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P-38の編集履歴

2021/03/06 08:22:15 版

編集者:安埜雲

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P-38

ぴーさんぱち

アメリカの開発した戦闘機。双発の高高度戦闘機であり、排気タービン(ターボ)の装備により高い性能を誇る。上昇力に優れ、一撃離脱戦法を得意とする。反面、機体重量が重くて格闘戦は苦手であり、日本のパイロットからは「格闘戦ならペロリと食える(ペロパチ)」と呼ばれた。太平洋での機種別撃墜数では3位を誇り、太平洋のエース1・2位の乗機である。
  1. ドイツ、ワルサー社製のオートマチック拳銃ワルサーP38を参照。
  2. アメリカ陸軍がかつて運用した戦闘機。通称『ライトニング』。本項で解説。
  3. アメリカ軍でかつて使用されていた缶切りの愛称。2の戦闘機が愛称の由来という説が有る。MREの普及に従い使用されなくなったが、同様の物が自衛隊などで使用されている。

概要

アメリカロッキード社の開発した高高度戦闘機(迎撃戦闘機護衛戦闘機)。

開発主任はケリー・ジョンソンで、のちにF-104の設計も務めている。

2基のエンジンのおかげで上昇力や高高度性能に優れており、一撃離脱戦法を得意とする。

戦法が確立していなかった当初は格闘戦に持ち込まれ、撃墜される事例が続出した。

これを日本のパイロットからは『ペロパチ』と呼ばれた事もある。

後に戦法が確立してからは一撃離脱に徹し、太平洋では3番目に多く敵を撃墜した機である。

(海軍機との合算であり、陸軍機の中なら一番多い)

長い航続距離を生かし、かの山本五十六長官機を撃墜した事(海軍甲事件)でも有名。

ケリー・ジョンソンの高高度戦闘機

開発は1930年代後期にまで遡る。当時のアメリカ陸軍航空隊に配備されていたのは、セバスキーP-35やカーチスP-36といった平凡な戦闘機だった。しかしその後世界情勢は緊迫を強め、ボーイングの爆撃機であるB-17が制式採用された。これは当時の最新技術である「排気タービン」を利用しており、高高度性能に優れた爆撃機だった。

P-38は『もし敵がこんな爆撃機を開発したら』という危機感に基づいて開発された。対爆撃機迎撃に絞った戦闘機だったため、当初から一撃離脱が主戦法とされていた。

性能について

火力は12.7mm機銃4門に加え、37mm機銃を1門装備(後に20mm機銃に変更)している。

これらは機首に集中して装備され、敵に絶え間ない弾幕を浴びせる事が出来る。

速度はP-51程では無いが、それでも時速650kmを叩きだした(原型機の記録。最終的には667km/hを記録する)。またこの高速ぶりから偵察機のタイプもあり、「星の王子さま」の筆者として有名なサン=テグジュペリの最後の乗機は本機のF-5型であった。

一番の特徴は上昇力を生かした一撃離脱戦法であり、急降下から敵機に追いついて機首の機銃で一連射を浴びせ、そのまま上昇して離脱する。

日本機は総じて急降下に弱い(機体強度が低い)ため、P-38は『双胴の悪魔』と恐れられた。ただし日本機の例外として、三式戦闘機五式戦闘機は頑丈な構造で急降下性能に優れていたため、P-38を急降下で振り切ることができた。

戦績について

太平洋では『ペロパチ』として知られる一方、『双胴の悪魔』としても名を馳せた。

上昇力にモノを言わせた一撃離脱戦法は日本のパイロットに恐れられ、大きな燃料搭載量(航続距離)と併せて神出鬼没の活躍をみせた。

以上によってアメリカ軍での撃墜数一位のリチャード・ボング少佐、二位のトーマス・マクガイア少佐を輩出し、『太平洋で3番目に敵機を撃墜した戦闘機』となったのである。

実際のライトニング

第二次世界大戦直前に初飛行し、太平洋戦争開戦の半年前にされたP-38は、まさに日本と戦うことを運命づけられていたと言ってもいいかもしれない。事実、太平洋では(陸軍機として)一番の撃墜数を誇る機であるし、「海軍甲事件」をはじめとして馴染みも深い。

だが、その隆盛は日本人の思うほどでも無いようである。

エンジン2基を備える双発機だった事は機体価格の高騰を招いたし、当初脅威であった高性能もP-47などの新型戦闘機が登場したことで、次第に見劣りしていくようになる。

高高度戦闘機から戦闘爆撃機へ

当初重視されていた一撃離脱戦法も、実際に使ってみるとそれほど上手くいかない事も分かった。

P-38の主翼は厚く、速度が上がると(=速度による空気の圧縮が進んでいくと)激しい振動を起こすことが明らかになったのだ。

もちろん、敵も進化していく。

一撃離脱が主流で高速のドイツ機が相手のヨーロッパではFw190のような新型機が登場して性能的に後れを取るようになり、速度では互角でも運動性では単発機に勝てないと敵に勝るところのない機体となってしまう。

(以降はアフリカ方面で戦闘爆撃機として活躍していくようになる)

同様に日本相手では、速度で上回ったため一撃離脱さえ出来れば有利だったが、一旦速度や高度を落としてしまえばなす術が無くなってしまう。さらに一撃離脱にも対策が進みつつあった。(三式戦闘機など)

更に高高度迎撃機として開発されながらも日独共に自慢の火力で相手をしなければならないほどの重武装の爆撃機は少なかった。

そのため、P-38F以降は後部胴体(双胴)内部に爆弾倉を追加し、長距離戦闘爆撃機として主に太平洋で活躍していく事になる。太平洋戦線では飛行場と目標が離れていることが多く、他の戦闘機では目標までたどり着けなかったからだ。

P-38クルーザー

このP-38は爆撃機の長距離援護機としても想定されており、当時流行りのこの思想で作られた双発の列強の戦闘機が月光屠龍Bf110などで軒並み失敗する中で成功した稀有な例となっている。そしてこの任務の為に本機は長時間にわたる操縦でも疲れにくいように設計されていた。

一番の特徴は「操縦輪の採用」である。

操縦輪とは、一般の旅客機に備えられているような、両手で持って扱う操縦装置のことを指す。これは片手で持ち続けなければいけない操縦桿に比べ、操作しやすくて疲れにくい長所がある。長い航続距離、大きな搭載量、そして長距離でも疲れにくい操縦装置のおかげで太平洋を荒らしまわった。

「ペロパチ」

だが、P-38は重いので小回りが利きにくい。これは他国の同様の機にも共通する欠点である。

二式複座戦闘機Bf110など)

加えて操縦輪が採用されている事も格闘戦で後れを取る原因にもなった。

空戦中にスロットルレバーを操作しにくく、これも格闘戦での弱さに拍車をかけることになった。

格闘戦に非常に弱かったことと、一撃をかけた後とにかく急降下して逃げていくという一撃離脱戦法が撃墜と判断されてしまい、「ペロリと食える38」とペロハチと呼ばれる一因になったとも言われている。

ただしそもそも当時の戦闘機においては一撃離脱こそが主流であり、格闘戦はもはや時代錯誤。格闘戦で弱いということは何ら戦闘機としての価値を落とすものではない。

P-38の登場する映画

『エイセス/大空の誓い』(原題:Iron EagleⅢ)

「アイアンイーグル」シリーズはF-16が活躍するシリーズなのだが、この3作目では趣向を変え、大戦中の戦闘機が主役として登場する。登場するのは

・P-38(インベンジョンストライプ付きのヨーロッパ仕様塗装)

零式艦上戦闘機(21型)

スピットファイア(5翅プロペラ装備の後期型)

Bf109

の4機である。

関連タグ

飛行機 戦闘爆撃機

F-35:ライトニングII

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