概要 💬💭🗯️🗨️👁🗨
漫画や漫画的なイラストなどで、登場人物の台詞や心理内発言などを表記するときに用いる枠。
英語では「スピーチ・バルーン」ないし単に「バルーン (balloon)」と呼ぶ。
たいていの場合、フキダシの中には発言内容を表す文字が書きこまれる。発言の内容が分からないことを象徴するためにデタラメの記号が連ねられたり、まれに心理的要素を表す漫符(怒りマークや汗マーク、顔アイコンや名札など)が描かれることもある。
形状は楕円形または楕円を連ねたものが基本となるが、輪郭をギザギザにしたり細かく波打たせたりして発話者の語気や心理状態をより具体的に表現しているものも多い。また、海外(特に欧米諸国)の漫画では、四角や四角を基にした形状のフキダシも一般的である。
また多くの場合、フキダシからは鋭角形や帯状などの「しっぽ」が伸びていて、その向いている向きで、その台詞を発しているのが誰であるかを示している。この「しっぽ」が無い場合は、発話者がそのフキダシのあるコマの中に描かれていない状態であるか、あるいはその場におおぜいの人物がいて誰がその台詞を発したのか指定しにくい状態などを表す。
フキダシのうち、輪郭を雲状に描いて、しっぽの代わりに楕円を並べたタイプのものは、話者が実際に発言したものではなくて頭の中で思っている内容を示すのが一般的である。
物語のナレーションは吹き出しというよりも四角い枠(ウィンドウ?)に書かれ、名前の紹介、メタな突っ込みにはこの枠の小型のものが使われる。放送の音声にはギザギザ付きの角ばった吹き出しが使われ、枠も二重線などで太めにされている。
モノローグはウニフラの中に書かれるか、吹き出しや枠を使わず、ポエムのように書かれる。内緒話には主線が途切れ途切れになった吹き出しが使われ、呪詛などの主人公だけに聞こえる幻聴には太めの筆で書いたような吹き出し、黒吹き出し等が使われる。
本筋に関わらない吹き出しには、写植の文字ではなく手書きの文字が使われる(吹き出し自体も小さかったり、斜め線二本だったりする)。
また人の顔や局部等が見られないよう、モノやフキダシを被せて隠す、といった使われ方も多い(テレビではモザイクやカメラワークになる)。
「次に進めるコマに被せる」といった視線誘導にも使われ、効果音、コマからはみ出すモノも似た使われ方をされる。
歴史
「発言者のセリフを絵の中に描き込む」という手法は意外と古く、古代(6~8世紀頃)のメソアメリカの壁画には既にその用法が見られている。
ヨーロッパでは13世紀頃までに「スピーチ・スクリプト」という、文字の書かれた巻物状のものが話者の口元から伸びている様子で、その話者の発言内容を示す手法が生まれた。18世紀の印刷物には、すでに現在のフキダシにかなり近い表現様式が描かれているのが見られる。