概要
民間軍事プロバイダーS.M.S.のウロボロス支社が、YF-24エボリューションをベースに独自に開発した試作型可変戦闘機。
同支社長でありエンジニアでもあるアイシャ・ブランシェットが設計及び開発を手がけた。
本来はS.M.Sのオーナーであるリチャード・ビルラーがフォールド断層突破のために計画した「可変超時空突入艇」であり、可変戦闘機として開発されたのは、新統合政府への技術開示を避けるという政治的な意味合いが含まれている。
開発が辺境惑星のウロボロスで行われたのも、機密保持や予算の関係とされており、ウロボロスのプロトカルチャー遺跡から産出されるフォールドクォーツを利用した「フォールド・ディメンショナル・レゾナンス・システム(F.D.R)」が搭載されている。
このF.D.Rは、YF-29の「フォールド・ウェーブ・システム」の発展形であり、「可変超時空突入艇」の本質である単独でフォールド断層を超えたフォールド航行を可能としている。また、本機能はフォールド空間あるいはサブ・ユニバースに直接干渉し、空間そのものに潜り込むことが可能なので、歌姫の力を借り十全に稼働した状態では他のあらゆるセンサー類を無効化することができる。加えて「フォールド・ウェーブ・システム」に対しては強力なジャマーとして働かせることも可能であり、YF-29とは違った意味でのトンデモ試作機と言える。
上記のため、ペットネームの「クロノス」は、ギリシャ神話に登場する「農耕神のクロノス」では無く、「時間神のクロノス」が由来となっており、時空を超える事から採られた物である。また、本機の兄弟機となるVF-31の正式採用機のペットネームは、時間神のクロノスと対となる「カイロス」が由来となっている。
同じくYF-24をベースとした姉妹機であるVF-25、VF-27と比較してシンプルな双発機であり、YF-24に似たシルエットを持つが、その一方でクリップドデルタ翼を採用した主翼やストレーキ横に追加されたカナード、ローテーション機能を持つ垂直/水平兼用尾翼など、本機特有の特徴も備わっており、更にガウォーク形態で腰をひねる事が出来るなど、可変機構にも大きく手が加えられている。
腕部可変機構が変更された結果として生まれたスペースにはマルチパーパス・コンテナユニットが搭載可能となっており、用途に応じてこれを換装し機体特性を一変させる事が出来る。
このコンテナユニットは不要となればパージし、デッドウェイトを減らす事が出来る他、これまでのスーパーパックと異なり空気抵抗が増える事が無いと言う利点も持っていた。
YF-30では主にマイクロミサイルランチャーが運用されたが、大型ビーム砲や電子戦用パック、ブースター、兵員輸送用コンテナなども用意されている。
本機の制式採用型としてVF-31があり、F.D.Rこそオミットされているが、マルチパーパス・コンテナユニットはその有用性もあっても継承された。なお、「劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!」に登場の新型バルキリー「VF-31AX カイロスプラス」は、ハヤテ・インメルマンのマクロス30を髣髴とさせる機体の動きを鑑みると、機体制御用AIが本機に近い仕様になっていると考えられる。