オペレーション・メテオ
おぺれーしょんめてお
概要
アフターコロニー195年にL1~L5コロニーから地球圏統一連合への反抗の象徴である5機のガンダムを流星に偽装し地球へ降下させる作戦の事。
ウイングガンダムゼロの設計図を完成させた5人のガンダム開発者達はその危険性から設計図を封印後解散し、5人それぞれが得意とする技術を極めた全く異なる特徴のガンダムを作り上げた。
真の目的は「コロニー国家の平和指導者であった(本物の)ヒイロ・ユイ暗殺への復讐」であり、元々はカーンズや続編のEWでも登場したデキム・バートンが計画したもの。本来の計画は5つのコロニーを地球に落とした後の混乱に紛れて5機のガンダムを降下させ地球圏を制圧するというもの(「真のオペレーション・メテオ」)だった。
しかし、単純計算にして20億人の人類が死滅するというあまりに過剰報復とも言える内容だったことからこの作戦を知るコロニー側の人間の大半はこの作戦を快くは思っておらず、ガンダム開発者及びガンダムパイロットが反発。結果的には5つのコロニーすべてがコロニーを落とすことなく作戦実行当日には単に攻撃対象をOZの武装機関に絞ったガンダム5機を降下させるのみにとどまっている。
ちなみに、5機のガンダムが開発されるにあたって地球圏統一連合の圧政もあって各開発者同士は全く連絡も取り合ってはいなかったが、基本内部フレームだけは共通規格であることを示唆している描写がみられる(自爆装置を積んでいる、ウイングとデスサイズは自爆装置の位置が同じ、ウイングのサルベージにデスサイズのパーツを流用可能、コックピットは少年兵に合わせて造られている、サンドロックのメンテナンスしか知らないはずのマグアナック隊が初見のヘビーアームズの修理も難なくこなしている、ヘビーアームズの腕関節にたった一晩の改造だけでウイングのサーベルをホルダーごと安易に取り付けられるなど)。ただしヘビーアームズだけは後述の理由で最初はコックピットが大人用に合わせられていた。
近年のガンプラでもこの「ウイングゼロのデチューンMS用の共通内部フレームの設計図がすでに用意されていた」解釈を採用しており、MGで展開されているEW版やHGACでもランナーを流用することで基本共通の関節となっている。
L1コロニー
ドクターJの英才教育により戦闘マシーンとして育てられたヒイロ・ユイとウイングガンダムを降下させる。実はヒイロを非情な性格に育て上げたのはドクターJの望んだやり方ではなく、デキムの命令による強制的なものだった(そのためヒイロはデキムの名前を知っている)。ウイングガンダムのパイロットに指導者の名前が付けられたのもドクターJが「真のオペレーション・メテオ」に反対するという意思表示であり、地球降下直前に彼に組織の命令を無視した独自行動を命じている。
L2コロニー
プロフェッサーGに偽装工作やセキュリティ突破能力の高さを見出されたデュオ・マックスウェルがガンダムデスサイズのパイロットとなり、そのための英才訓練を受ける。作戦執行直前デュオは大量殺戮の引き金になる「真のオペレーション・メテオ」を台無しにするためにMSデッキに忍び込みデスサイズを爆破しようとし、プロフェッサーG及び自分含めた計画の関係者全員も暗殺しようとするが、既に見抜かれ失敗。しかしこの行動のおかげで両者の意見が一致したため、プロフェッサーGはデュオに「デスサイズを強奪し、組織の命令を無視して独自に行動する」事を命じた。また、地球にいる6人目の科学者ハワードに会いに行くようにも促している。
L3コロニー
本来はデキムの息子であるトロワ・バートン(本物)がガンダムヘビーアームズに搭乗する予定だった。トロワ(本物)もデキム同様過激派な性格で「真のオペレーション・メテオ」を一人でも実行しようとしていた。しかし、「真のオペレーション・メテオ」に反対の立場を取っていた開発者のドクトルSと口論になりこの事をデキムに告発しようとしていた所を地球に家族がいるという助手に銃殺される。混乱していた空気の中その光景を見ていた「機体は気に入っているが地球を制圧することに興味はない」という当時名無しの少年(ヘビーアームズの機体整備員)がガンダムのパイロットを申し出、トロワ・バートンの名前と機体を授かった。緊急事態だったためガンダムパイロットでは唯一事前の英才教育を受けることなくオペレーション・メテオを実行しているが、ヒイロにも劣らない運動神経の高さや幼少期からモビルスーツを操縦していたという特殊な生い立ちのため左程問題ではなかった。
L4コロニー
H教授の気遣いでカトル・ラバーバ・ウィナーには「真のオペレーション・メテオ」そのものが伝えられてすらいなかった。端っからデキム達に協力する気はなく、ガンダムサンドロックを地球に降下させる事しか考えていなかったようだ。
L5コロニー
L5コロニーは唯一コロニー落としには反対の立場を取っていなかったが、張五飛が「宇宙の倒すべき悪を倒せば問題ない」と反発し独断でシェンロンガンダムに乗って出撃した。これは若くして亡くなった許婚・竜妹蘭の墓を守るためでもあったが、劇中では唯一自爆という道を取って消滅してしまったのは何とも皮肉である。
偶然にも5機のガンダムすべて少年がパイロットになるという結果になった。5人ともコロニー・地球双方の無関係な人間を戦闘に巻き込む事に拒否感を持っている点でも共通している。ヒイロは口先だけなら唯一の例外だったが、非暴力主義者のリリーナ・ドーリアンを殺せなかった。
結末
しかし、OZの上層部にはすでに計画は知れ渡ってしまっており、1話で降下したガンダムの一機ウイングガンダム(01)はゼクス・マーキスの策で実質撃破されている。それどころかガンダム襲撃によるOZ内部の混乱を、腐敗しきっていた連合を始末する「オペレーション・デイブレイク」の発動やOZにとって不都合だったノベンタ元帥の殺害に利用される始末だった。
実はこのオペレーション・メテオは初めから敗北する戦いだと言う事は分かり切った上での計画だったが、ガンダム開発者達には何よりも「デキムやカーンズの提唱する真のオペレーション・メテオを台無しにする事」こそが最優先であったためある意味成功だったとも言える。
また自然を愛し、無謀ながらも諦めず戦い続けるガンダムパイロット達の姿勢が皮肉にも敵の総帥であるトレーズ・クシュリナーダの心を揺り動かすきっかけにもなっている。そのためOZの兵士やロームフェラ財団よりもガンダムパイロットを高く評価しており信頼している旨の発言が多い。
またコロニー全体を戦いに巻き込まない為、あくまでこの作戦は一部の感情の激しい者達が独自にOZと戦っていると言ういわばテロ活動であり、その為OZのレディ・アンがコロニーを盾にしてガンダムを脅した際にはドクターJが「降伏」を宣言、ヒイロもウイングガンダムと共に自爆した。後に宇宙へ出陣したOZは友好姿勢を取ってコロニー側と友好関係を結ぶようになり、コロニー代表団はOZに抵抗するガンダムを友好の邪魔になると判断し、しかも「ガンダムは自分達とは無関係であり平和を乱す反逆者である」と発表した。これによりガンダムはコロニーからも敵視され、孤立してしまう。
TV版本編では終盤でカーンズがミリアルド・ピースクラフトとホワイトファングを率いて、続編のEWではデキムがトレーズの実娘とトレーズ派の残党を利用し「真のオペレーション・メテオ」と称し地球支配をそれぞれ異なる形で決行しようとしたが、ガンダムパイロット達の活躍でいずれも失敗に終わっている。