概要
Low Cost Careerの略。
様々なサービスを簡略化し、低コストでの運営を可能とした航空会社。
低コスト運営を行うということは、その分運賃を格安にしやすいということでもあり、従来の航空会社(レガシー・キャリア)に対して文字通りの価格勝負を挑む事が多い。(但しLCCによっては大手よりは若干安いかな、という程度のところもある)
航空業界の自由化・規制緩和に伴い急成長を遂げたジャンルである。
日本でも規制緩和などによりいくつかのLCCが誕生、もしくは日本進出を果たしている。
普通の航空会社との違い
低コストで運営する(≒安価な運賃を実現させる)ために、今までの航空会社(レガシー・キャリア)とは異なる面が幾つもある。
- 機体は小型~中型機で統一
一般的に従来型の航空会社は路線の条件に合わせて機材を投入するため、複数の航空機を保有する場合が多い。
(超長距離国際路線にはB777・B747・B787・A340・A380と言った大型or長距離機、中長距離路線にはB767・B757・A330といった中型機、短距離路線にはB737・A320と言った比較的小型の機体やCRJ・DHC-8・MRJ・エンブラエルE-Jetと言ったリージョナル機…というように)
しかし複数の機体を持つということは整備や運航などで余計な面倒を作る事になり、乗務員や整備員の教習などで余計なコストを生むということになる。
一方、最近の小型機や中型機は意外に長い航続距離を持つものが多い。例を挙げるとB737は定員150人程度の比較的小型な機体にもかかわらず、モデルによっては6000kmもの航続距離を持つものもある。
じゃあ考えようによっては「そこそこ長い航続距離を持つ小型機一択でもいいじゃん」って発想の転換を行い、比較的小型の機体に統一するのが基本となっている。
- 予約はセルフサービスで
従来の航空会社は搭乗券を購入する場合、航空会社カウンターや電話での予約、或いは旅行会社に依頼するなどして「○○から××に行きたいんだけど」と申し込んで…というのが多かった。
しかし格安航空会社の場合、予約は自社サイトや或いはコンビニのメディアキオスク端末などから「自力で」申し込むことを前提とし、カウンターに配置する人員を省略するということが多い。
つまり、予約は自力でということである。
- 機内サービスは最小限、その代わり機内販売充実で"小遣い稼ぎ"
LCCの機内サービスは「基本的なサービスは毛布貸し出し程度に割り切る」と簡素化し、その一方で機内販売は徹底的に充実させ、機内販売の売上も「収入源」に加えるというのが基本である。
機内食すら機内販売の一つとして有料化してあるのが多い。
- スタッフの移動も実費負担
一般的にレガシー・キャリアでは、スタッフが空港間を移動する際には航空機に無料で便乗する。
しかしLCCの場合はスタッフの移動すら実費負担(つまりスタッフも運賃を支払う)となっている。
- 保証?ありません、或いは有料オプションです
LCCは基本的に遅延・欠航時の保証(返金、他の交通機関や航空会社への振替輸送など)は無い。
あったとしても有料のオプションとなる場合がほとんどである。
- 地上施設の使用は最小限に
空港での地上施設の使用も結構バカにならない出費である。
ボーディングブリッジだって結構な使用料が発生する。
というわけで沖止め(ターミナルビルから離れたところに駐機する)してそこまで送迎バスで移動し、機体への乗降はタラップで行う…というLCCも多い。
或いは設備を簡素化したLCC専用ターミナルを使う場合もある(成田空港第三ターミナルなど)。
日本の格安航空会社
本来の意味での「格安航空会社」
カンタス航空系のLCC、ジェットスターの日本法人。
カンタス航空、日本航空、三菱商事が主な出資者となって設立された。
ANA系の格安航空会社で、ANAとファーストイースタン・インベストメントグループや産業革新機構の出資で設立された。
なお、これとは別にANA系の格安航空会社で、2013年に運行を開始した「バニラ・エア」(旧エアアジア・ジャパンの事実上の後継)が存在したが、2019年の運行を最後に「ピーチアビエーション」へ吸収合併・経営統合されている。
中国系の格安航空会社。茨城空港にも乗り入れている。
上記2社がA320を採用する中、日本の格安航空会社では珍しくB737を使用。
- (新)エアアジア・ジャパン
マレーシア系の格安航空会社。
旧エアアジア・ジャパン(→バニラエア→ピーチ)とはブランド名以外は法人としての関係は無い。
全日空との合弁が喧嘩別れに終わった後、新たに楽天などの企業からの出資を受け2014年再参入。
2017年から中部国際空港を拠点に運行を行っていた…のだが、新型コロナウイルス感染症の影響で全便運行停止に追い込まれたまま、2020年12月5日をもって再び日本の空から去ることとなってしまった。
厳密には格安航空会社とは分類されない可能性のあるもの(新興航空会社)
通常の航空会社(FSC=Full Service Career)とLCCの中間として、MCC=Middle Cost Careerと呼ばれることもある。
規制緩和で設立・参入した、日本における新興航空会社の第一弾。
機内サービスを徹底的に簡素化し(一昔前は機内販売すら簡素化していた)大手より遥かに安い運賃を実現しているためLCCの一種と見られる場合があるが、上記の通りサービス特に機内販売に関しては「普通のLCC」は真逆の手段を用いる場合が多いため、厳密にはLCCではないと見做される場合がある。
西日本方面の路線を運航する新興航空会社。
こちらも大手より遥かに安い運賃を実現しているが、サービス内容などからすれば「格安航空会社」とは若干異なる点が幾つかある。
宮崎県を本拠地とし、九州各県と本州の各都市を結んでいる。ANAとの共同運行便が多い。
北海道を本拠地とし、道民割引がある。
関連タグ
サウスウエスト航空 - LCCの走りとも言える航空会社