「岸島...いやラジオネーム『童貞彼岸花』」
「な...なんでその名前を...」
概要
「な...なんだあの男...!? タオル一丁ってどうかしてるぞ...!!」
『彼、岸島』とはホラー漫画の金字塔的作品『彼岸島』を舞台としたスピンオフ漫画。
2020年10月にヤンマガWebとコミックDAYSで連載開始しており、マンガはギャグ漫画家の佐世保太郎先生が担当している。
そして主人公はいつもの彼岸島のクソ強ェ救世主こと宮本明...ではなく彼岸島出身の若者のひとり、岸島。
ツッコミ不在の恐怖に包まれていた彼岸島の闇を晴らすべく、彼は今日も上下スーツ着用&キモ笠という掟破りのコスチュームで混沌とした彼岸島を時に裏切られ、時に積極的に裏切ったりして逞しく生き抜いていくこととなる。
あらすじ
「吸血鬼の99%は笠にほっかむりしてる気がする...」
「お前はなんでスーツなんだ? ふざけてるのか?」
島出身の男、岸島はある日自身の所属するレジスタンス忍者軍の同僚坂東の口車に乗せられてしまい、島の教会で彼らの結婚式に出席することに。
式は最初のうちこそ成功するかのように思えたものの、そこへ現れた吸血鬼・宮本篤の襲撃を受けてしまう。
式の参列者は岸島一人を残し全滅してしまい、しかも篤を追って現れた宮本明&青山和尚(師匠)という最強の吸血鬼バスター二人組により岸島自身も危うく殺されかけてしまったのだった。
しかし、なんとか師匠の魔の手から全速力で逃れた岸島を待っていたのはやけに気さくな島の吸血鬼達だった...
なんとか自身の八重歯と徹夜で充血した目によって自らを吸血鬼と偽ることに成功した岸島だったが、彼の前に巨大な斧を持った山羊男が立ちはだかることに...
...そして彼ら吸血鬼軍のアジトに潜入した岸島の運命やいかに!!
主な登場人物
メインキャラクター
- 「岸島」
彼岸島出身の人間の若者。
地元である彼岸島で他の人間達と仲良く暮らしていたが、二年前に起きた雅の乱により彼の人生は一変。
物凄い腕力と3m近い身長を持つ怪力無双の能面和尚、「青山龍ノ介」を筆頭に結成された忍者レジスタンス軍に加入してクソ吸血鬼軍との戦いに東奔西走する毎日であった。
しかし、レジスタンスの作戦行動を前に呑気に結婚式を挙げたいと言い憚る同僚に押され、岸島達はパンデミック下での結婚式を敢行。
岸島自身も師匠に吸血鬼と勘違いされて殺されかけるもなんとかその場を脱出する。
そして血反吐を吐きながら道中で出会った吸血鬼の笹山にはなんと吸血鬼だと勘違いされ(岸島の八重歯&充血のため)、岸島は彼と共に吸血鬼の里へと戻ることとなる。(無論、タキシードはそのままで。)
吸血鬼軍にて雅様の右腕として知られる強力なアマルガム斧神の部下となって彼から与えられた廃病院の里での任務を遂行することになった岸島は道中にて田中さんの度重なる裏切り癖、そして全裸癖に翻弄されたまま天狗岩の地へ向かうことに。
そこで雅様の人身掌握術の前に少年心をくすぐられた岸島は他のクソ吸血鬼達とともに思わずワーワーしてしまうなど、実はこの男、かなりノリノリである。
その後、水上の里において岸島と佐々岡達は「もしかしたら宮本明は流木等に掴まって水面下から奇襲してくるかもしれない」と限りなく真相に近い推理を働かせるも、酒に酔ったIQの低いキモ笠達はゲラゲラ笑うばかりで岸島達を相手にもしなかった。
そして実際に宮本明が川に流れる丸太に掴まって正面からの奇襲を敢行。里の吸血鬼は一網打尽となる。
明が倉庫の巨大蛇邪鬼を解き放ったことで蛇恐怖症の佐々岡がヘタレと化し、囚われていた人間達が一斉に逃げ出したことを皮切りに吸血鬼軍からの脱走を決意する岸島はそれまで被っていたキモ笠を脱ぎ捨てて再度レジスタンス軍へ復帰することに成功した。
しかしレジスタンスに再復帰できたのも束の間…西山徹手作りの暖かい豚汁を飲んで感動し、さらに高校時代の同級生エリちゃんの谷間を至近距離で見て興奮してしまった岸島は感激のあまり泣いてしまい、極度に目が充血。
その現場を取り繕うとする岸島だったが…時すでに遅し。
田中ナオトが「明に報告する!!」と言って聞かなかったため岸島はその場から逃げ出し、泣く泣くレジスタンス本部からの脱出を決意。
仲間がいっぱい
女の子がいっぱい
お腹がいっぱい
夜はエリちゃんのおっぱい…!!
…そう言っていた彼のレジスタンス再加入への希望はものの数ページで潰えることとなってしまった。おのれ田中ナオト!!
そして泣きながらアジトを後にする岸島のもとへ一人の男が現れる。
...そこにはなんと、(岸島が勇敢にも一人で人間軍のアジトに潜入したと思い込んだ)佐々岡が心配のあまりに彼を探しに来てくれていたのだった...!!
- 「坂東&夏子」
このクソウィルスが蔓延する彼岸島島内において、しかも敵地のアジトへと乗り込むXデー前日にわざわざ島のチャペル内にて結婚式を挙げようとした酔狂なカップル。
安全面を心配する岸島の「絶対にやめた方がいい」という忠告も虚しく式の途中で教会は吸血鬼化した宮本篤に襲われてしまうのだった。
坂東&夏子、そして参列者のほとんどが感染する超スプラッターな光景が広がる中で岸島はなんとか生き延びるも吸血鬼=即殺という思考の宮本明&青山和尚の武人二名が乱入した事で厳かな教会内は大乱闘の舞台に。
ちなみに結婚式前日に式の余興として散々練習していたゾンビダンスは感染後に踊る羽目になった。ちくしょう。
- 「佐々岡」
彼岸島本編序盤において登場した、明達を最初に船の上で襲撃したキモ笠の一人。
以前に明の手で頭にブッ刺された包丁を抜くことなくそのまま生存しており、そして修行前の宮本明を捕獲したことを頻繁に自慢する癖がある。
岸島とコンビを組んで斧神の命令で廃病院の里の情報を収集すべく連絡用人員として送り出されるもしかし里は原作通り半壊。
そして天狗岩での明×雅様の密会まで岸島とともにこっそり尾行した佐々岡達はそのまま雅様のパフォーマンス用人員達に合流、そこで他のキモ笠達と同じく大いにワーワー。
しかし人間の里が邪鬼の大群に襲われた後は水上の里へ岸島とともに走り、里へ襲いくる武人・明の脅威を伝えようとするもうまくいかなかった。
結局、水上の里は流木に掴まって上流から侵入した忍者みてェな明の手で壊滅。
さらにここで佐々岡が蛇恐怖症であることが発覚し、ピンポイントに巨大蛇の姿の邪鬼と接敵した事でヘタレと化してしまう。
ようやく正気を取り戻した彼は槍を装備し、逃げるクソ人間どもをさっきまで隣にいた岸島と一緒に殲滅しようとするも…既に岸島は笠を捨て人間達の中へと紛れ込んでしまっていたのだった____
が、文字通り脳をやられている佐々岡は岸島は元々人間であったとは夢にも思わず、なんと勇敢な岸島は一人で人間軍のアジトに乗り込んだと解釈。
そして田中ナオトの勘違いにより吸血鬼と断定されてしまった岸島(実際は人間)がレジスタンス軍のアジトから逃走している途中に彼と再会したものの、(吸血鬼側から見て)死地に特攻した岸島を救うべく森中を探し回ったため体中傷だらけになってしまっていた佐々岡の姿を見た岸島は吸血鬼軍にも自身の身を案じてくれる存在がいたことに感激の涙をドボドボと浮かべたのだった。アホだけどカッコいいぜ佐々岡!!
- 「エリちゃん」
岸島が高校時代から(主にその豊満な胸元に)淡い恋心を抱いていた若い人間の女性。
彼女への思慕を元に岸島は作文能力が高まり、ひいては伝説的ラジオネーム「童貞彼岸花」の誕生に繋がることになった。
そして胸がでかい。人間である岸島の目が真っ赤に充血するくらい。
その他、原作登場済みキャラなど
凄まじい戦闘能力を誇る、彼岸島の忍者レジスタンス軍の希望の星。
多くの吸血鬼達の間では悪魔と呼ばれるほど有名であり、非常に恐れられてはいるものの何故かたまに彼のことを知らない吸血鬼も湧いて出たりする。理由は謎。
また、今作においては同じ童貞であることから岸島にたまに応援されたりもする。謎の親近感。
薄気味悪い能面を常時身につけた3m近い大男の和尚。
吸血鬼に対しては「慈悲」と称して首を張り手でブッ潰したり亡者は丸太で粉々に粉砕したり…と悪魔のような所業を平然と行う。ハ さては仏法アンチだな
岸島は彼が吸血鬼であることを知らないためか、彼が常に面を身につけていることを若干不審に思っている。
旨い豚汁作りの名手でありレジスタンスの戦略・兵器開発担当。メガネをクイッとする仕草から見て分かる通り頭がいい。
万年物資不足の彼岸島島内においてミサイルや手榴弾を自作する。
- 「加藤」」
細い目をした明の友人であり岸島本人と会ったのは廃病院が初…なのだが、加藤からすれば砂漠地下のアジトが初対面である。
そのためか岸島には「変態女装趣味の人」だと勝手に思われてしまっていた。
邪鬼の一体であるあしなが婆さんを操る人間の男性。
とある理由から常に褌一丁という常識離れした服装センスを持つ男。
陣営を裏切る癖がついているのか、廃病院の戦いの最中に4回以上の掌返しを披露した。
彼岸島に巣食う吸血鬼の王 雅様の腹心の部下を称する、大斧を持った山羊頭のアマルガム。
並の吸血鬼など比ではないほどの凄まじい戦闘力を持っている上に全身の超硬質化という反則染みた技も使用するその姿は原作どおり。
岸島は人間時代の彼と顔見知りであり、そして当時の印象とのギャップの凄さに頭を抱えていた。(曰く、気さくなロン毛の兄ちゃんだったのに…)
かつて江戸時代より遥か永く、幾星霜もの時を超えて彼岸島で生き続ける純和風系ヴァンパイア。
最近(本人比)半世紀ほど前の第二次世界大戦時に完全な不死身を手に入れるも、とある軍人&和尚の活躍で彼岸島内の祠に封印されてしまっていた。…が、最近になって復活した。
岸島と同じくタキシード姿ではあるが本人達の絡みは今のところない。
邂逅に期待。
作者略歴
作者
- 佐世保太郎
ヤンマガでは『チコクマちゃん』などの日常系ギャグ漫画を描いていたほかDAYSNEOで物凄ェ数のギャグ漫画を数多く制作していた生粋のギャグ漫画家。
ちなみに「佐世」が苗字。
そしてマジックテープの財布を愛用している。
原作者
6月4日生まれ、群馬県出身東京都在住のホラー漫画家。
ファンからの愛称は数多く、略称として「先生ェ」と呼ばれるほか、「マツモナルド先生ェ」に「マツモティーヌ先生ェ」、果ては 「マツコウ先生ェ」や「コォジ」、「光を司るもの」などと密かに呼称される。
第39回ちばてつや賞(ヤング部門)で大賞を受賞した『彼女は笑う』でデビュー。
単行本作品には『サオリ』『クーデタークラブ』がある。
週刊ヤングマガジンでは『彼岸島』を連載、その後はその続編となる『彼岸島 最後の47日間』を続けて連載。
この2つの作品は両方が人間達の敗北という衝撃的すぎるラストで話題を呼び、そしてそこからさらにバッドエンド後の後日談にあたる『彼岸島 48日後...』を現在ヤングマガジンにて大反響連載中。
原作の彼岸島ってどんな漫画?
本作はホラー漫画の金字塔とも言うべき作品であり『閉鎖環境&パニックホラー』という昨今のホラー界隈の鉄板ネタともいうべき一大ジャンルを築いた。
しかしこの手の漫画にしては非常に珍しいことに彼岸島作中では一度バッドエンドを迎え、しかもそこからさらにさも当たり前かのように物語が続いた事で今なお多くの読者を驚かせ続けている。
そしてホラー漫画の法則をガン無視してどんどん強くなる主人公、見るも無残に投げ捨てられた伏線、そしてシュール極まりない画風や緻密に計算され尽くされた擬音やコマ割りはもはや芸術の域にまで達している。
また丸太=彼岸島とまで言われるほど頻繁に丸太を用いた近接戦闘が発生する漫画でもある。...本土編でもあったよ!!丸太の出番が!!
そして連載20周年を目前にして物語の主人公宮本明と吸血鬼の首領雅様はいよいよ直接対決に入ろうとしている。
強力な吸血鬼の姑獲鳥、蟲の王様を次々に討伐した宮本明達人間勢力は遂に吸血鬼の楽園、血の楽園へとその足を踏み入れようとしていた...!!