概要
『暗黒竜と光の剣』および続編の『紋章の謎』(ともにリメイク版含む)、『アカネイア戦記』に登場。弓矢を携えた青髪の青年。初期クラスは「ハンター」。『紋章の謎』以降は上級職の「ホースメン」にクラスチェンジが可能。
メインストーリーにはほぼ関わらない脇役キャラクター。
「暗黒竜と光の剣」では2章「ガルダの海賊」にて、シーダが説得することによって加入する。弓を扱うユニットであるため、シーダで説得する際には彼の攻撃範囲に入らないように注意する必要がある。
「紋章の謎」では4章「喜びと悲しみと」で、北東の村を訪れることで加入する。
暗黒戦争と英雄戦争で評価が著しく変わったキャラクターであり、ファンの間では「苦労人」「金の亡者」「裏設定では暗黒戦争時と英雄戦争時の間に何かがあったらしい」「『紋章の謎』の顔グラフィックが特に幸薄そう」とか、色々言われている。
ユニットとして
シリーズを通して参戦が早く、見た目とは裏腹に能力はよく伸び、特に力が全体でもトップクラスによく伸びるので使い勝手は良い。
しかしやっぱり幸運はあまり伸びない。
アーチャーの使い勝手が良くないこともあって弓系ユニットの中では活躍させやすいが、上記の通りFC版ではクラスチェンジできない点が痛い。
SFC「紋章の謎」では下級時から活躍させやすく、使いやすい。最終到達点はスナイパーに劣る為、どちらを選ぶかはお好み次第。武器レベルの伸びがあまり良くない為、運が悪いと中々パルティアが使えずヤキモキすることになる。
人物
暗黒戦争
「シーダ様 許してください。ぼくには どうしても お金がいるんです」
シーダに仄かな憧れを持っている。年はシーダよりも3つ上。家では9人兄弟の一番上の兄貴。猟師の父は飲んだくれの怠け者で、働き者の母とカシムが稼いで妹や弟を食べさせていた。
元々はタリス島の猟師で、タリス王女の暗黒戦争時にはその母親が病気になってしまい、猟師の稼ぎだけでは食べていけず、家族の食い扶持と母親の薬代を稼ぐ為、タリスを離れて出稼ぎに出た。パレスまで飲まず食わずでたどり着き、レナたちとちょっとした悪事を働いた(アカネイア戦記「正義の盗賊団」)こともある。
その後、紆余曲折を経てガルダの海賊に雇われ、ガルダの港町に渡ってきたマルスら解放軍を襲撃。しかし、事情を知ってお金を援助してくれたシーダに感激し、解放軍に参入することになる。
この頃のカシムは貧しさにあえいではいたが、少し気弱そうで、良くも悪くも平凡な青年だった。
英雄戦争
「待ってください!!母が 病気で・・・お金が・・・」
2年後の英雄戦争時に島を離れ、ホルム海岸でマルス達と遭遇。再会したマルスに「母親のクスリを買う為に出稼ぎに来た」といい、マルスが立ち去ろうとすると引き止めて金をせがみ、お金を受け取ってアリティア軍に参入。カシムは平凡な青年から一転して、金への執着を見せるようになっていた。どうやら寸借詐欺で小銭を稼いでいるらしい。
エンディングの戦歴欄では肩書きが「タリスのサギ師」になっている。そのエンディングによると母の病気が快方に向かったとのことなので、どうやら母が病気なのは事実らしい。
リメイク版
「え、えーと…マルス様にはなんて言ってお金貰ったっけ…」
新・紋章の謎』でのマイユニットとの会話では、案の定「母親が病気で…」と切り出して早速お金を恵んでもらおうとする。その恩として「命を捧げます!」とマイユニットについて行こうとした所、一介の騎士でしかないマイユニットから「マルス様に誓いを立ててもらった方が…」とマルスを紹介されそうになるのだが…。
『…結果的に追加された支援会話によって『新・紋章の謎』の方がよっぽど詐欺師っぽくなった。流石にこれはカシムが悪い。
余談
2020年8月14日に配信された生放送「30年をみんなで振り返る!ファイアーエムブレム生座談会」にて、風花雪月でクロードを演じた豊永利行氏が「声をやってみたいキャラ」としてカシムをライアンと共に挙げている。更に、この生放送のためだけに原作になかったカシムとライアンの支援会話映像が作成され、オーディションを兼ねたアテレコをすることになった。ツイッター等でのカシムの評判は良好だったが、果たしてヒーローズからのオファーはくるのだろうか…?
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よくある話と人は笑い、流しても
カシムがどうして詐欺師と呼ばれるに至ってしまったのか。旧インテリジェントシステムズ公式webサイトの「デザイナーズノート」で公開されたサイドストーリーにより、その謎が明かされた。
以下がそのあらすじである。彼の行動をどうとるかは人それぞれ。取るに足らぬ事だと笑う人もいるだろう。自業自得と責めるものもいるだろう。カシムが経験した悲劇は、この当時の世界では本来物語にならない程、ありふれた話のひとつでしかない。ただし、その末の結論はどうかと言えば…
カシムの母が9人目の子を産んだ後、産後の肥立ちが悪く寝込んでしまった。父親は「俺に任せろ」と言ってガルダに出稼ぎに出かけていったが、そのまま消息が途絶える。
カシムが猟師をしているだけでは、10人の食い扶持を賄うなど到底無理なこと。カシムは已むを得ず、母と弟妹の世話を年長の妹のリーンに任せ、出稼ぎに出た。
その後、ガルダの海賊に身を落としたカシムはシーダの命懸けの説得に心を打たれ、アリティア解放軍に参加する。シーダがくれた幾ばくかのお金と薬はリーンのもとに送られたが、カシムはシーダへの恩義と仄かな憧れから故郷に帰らず、暗黒戦争を戦い抜くことになる。
戦後、リーンへの土産にと苦労して買い求めた粗末な服を握りしめ、カシムはタリスへと戻った。しかしそこにリーンの姿はない。カシムが恩義と正義(と仄かな憧れ)の為に戦っていた頃、タリスの家では仕送りが途絶えて生活苦に陥り、リーンは奴隷商人に自らを売っていたのだった。
カシムは半狂乱になりながら妹を探し歩いた。そして寒い冬の日、兄妹はワーレンの薄汚い酒場で再会を果たす。愛する妹は身も心もボロボロで、冷たい床に転がされていたという。妹を抱きしめ、泣きながら詫びるカシムに対し、リーンは最期に微笑んで
「お兄ちゃん・・・約束・・・忘れないで。みんなを・・・守って・・・」
と言い残し、兄の胸の中で息を引き取った。
その後、カシムは金に執着するようになり、周囲からは“守銭奴”“詐欺師”と蔑まれるようになる。誰に軽蔑され、嘲笑われても、彼が本心を明かすことはなかった。祖国奪還、正義の戦争、世界を救う戦い。そんなことは金持ちの考えることだ。社会の底辺を這いずり、妹1人守れぬ自分に何が出来ようか。
カシムにとって大事なことは、家族を守ること。
自らが不幸にしてしまった妹との最期の約束を果たすことなのだから。
「聖戦の系譜」にて
「聖戦の系譜」には、カシムの妹と同じ名前を持つ踊り子・リーンがいる。そしてリーン登場マップの7章「砂漠を越えて」の闘技場には、ハンターのカシムもいる。こちらのリーンはアレスに救われ、その後は弟とも出会い、(プレイヤー次第で運命は変わるが)幸せな人生を送っている。