コマ割り
こまわり
コマとコマの間の空間には、その場に応じたさまざまな意味がある。
時には何億年もの時間を超え、壁一枚から遥か離れた空間までをも表し、さらには現実と想像を区切ることもある魔法の壁である。
「コマをぶち破る(*1)」「枠線を引っ張って離し、隣のキャラクターを跳ね飛ばす」「同じ部屋にいた二人が、降りてきたコマ(=壁)によって仕切られる(*2)」など、時にはメタ視とも呼べるような大胆な手法は劇画の隆盛とともに廃れ、昨今の漫画では見られなくなった。しかし、その自由奔放なアイデアが漫画にもたらしたものは大きい。
コマは基本的に、右上から左下にかけて追うのが基本である。1ページあたりの段数(縦方向のコマの数)は、3段から4段が一般的である。
また、コマ割りには例外が多く、以下のようなものが多い。
・見開きで1コマ
文字通り、見開きで1コマを使う大胆なコマ割り。
格闘漫画でキャラクターが必殺技を放つ時、雄大な風景を見せるシーンなど、主に迫力や空間を表現したい時に用いられる。
変則パターンとしては、「通常のコマ割りの中に見開きコマが存在する」という場合もあるが、読者が物語を追いやすいよう、配置には配慮が必要である。
見開きを実験的に(ギャグ的に)活用した漫画家としては、唐沢なをきが筆頭であろう。
「上が路上、下が地下(下水道)になっており、マンホールを使って往来する(*3)」「ページの裏表に渡る見開き(*3)」、「前ページの下段と次ページの上段が見開きになっている(*3)(*4)」など、もはややりたい放題である。
・ぶち抜き
コマを無視して、あるいは意図的に縦全体を使うコマを作り、キャラクターの全身像などを描く。
コマの段数に応じ、「n段ぶち抜き」と呼ばれる。
そのシーンで主要な役割を演じるキャラクターの登場シーンなどで用いられることが多い。
なお、コマの使い方や色に明確な決まりはないが、コマ間の空間がトーンや黒ベタで塗りつぶされている場合、回想シーンを示していることが多い(*5)。
コマを真っすぐに割ると穏やかな日常シーンを演出でき、コマを斜めに割ると格闘シーンやパニックシーンを演出できる。
その他にも、コマ割りには暗黙の了解に等しいセオリーが存在する。
さまざまな作品に多く触れることで、そのセオリーを会得することが、読みやすい漫画を描くことに繋がると言えよう。
コマとコマの縦幅、横幅は雑誌によって指定が違うが、漫画描画ソフトの初期設定は参考になる。
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(*1)『鉄腕アトム』など
(*2)『メトロポリス』など
(*3)『鉄鋼無敵科学大魔號』
(*4)端にご丁寧に「のりしろ」がつけてある。
(*5)白⇔トーン⇔黒のみのコマをいくつか重ね、その導入や終了を示す技法もある。
コメント
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