ピクシブ百科事典は2023年6月13日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

EH10

いーえっちじゅう

かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍していた直流電気機関車
目次 [非表示]

登場の背景

東海道本線が米原まで電化するにあたり、道中の難所である関ケ原の峠を単機牽引で走破する貨物用電気機関車が求められた。1950年代当時の技術では1基あたり400kW以上の高出力電動機が開発できなかったため、既存のEF15形と同等の主電動機を8基搭載した、H級クラスの機関車として設計・開発された。


概要

1954年から1957年までに64両製造された、2車体連結8軸方式の貨物用直流電気機関車。真っ黒な塗装に細い黄帯が特徴で、その容姿と独特のブロワー音から、「マンモス」「クマバチ」という渾名が付けられた。

国鉄電気機関車としてはデザインが旧性能機とも新性能機およびEF58とも異なる、独特の車体形状と黒の塗装で竣工している。これは外部のデザイナー(萩原政男。後に名鉄パノラマカーを手掛けた人物)によるもので、当時の国鉄では珍しかった。


全長22.5m・総重量116.0tと国鉄では前代未聞の大型機であり、主台枠・先輪・デッキ(旧型電機共通の蒸気機関車から踏襲した構造)の廃止とボギー台車・車体台枠構造(スイベル式)構造の採用などで重量はなるべく抑えられている。この車両構造・スタイルは後に登場する新性能電機と同様であるが、電装機器類はEF15とほぼ共通であるため、分類上は旧性能電気機関車とされている。


量産先行機

最初に登場した4機は、パンタグラフが中央寄りに2基搭載されているのが特徴。これは軽量化のために高圧電線の長さを短く抑えた結果である。しかし、架線を押し上げる力が強くなりすぎること、軽量化を徹底しすぎて重量バランスが崩れたことから、量産機は一般的な前パン配置に改められている。


高速試験機

15号機は旅客列車の120km/h運転試験機として落成し、塗装も茶色基調に、主電動機も高速仕様に改められて登場した。試験は同機を先頭にEF58同伴のもと、10系客車を牽引して行われた。


試験は目論見通り成功し、旅客用バージョンとして「EH50」も構想されたが、電車化の方が合理的と判断されたために計画は中止。なおこの試験の際には実際に特急つばめを牽引した事もあり、生涯一世一代の晴れ舞台にもなった。


運用

東海道本線山陽本線(岡山操車場以東)、宇野線で一般貨物列車の牽引を担当。登場当初はコンテナ特急「たから号」といった貨物の花形運用もあったが、EF60EF65といった新性能機(ただしEF60は高速域での故障が多発し短命であった)が台頭すると、次第に地味な運用へ追いやられていった。それでも、8軸駆動による余力の大きさや、旧来の堅実な走行システムは高く評価されていた。


しかし、国鉄最強の電気機関車であるEF66の量産化によって次第に居場所を追われたうえ、瀬野八で補機と協調運転できないため岡山以西に入れない・耐雪ブレーキやバーニア制御がないため急勾配線区に入れない・車体が大きすぎて他路線に転用できないことが次第に足かせとなっていった。


車両の老朽化も重なり、歯車比変更による高速化や、バーニア追加などの急勾配対応といった改造もされず1975年より廃車が進められ、1981年に運用終了、1982年までに廃車された。最後まで残った61号機は、大阪市東淀川区の公園に保存されている(阪急淡路駅下車、徒歩10分)。


H級電機の後輩系列

  • EH500(同じく2車体連結8軸方式で「平成のマンモス」とも呼ばれている)
  • EH200(これも同じく2車体連結8軸方式だが、青を基調にした塗装ゆえ「冷凍マンモス」とも呼ばれている)
  • EH800 臨時用ではあるが、H型機関車として初めて試験運用でなく本格的に営業運転で客車牽引している。

関連記事

親記事

電気機関車 でんききかんしゃ

兄弟記事

  • EF66 いーえふろくじゅうろく
  • EF81 いーえふはちじゅういち
  • EH800 いーえいちはっぴゃく
  • もっと見る

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

pixivに投稿された小説 pixivで小説を見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 12964

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました