「竹のように
真っ直ぐ狂う舞とー?」
「茗荷のように
爽やかに狂う里乃!」
「「そんな二人はクレイジーダンサーズ!
評価よろしくね!」」
概要
東方Projectに登場する丁礼田舞と爾子田里乃の二人の二つ名であり、二人が共に『東方天空璋』に初登場した際のもの。
『天空璋』では二人の内、舞が先行して同作4面に顔見せをしているが、この際は二つ名だけでなく名前も名乗っておらず、紹介演出もない。続く5面において里乃と舞の両名がそろってから本二つ名と名前が正式に紹介される。
また本二つ名に見る「バックダンサーズ」の語は、舞と里乃の二人のテーマ曲である「クレイジーバックダンサーズ」にもみられている。
踊る二人
舞と里乃は摩多羅隠岐奈によって「 二童子 」として見出された元人間である、
今では過去も忘れ隠岐奈のために「 踊り狂う 」存在であり、また種々の雑用もこなす。
『天空璋』でも隠岐奈の指示によって様々な幻想郷住民達の「 潜在能力 」を引き出してそれを審査し、(舞や里乃の認識では)仲間に引き入れるに足る人材を探していた。
「 まあまあ、及第点かなぁ 」
「 よーし、おめでとう! ごーかーく! 」
(霧雨魔理沙に対して、それぞれ里乃、舞。『天空璋』)
「 これはテストだからね 」
「 戦う振りをして 本来の力を見ていたの 」
(チルノに対して、それぞれ舞、里乃。『天空璋』)
二人の能力は対象の「背後」で踊ることで舞は対象の「 生命力 」を、里乃は対象の「 精神力 」を引き出すことができる。本二つ名に見る「バックダンサーズ」には、隠岐奈の踊り子であると共に、対象に影響を及ぼす際に背後で踊る二人の様もまた表現されている。
ただしこの力は隠岐奈に由来するもので、対象が意図しないうちに能力にも精神にも影響し得る様もまた隠岐奈の力による。舞と里乃の二人は隠岐奈の「 手足 」に過ぎない。
本二つ名に見る「危険」を能力に由来するものと見る場合は舞と里乃の二人にあわせて語られる「危険」は、そのまま隠岐奈の「危険」な性質を表すものとも言えるだろう。
一方、能力面だけでなく二人の性格として、二人ならではの「危険」性をみるとき、人間当時のままの「 おっちょこちょい 」(舞)や「 やや自信過剰 」(里乃)といった、与えられた能力や、幻想郷に加え外の世界にも広範に影響する「 幻想郷のバランスを取る 」(隠岐奈、『天空璋』)という役割に比した幼さ(例えば「 無邪気さ 」)との対比に、その「危険」性を見ることも出来るだろう。
二人が踊る危険な、あるいは常軌を逸した舞踊は全ては隠岐奈のために捧げられるものであり、「 四季異変 」においても隠岐奈の指示のもと、隠岐奈のため、誰かの背後で二人は踊る。
たとえその成功の先にあるものが自分たちの未来を大きく変えるものであったとしても、そしてそれを仮に知ったとしても、二人が隠岐奈のために舞い踊ることをやめることはできない。
「 予想外は人生の最高のスパイスさ 君もそう思うだろ? 」(舞、『天空璋』)
竹と茗荷
二人がそれぞれ手に持つものとして舞の持つ一方の先端が斜めに切られた竹(笹)と里乃の持つ茗荷(みょうが)がある。
これはいずれも二人の原典でもある摩多羅神にみる二童子が手にしているものに由来しており、原典の二童子はそれぞれがともに茗荷(左手)及び笹・竹(右手)をもつ。
東方Projectでは舞と里乃で「 竹担当と茗荷担当 」(ZUN、『東方外來韋編』)と別々になっており、これは本作の二人ならではの意図的なアレンジである。
舞は右手に竹を持ち、里乃は左手に茗荷を持つ。
所持品はそのまま舞の(竹を割ったような)「 スパっとした性格 」、里乃の「 茗荷のように訳の分からない、おっとり系の性格 」という舞と里乃の性格の造形にも結びついている(いずれもZUN、『外來韋編』)。
舞と里乃は現在では隠岐奈に掌握された存在であり、隠岐奈の支配下に収まる以前の人間時代の二人もまた割とライトな性格であったようで、そういったタイプの人選も隠岐奈の選考基準である様子である(『外來韋編』)。
なお、茗荷は摩多羅神の神紋、シンボルでもある(天台宗)。
また「茗荷」にみる「みょうが」の音が「冥加」(知らず知らずの内に与えられる神仏菩薩からの加護。「冥利」)とも同一であることから、その縁起の良さから家紋としても用いられる。
茗荷紋(抱き茗荷)自体は日本十大紋の一つ。
里乃のスペルカード(後述)にも「茗荷」と「冥加」いずれもが冒頭句として登場しており、この音の繋がりの縁が表現されている。
スペルカード
『天空璋』では先述の通りスペルカードなどを通して舞と里乃の両者と初めて対峙することとなるのはStage5であり、同面では舞と里乃の両者を同時に相手取ることとなる。
一方その弾幕の過程ではスペルカード戦直前の通常弾戦において舞と里乃のどちらを撃破したかによって、続くスペルカード戦の展開が変わるものがある。
いずれもスペルカードを発動するのは直前に撃破された本人であり、例えば最初の通常弾戦で舞を撃破した場合、直後のスペルカード戦では舞が<竹符「バンブースピアダンス」>(ゲーム難易度がEasyまたはNormalである場合)または<竹符「バンブークレイジーダンス」>(ゲーム難易度がHardまたはLunaticである場合)を展開する。
<舞符「ビハインドフェスティバル」>以降は二人の共同スペルとなり、二人同時に展開する。
さらに二人は『天空璋』ではEXTRA(本作では「 REVENGING STAGE 」とも)にも登場し、ここでもスペルカードを展開する。
『天空璋』
スペルカード名 | 展開者 | 備考 |
---|---|---|
竹符「バンブースピアダンス」 | 舞 | 最初の通常弾戦で舞を撃破した場合かつゲーム難易度がEasyまたはNormalである場合 |
竹符「バンブークレイジーダンス」 | 舞 | 最初の通常弾戦で舞を撃破した場合かつゲーム難易度がHardまたはLunaticである場合 |
茗荷「フォゲットユアネーム」 | 里乃 | 最初の通常弾戦で里乃を撃破した場合 |
笹符「タナバタスターフェスティバル」 | 舞 | 二回目の通常弾戦で舞を撃破した場合 |
冥加「ビハインドユー」 | 里乃 | 二回目の通常弾戦で里乃を撃破した場合 |
舞符「ビハインドフェスティバル」 | 舞&里乃 | 三番目のスペルカード |
狂舞「テングオドシ」 | 舞&里乃 | 四番目のスペルカード。ゲーム難易度がEasyまたはNormalである場合 |
狂舞「狂乱天狗怖し」 | 舞&里乃 | 四番目のスペルカード。ゲーム難易度がHardまたはLunaticである場合 |
鼓舞「パワフルチアーズ」 | 舞&里乃 | EXTRAでの最初のスペルカード |
狂舞「クレイジーバックダンス」 | 舞&里乃 | EXTRAでの二番目ののスペルカード |
弾舞「二つ目の台風」 | 舞&里乃 | EXTRAでの三番目のスペルカード |
バックダンサーズの二人と「憑依」の二人
舞と里乃の「他者の背後で踊る」ことで対象の潜在的な精神力や生命力を引き出すという能力はファンの間では「バフ」( buff )に例えられることがある。
ここにおけるバフとはゲーム用語であり、他者に何らかの好影響を与える・ステータス的に有利な状況を生み出す能力のことで、例えば別キャラクターのパラメーターアップをもたらす要素などは「バフ」と言える(参考1)。「バフをかける」などの言い方がされることもあり、他者にバフをもたらすものを「バッファー」( buffer )と呼ぶこともある。
『天空璋』での舞と里乃の目的は隠岐奈のバックダンサーズとして有望な人物を査定することではあったが、その人選にあたって相手の潜在能力まで引き出した様子は、まさにバッファーそのものである。そのバフの程は『天空璋』ではチルノをはじめエタニティラルバや矢田寺成美などが「内から(無限に)湧き上がる力の奔流」としてそれぞれの言葉で語っている。
舞と里乃の二人の踊りが「バフ」的なものであるのに対し、東方Project作中には同様に「二名の存在」がもたらす「デバフ」( debuff )とも言える要素も登場しており、それは例えば舞と里乃が初登場した『天空璋』近くでは『東方憑依華』における依神女苑、依神紫苑の姉妹にみることができる。
ここにおける「デバフ」とは先述の「バフ」同様ゲーム用語であり、先の「バフ」とは逆に他者に何らかの悪影響を与える・ステータス的な不利な状況を生み出す能力のことで、例えば別キャラクターのパラメーターダウン、「バフ」の打ち消し、正常な状態ではなくすなど(例えば「毒」などとして表現されることの多い持続ダメージを与える効果等)の要素は「デバフ」と言える(参考1、先述の参考と同)。先述の「バッファー」のように「デバフをかけるもの」として「デバッファー」( debuffuer )と呼ぶこともある。
女苑、紫苑の姉妹はそれぞれの疫病神・貧乏神という存在性と性質を「完全憑依異変」として応用し、どのような過程があろうと最終的には相手方に貧乏神である紫苑がスレイブとして憑依することで相手の運気を根こそぎ奪って敗北をもたらすという有無を言わせぬ強力な優位性を発揮した。
これはまさに相手に対して与える紫苑が与える圧倒的なデバフであり、人生というスパンで長期または永続的なデバフをもたらすことのできる貧乏神の紫苑ならではのものである。紫苑もまた「背後」に憑りつくものであるが、バッファーともいえる舞と里乃とは逆に紫苑はデバッファーともいえる。
ただし舞と里乃の二人の踊りも『天空璋』では力の高まりに興奮した妖精などに暴走をもたらし、「 四季異変 」という副作用につながった。先のエタニティラルバも「 普段は極めて温厚 」でどこかで起こっている弾幕ごっこにも遊びに行く程度だったが『天空璋』では矢面に立って弾幕ごっこに参加するなどしている。
薬も過ぎれば毒となるように、フルドーズ状態を越えてオーバードーズとなったものの中には高まり過ぎたバフを持て余すものもあった。
一般にゲームでは「バフ」の中には高い効果と何らかのダメージや不利益が引き換えになる「デバフ」が同時に発生するものがあるが、『天空璋』における舞と里乃の踊りもまたバフ的なものにして時にデバフ的な側面も見せている。用法用量を守っての中庸が徳といったところかもしれない。
なお、先述の通り舞と里乃の他者の潜在能力を引き出す力は実際は二人自身の力ではなく隠岐奈の力でありこの視点では二人もまた「 お師匠様 」がもたらすバフによるブーストを得ている存在と言うことも出来るが、女苑と紫苑の両名の力は(本人たちが望むとも望まざるとも)いずれも本人に内在するものであり、時には紫苑にみるセルフバフとも言えるような能力のさらなる解放も行うことがあるなどの違いもまたある。
pixivでは
pixivでは先述のように舞と里乃二人が初登場した際の、「二人の二つ名」ということもあって、舞と里乃がともに描かれた作品にタグとして用いられている。
舞と里の二人については二人のテーマ曲に由来する「クレイジーバックダンサーズ」のタグの他、二人や隠岐奈の由来と目される「摩多羅神」伝承にも登場する「二童子」、あるいはカップリングタグとしての「まいさと」や「さとまい」などのタグが使用されている。
pixivにみる東方Project関連のタグの運用の流れにおいては、原作関連のタグとカップリングタグは各々の由来やニュアンスごとに用法を異にするケースと、原作のものとカップリングタグなど両者が用法を共有するケースとがある。
例えば博麗霊夢と八雲紫の二人について、「幻想の結界チーム」の呼称が原作(『東方永夜抄』)に登場しており、『永夜抄』など原作作品でのステージ中の様子などを描いた作品には「幻想の結界チーム」のタグが用いられることもある。
一方二人のカップリングとしてはpixivだけでなくファン界隈全般でも「ゆかれいむ」などカップリングを端的に表現する語が多用されているなど、両者の間には一定の使い分け方が見出されていることもある。
一方で「鳥獣伎楽」などpixivではミスティア・ローレライと幽谷響子の二人のカップリングタグとしても用いられている原作の語もあり、ファンコミュニティにおいてもそれぞれの語をどう用いていくか、あるいは使い分けるかなどはケースごとに流動的である。
舞と里乃の二人についても先述のように複数のタグの利用が見られており、今後の原作に描かれる二人の動向をはじめ、ファンコミュニティでの対話や交流も通して原作表現関連、楽曲関連、カップリング関連として作品のニュアンスごとに使い分けられていくケースといずれか一つまたは複数のタグなどで用法を共存していくケース、あるいはいずれか主たるタグとして多用されるものに収斂していくなど、様々な動向が生まれ得るだろう。
また隠岐奈を含めた三者について「後戸組」や「まいさとおきな」のタグも使用されており、舞と里乃二人のバックダンサーズを従えた隠岐奈の三名についても結ばれるものとなっている。
二次創作では
二次創作でも舞と里乃の二人について様々な創作がなされており、先のカップリング的なアプローチ、隠岐奈も含めたグループ的なアプローチをはじめ多様な想像が展開されている。
一例としては舞と里乃の二人が「誰の後ろで踊ったら、どんな才能や能力が引き出されるされるか」といった想像の方向性もある。幻想郷の多様な存在たちの、いわば人の数だけ、様々なバックダンサーズの舞台やステージといえるようなシーンがある、といった様子である。
またそれぞれが引き出せる潜在能力の方向性でお互いに能力を引き出しあったらどうなるのか、というテーマにアプローチする創作もある。
『天空璋』本編中では描かれなかった「隠岐奈の後ろ(または周囲)で踊る二人」という、原典である摩多羅神と二童子そのものの間柄・シーンにも接近する創作もあり、先述の後戸組のようにファンの間では三名の関係性についても様々に想像されている。
また隠岐奈に見いだされる以前の、舞と里乃の二人の明確な人間の時代にアプローチするものもあり、性格はあまり変わっていないようではあるものの二人がどんな子供で、いつの時代の、どんな境遇にあったか、そしてどのような経緯で隠岐奈に見出されたかなどが様々に想像されている。
「 人間だった頃の記憶 」(『天空璋』)をほとんど失った舞と里乃の、失われた歴史へのアプローチである。
また歴史と対比して可能性の未来を想像するものもあり、もしも『天空璋』において隠岐奈が舞と里乃に代わり得る人材(「 後継者 」)を見出し、二人が二童子としてお役御免となったなら、その後二人はどうなっていただろうか、という想像も展開されている。
関連イラスト
- 摩多羅隠岐奈の二童子にして後戸の国のバックダンサーズ
- 他者の後ろで踊る二人の想像
- 二人の過去への様々なアプローチ
関連タグ
参考資料(外部リンク)
参考1: