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719系の編集履歴

2020-08-17 14:04:23 バージョン

719系

ななひゃくじゅうきゅうけい

719系電車(719けいでんしゃ)は、JR東日本(東日本旅客鉄道)の交流近郊形電車である。

概要

JR東日本が運用する近郊形電車。1M1Tの2両編成が基本のステンレス車両で、外見は211系5000番台に近似しているが、側面の窓配置は異なっている。帯の色はイラストにあるように緑と赤。座席はセミクロスシートだが、クロスシート部分が「集団見合い型」とよばれるものになっているなど、かなり独特の配置をしている。


仙台地区の0番台(廃形式)、山形地区の5000番台、そして観光列車用の700番台に区分される(詳細は後述)。


番台区分

0番台

老朽化が進みラッシュ時の運用にも難があった455系電車・50系客車の置き換え用として1989年より全42編成84両が製造・投入された。

全盛期には東北本線黒磯-利府・一ノ関間、仙山線仙台-山形間、磐越西線郡山-会津若松・喜多方間(2007年~)と広範囲で運用されていた。奥羽本線で山形新幹線の準備が行われていた時期には、車両運用の都合で同線で運用されたこともある。

磐越西線用の編成は会津地区の観光キャンペーンに合わせて帯色が赤と黒の2色(通称『あかべぇ色』)に変更され、マスコットキャラのあかべぇが描かれていたほか、パンタグラフ・排障器(スカート)が異なる構造だった(パンタグラフ・スカートが異なり帯色が従来のもの、という編成も存在)。


機器類は電機品に阿武隈急行8100系と同系のサイリスタ位相制御タイプ機器を使い、モーターはMT61など当時最新のものを採用した一方、台車をはじめとする部品はコストダウンのため、DT32/TR69といった451系・453系485系などの廃車発生品を一部流用している。製造当時は鉄道車両内での喫煙がまだ可能だった時期のため、クモハ方のみ内装にところどころ灰皿の跡が残っているのが特徴。


こうした廃車発生品の流用によるコストダウンを狙った結果、0番台においては軽量ステンレスの車体と旧式の重量級の台車というアンバランスな組み合わせが仇となり、車輪の空転が特に勾配区間で多発したことで、運用面に大きな制約を生じることとなった。

特に導入当初は砂撒き装置がなく尚更空転が多発しやすかったため、遅延が常態化する原因となっており、急遽設計変更または改造により砂撒き装置が取り付けられたほどである。


また、本系列は全て2両1編成であるが、0番台はワンマン運転対応とならないまま、比較的利用客が多い仙台地区で運用されていた。そのため1994年にワンマン運転対応の701系電車が投入されると、0番台は同系列での4~8両編成での運転が基本となり、2007年3月の磐越西線への導入までは2両での定期運転が存在しなかったうえ、その磐越西線でも前述の勾配区間との相性もあってかほとんどが4両以上での運転となった。結果、4両以上で固定ながら定員数は増やせず、といって1編成2両の車両としての意味合いもほぼ無い、という状態になった。

ではこちらもワンマン対応にすれば…と思うかもしれない(事実山形地区の5000番台はそうしている)が、車体の構造上そうなると定員数を犠牲にせざるを得ず、利用客の多い仙台地区ではそれは困難だった。


こうした運用上の不都合に加え、2007年に701系との併結を前提に設計されたE721系が登場したことで、他形式との併結運用を行えないことが問題点として浮上。さらに流用した足回りの老朽化が進行したことに加え、東日本大震災によってMT61を代表とする直流モーターの消耗部品が枯渇し保守点検上の問題が表面化したこともきっかけとなり、製造後25~30年程度と登場からさして年月を経ないうちに置き換えが始まることとなる。


まず2013年3月のダイヤ改正にて、E721系0番台に押し出される形でかつて独壇場とも言える活躍の舞台であった仙山線から撤退。

その後2016年11月から順次廃車が進み、同時にE721系の追加増備(4両固定編成の1000番台の新製)が始まったことで、2017年3月のダイヤ改正以降、0番台の運用は激減。2019年3月改正以降の仙台地区での定期運用は、2018年3月の改正から設定された常磐線岩沼~原ノ町~浪江間、および東北本線仙台〜岩沼間の運用のみとなった。なお仙台~原ノ町間は早朝と深夜の出入庫運用の1往復のみでこれ以外は全て原ノ町~浪江間を往復する運用であった。

2019年7月には磐越西線で代走に使われていた「あかべぇ色」の編成も全廃となった。


仙台支社以外での運用では、事故で運用を離れた701系の代走および保安装置更新に伴う車両不足の解消を目的に、2017年になって磐越西線用の4両が秋田支社に転属。帯色が前面黒、側面ピンクに変更され、秋田支社管内の奥羽本線院内〜追分間で2年間運用された。

2019年11月に運用を離脱している。


2020年3月14日のダイヤ改正にて東日本大震災の影響で一部不通となっていた常磐線が全線で運転を再開。原ノ町以南の区間にE531系が投入され、これに伴い0番代は全編成が運用を離脱した。同年6月までに後述の700番台改造車を除く全車両が廃車されている。


なお、廃車されたうちの1編成は仙台近郊の訓練施設にて車籍のない訓練機械として使用中である。


700番台「フルーティア」

2015年4月から行われた「福島デスティネーションキャンペーン」に合わせて0番台1本がジョイフルトレインに改造され、新たな区分である700番台となった。

「フルーティアふくしま」として主に磐越西線郡山-会津若松-喜多方間を週末中心に運転されている。当初は定期列車に併結されての1日2往復の運転だったが、0番台の置き換えに伴い2019年より1往復のみの単独運転となった。

うち1両はカフェカウンター車両として、「クシ」の記号が付く。但し、この列車は全ての座席をスイーツセット付きの旅行商品として発売する。



5000番台

5000番台は山形新幹線開業に際して、標準軌に改軌される奥羽本線 福島-山形間(現在は 福島-新庄間 通称「山形線」)用にJRグループ初の標準軌車両として12編成24両が新製された。走行機器などが標準軌・耐雪仕様になっており昇降用ステップがないなど、内装・設備が微妙に異なる。台車はDT50系列をベースに標準軌仕様で新造されたため、基本番台のような重量的ミスマッチはあまり問題になっていない。帯の色も赤の部分がオレンジ(山形の県花であるベニバナをイメージしたもの)になっている。一部編成はワンマン運転用に改造され、運転台後部の座席が撤去され少ない。


こちらはまだまだ現役で、奥羽本線の福島〜米沢の運用は全てこの車両である。



余談

  • 0番台のデビュー前年まで、これもラッシュ時への対応を目的に455系の一部が717系電車に改造されており、前述の部品流用から、見ようによっては「717系の追加投入」と見ることもできる。113系211系415系の0番台と1500番台のような関係、と考えればわかりやすいだろう。顔も似ていることだし。
    • 717系が廃車となってから10年後の2017年、運用を外れた0番台はその大半が廃車まで留置されることとなったが、その主な留置先が、奇しくもかつての717系と同じ陸前山王駅であり、「大量の車両が駅構内に留置される」という10年前と同じ光景が見られた。投入の目的から廃車の手順、置き換えで投入された車両(いずれもE721系)まで、ほぼ一致してしまったことになる。
    • ちなみに本形式の廃車回送には機関車ではなく、稼働中の同系列の車両が使用された。この点は717系などとはやや異なるところ。
    • なお、本形式の廃車は同じ制御機器を使用している阿武隈急行8100系電車の車両メンテナンスにも影響を与えており、結果として同社は新型車の導入を当初の予定より数年早めることとなっている。やはりと言うべきか、こちらの新型車もE721系の派生型である。

  • 標準軌用の5000番台の検査は当初仙台の新幹線車両センターに送って行われる予定だったため、その牽引車としてクモヤ143を交流・標準軌化改造した、新幹線区間も走行可能な車両であったクモヤ743が用意されたが、実際には701系共々山形で検査を済ませてしまうことになったため、落ち葉掃きや構内入れ替え程度の活用にとどまり、2014年に廃車となった。

  • 前述のように構造上の理由から勾配区間での運用に難があった0番台とは逆に、奥羽本線の701系5500番台はあまりにも軽量に過ぎ、結果的にこちらも勾配区間での空転がひどいため、通常は板谷峠区間で運用は行われない。(仙台支社の701系についても、同様の理由から仙山線での運用は僅かとなっている)

関連タグ

東北本線 常磐線 仙山線 磐越西線 奥羽本線 板谷峠

455系 211系 701系 E721系

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