なんという愚か者どもだ。
助け合い、思い合って…そして、そのせいで死んでいくのだ。
概要
犬夜叉一行と敵対する奈落一派の首魁。
全ての黒幕たる「四魂の玉」を除けば本作のラスボス的存在である。
人物
髪の毛がワカメっぽいことから通称ワカメとも呼ばれる。またすぐに全裸になる。
その正体は悪名高い盗賊の鬼蜘蛛を核とする無数の妖怪の集合体。
半妖は月に一度動けない時が存在するが、奈落は月に一度のその日を自分で選ぶ事ができる。
普段は本物の妖怪さえ凌ぐ圧倒的な邪気と妖力を持ち合わせる。
かつて全身に大火傷を負い動けなくなった所を桔梗が匿い、さらに身の回りの世話まで焼いてくれた事で次第に桔梗に恋焦がれるようになった野盗鬼蜘蛛は、深い傷のため動く事が出来ず鬱屈した思いを募らせるようになる。やがてその負の情念に引き付けられて無数の妖怪が彼の下に集まり、彼もまた自由に動ける体を欲してその妖怪達を受け入れ、そうして鬼蜘蛛を核に数多の妖怪が融合して誕生したのがこの奈落だった。
妖怪の集合体であるが故に特定の姿を持たず、変化には時間がかかるものの様々な姿を使っている。
現在では記憶こそ鬼蜘蛛のものを引き継いでいるものの、人格はほとんど失われ、全く新しい奈落としての人格が形成されているが、核である鬼蜘蛛の思念のため桔梗に直接手を出す事はできない。加えて自身もまた半妖として生まれた事に忸怩たる思いを抱いており、己を完全な存在とするため四魂の玉を狙い、さらに機会があらば他の有力な妖怪をも取り込もうと画策する事もある。鬼蜘蛛の名残か背中には大きな蜘蛛のような痣が付いている。
犬夜叉と桔梗の仲を裂いただけでなく、弥勒の先祖に風穴の呪いをかけ、珊瑚の一族も騙し討ちにして全滅同然に追いやった事から犬夜叉一行にとっては共通の敵となっている。
強さと逃亡癖
殺生丸すら溶かす瘴気を武器とするが、奈落の強さは無敵にすら感じる絶対的な防御力にある。
物理攻撃完全無効、冥道にも飲み込まれない異次元耐性、奈落さえ打ち倒すという触れ込みで登場した殺生丸のチート武器「爆砕牙」が直撃しても完全に取り込んだ四魂の玉によって再生、挙句の果てにはさんざん弱点と語られてきた四魂の玉を貫かれてもすぐには死ななかった。
ガイドブックに記された生身の身体能力は29巻時点でなんと殺生丸をも凌ぐ(ただし作中では白兵戦がなく、自慢の身体能力は活躍しない)。ワイド版によれば曲霊が登場した時点で戦国最強の肉体を持っていたとされる。
…と、稀に見る程の凶悪な強さを誇っているが、とにもかくにも逃げまくる。作中では20回以上逃げている。この点については「引き延ばし」とファンから言われることもある。
犬夜叉一行にさらなる苦しみを与える為に、あえてとどめを刺さずに撤退したことも何度かあるが、少しでも状況が不利になると、それ以上抗戦しようとせずにあっという間に逃げ去っている。
分身
なお、赤子が最高位。
長女(無)・神無
次女(風)・神楽
長男(悟り)・悟心鬼
二男(影)・影郎丸
三男(獣)・獣郎丸
五男(幻術)・夢幻の白夜
形態
第6巻~9巻及び回想
誰にも変化していない時の奈落の姿。一人称は「我」。
狒々の皮を被っており、素顔を見せない。声は鬼蜘蛛と同じ。
これが奈落の本当の姿であり、人見蔭刀の姿になってからも奈落の傀儡はこの姿で登場する。
第二形態:第9~28巻
声も彼と同じものに変わった。
奈落の姿としては最も有名。
この状態は「ワカメ」の他に「殿」とも呼ばれる。
一人称は人見蔭刀同様に「わし」になる。
第三形態:第29~54巻
もちろん左が奈落
白霊山で第六の妖怪、赤子を放出した後の姿。
この形態からほとんど無敵の存在となる。また、やたらと全裸になる。
異様にややこしい大量の鎧と、龍の尻尾が3本、両肩の突起、胸の目玉と色々とゴチャゴチャした姿。本編途中から一部簡略化され、龍の尾等が削除された。
第四形態:第54~56巻
ピクシブ内にはイラストなし。
真っ黒で鎧甲質の超巨大な蜘蛛。
最終形態:56巻
ピクシブ内にはイラストなし。四魂の玉を完全に取り込んだ最終形態。
白髪で下半身がなく、能面と鬼を足したような不気味な姿。
殺生丸を溶かす程の瘴気を自在にあやつる。
四魂の玉の力により、冥道残月破や爆砕牙が直撃しても復活する。
ただし、一切動けない。
奈落の真意
犬夜叉を始め多くの登場人物の宿敵であり、厄災をまき散らしてきた奈落もまた妖怪や人間同様四魂の玉を手にし、自らの力を強大なものとしようと暗躍してきた。ただ奈落は『四魂の玉の完成』と『犬夜叉の打倒』を目的としているものの、それ以外の目的はなにもなかった。
奈落の本当の望みは「桔梗の心を手に入れる」ことであった。
奈落は鬼蜘蛛を核に数多の妖怪が融合した半妖であり、鬼蜘蛛の桔梗への情念と妖怪たちの怨念という相容れない感情を持っていた。「四魂の玉を汚す」という名目で桔梗と犬夜叉を罠にかけ、お互いを憎み合わせて破滅に追いやっている(例えるならば可愛さ余って憎さ百倍だろうか)が無意識に桔梗を直接手をかけることは出来なかった。
奈落はずっと桔梗への思慕を鬼蜘蛛の残留思念と思い込もうとしていた(事実そうではあるのだが)。しかし鬼蜘蛛は「桔梗の体」を欲していたのであり、妖怪の集合体の奈落にとって体などあってないようなもの。桔梗を慕う心は奈落自身のものであり、彼の心は人間でのそれだった。
奈落は心の隙をつく仲違いを多用するが、これは人同士の絆の大切さを知っているからこそであり、それを失う苦しみを理解している証明でもあった。かごめが持つ四魂のかけらや犬夜叉の命を直接狙わず、桔梗やかごめを傷つけ失う様に仕向けるのも犬夜叉が桔梗の心を奪った憎き恋敵だったからである。
妖怪として生きることを選んだ奈落は、桔梗を葬り四魂の玉をその身に取り込む。邪悪な化け蜘蛛となり犬夜叉一行を抹殺しようと企むも、仕掛ける手段は依然と変わらず人の心を抉るものばかり。己の手段と目的の矛盾をかごめに見透かされ激しく動揺し捨て身の攻撃を仕掛け、肉体が崩壊していくなかで奈落はついに自分の本当の気持ちに気がつく。
「そうだ・・わしは、ただ・・・桔梗の心が欲しかった」
最後
真の黒幕である四魂の玉に実質的に操られる形で犬夜叉一行や殺生丸を相手に最後の戦いを挑むも、この戦いは奈落にとってかごめを四魂の玉の内部へ誘導するという四魂の玉の命令でしかなく、四魂の玉の思惑通りに奈落は犬夜叉たちによって倒され死亡した。しかし魂はかごめと共に四魂の玉の内部の空間に取り込まれる。
四魂の玉の目論見通りに玉内の妖怪と翠子の運命をかごめ共々継がされるはずだったが、犬夜叉に救われたかごめが「唯一の正しい願い」を告げたことにより、玉は消滅。
奈落もまた、翠子の魂や数多の妖怪達とともに浄化され消滅した。
余談
作者は、奈落の総評として「奈落は人間だった」とコメントしている。彼は絆や信頼、仲間の大切さを誰よりも理解しており、同時に孤独や失望に苦しむ者に対しては強い共感を持つ人物だった。同じく孤独と失望に苦しんだ白心上人を味方になるよう仕向けた説得も嘘偽りではなく、本心からの憐みだったのかもしれない・・。
タグとしては「奈落(犬夜叉)」はほとんど使われず、「奈落」が使われる。
キャラクターソングも出ており、奈落とは似つかない快活な歌い方になっている。これについて担当声優の森川は「奈落は多分歌いません」と語っており意図的に奈落を演じずに歌ったと明言している。
関連イラスト
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