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ボーイング747の編集履歴

2021-06-02 18:30:16 バージョン

ボーイング747

ぼーいんぐななよんなな

米ボーイング社が設計・製造した大型ジェット旅客機。通称「ジャンボジェット」。旅客機としては既に引退が進みつつあるが、貨物機としては現在も世界中の空で活躍している。

概略

ボーイング社が設計・製造した大型ジェット旅客機1969年2月初飛行。愛称、ジャンボジェット。デビュー当時、他に類のない圧倒的な輸送力により、航空会社が大衆向けに航空券の安売りを始めた(後のエコノミークラスである)事で、世界的な航空機輸送の大衆化の旗振り役となった。


21世紀に入ってからは後続の双発機に押され、旅客機としては徐々に活躍の場が狭まりつつある。旅客機型として最終のモデルは『747-8』型。2020年現在も貨物型の『747-8F』の生産が続いているが、ボーイングは追加の受注が得られなければ生産の打ち切りを検討するとしている。


開発経緯

1960年代のジェット航空機はボーイング707やダグラスDC-8が主流となっていたが、増大する旅客需要に応えるために航空機の更なる大型化が望まれていた。しかしボーイング707は主脚の設計上、胴体延長を行うと離着陸の機首上げ時に胴体後部が地上と接触することが判明し、胴体の延長を行うことが困難だった。それゆえ設計段階で胴体延長を見越し、実際に胴体延長型ラインナップに加えたをDC-8にシェアを奪われつつあった。

そうした状況の中、当時ボーイング707を大量導入し、同社と昵懇の仲であったパンアメリカン航空の会長ファン・トリップはボーイングにさらに大型の機体の開発を要望する。その際ボーイングは一度没案になったアメリカ空軍の大型輸送機開発計画である「CX-HLS計画」に目を付けた。

  • CX-HLS計画とは1963年にアメリカ空軍が「4発エンジン・搭載量82t・前部に貨物ドアを備える」新型の大型輸送機の制作を目論んだことで始動した計画である。ボーイングも設計案を提出して最終選考まで残っていたのだが、選考の結果ロッキード案が採用され、ボーイングは敗北した。なお、この時に採用が決定したロッキード案の輸送機が後の「C-5」である。

ボーイング社はこの設計案を旅客機に転用できるのではないか?と考え、パンアメリカン航空に打診。トリップ会長は大いに気に入り、作るのであれば25機購入すると持ち掛けた事で1965年12月に開発がスタート。CX-HLS計画に投じた予算の回収を目論んだこともあり社運を賭けたプロジェクトとなった。

元々軍用輸送機として設計されていた物を手直しすることで驚異的なスピードで開発が進み、1969年2月に初飛行に成功。翌70年1月にパンアメリカン航空がニューヨーク~ロンドン線に初就航させた。


革新的な航空機として

ボーイング747は設計当時としては未曽有の400席級の超大型ジェット機として開発された。そうした中で現在の航空機にも繋がる革新的な設計や独特の構造が施されていった。


・従来の飛行場での運航を可能とした離着陸性能

ボーイング747は全長70m級の大型機でありながら、ボーイング727や737で採用され、同社のお家芸とも言えるトリプルスロッテッド・フラップ(高揚力装置)やディスクブレーキの採用により、3000m級の滑走路は元より条件が整えば2500mの滑走路での離着陸が可能であり、当時ボーイング707やDC-8が就航可能な空港であれば特別な施設の改修を必要としなかった。


・隔絶した旅客・貨物搭載性能

上述したように747は客席を400席~550席まで配置でき、現在の大型機と比較してもキャパシティは見劣りしない。また、元々の設計が軍用機だった事もあり、コクピットを2階に設置されている事で、1階の全てを旅客・貨物の搭載スペースに使えるだけでなく、貨物機型は機首部分を丸ごと跳ね上げる「ノーズカーゴドア(機首積み下ろし口)」の設置が可能であり、通常の積み下ろし口の幅では積み込めない、長尺モノの貨物輸送が可能である。

このノーズカーゴドア、貨物の積み下ろしでは断然便利な機能であり、この点では最新のエアバスA380をも凌駕している。

  • 因みに、A380は旅客型の開発遅延による貨物型の開発遅延の危惧やノーズカーゴドアを持たないため長尺荷物が扱えない、2階部分に積み込むには専用車両を導入しないと行けないといった欠点が判明し、導入予定航空会社がすべて発注をキャンセルしてしまい開発が凍結されてしまった、このクラスの貨物型機としてはロシア機しかライバルがいないという状況である。

ただし現在はエンジンの高性能化・信頼性の向上に伴い双発機でも747と同等のキャパシティーを確保できる様になった為、旅客型の747については最新型の旅客機を相手に不利を強いられている。


・エンジンメーカーが選択可能に

当時航空機に搭載されるエンジンは一つの型式あたり1社のみ限定供給と言うのが当たり前だったが、-200型からはゼネラル・エレクトリック(GE)・プラット&ホイットニー(P&W)・ロールスロイス(RR)の3社より選択する事が可能になった。

これにより航空会社が保有する機材に合わせたエンジンメーカーの搭載(例:P&W製エンジンを搭載するDC-8に合わせて747もP&W製エンジンを搭載したモデルを選択する)が可能となって整備面からも歓迎されたことで、更に受注を伸ばすことになった。


バリエーション

747はバリエーションが非常に多い。生産されている期間が長いことが大きな理由だが、もう一つの理由としては、後述するように日本の航空会社が独自にカスタムされたタイプを、しかもわずかな数だけ発注したということもある。

基本的に-100~-300,SR,SPを「747クラシック」と呼称している。


747-100シリーズ

-100(-100A)

最初のモデル。ローンチカスタマーはパンアメリカン航空であり、1970年に世界初就航させたのがこのタイプ。当初は装備されたエンジン(P&W/JT9D-3)の出力がカタログ値通りに出なかった事から、すぐに改良型エンジン(P&W/JT9D-7A)に換装したモデルを投入し、どうにかカタログ値通りの出力を確保できるようになった。

初期に生産されたJT9D-3搭載型を-100、JT9D-7A搭載型を-100Aと区別していたが、後に前者もエンジンをJT9D-7Aへ換装した為、-100Aも-100に改称された。

だが改修後も機体重量と比べて出力は不足気味であり、燃料搭載量も物足りず当初の性能が発揮できなかった事から航空会社からは不評を買い、ボーイングは-200型の市場への投入を急いだ。

日本では日本航空が1970年に就航させている。


SR(SR-100)

1970年代、利用者が伸び続けて需要が非常に高まっていたにも関わらず空港施設が貧弱な日本向けに開発されたモデル。SRとはShort Range(短距離仕様)の頭文字。飛行時間は長くて3時間程度、そして頻繁に行う離着陸対策としてギャレーやトイレの削減・シート間隔の切り詰め、機体フレームや降着装置の強化が施され、着陸料対策で最大離陸重量を258tに引き下げている。

ローンチカスタマーはJAL(1973年~75年導入)だが、ANA導入機(1978年~83年導入)は最大離陸重量が272tに引き上げられている他、エンジンについてもP&W製エンジンを搭載したJALに対しANAはGE製エンジン(CF6-45A2:-200型に搭載されたエンジンの低出力型)を搭載している。

また、ANA仕様機は世界で初めて有償旅客数500席を達成した機材でもあり、JALも後に追随している。

因みに、ANAが導入した内の2機は1986年から始まったANAの国際線進出にあたり、エンジンを-200Bと同型のエンジン(GE/CF6-50)に換装、ギャレーやトイレの増設を行った上で国際線機材として運用されていた。

世界中でJALとANA以外に導入した航空会社は存在せず、JALは1994年に全機退役、ANAも2006年3月10日の鹿児島発羽田行きの便(当時のANAの紙の時刻表の上ではB777-300による運用便だったが、この日のみ変更)をもって全機退役した。


SRF

売却された747SRを貨物機仕様に改修した機体である。JAL仕様機はアメリカの会社が、ANA仕様機は1機のみ日本貨物航空(NCA)が購入し就航させた。改修は下述する-200SFに準じながらも、エンジンを-200型と同様のエンジンに換装する事で最大離陸重量の引き上げや航続距離の延長といったパフォーマンスを向上させている。


-100B

747-200Bの短距離仕様機として同時期に平行生産された。設計はSR(ANA仕様機)をベースとしているが、燃料タンク等の配置や容積は-100型に準じ、-200型と同様エンジンの選択も可能である。生産は全部で12機であり、イラン航空(原型機1機)とJAL(3機)、サウジアラビア航空(8機)のみが導入した。なお、GE製エンジンを搭載したモデルは製造されていない。

JALは上述の747SRの増備分として導入しており、SRと同様の改造を施している。


747SP

パンアメリカン航空の東京-NY直行便のために開発されたモデル。名称については開発時はSB(Short Body,短胴仕様機)と呼称されていたが、マーケティングを意識してSP(Special Performance,特別性能機)と変更された。

最大の特徴として機体の全長を70.6mから56.31mまで短縮し、重量を軽減させることで航続距離の延長を図っている。

さらに。この胴体短縮のお陰で主翼が2階部分の直後に来たことによりエリアルールに則った形状(二階建て部分が主翼による断面積増加分を吸収し、断面積の変化を抑えることにより空気抵抗を減らした)となり、空気抵抗を大きく減少させたためにカタログ値以上の性能を発揮することが可能となった。

この結果を受けてボーイングは2階部分を延長したタイプであるSUD(Stretched Upper Deck)の開発に着手していく事になる。

他にも胴体短縮に伴う安定性確保の為に水平尾翼・垂直尾翼がそれぞれ1.5mづつ延長、主翼の設計も一新されるなど機体各所の設計が改められている。

1976年4月にパンアメリカン航空が世界初となる東京-NY間の直行便に就航させ、アラスカ経由で同路線を飛ばしていたJALやノースウエスト航空は大打撃を被った。

しかし、本来の747と比較して乗客数が大きく減る事がネックとなり購入を見合わせた航空会社も多く、生産後期は航続距離やそのサイズから政府専用機仕様としての注文が多かった

日本からの発注はなかったが、2011年までイラン航空の保有する機体が成田空港に顔を出していた。また日本の政府専用機の候補に挙がった事もある。


747-200シリーズ

このモデルより、エンジンメーカーの選択が可能になった

-200B

性能不足が露呈した-100型に機体構造を強化や燃料タンクの改修を行い性能を向上させたモデル。1971年にKLMオランダ航空が就航させた。初期はP&W製エンジンを搭載するモデルのみだったが、1972年よりGE製の、1975年よりRR製のエンジンを搭載するモデルの製造を開始している。ただし構造を強化した分機体重量も嵩み、初期型はやはり当初想定していた性能を発揮できなかった事から、生産終了の1989年まで燃料タンクの増設や設計の見直し、エンジンの変更等の改修が続けられた。その代表例と言えるのがJALが1983年に導入した通称「エグゼクティブ・エクスプレス」である。

  • パンアメリカン航空が747SPにて開設した東京ーNY直行便に対抗するために特注したモデル。燃料タンクの更なる増設に合わせ、エンジンを既に納入が始まっていた-300型が使用する物(P&W:JT9D-7R4G2)に変更している。軽量な-200Bの機体に自重が重い-300型用のハイパワーエンジンを組み合わせる事で、フルサイズの747として初めてNY直行便での運用(1983年7月就航)を可能にした。後にノースウエスト航空やユナイテッド航空も導入しているが、-300型の納入が始まっていた事、-400型の開発が決定していた事から総生産数は8機のみ。

因みに型式末尾の「B」については、当時-100型は「747A」、長距離仕様である-200型は「747B」として開発されていた名残である。

日本ではJALが1971年より、ANAも国際線進出に合わせて1986年より導入。特にANAは-200Bの最終生産機を受領している。


-200B/SUD

下述する-300型が就航した後の1984年にボーイングが提案した改造プランで、就役中の-200Bの2階部分を-300型と同等に延長するという物。KLMオランダ航空が10機(-200Mから改造も含む)、UTAフランス航空が2機の計12機が改造された。


-200F

747シリーズで初となる純貨物型。型式のFFreighter(貨物機)の頭文字。1972年にルフトハンザドイツ航空により就航。747の開発が始まった頃は将来は超音速旅客機が旅客輸送の主流を担い、747は貨物仕様の注文がメインになると予想されており、ある種「本命」と言える派生型である。貨物の搭載量は当時の民間機最大となる110t。貨物の搭載スペースとなる1階は床の強化やコンテナ移動用のローラーを備え、胴体後部にサイドカーゴドアを、機首に上述した跳ね上げ式のノーズカーゴドアを追加している。勿論旅客型と同様床下に貨物コンテナを積む事も可能。2階部分は貨物の搭載スペースとするには小さいので、座席を設けてパイロットや荷主用のスペースとしている。

1991年まで生産が続けられたため、最終期に生産された機材は機体の一部構造が生産が始まっていた-400型と共通になっている。

日本ではJAL、NCAが導入している。なお、NCAの最終導入機は747クラシック全体の最終生産機でもある。

因みにJALも保有していたが、ごく一部の-200Fはサイドカーゴドアを装備せず、ノーズカーゴドアのみ装備した機材が存在する。


-200SF

旅客用としては退役した-200Bを貨物機仕様に改修した物。型式のSFSpecial Freighterの頭文字。窓の封鎖や床の強化、サイドカーゴドアの増設など-200Fに準じた改修が施されているが、ノーズカーゴドアの追加はされていない。旅客機と比べ貨物機は耐用年数が長く、旅客機として役目を終えた後に貨物機に改修するという需要は今も昔も旺盛である。

日本ではJAL・NCAが導入している。


-200M

「-200コンビ」と称する客貨混載仕様。型式のMMixed(混載)の頭文字。1975年にエア・カナダが就航させた。1階の旅客スペースに仕切りを設け、胴体前方を旅客スペースに、後部を貨物搭載スペースにしているのが特長。設計は-200Bを踏襲しているが、胴体後部に貨物の積降用にサイドカーゴドアを追加しているのが外観の大きな違い。なお、旅客と貨物の搭載比は固定ではなく、運航者のニーズに合わせて変更する事が可能。

日本からの発注は無かった。


-200C

旅客のみ・貨物のみ・客貨混載にもできる客貨転換仕様機。型式のCConvertible(転換)の頭文字。1973年にワールド・エアウェイズが就航させた。設計はやはり-200Bを踏襲しているが、-200Fと同様にノーズカーゴドア・サイドカーゴドアを装備しているので見た目は「旅客窓が付いた-200F」である。運航者が座席の脱着を行う事で旅客仕様にも貨物機仕様にも転換できる為、チャーター便を多く運航する会社で重宝された。ただし旅客の最大搭乗人数では-200Bに、貨物の最大積載量では-200Fには及ばない。

この型も日本からの発注は無かった。

ちなみにこのような客貨転換仕様が作られたのは747はこの型式のみ。併せてRR製エンジンを搭載したモデルもこの型式では製造されていない。


747-300シリーズ

80年代後半に設計を一新した-400型の開発が発表された為に受注は少なく、各型合計81機で生産が終了している。-300型製造中に後継の-400型の製造が始まったため、生産後期の機体は構造が一部-400型と同一になっている。また、747シリーズで唯一アメリカからの新規発注が無かった型式でもある。

-300

747SPの経験をフィードバックし、二階席を主翼直前まで延長した(これをSUDと称する)モデル。1983年にスイス航空が就航させた。

空気抵抗が以前のモデルよりも改善された(=燃費が良く、巡航速度が高くなり、航続距離も伸びる)上に2階部の延長に伴って輸送力が増強され、-400型就航まで長距離国際線の花形となった。

日本ではJAL、JALの子会社である日本アジア航空(JAA)が導入している。また、JAAは-300の最終生産機を受領している。


-100B/SUD

JALが747SRの代替と輸送力増強を兼ねてボーイング社に特注したモデルで、1986年に就航。世界中でも導入はJALのみ。-200B/SUDとは異なり既存機の改修ではなく一から新造された機体であり、胴体はー300だがエンジンをー100型と同じ(P&W/JT9D-7AW)とした為、-100型の派生型として扱われている。併せて747SRと同様に機体や降着装置の強化が施されている。導入時の旅客座席数563席は世界最多であった。1986年限りで-100型用のJT9D-7Aの生産を終了する事が決定し、以降の導入は下記の-300SRに変更された為、総生産数はたったの2機


-300SR

JALが上記の-100B/SUDから切り替えて1988年より導入。これまでのSR型の例に漏れず機体の構造強化や最大離陸重量の引き下げが施されているが、-300とエンジンは同じである為、後述する-400Dの導入が進んだ後に国際線仕様へ再改修を行い、国内線のみならず中・長距離国際線に投入している。また、1995年には全席普通席の584席仕様となり、世界最多座席数の記録を自社内で更新している。なおANAは747SRの増備は-400Dを導入する事とした為に-300SRは導入せず、世界中でもやはり導入は-100B/SUDと同様JALのみであった。なお、総生産数は4機。


-300M

上述した-200Mと同様の客貨混載仕様。1983年に-300と同じくスイス航空が就航させた。

日本では導入されなかった。


-300SF

2階部分を延長した-300型だったが、貨物の搭載スペースに転用するほどの容積では無かった為に貨物機型は計画されず、引き続き-200Fが製造される事となる。だが旅客型である-300の退役が進むと同時に-200SFと同様貨物機型へ改修された機材もあり、-300SFの型式が付与された。なお、改修内容は基本的には-200SFと同様である。

日本での導入例は無かったが、アメリカの会社で元JAL機が-300SFとして活躍中である。


747-400シリーズ

フルモデルチェンジを行った747。通称ダッシュ400。このモデルの登場以降、-300までのモデルは747クラシックと呼ばれるようになる。

-400

外見こそ従来の747と(ウィングレットの追加以外は)大差がないが、内部的には大きく変更されている。

  • コクピットのメーター類のグラスコックピット化(メーターではなくディスプレイに情報を表示する)
  • デジタル化の進展により運航乗務員は2名のみで飛ばせるようになった
  • エンジンを新型に変更(P&W JT9D→GE CF6/P&W PW4000)

JALでは「スカイクルーザー」、ANAでは「テクノジャンボ」という愛称を与えられていた。

また日本の政府専用機もこのタイプ。


-400D

747-400の短距離型。SRの後継機として世界中でJALとANAのみが導入。狭い日本の空港事情と短距離路線では効果が期待できないことからウイングレットは取り外されている。ANAは一時期、一部の機体でウイングレットを装備するなど魔改造して国際線に転用させたことがある。

-400F

貨物機。アッパーデッキは-200Fまでと同等の長さとする事で、貨物搭載スペースを確保。

-400ER

  • 400の航続距離延長型。カンタス航空のみが導入し、生産数は6機。

-400ERF

  • 400Fの航続距離延長型。

747-8

747シリーズ最後のモデル。貨物型が主力となり、旅客型はルフトハンザドイツ航空、大韓航空など導入航空会社は限られた。


747と言いながらも主翼の形状が787に近いものになったり、エンジンもGEnxしか選択出来ない為にこれまで747を導入し続けてきたブリティッシュ・エアウェイズA380デルタ航空(元々はノースウエスト航空)とユナイテッド航空A350に衣替えした理由の1つとなった。機構的にも「747の皮を被った787」とも言える機体になっている。


旅客型は「747-8IC」と呼ばれ、二階席後部にはオプションとして多目的スペース「スカイロフト」を設けることが可能。客席やVIP席、ラウンジなどに使用できる。但し「スカイロフト」だからといってもここで鳥乗りの儀大乱闘はできないのであしからず。


貨物型は「747-8F」と呼ばれる。貨物型も双発機に押され気味ではあるものの、4発機は重量物の積載に優れ、機械類や分解できない大型貨物の輸送を行うユーザーにとっては747の独壇場である。


747-400LCF「ドリームリフター」

ドリームリフター

言ってしまえば現代版スーパーグッピー。

世界各地で作られたボーイング787のパーツをアメリカの組み立て工場へ運ぶためのもの。胴体が大きく膨らんだ形状をしている。日本では中部国際空港で見る事ができる。



日本国内の運用事情

日本国内では日本航空JAL)・全日本空輸ANA)の両社が保有運用しており、かつては世界で唯一輸送時間3時間未満の国内輸送に使われる747でもあった。それ故に高頻度運航に対応するため脚部を強化し翼長を変えた日本国内専用機「747-SR」や「747-300SR/-400D」が製造された。SRは短距離を示す「short Range」の略、Dは単純に国内線を示す「Domestic」から来ている。


この理由として、諸外国と比べても格段に多い公共交通による大量輸送需要に加え、日本国内の空港がどこも混雑し「747のような巨大旅客機でなければ輸送が捌けない」状態であったことがあげられる。その結果、747は各地で一般人により手軽に利用出来る国内線で頻繁にその姿を確認出来るようになり、「ジャンボジェット」が日本では特に大衆化される要因となった。


しかし、日本国内でも空港の発着枠(その空港に飛行機が離着陸可能な総量)が増加した。特に羽田空港の沖合展開事業と滑走路増大による輸送力緩和、関西国際空港開港による大阪の空港事情の大幅な改善は、中型機による多頻度運航を可能にした。更には航空会社がそれにつられて増大し、大手航空会社もその競争によって必然的に輸送量を減らした。また、新幹線が東西に伸長し、航空機のシェアを奪った。以上のことから747による大量輸送はさほど必要が無くなっただけでなく、大阪伊丹空港では4発機の運用が制限されることもあって、数少ない大型輸送も777に交代。特に経済性が高く輸送力も747に引けを取らない777は、国際線でも747を世界的に置き換えていった。このことからJAL保有機は2011年3月に引退した。そして、ANA保有機も2014年3月に引退した。日本の空にも省エネ化の波が押し寄せているのだ。


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