地球圏統一連合
ちきゅうけんとういつれんごう
「地球から巣立った人類は宇宙コロニーでの生活に新たな希望を求めていた。しかし地球圏統一連合は正義と平和の名のもとに、圧倒的な軍事力を持って各コロニーを制圧していった・・・」
地球圏統一連合とはアフターコロニー１３３年に国家間の紛争や宇宙コロニーの問題を解決すべく地球上の大国やロームフェラ財団などが中心となって樹立した安全保障的な国際連合組織である。その軍隊として地球圏統一連合軍が存在する。連合軍は陸軍、海軍(マリーナ)、空軍、宇宙軍(コスモアルマ)の４つに分かれている。軍は最高司令官ノベンタ元帥をトップに、陸海空軍を統括する地球方面軍司令部司令官のベンディ将軍、宇宙方面軍司令部司令官のセプテム将軍が統括者として君臨している。
連合軍結成後は圧倒的な軍事力を持って紛争の制圧に乗り出し、地球上の大規模な紛争を終結させる事に成功している。その意味では統一連合設立初期は明確な指針と行動により一定の成果を出していたと言えるだろう。
しかし、紛争が下火になると軍は存在意義喪失を恐れるようになり、組織存続の為に反抗的な国家や各宇宙コロニーの攻撃・制圧するなど、本来の創設目的とは真逆に紛争を引き起こす存在になってしまうなど迷走。そしてコロニーを支配下に置き、力によって地球統一を行ったものの、統一連合軍の軍備が縮小される事はなく、A.C.195年の頃にはむしろ軍事力が異常に拡大しすぎて、加盟する各国の政治経済を軍国主義で圧迫していくほどに至っていた。
しかも平和維持機構でありながら175年には平和主義を唱えるコロニーの指導者ヒイロ・ユイを暗殺し、182年には完全平和主義を提唱する北欧のサンクキングダムの殲滅などと一部の身勝手な将校の差し金でコロニーや小国に対して悪質な所業や仕打ちも行っていく始末であった。また反抗勢力同士の連帯を阻止すべく、主要航路に宇宙機雷とジャマー発生装置を大量敷設し、各コロニー間の交流を断絶させてしまった。
22話でのクラレンスとミリアルドの会話から判明した事だがこうしたコロニーへの徹底的な弾圧の背景にはコロニーに対する不信感があったと言われている。それは不安定な世界であるコロニーに住んでいる人々が不安に駆られて安定している環境である地球を手に入れるべく地球に対して侵略戦争を起こすのではないかと言う危機感があったとされる。事実、連合のドーリアン外務次官が一話でコロニーサミットから帰還した際にはマスメディアが「地球ではいつコロニーが攻めて来るのか、という噂で持ち切り」と話している。
地球側の統治が原因でもあるため、地球住民の勝手な思い込みな側面が強い。しかし、同時にかつてコロニー内の過激な武闘派によって立案されていた「真のオペレーション・メテオ」が立案されていた事を考えれば、上記の懸念は単なる言いがかりと断言する事もできないという事情もあった。
当初OZは連合軍の内部のスペシャルモビルスーツ部隊スペシャルズとして存在していた。
それまでのコロニー市民を制限する連合の統治が続いた結果、当然各コロニーの反感は確実に醸成されており、遂にコロニーのレジスタンスによるオペレーション・メテオと言う反乱作戦が発動した。だがこの動きを連合本部は既に察しており、連合を隠れ蓑にしていたOZも対応に動き出す事になる。
地球圏統一連合内部でも組織の浄化作用が働いていなかった訳ではなく、地球と宇宙の対立が深まる中で、かねてより腐敗した連合の姿に憂いていた最高司令官ノベンタ元帥は軍備縮小とコロニー側との和平を考えていた。統一連合軍の首脳陣をニューエドワーズ基地に結集させ、自らの考えを明らかにし連合側がコロニーへ大幅に譲歩する形での和平提案を敢行する。地球方面軍司令官のベンディを始めとする多くの将軍や官僚達からこの融和案は支持されており、統一連合内部でもコロニーを締め付けるだけの統治方法の改善を望む者は多かった事が分かる。（反対者は宇宙方面軍司令官のセプテムのみ）。
しかし、平和路線をよしとしないトレーズの策略で「OZが集結する会議が行われている」と思い込んだガンダム達がニューエドワーズ基地を襲撃。ノベンタ含む統一連合軍上層部がウイングガンダムに脱出のシャトルを撃墜されてしまい、上層部と和平派が一掃されてしまう。更に世界各基地でトレーズの命を受けたスペシャルズ兵士(OZ兵士)が反乱を起こし、地球圏統一連合軍地上主要基地の大半が制圧される。
残された基地では基地司令官達がが立て篭もり、OZに抵抗するが指揮系統が瓦解しているため、統一連合軍は状況把握すら困難な状況に陥っており、各個撃破されてしまう。そして世界はロームフェラ財団の支配する戦乱と混乱の時代へ突入した。
残っていた宇宙軍はクーデターの際も無傷だったため、連合上層部崩壊後も勢力を維持。地球から派遣されている軍事勢力であるというポジションを維持しつつコロニーへの支配権を強めていた。しかし、地球の統一連合軍がほぼ制圧されるとシベリアから打ち上げられたモビルドールの性能により各駐屯部隊が撃破されていき、劣勢を強いられる。
セプテム将軍の子息であるギンダー将軍が指揮する地球圏統一連合宇宙軍総司令部が設置されていた宇宙コロニー・D120はOZから離反したゼクス・マーキスの協力を得て頑強に抵抗し、OZの宇宙要塞バルジの部隊を激しく交戦したが、最終的に大被害を受けてしまう。
それ以降、地球圏統一連合残党の動向は明確に語られる事は無くなるため不明だが、最終的には軍組織は壊滅・四散してしまった模様。しかし、残党の中にはOZ加入を望みロームフェラ財団に媚を売る者やOZ抵抗の象徴と信じて命懸けでガンダムを助けるもの、連合深海部隊の生き残りや再建したサンクキングダムに逃げ込んだ者達の様に反OZ戦闘を続ける者など様々な道を辿った。特に宇宙軍の残存勢力の中にはコロニー革命軍のホワイトファングに参加する者達がいたが、コロニーに圧政を敷いた張本人達ということもあり、OZトレーズ派共々コロニー市民系の構成員達が加入に難色を示されている場面もあった。また地球圏統一国家樹立後に元連合軍人が諜報機関プリベンターに入っているケースもある。
地球圏統一連合軍の主力はリーオーを始めとするモビルスーツだが配備当初はあまり有効的な使い方をしておらず(歩兵の護衛やら防衛線の維持など)モビルスーツは無用の長物とさえも言われていた。だがトレーズ・クシュリナーダ率いるスペシャルズが186年にモビルスーツ部隊でモガディシオ制圧に成功した事でモビルスーツの有用性を知り、瞬く間に連合軍はモビルスーツが主力として配備するようになった。
※OZが保有しているものと同じものが多い
宇宙要塞バルジ
宇宙機雷
戦車
戦闘機
空母
戦艦
月面戦艦サジタリウス
月面戦艦ケンタウルス
指揮用飛行船
ノベンタ砲
- ブント共和国
元々は旧中国山岳地帯にある自治区だったが駐屯していた地球圏統一連合軍のブント大佐が同自治区の平和主導者をクーデターで殺害して建国した独裁軍事国家。
軍部主導の軍政が敷かれており、特権を振りかざして横暴を働く軍人が多くいる為、国民からの支持はかなり低い。だが中には祖国のために戦うといった、誠意のある軍人も僅かながらいる。
サリィを始め、武力支配に反対する者達によるレジスタンスが組織されており、軍事施設へのテロが多発している。連合崩壊後も独立国家ではこうした内乱が発生していたらしい。
シェンロンガンダムが現れた事を受けて、ブントはOZと結託し、それに同調しなかった一部の部下達をレジスタンス諸共潰して、国までもOZに売り渡そうとしたが、シェンロンとの交戦でブント大佐は死亡、軍もこの戦いで全滅してしまった。その後の動向は不明だが間違いなくOZに支配された模様。
- 地球圏統一国家
ガンダムVS世界国家VSホワイトファングの戦いの後に樹立した世界統一政府。国際連合的な性格が強かった地球圏統一連合より一歩進め、地球圏全体で1つの国のようにより密接な連携を深めた超国家的機構。国家政府直属の諜報組織「プリベンター」が存在する。サンクキングダムが提唱した完全平和主義を国家理念としており、軍備を無暗にひたすら増大させていった地球圏統一連合の様な事にならないよう、軍備を全て廃止している(ただしノインのトーラスとトールギスⅢがまだ残っていた)。
政治形態としては大統領制を採っており、大統領は選挙で選ばれる。首都はブリュッセルでここに大統領府が置かれており、大統領は普段ここで公務をこなす。なお、ブリュッセル大統領府の建屋は不測の事態に備えて、建物そのものが地下数十メートルまで潜り、その上を5重のシャッターで封鎖することによって、堅固なシェルターとすることも可能である。
しかし周到かつ迅速で密かに軍備を蓄えていたマリーメイア軍に不覚を取ってしまい、大統領府も制圧されるもプリベンターと再び出撃したガンダム達の活躍と立ち上がった民衆の猛反発により、マリーメイア軍は敗北した。
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