオーバーまで絡めて生還してきた。
というか、中断メッセージではパインサラダが死亡フラグだと言いながら、自分はステーキを食べに行くが、輝に「柿崎に死亡フラグは関係ないけどね(意訳)」と突っ込まれており、こんなところでシレっと生還を予告されていた。
当シリーズにおいてはむしろ「プレイヤーの腹筋の死亡フラグ」と言うべきかもしれない。
ちなみに、ミリアに対する援護攻撃では劇場版でミリアに撃墜され死亡したことを受けた台詞まである(つまりαでミリアに堕とされたのが正史という事である)。面白いので、一度は聞いてみることをオススメする。
ちなみに、原作準拠と言えばそれまでだが、他のスカル小隊の面子がエース優先配備のVF-1Jに乗り換える中、彼だけは最期まで一般量産機のVF-1Aに乗ったままであった(そもそもマックスがJ型に乗り換えたのは柿崎の死後(ミリアとの結婚後)である)。ただし柿崎も専用カラーの機体に乗っている(色は一般機と同じだが配色パターンはマックスのA型と同じ。逆に言うと配色パターンに限ればマックス(及びミリア)のJ型の方が一般機に近い)。
αシリーズ全盛期にはそのネタ性から口の悪いアムロや加速と直撃の一族と並んでスパロボ三大ヒーローと称されていた時期もあった。
なお、能力的には飛び抜けたところこそ無いが、鍛えれば十分使えるといったレベル。ただリアル系にしては集中を持たないのがネック。とはいえ初代αでは捨て身を覚えたり、α外伝ではひらめきと必中を両方使え、第3次αでは合体攻撃もあるので出撃させる価値は十分にある。
その他
『Card Chronicle』ではELSに同化されかけるシーンがあるがTV版のようにステーキを残してしまったという。(ちゃんと助けられたが)
撃墜イベントはあっても絶対に死なない。それがスパロボにおける柿崎なのである。
パイロットとしての実力
彼の名誉のために述べておくが、柿崎の戦績は決して悪くはない。
スカル大隊(スカル小隊)はエリート部隊なので、そこに配属されるということは、むしろ全体で見れば上位に入る。あくまで輝など他の隊員が凄腕だから目立たないだけ。
実は『マクロスゼロ』の主人公・工藤シンより実力が上で、シンは旧世代のパイロットなのでファイター形態以外は上手く使いこなせないというのが理由らしい。逆に言えば同世代のはずなのに使いこなしたフォッカーは天才ということか。
また、TV版ではシミュレーションの成績は天才と名高いマックスと同ランクの成績を叩き出している。
事実、TV版でも輝やマックスと共に多くの激戦を潜り抜けており、バリアの暴走に巻き込まれた死因についても客観的に見れば運が悪かっただけと判断するのが自然である。むしろ生き残る方が奇跡に近い。
さらに劇場版での死因も、マックスに匹敵するトップガンナーであるミリアの奇襲を受けたからで、少なくとも雑魚に撃墜されて死亡したという展開ではなかった。
とはいえ些細な判断ミス(変形の遅延・雑談で油断)で命を落としてしまっているのも事実であり、エリート部隊においては他より一歩劣っていたという点は否めない。
それ以外でも大口を叩いた割にピンチなったりと、コメディーリリーフ的な面も多い事もあり、実際の実力よりも下に見られやすい。
しかし、そんな凄腕の同僚達に対して決して妬んだり僻んだりする事は無く、良き友人としてムードメーカーとして在り続けたのが柿崎の魅力とも言える。
スパロボにおいても、実力は十分あると評価できる能力値となっており、機体の改造など強化を図れば主力として十分活躍できる。
回避能力に不安が残るという欠点もあったが、『第3次α』では育成要素によって能力を強化出来るようにもなっているため、ある程度のカバーも可能になった。
また、避けないものと割り切って、重装甲ユニットであるデストロイドモンスターに乗っけてしまうのもあり。
輝たちには一歩劣るとはいえ、全く使えないわけではないことがお分かりいただけただろう。
ちなみに『第3次α』では初登場時、一般兵が乗る大量のバルキリー共々スカル小隊がプロトデビルンの攻撃を受ける場面があるが、一般兵は全滅するなか柿崎はちゃんと避けている(柿崎が落とされるのはさらにその後)。
余談
- 柿崎の死亡退場は当初より決まっており、輝の部隊の二番機は、悪の軍団の幹部よろしく、1クール毎にパイロットが入れ替わる「魔の二番機」となる予定で、柿崎は「最初の犠牲者」になる筈だった。因みに「魔の二番機」フラグは、続編マクロス7のダイヤモンドフォースで実現する。
- 柿崎のモチーフとなったのはサブカルチャー関係者の故・柿崎一吉氏。容姿は柿崎そのもので、TV版第20話「パラダイスロスト」で、輝が柿崎の遺族に戦死報告書を書く際に「柿崎一吉様へ~」と書き出している事から、柿崎速雄の父親は「柿崎一吉」と言う事になる。
- 富田祐弘が執筆したノベライズ版では最終決戦直前まで生存するも、終戦まで生き残ったかは不明である。
- パチンコ版では輝・マックスと共にバルキリーリーチにて活躍。
基本的に大当たり期待度は最も低いが、バトロイド形態まで発展すれば3人の中では最も期待度が高くなる。
ちなみに、その際の演出は敵機の攻撃を回避して慌てて撃った流れ弾が偶然敵機に命中して撃破という、実にコミカルな展開である。
関連タグ
死亡フラグ 歩く死亡フラグ ステーキ パインサラダ VF-1
ダイヤモンドフォース…上記の通り「魔の二番機」が実現した例で、D2隊員初代ドッカーは戦線離脱(後に復活)→二代目フィジカが戦死したが、三代目のディックでそのジンクスに終止符を打った。
Bメカ(伝説巨神イデオン)……「魔の二番機」の代表格。最初の犠牲者はファトム・モエラ、二人目はギジェ・ザラル。まぁ最後は全生命体が因果地平の彼方に消え去るんですけどね。
ゲッター3…3番機であるが、イデオンのBメカと共に死亡フラグの代表格である。