概要
2021年11月に南アフリカで確認された新型コロナウイルス変異種、ギリシャ文字のオミクロン(ο)で分類。同月下旬には懸念される変異株(VOC)に認定された。
※これ以降は、2021年12月30日時点で判明していることをもとに執筆した。不明点も多いため、状況に応じて加筆・修正をしていただけるとありがたい。
特性
未だ不明な点が多いものの、2021年11月29日時点では、変異箇所は全部で32カ所と過去最多、そのうえ、そのうちいくつかの箇所では今までの変異株に存在しない新規の変異が確認されている、ということが判明している。また、この変異株はデルタ株以上の感染力を持ち、ワクチンの効果を下げる可能性があるという指摘もある。
ただし、発見された時点よりずっと前からアフリカ諸国で蔓延していた可能性も指摘されており、研究体制の整わない国で伝播していたため発見されなかった可能性も低くない(南アフリカで確認できたのは相応にレベルの高い研究機関があったためである)。
「2020年の夏には既に存在したのではないか」という説もある。
重症化率に関しては諸般の議論があるものの感染力が強いこと自体は確実視されている。
こうした特性から、デルタ株以上に厄介な存在ではないかと危惧されており、それゆえ、オミクロン株の登場は、脱コロナ禍に向けて動き出していた世界各国に大きな衝撃を与えた(影響は後述する)。
とはいえ、現時点ではまだ不明点が多いため、今後の報道等を注視していただきたい。
オミクロン株登場の影響
オミクロン株の登場は、脱コロナ禍に向けて動き出していた世界各国にも大きな衝撃を与えた。
ヨーロッパ諸国では、デルタ株の感染再拡大に加えてオミクロン株までも登場したことにより、脱コロナに向けて段階的に撤廃してきたコロナ対策のための規制を再度導入する動きが出ている。
ワクチンパスポート義務化もさらに加速しており、フランスなどでは「ワクパスなしでの外食不可」まで踏み出している。
また、オミクロン株流入を警戒した各国は次々と検疫の強化・入国制限といった水際対策強化の動きも見せており、日本もその動きに追従する形で、2021年11月29日に「11月30日から当面の間、外国人の新規入国を原則停止する」という方針を示した。
しかしその対策も虚しく欧米諸国では感謝祭〜クリスマス〜年越しという帰省やパーティの多いシーズンも手伝い、デルタ株とのダブルパンチで感染者数が激増する自体に至りアメリカやイギリス、フランスなどは1日の新規感染者数の記録が大幅に塗り替えられる事態となり、一時期は減少していたインドや南米も万単位の増加が続出。
また、オミクロン株の登場は回復基調にあった世界経済にも多大な影響を与えた。実際に株価は軒並み下落し、前日まで値上がりが続いていた原油価格さえも暴落、2か月半ぶりの最安値を記録するといった現象が見られた。
日本国内の出演者のみのイベントは今の所中止はそれほど出ておらずコミックマーケット99などの年末大型イベントも予定どおり規制の中ではあるが開催された。
しかし外国からの出場者が出るイベントには入国禁止に伴い影響が出ており、12月上旬に大阪市で開催予定だっったフィギュアスケートのグランプリファイナルが中止となった。
国内出演者のみのライブやイベントでワクチンパッケージに参加していない公演でも「ワクチン接種証明かPCR検査結果証明の提示」を義務付けるところが出てきている。
ワクチンの効果もあって一時期は東京都の感染者数は1桁まで抑えられていたが、2022年は年末年始や冬の季節という影響もあり再び感染者数が増加した事で1週間で東京都の感染者数は10倍以上まで膨れ上がり、特に沖縄県は第5波を越える4桁の感染者数になったことで山口県、広島県も含め再びまん延防止等重点措置が適用される事態となった。
沖縄県の急増には米軍基地からの流入(アメリカの風習的にマスクが不徹底になりがち)も指摘されているが、一方で米軍基地を抱えつつ感染抑制できている地方もあるため、沖縄の低いワクチン接種率や大人数での親族行事を重視する地域の風習もあると思われ、現地の病院の医師も「(原因は)ほぼ会食。正月、忘年会で会って、1人の陽性者から芋づる式で感染している」」と明言している。参照
予防
未だ詳細が不明な点が多いが、基本的な性質はこれまでの株と同じであるため「手洗い、換気、マスク」「三密を避ける」と言う基本的な対策を改めて徹底しよう。
コロナワクチンも2回以上の接種と未接種では重症化の確率が大幅に変わるとの見方もあり、体質的に可能であればやはり受けた方がよい。
感染者数が急増している地域では会食は避け、オンライン飲み会などに転換すること。
2021年の秋冬は欧米や韓国でも感染者数が激増しているが、感染者数自体はオミクロン株よりむしろその以前のデルタ株などが主流である。
これらの国で既に現在進行形で新たな変異株が発生している可能性もあり、「どんな株がいつ来てもおかしくない」という緊張感は維持して対策を行おう。
また、オミクロン株の重症化率が仮に低かったとしても感染者数の総数が多ければ比例して重症者数は増えて医療崩壊に繋がる。
事実、アメリカではすでに入院患者に使う治療薬が底をつきかけている自治体もあり薬の生産も追いついていない状態にある。
「感染拡大はしないに越したことはない」のである。
余談
- 飛ばされたν(ニュー)とξ(クサイ)
この記事でまとめられているオミクロン株の直前に当たる変異株はミュー株であり、ギリシャ文字のν/Ν(ニュー)とξ/Ξ(クサイ)が飛ばされている。これについてWHOは公式には理由を明かしていないものの、イギリスのメディア「テレグラフ」のシニア編集委員はTwitterで以下のように発言したので、そのまま記載する。
「WHO関係者によると、ギリシャ文字のニューとクサイは意図的に避けられた。ニューは「new」という言葉と混同するため、クサイは『ある地域に汚名を着せないようにする』ためにそれぞれスキップされた」
- 尾身クローン
オミクロンという名称が決定した際、日本国内では「オミクロン株ならぬ《尾身クローン株》じゃないか」とツッコまれ、若干話題になった。
なお、ここでいう「尾身」とは2021年現在、新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長として知られる尾身茂氏のことであると考えられる。
日本国内では、「ξ(クサイ)がある地域に汚名を着せないように配慮したために飛ばされたのではないかとするなら、なぜ尾身氏には配慮しなかったのか?」といったツッコミも見られた。