EH500
いーえいちまたはいーえっちごひゃく
外観上の特徴
2車体8軸の車体構造のほかにも、製造時期ごとに900番台(試作機)・1~2号機(1次車)・3~9号機(2次車)・10号機以降(3次車)に分けられており、3次車がいちばん車体における赤の面積比率が高い。
また、車体にはニックネーム通り金太郎のイラストが描かれている。
ちなみに、二両永久連結のH級機であるためEH10が「マンモス」というあだ名がついていたのに対応して「平成のマンモス」というあだ名がついている。
開発の経緯
老朽化したED75の代替と首都圏~五稜郭間における機関車付け替えの省略を目的に開発した。もともとはEF500を量産化しようとしたが、軸重が重すぎたり機器が複雑になったためと、さらに東北本線の藤田~白石間および十三本木越えや青函トンネルにおける勾配対策のために、国鉄のEH10形以来の2車体連結8軸方式で開発することになった。また、JR貨物自体が第二種鉄道事業者【他社の線路を借りて列車を運行する鉄道事業者】であるため、線路使用料をケチるために2車体連結仕様となった(単機の重連だと2両分の線路使用料を払わなければならないため)。
交流区間でED75の重連程度の出力が要ること、直流区間では徒に出力を上げられないこともあり、搭載する主電動機は1基565kWの容量(1時間定格)があるが、運転上直流区間3400kW・交流区間4000kWとどちらもだいぶ余裕を取ってある。
区分
901号機(試作機)
1997年東芝府中工場で落成、1998年JR貨物に車籍編入し長町機関区(現在は廃止)新製配置され、各種試験に供された。1999年、仙台総合鉄道部完成に伴い同鉄道部に転属した。
クリーム色の前面帯は正面窓直下、形式番号表示部にあり、幅は量産車に比べ細い。
前照灯は正面下部に設置され、正面窓の傾斜角も量産車と異なる。
車体側面のルーバーは小型で、採光窓は片側5組(×2車体)と量産車に比べ多い。また、
車体側面の銘板は901号機のみ英語の「TOSHIBA」となっており、取り付け位置も量産車と異なる。
量産車は日本語で「東芝」と表記されている。
搭載機機についても量産車と差異があり、主変圧器は容量5,141kVAのものを1基、補助電源装置は
140kVAのものを2基搭載する。台車は量産車と基本的には同等であるが、形式は1エンド側からFD7A、 FD7B、 FD7C、FD7D、となっている。「ECO-POWER 金太郎」のロゴマークは量産車と異なり、片方のJRFロゴの横につけられている。なお、落成時にこのマークはつけられていなかった。
所属および運用
交流区間では50/60Hzどちらでも運行可能なため、仙台総合鉄道部(旧長町機関区)と門司機関区に配属されている。
2015年9月現在で82両在籍(900番台1両、0番台81両)。JR化以降に登場した機関車としてはEF210型に次ぐ両数である。
仙台総合部所属機(900番台1両・0番台69両)は、山手貨物線・武蔵野線・東北本線・IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道で運用されているが、交直流機関車であるにもかかわらず、交直切り替え駅である黒磯駅からの運用(すなわち交流区間のみの運用)が多い。
2018年1月以前の黒磯駅のデッドセクションを通過する際は、列車選別装置がついた機関車が必要だったが、EH500には当該選別装置はなかった。それ以外の列車(本形式の牽く貨物列車も含む)は地上切り替え、または機関車交換で交直切り替えを行っていた。
常磐線泉駅から信越本線安中駅を結ぶ亜鉛精鉱運搬列車・通称「安中貨物」でも運用されている。
2016年に北海道新幹線が函館まで開業したことにより、新幹線との共用部分(主に青函トンネル内)が走行できなくなったため、青森以北はEH800型機関車に運用が代わり、北海道内で見られなくなった。その代わりに、奥羽本線の秋田貨物駅と東海道本線の相模貨物駅にも乗り入れるようになった。
門司機関区所属機(0番台12両)は、幡生操車場から北九州貨物ターミナルまたは福岡貨物ターミナルまでの区間限定で運用しており、EF81重連による関門トンネル越えの代替機および福岡貨物ターミナルまでの1300t列車牽引機として活躍している。そのため門司区所属機には青函トンネル用のATCを搭載していない。