能力・スペック
全長:73メートル
体重:1万7千トン
翼長:36メートル
飛行速度:マッハ10
水中速度:150ノット
概要
別名「魔海獣」。
古代ニライカナイ文明が毒を分解するバクテリアと太古の海洋生物を合成して作り出した人工生命体のなれの果てであり、もともとは海洋の汚染除去を目的として設計されたが、取り込んだ汚染物質をベーレムという生物に作り変えるという能力を持ってしまった。ヘドラとは毒を使う能力が共通しているが、互いにアンチテーゼのような存在である。
地上では4足歩行するが、後ろ足で立ち上がる事もできる。海洋生物を元にしているため全身にヒレを持ち、海中を自在に泳ぎ回る。のみならずヒレを利用して空中をマッハ10という俄かには信じられない速度で飛翔する事も可能。この速度は、対戦相手のモスラにこそ及ばないが東宝怪獣の中でもトップクラスに位置し、宇宙怪獣であるキングギドラより速い。
(さすがにこれで、大気圏離脱ができないと変。)
初登場時は成熟しきっておらず、物語の中盤以降で成熟を遂げると、両肩に嘴状の巨大な突起(砲口)が出現する。
必殺技
豊富な光線攻撃を持ち、そのほとんどが毒を帯びている。
- ベーレム弾
肩口の開閉式砲口からベーレムを弾丸のように撃ち出す。
- 噴灼毒撃波(ふんしゃくどくげきは)
ベーレムの毒を稲妻状の光線に変換して吐き出す。
- 縦列毒撃砲弾(じゅうれつどくげきほうだん)
ベーレムの毒を背中に集め、赤色光弾に変換して真上へ連射する対空砲撃技。
- 轟渦赤猛毒弾(ごうかせきもうどくだん)
海中で高速回転する事で天まで伸びる竜巻を作りだし、それにベーレムの大群を乗せて敵にぶつけ、敵を汚染しつつ自由を奪い、水中に引き込んで痛めつける。
- 爆龍赤塊光波(ばくりゅうせきかいこうは)
独楽の如く高速回転しつつ撃ち出す、三日月型の赤い光弾。
- 超重龍爆炎(ちょうじゅうりゅうばくえん)
完全体になって会得した最強技。両肩から放つベーレム毒素の破壊光線。
ベーレム
別名:極毒結晶体(ごくどくけっしょうたい)
直径:40~50cm
体重:2~4kg
ダガーラが体内で生成する生物。外観はオニヒトデに似ている。オニヒトデのような棘こそ無いが、生物を探知して強酸性の体液「ウレコット・エッカクス」を吹きかける能力を持つため単独でも危険である。
また、ダガーラの肩口から砲弾として発射されたり、竜巻に乗って敵にまとわり付いて自由を奪うという攻撃方法にも利用される。
ダガーラの体内にはベーレム生成器官が存在し、これがダガーラの弱点となっている。
パンフレットによれば、射出孔は口と同じ仕組みで開閉していた。造形物としての実情は、ヤマタノオロチとあまり変わらなかったらしい。
作中での活躍
古代ニライカナイ文明により生体海洋浄化システムとして改造されたが、暴走して海洋を汚染し、ニライカナイ文明を滅ぼした。その後は海底に封印状態で眠っていたが、現代において海洋が汚染されたため、復活を遂げ活動を再開する。
沖縄の海をベーレムで埋め尽くし、次いで日本中の海を汚染。そしてニライカナイの遺跡であるピラミッドが出現すると、自身も姿を現し、石垣島を蹂躙する。そこへ飛来したモスラと空中戦を繰り広げるが、空中戦は元々モスラの十八番であり劣勢に陥る。そこでモスラを海に誘導し、海中に潜んで上空からの攻撃をかわし、轟渦赤猛毒弾でモスラを海中に引きずり込んだ上に大量のベーレムを付着させ、散々に痛めつけた。モスラは何とか海上へ脱したが、大ダメージを受けてピラミッド上に着陸、その場から飛び立つ事もできなくなる。
そしてダガーラは完全に成熟し、再び空中へ飛び出してモスラを爆撃。しかしモスラがニライカナイの秘宝・ゴーゴの力でレインボーモスラそしてアクアモスラに変身すると、あらゆる光線攻撃をバリアに弾かれ、さらに「イリュージョン・ミラージュ・アクア」で無数の小型分身体となったアクアモスラに自身の体内へ潜入される。体内のベーレム生成器官をビームで破壊されて失神し、最期はモスラの「スペース・ミラクルフォース」で空中高く吊り上げられたのち、ピラミッドに叩き付けられ、ニライカナイの遺跡とともに海水と化して消滅した。
漫画版での活躍
漫画版では映画版と同様の設定に加えてダガーラという名が古代ニライカナイ語で掃除機を意味する単語であることや改造される前は1匹の小さな魚であったことが語られた。
そして、レインボーモスラとの戦いに敗れ、死の間際にベルベラに対して「母親に再会する夢を諦めてモスラを助けた航平のような人間がニライカナイにいれば、自分が改造されることはなかっただろう」と言い残すと1粒の魚卵を遺している。
映画版も見方を変えれば哀しき悪役に見えるが漫画版ではそれが強調されている。
GODZILLAでの活躍
2017年始動のアニメ映画シリーズ『GODZILLA』の歴史年表によると、劇中年代における2017年のオーストラリアにこのダガーラが出現したと記載されており、映画の映像では一枚絵でその姿が描かれている(その姿は成熟した形態に酷似している)。
その前日譚の小説にて語られたこのダガーラ出現時の状況によると、航空力学を無視した重力操作のような飛行能力を有し(これは他の飛行型怪獣にも当てはまるが)、原典のような多彩なビーム能力こそ持たされていないが、代わりに体内のベーレムは致死性の病原体という設定になっており、その毒を受けた生物は体中から赤い泡を吹いて生きながら溶けていくという恐ろしい物であった。
米軍はダガーラの存在を把握しており、戦闘能力としては軍の攻撃でも倒せる程度の怪獣であったが、体内の病原体の存在が発覚したため攻撃できずにいた。その後、ダガーラはオーストラリアのシドニーに上陸し、更に指揮系統の混乱もあってオーストラリア軍はついにダガーラを攻撃、それにより倒されるもその死骸から大量のベーレムが流出、結果同大陸近海を中心とした南太平洋全体が汚染されて人類はオーストラリア大陸を失う事になった。
この出来事はクリスマスシーズンの時期に起こった事から「赤いクリスマスの惨劇」と呼ばれており、直接的な破壊被害に加えてこのベーレムによる二次被害の所為で推定死傷者数は約670万人と単独では(映画に登場した怪獣に限定すると)ゴジラに次いで2位とされている(が、実質的にはオルガやメガロの被害はこれよりも上回るとされている)。
余談
- 当初は成熟すると両肩に二つの首が出現し、ギドラ一族のような姿になる案も存在していた。
- 優れたデザインの怪獣であるにも関わらず、バンダイから大型のソフビ人形が発売されなかった(中サイズのソフビは、怪獣セット商品の一つとして発売されている)。
- 小説版GODZILLAでのダガーラ初確認の地点はルルイエの場所と同じであり、ベーレムが流れ着いたパゴパゴ港のパゴパゴとは、『遠い海から来たCOO』のパゴパゴ島と同じ名前である。
- 上陸などの直接的な被害ではないが、ベーレムが桂浜に大量に漂着しており、四国に被害を与えた数少ない怪獣である。
関連タグ
柳田理科雄:怪獣黙示録の描写の通り、下手に怪獣を倒すと未知の病原体による被害の危険性があることを『空想科学読本2』で指摘していた。