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王帝君の編集履歴

2021-06-01 11:17:34 バージョン

王帝君

おうていくん

『逆転検事2』の登場人物(メイン画像左側)。

概要

逆転検事2の第1話より登場する。58歳。

アジアの小国・「西鳳民国」大統領である。ライオンを彷彿とさせる風貌に年齢を感じさせない筋骨隆々の屈強な肉体を併せ持ち、その力強いリーダーシップと大衆を惹き付ける堂々とした演説で国民を牽引している。12年前から大統領に就任しており、圧倒的な在任期間の長さを誇る。


前作・逆転検事で、西鳳民国を長らく苦しめていた偽札を流通させていた密輸組織が壊滅した事を受けて、第1話で大統領専用機でひょうたん湖に来日し、そこで行われた歓迎式典で密輸組織壊滅に協力した日本の検察局への感謝の表明と、日本と協力してさらなる徹底した犯罪の取り締まりを宣言する演説を行うが、その演説中に何者かによって狙撃され、大統領専用機内に避難する。

そして検事局長直々の指名により、検事・御剣怜侍が事件の捜査を行う事となる。


上記のように、質実剛健を絵に書いたような人物なのだが、一方で少々強引な手腕の持ち主でもあり、第1話での暗殺未遂事件では、機内で起きた殺人事件の調査をしようとした御剣達を治外法権の名の下に捜査から追放して、あくまで自国内の警察だけで捜査を行おうとするなど、直前の演説とは真逆の姿勢を見せている。御剣達に対しても威圧的な態度をとりながら、論破されると自身の負けを認めずに彼等の主張をあえて受け入れるとする演説を始めるなど、表向きの堂々とした姿とはどこかギャップも感じる(一条美雲からは「やたらと言い訳が長い人」と評されている)。


西鳳民国出身の国際警察の捜査官・狼士龍の実家である狼家とは深い繋がりがあり、父親の狼大龍と彼は古くからの友人である。狼家は彼の代から王大統領の護衛官を務め、王大統領から遺言状の管理を任されるなど、非常に深い親交があり、狼捜査官も王大統領の事は心から尊敬していた。

しかし、「SS-5号事件」という大統領誘拐事件をきっかけにその信頼は崩壊し、今では彼は西鳳民国の警察機構を一切信用しない様になっている。その自国の警察への不信感は筋金入りであり、自らの護衛も自国の警察関係者ではなく、民間のセキュリティに依頼している程である。

その民間セキュリティの中でも、内藤馬乃介と外城涯の2人を特に信頼して重用していた。


そういった諸々の姿勢の変化のせいか、近年では昔に比べて支持率も低下しつつあるらしい。


ちなみに飛行機の中には、12年前の大怪獣ボルモス(初代版)の人形が置かれている。どうやら初代の頃からのボルモスファンらしく、何でも彼にとっては思い出の品であるらしい。


関連タグ

逆転裁判・逆転検事シリーズキャラクター一覧

逆転検事2


内藤馬乃介 外城涯 速水ミキコ

狼士龍 狼大龍


















ネタバレ





以下、重要なネタバレ













第1話で発生した暗殺未遂事件は、実は「暗殺に屈しない強靭な大統領」を演出し、自国で低下しつつある支持率回復を狙った自作自演である。

彼の警備チームのサブリーダーである内藤馬乃介と共謀し、専属取材に応じる事を交換条件に速見ミキコを協力者として引き入れて、偽の暗殺事件をでっち上げたのである(外城涯にも大統領から協力が打診されていたが、彼は協力を断わって大統領に止めるよう忠告していたとの事)。

しかし内藤がこの計画を独断で利用し、リーダーの外城を殺害する事件に発展してしまった。


ちなみに本人は、公私共々外城の事をかなり厚く買っていたようで、サブリーダーの内藤と外城が対立している事には心を痛めていた(内藤の事も外城程ではないが買っていた模様)。


一見すると、護衛などいらないくらい強そうな人物に見えるが、追い詰められるなどして力が抜けてしまうと全身の筋肉が弛んで醜い中年太りの姿になってしまう。実際の外見はライオンというより、毛の多いブルドックである。質実剛健を絵に書いたような力強い姿も国民へのアピール用の表向きの姿に過ぎず、実際は性格の方も大変な臆病者で、過剰な量の防犯ブザーや防弾チョッキなど防犯グッズを所持しており、拳銃の音にすら怯えて耳を塞いで震える程である(これには御剣や美雲も絶句し、速水ですら「これは記事には書かれへんな…」とコメントした程である)。


事件収束後は、内藤の凶行には自分にも責任の一端がある事を認めて改めて謝罪する。彼自身はまだしばらくこの国に駐在するらしく、御剣達が西鳳民国を訪れた際には歓迎する事を約束した。


このように一国の統治者としての是非はともかく、どこか憎めない人物だった。



以下、最重要ネタバレ











最終話の第5話にて、何とビッグタワーの隣にある映画撮影現場で遺体となって発見される。つまり彼自身が、後の話の殺人事件の被害者になるという、内藤と同じ末路を辿ったのである。

そして彼もまた、本作の一連の事件の裏に深く関わる人物だった事が明らかになる。


第1話の時点でその第一印象や、王本人と親しかった狼捜査官が語る人物像とはかなりギャップのある本性の持ち主であり、その後の捜査の中で狼捜査官自身も、彼は誘拐事件以来すっかり人が変わってしまったと改めて語っていたが、それはある意味では当然の事であった。

何と本物の王帝君は12年前に既に暗殺されており、それ以降大統領を務めて作中に登場した王帝君は実は影武者だったのである。つまり人が変わったのではなく、文字通り別人だったのである。


ちなみにメイン画像は本物の方の王帝君の画像である。


本物の王帝君は、狼捜査官の語る通りの非常に立派な人物であったらしく、外見通りの質実剛健さと圧倒的なカリスマ性と政治的手腕で、当時まだ国政も不安定だった西鳳民国を纏め上げていたまさに名君である。影武者が12年も大統領に地位に就けたのも、全ては本物の王帝君が残した様々な功績のおかげに他ならない。しかしそれで誤魔化すのも限界がきたらしく、12年経った作中の時点では様々なボロが出て、前述の通り既に国内での支持率は低迷し始めていた(所詮、影武者は影武者だったという事である)。その為に、作中では今度は偽の暗殺計画を企てたのである。

狼家との関わりを絶って、SS-5号事件での失態を口実に彼等を干したのも、本物の王大統領と深い親交があり、関われば自身が影武者である事を見抜かれる可能性が高い狼家を、自身や西鳳民国の中枢から遠ざける為である。同時に狼家の影響が強い自国の警察も自分から遠ざけた。


12年前のSS-5号事件の際に、影武者は当時検事局長だった一柳万才と、孤児院の院長だった美和マリーと裏で手を組み、警備の目を盗んで密かに外出した本物の王大統領を、暗殺者・鳳院坊了賢に暗殺させた上で、狂言誘拐事件を起こして身代金と大統領の地位を手に入れたのである。ちなみに彼がこの計画の首謀者であり、万才を引き入れたのは後で事件の揉み消しを行うにあたって、日本の司法側の協力者を得る為であり、マリーを引き入れたのは本物の大統領の事件当夜の目的地の孤児院が彼女の物であった事から、暗殺及び狂言誘拐の舞台の提供に協力して貰う為である。

即ち12年前のSS-5号事件は、大統領誘拐事件ではなく大統領暗殺事件だったのである。


当時、この事件の捜査にあたった狼捜査官の父である狼大龍は、捜査を進める内にこの真相にまで辿り着いていたようだが、当時まだ不安定だった西鳳民国の国政を鑑みて、大統領の死による国内の混乱を避ける為に、あえて真相を明かさぬままこの世を去ったという。同時にこの時に本物の大統領暗殺事件を目撃したある少年をマリーや万才達に追い詰めさせた事で、彼に激しい復讐心を抱かせてしまい、それが本作での一連の事件の発生と最終的には自分自身の死に繋がった。


その後、身代金を影武者がどうしたかは不明ではあるが、おそらくは大統領としての地位を守る為に身代金を利用しつつ、共犯者である万才とマリーに様々な利益を提供したのだと思われる。

表面上は犯罪の徹底撲滅をスローガンに掲げていたが、実際は前述した密輸組織とも、日本における密輸ルートを作り密輸品を密かに受け取っていた万才同様に、彼自身も内通して利益を得ていた可能性が高く、彼こそが西鳳民国での偽札流通を許していた張本人だったと思われる(大統領自らが協力していたのであれば、同国での偽札流通を止められなかったのも当然である)。

さらに第1話で自身が企てた偽の暗殺計画の件も、御剣達の前ではさも反省したかのような事を言っていたが、実際は裏で検事審査会会長になった万才を動かして、全ての罪を内藤に擦り付ける事で事件の真相を隠蔽しようとしていた(内藤自身は「俺は大統領暗殺なんてやっていない」と留置場の中で必死に主張し続けていたが、結局はマリーによって裁判前に殺害されてしまった)。


このような行動に至った動機としては、影武者の王帝君は多くの敵を抱える本物を守る為に、常に暗殺に怯える日々を送り、いつしかその境遇を恨み、同時に本物の王帝君への妬みから、本物さえ消えれば自分も本物の王帝君になれると考えるようになっていった為だという。皮肉にも彼が暗殺計画を企てた動機は、内藤が外城の殺害を企てた動機と同じものだった(御剣も「キングとそれに仕えるポーンは似るものなのかも知れない」と評していた)。しかし、この時本物を暗殺した了賢からは、「いくら言葉使いや話のクセまでよく似せたところで器が違う」と見切られており、これについても同じく殺し屋である虎狼死家左々右エ門から、外城との器の違いを見切られていた内藤と同じである。


そして影武者自身も第5話で死亡する訳だが、死亡直前にビッグタワーにて水鏡秤とお忍びで会見しており、その目的は彼を影武者だとは知らずに、後述する本物の王帝君の息子の件で彼を呼び出した水鏡から、息子の情報を聞き出した上で殺害する為であったという。しかしその後、第4話での計画の為に偶々ビッグタワーを気球で登っていた黒幕と遭遇してしまい、その場では水鏡を殺害する事ができずにビッグタワー屋上から退避させ(この時点で必要な情報は得られた事で、水鏡母子を殺す事はいつでも可能になった為)、水鏡との会見を目撃した黒幕の口を封じようと発砲したところ、黒幕の反撃に遭って殺害された。これが影武者大統領殺害事件の真相である。


ちなみに影武者を殺害した凶器は気球だが、これと影武者には「空気が入ればパンパンだが、抜ければブヨブヨで中身が無い」という共通点があり、彼に対してかなり皮肉が効いている。


第1話の時点では、どこか憎めない印象の人物だったが、第5話以降で事件の核心が掘り下げられる事で明らかになった彼の本性とは、自らの虚栄心と権力欲の為に、他人や自国すら平然と利用して踏みにじった挙句その罪を他人に擦り付け、さらには自身の権力を守る為なら命すらをも奪おうと目論む、ただの卑怯で臆病な小悪党である。そのくせ直接自分の手を汚すような覚悟も碌に無かったらしく、黒幕を銃撃した際にも銃を持つ手が震えていた模様(黒幕からも「あいつはただの臆病者だ」と鼻で笑われていた)。人としては勿論だが、一国の為政者としても論外な人物である。

本作のテーマである「印象の逆転」の負の方の逆転を担うキャラクターだと言える。


加えて内藤が、上記の外城殺害事件を起こした動機としてあったのが、スタッフ曰く「影武者に父性を感じていたから」であるらしく、彼の実父の事や影武者の本性、さらに最終的にはその影武者によって全ての罪を押し付けられて殺された事を考えると、何とも言えない気分になる。


そもそも12年前、護衛も付けずに何故本物が外出したかというと、実は本物の大統領は13年前に西鳳民国で外交官をしていた相沢アミとの間に密かに子供をもうけており、1歳になる我が子の顔を一目見る為に、立場上公には会いに行けないので、密かに抜け出して息子がいる孤児院に会いに行っていた(その事は、友人であり護衛官だった狼大龍にも明かしていなかった様である)。

しかし、孤児院の中から暗殺者の了賢が姿を現し、本物の王帝君はせめて最期に一目息子に会わせてくれと懇願したが、了賢は容赦なく凶器を振るい、結局親子の再会は永遠に叶わなかった。


なお、その子供こそが水鏡の養子の相沢詩紋であり、詩紋の母親のアミは水鏡の従姉妹にあたる。上記の初代ボルモス人形は本物の王帝君の遺品であり、人形内の録音機能にはアミの肉声が残されていた。影武者はこれを本物の息子に繋がる手掛かりとして、ずっと隠し持っていたのである。

また上記の通り、本物の王帝君は最後には息子に合わせてくれと懇願したり、「親子の絆」が花言葉のシシユリの花を持って孤児院を訪れたりと、息子に対する愛情は非常に深く、狼家に預けていた遺言状には、「相沢詩紋を自分の息子として認める」という旨の内容を書き残していた。


影武者や万才やマリーが何よりも恐れていたのは、この遺言状と本物の王帝君の息子の存在に他ならず、この2つが揃えばあっという間に現在の王帝君が影武者である事がばれてしまい(DNA鑑定等をすれば一発である)、同時にSS-5号事件の真相も明るみに出る為に、影武者は何も知らずに詩紋の事を明かした水鏡と接触して、彼女と詩紋を纏めて抹殺しようとしていたのである。


本物の王帝君の息子と会うという夢は叶わなかったが、彼と詩紋の絆は、暗殺された日に彼が携えていた「親子の絆」の花言葉を持つシシユリの花によって、12年後の世界へと繋がっていた。

そして皮肉にも、この花が最終的に黒幕にトドメを刺す最後の手掛かりとなった。


関連タグ

本物→名君 カリスマ  父親

影武者→人間のクズ 臆病 小悪党

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