概要
VF-1 バルキリーの試作モデルとして地球統合軍が開発した可変戦闘機。
ペットネームは不死鳥を意味する『フェニックス』。
開発には後にVF-19を開発する新星インダストリーの前身となった新星社も携わっている。
VF-0は本来試験用の機体であり、実戦での運用は想定されていなかったが、統合戦争に於いて反統合同盟軍がVF-1に先んじSV-51を実戦投入した為、これに対抗する為に実戦向けに改造した「先行量産型」を空母「アスカⅡ」に積み込み、実戦投入させた。
しかし、実戦投入自体が急を要する話であった為、あらゆる面で実戦を想定し完成された兵器であるSV-51と比較した場合、実用性、操縦性などに問題を残す。
それに対する解決策として、アスカⅡに乗艦した中島雷造技術士ら開発技術者による微調整や改修が順次行われたが、結果機体ごとに最大推力・スロットル反応速度・機体安定性等の性能に差異のあるハンドメイド機に近い機体となった。
可変機構が盛り込まれたこの機体は、それまでの戦闘機と比較して別種の兵器とも形容でき、最大の特徴であったバトロイド・ガウォーク形態時の操縦性もパイロット達の練度不足もあって良いものではない。可変戦闘機用のアビオニクスもこの段階では未完成であり、実戦で各形態の性能を引き出せたのはVF-X1のテストパイロットを務めたフォッカーのみとされている。
本来は宇宙での運用も想定して開発された機体であり、メインエンジンは本来熱核反応エンジンを搭載する予定であった。
しかし、反応エンジンは開発が間に合わず、主機にEGF-127改ターボファンエンジンを2基と、副機にロケットエンジンを装備する。現行(しかも最高クラス)のエンジンをオーバーチューンした上で搭載している為、膨大な燃料を必要とし、更に可変機構の関係から燃料搭載スペースも限られていた為、航続距離は短く作戦行動中は空中給油機との連携を必須としていた。
これに対する解決策として、一部の機体では宇宙用装備として開発中だったFASTパックをエンジン部に装着し航続距離の延長を図った例も存在する。
急造的な面がある一方で、エンジン規模と燃料タンクに合わせ機体はVF-1よりも一回り大きく、既存の戦闘機用の部品を転用が可能。
また、SWAGエネルギー変換装甲やアクティブ・ステルスといったASS-1由来のオーバーテクノロジーも投入されており、ファイターモードでエネルギー変換装甲を短時間稼働する「マイティ・ウイングモード」や、水面下での数分程度の活動を可能にする「サイレントモード」など本機独自機構も備えている。
しかし、ファイターモードでは基本的にエネルギー変換装甲は働いていない為、飛行距離がマッハ1.6を超えると変形が出来ないなどの欠点も持つ。
統合戦争で機体は失われ、配備された機体もVF-1に順次シフトしていった為、長らく再生産も行われなかった。
後に制作された映画「BIRD HUMAN -鳥の人-」では比較的機体形状が近いVF-25をCG合成する事で当機が再現されている。
余談だがスーパーロボット大戦シリーズ等ではシナリオの都合上宇宙へ出る事も多く、VF-1やVF-25のエンジンを搭載してアップデートされる事もある。
バリエーション
VF-0A
単座型の標準仕様機体。最も多く生産され、推定生産機数は24機。その大半がSV-51との戦闘で撃墜もしくは損傷したとされる。
VF-0S
指揮官仕様。
生産段階で総合的に優れた個体を選抜し、編隊指揮システムを増設して専用頭部に換装した上で操縦システムのリミッターをデフォルトで解除した機体。
生産数は僅か4機。内1機がロイ・フォッカーの搭乗機として運用された。
VF-0B
A型の複座タイプ。続距離や電子戦能力の不足からマヤン島沖での実戦投入が見合わされたが、VF-1の宇宙空間運用のテストベッドとして活躍した。
VF-0D
A型、S型のさらなる改良を施したタイプ。
それまでの可変翼を撤廃し、通常のグリップドデルタ翼とカナード翼を採用した複座型。翼面積の広さもあって安定性が高く、主に訓練用の機体とされる。
ファイター形態時の最高速度やバトロイド形態時の運動性はA型、S型より若干劣るものの、上昇力と空戦機動性ではD型に分があり、航続距離も長い。
工藤シン、エドガー・ラサールが搭乗した機体もこれにあたる。
VF-0C
D型の単座仕様。一度開発が見送られたが、既存戦闘機の老朽化に伴い装備を一新したい思惑を孕んでいた当時の海兵隊からの強い要望により再度開発が承認された。
PWS-0X リアクティブアーマー
プロテクターウェポンユニットを装備した、アーマードバルキリーの前身的存在。
肩部・胸部に搭載されたマイクロミサイルランチャー、腰部ハンドグレネードなどの増設火器の他、機体各所に爆発反応装甲を装備し、緊急時には装甲のパージが可能。
ゴーストブースター
ツインブースターを装備したSV-51に限界性能の差を付けられた事に対する対抗策として、無人戦闘偵察機「QF-2200A ゴースト」を追加ブースターとして背部に接続した状態。VF-0用のスーパーパックの開発が間に合わなかった事への代替措置としての側面も持つ。
ゴースト用のエンジンもVF-0に合わせてチューンナップされており、通常時の推力は20パーセント増、更にアフターバーナー使用時は90パーセントも増加する。
ゴーストを接続した事によって生まれた余剰出力を利用し、ミサイルポッドや増装タンクを最大限に搭載した「特攻突撃仕様」が存在するが、非常にピーキーな機体に仕上がっており、操縦はパイロットの腕に左右される。
VF-0+
反応エンジンを搭載した本来のVF-0。
機体サイズがVF-1よりも大きい為、エンジンはタンデム配置で2基搭載されている。
VF-0改 ジーク
2058年に発見されたVF-0Aの残骸を、ロビンズ整備会社の社長カトリ・ブラウン・ロビンズが密かにレストアしていた機体。マクロス・フロンティアの総合機械メーカーL.A.I社とマクロス・ギャラクシーの可変戦闘機開発工廠「ガルドワークス」の協力を得て完成した。
各形態のシルエットはベース機から変化していないが、最新の熱核タービンエンジンやISC、非接触式リニア・アクチュエーターの採用によってこの時代の最新鋭機にも劣らない性能を発揮するが、戦闘ではなく可変戦闘機を用いたエア・レース「パンキッシュ・レース」に於いて用いられた。
パイロットはハクナ・青葉。
前述の映画撮影時に用いられなかったのは、この機体が個人所有であった為であるとされる。
VF-0フェニックス レプリカ
パンキッシュ・レースに於いて活躍したVF-0が話題になった事から製造・販売されたレプリカ機。主機はジェットエンジンではなく反応エンジンを搭載しており、内装もVF-1C、VF-5000用の部品が多数使われている。
S.M.S.ウロボロス支社もイベント用に当機を保有し、リオン・榊が損失したYF-25に代わりこれを運用した。この機体は当初可変機構の不調もあってバトロイド形態でしか運用出来なかったが、その後の修理によって変形機構を取り戻している。
余談
なぜか本項目である「VF-0」は、モバイル版で閲覧した際にリンク形成されない不具合があるため、デスクトップ版で見ることを推奨。