ディクタストライカ(ウマ娘)
でぃくたすとらいか
概要
ウマ娘シンデレラグレイに登場するウマ娘。
戦歴や異名などからモチーフ馬は恐らくサッカーボーイ。中央(東京都府中市)にあるトレセン学園の生徒で、物語登場時点の成績は4戦3勝という好成績。異名は「栗毛の弾丸」。
その実力はヤエノムテキを始めとする同期組でもオグリやタマモクロスと並んで明確に格上な異質の存在として見られている程で、競争者としての観察眼も優れている。
オグリ本来の距離適性がマイラー(1600m前後のレースを得意とするウマ娘)であることも見抜いており、お互い得意な距離同士としてシンパシーを感じていた様子(オグリがタマモとの再戦するジャパンカップでは、数多の取材を全てキャンセルしてリアルタイムで観戦していたほど)。
担当トレーナーは小内という身長2m越えの大柄な男性で、若干几帳面で暗めな彼の性格は既に慣れっこなのか良好な関係。
皐月賞は足を痛めて出走できなかったが、日本ダービーで復帰。その後函館記念でメリービューティーに五バ身差を付ける日本レコードで圧勝し完全復活。
容姿
異名の通り髪は栗毛で、見えにくいが白い部分があり、被ってるフードから耳が突き出ている。
フードは着ているパーカーについているもので、赤い色の帯状模様がついている。
このパーカーは勝負服はもちろん制服やGⅡ以下のレースで使用する体操服にも付けているが、彼女なりのポリシーなのだろうか?
ちなみに、第61Rでは朝練でいつもと少しデザインの異なるパーカーを着ている。
本人の鋭い三白眼は史実のサッカーボーイでもあったディクタスアイをイメージしたものか。2022年にウマ娘化が発表されたサッカーボーイの息子に当たるナリタトップロードなどと比べるとクールな印象を受ける。なんだったら遠戚のナカヤマフェスタの方が印象としては近い。
性格・人間関係
見た目の雰囲気通り口調も荒く、勝気な性格。レースに対しての闘争心も人一倍で、彼女曰く「勝って勝って勝ち続けて自分を証明したい」という負けん気の持ち主。
反面、一度本気でキレると建物の壁をヒビが入るまで蹴り続けるレベルの激情型という側面もある(と言っても、彼女がここまで追い詰められたのは諸々の事情もある)が、流石に本編中でも本気で彼女が怒ったのはこの1度だけである。
しかし、かといってただプライドの高い自信家というわけではなく、お嬢様であるメジロアルダンやチヨノオーとはよくお茶会と称してレース観戦に行く仲で、特にチヨノオーに対しては髪をモフる程可愛がっている。ただ、トレーナーの小内曰く「お人好し」とのこと。
オグリには前述した通り同じマイラーとして親近感を持っており、一度タマといざこざがあって精彩を欠く練習を繰り返していたオグリへ直接非公式のレースで対戦する形でアドバイス(一喝?)を送るなど、タマモクロスと並んで彼女を高く評価していることが窺える。
(二人で一緒に砂遊びをしたことも)
また、自分以上に口も態度も悪いブラッキーエールとは気が合うのか、良くも悪くも他人から距離を取られがちな彼女にとっては割と貴重な気安く軽口を叩ける関係。たまの休日には一緒にゲーセンに遊びに行くこともあるらしい。
活躍
ジュニア~クラシック時代
初登場したのは第1章の17Rからだが、当時は名前もそこまで知れていないカサマツ出身のオグリに対してあまり関心を持っていなかったようで、転入直後の彼女とは殆ど接点を持たなかった。
既に入学後から4戦3勝の好成績、GⅠ級レースの阪神ジュニアステークスでも勝利するなど順調に戦績を積み重ねて「世代最強」との太鼓判を押されたディクタは、「全レース負けるつもりはない」と意気込むままクラシック級レースの道を進むことになる。
しかし、クラシック戦では不幸にもクラシックレースの大舞台の一つである皐月賞の直前に片脚を痛めてしまい、出走はやむなく回避することに(なお、皐月賞を勝利したのはヤエノムテキ)。
そして、クラシック三冠レースの一角である日本ダービーには怪我を押して参戦。ヤエノムテキやチヨノオー、アルダンを含めた同期の面々と対峙するディクタだったが、流石に負傷した脚で激戦のダービーに潜り込むのは難しかったのか15着の惨敗を喫してしまう。
その後は函館記念で無事に元の力を取り戻した彼女はそのままレースを圧勝、学園のエースに再び返り咲くことになる。この頃にはヤエノやブラッキーらと激戦を繰り広げたオグリの実力を見直し、彼女のレースを積極的にチェックしていく描写も多くなっている。
オグリの得意な体質が奇しくも自身と同じ「マイラー」であると勘づいていたこともあってマイルチャンピオンシップにも本人へ直接挑戦を申し込むなど、クラシック戦線から一歩引いた立ち位置でレースをしていた彼女とは戦う機会は殆ど訪れなかったがディクタなりに入れ込んでいたことも示唆されている(なお、諸事情でオグリはマイル路線を選ばなかった)。
マイルCSは最早安定の圧勝を飾り、着実に成果を伸ばし続けつつあったディクタだが、天皇賞(秋)やジャパンカップといった別路線で戦うオグリには暫く静観の構えを決め込む態度であった。
やがて、年末に開催される日本有数の大型レースである有馬記念に参戦、ここでようやく初めてオグリキャップとの対戦が実現する運びとなった。なお、2500mの中長距離レースということで、破竹の勢いで猛進する先輩のタマモクロスやトレーナーの元で菊花賞を制したクリーク、秋天でも見事な逃げを見せたロードロイヤルと様々な強者が揃い踏みする魔境であった。
そんな中、ライバルであるタマモクロスと会見前にイザコザを起こして半ば自暴自棄気味にガムシャラな練習を重ねるオグリに…。
「よぉ、遊ぼうぜぇ オグリ」
以下、『シンデレラグレイ』第65R以降のネタバレを含みます。
ダービー敗戦の直後
皐月賞の休養とダービーでの敗戦は彼女の「世代最強」という肩書きと周囲の期待から大きく外れたもので、やがてメディアや関係者の中にもこれまで持ち上げていた態度が嘘のように失望と落胆の声が上がるようになっていた。
スポーツ新聞の記事でもバッシングとまではいかないが次々と彼女の不調や惨敗ぶりを語られ、記者団(?)の面々には「ただ早熟だっただけ」、「天才もこんなモンか」、「ディクタストライカは終わったな」とまことしやかに囁かれるようになった(なお、本編で彼女が「記者会見は好きじゃない」と言及しているのはこの時のことが未だに心の傷となっているものと思われる)。
「クソ、クソ、クソ…!!」
「なに勝手に終わらせてんだ!!フザけんな!!」
それまでの自信を打ち砕かれたディクタは自らの力を証明するため、メリービューティーやシリウスシンボリを初めとするシニア級ウマ娘が2名出走するローカルGⅢに出走することを決意する。
先の大敗の直後でかつ対戦メンバーも上記のダービーウマ娘が2名参戦とあっては周囲からも大して期待もされずにそのまま敗北を繰り返すだろうと目されていた。しかし…
「言わせねぇ...証明してやる!!オレ自身の...全てを懸けて!!!」
持ち前のプライドや負けん気を糧に、「領域」に突入したディクタは、それまでの非難を払拭するかのようにダービーウマ娘2人を圧倒、完全復活を成し遂げるのだった。
オグリとのあれこれ
そして時は現在へと戻り、未だオベイユアマスターやトニビアンカ、そして宿敵のタマモクロスが体験できている「領域」への入り方を模索していたオグリへ、「有馬までの模擬レース」という形で勝負を申し込む。
「『こっち』へ来いよオグリキャップ!!もっとオレを…熱くさせろ!!!」
「オレにできてお前にできねぇわけがねぇんだよ!!来い!オグリィ!!」
模擬レースという名の本気の対決に戸惑うオグリに、ディクタは断片的ながらも「領域」へのヒントやアドバイスを教えながら叱咤する。決してこれまで同じレースで切磋琢磨した訳ではない、それでもスランプに陥る自身を横に活躍を続けるオグリキャップは、ディクタにとって紛れもない「ライバル」でもあった。
この出来事はオグリにとっても「領域」に対する何かを掴む切っ掛けの一つとなり、オグリ陣営でもベルノライト発案の走法と合わせて有馬記念に少なくない影響を与えることとなる。
小ネタ
週刊ウマジャンプ
第60Rの一コマでディクタストライカが読んでいる雑誌名。見た目は週刊少年ジャンプに似ているが表紙にウマ娘らしきキャラクターが描かれている。
…いったいどのような内容が載っているのだろう?
ちなみにジャンプは1968年に販売され始めたかなり歴史がある雑誌である。
ゲーム版では…?
ゲーム版のサクラチヨノオーのシナリオでは、1600m級レースでレコードを記録し、年間で優秀な成績を収めたウマ娘に送られる「URA賞」では総得票数127票と圧倒的な支持で最優秀ジュニアウマ娘に輝いたとある人物が言及されている。
距離がマイルであることや劇中でも「圧倒的な天才」として語られている点から、名前こそ登場していないものの十中八九このウマ娘はディクタのことだと思われる。なお、1987年におけるJRA賞最優秀3歳牡馬はサッカーボーイである。なお、メジロアルダンの育成ストーリーにおいても直接の言及はないがディクタの存在を匂わせるような台詞が一部存在する。
競走馬サッカーボーイ
88年、マイルチャンピオンシップ。
走ることに、安心なんて求めるな。
危険と呼ぶか。冒険と呼ぶか。
見る者すべての心を搔き乱す、その末脚を人は愛した。
その馬の名は、サッカーボーイ。
無難を笑え。
(2012年 JRA CM「THE WINNER」マイルチャンピオンシップ編より)
─────────────────────────────────────────────
尾花栃栗毛という栗毛よりやや暗めの毛色に鬣と尻尾の毛がススキのように薄く透き通っているという、栃栗毛よりも尾花栗毛よりも更に激レアな毛並みが特徴の馬で、オグリキャップやタマモクロスなど1984世代や1985世代の同期たちとしのぎを削った。
性格は凶暴でディクタスアイと呼ばれるディクタスの血をひく馬固有の三白眼で威嚇したり、ゲートで暴れて前歯を折ったこともある。
ただ、凶暴ゆえなのか力が強く、オグリとタマモのレース(上記の前歯を折ったレース)では3着(スーパークリークが失格したことによる繰り上がり)になっており、その後に骨折したことで結果的に、これがサッカーボーイの引退レースでもあった。
引退後は種牡馬として生活。ナリタトップロードやヒシミラクルを輩出した。
産駒の特徴は強い脚力とスタミナで幅広いレースに対応ができた。
サンデーサイレンス産駒一の暴れん坊「ステイゴールド」は彼の甥(全妹の子)にあたり、厩舎に入ってきたステイゴールドを威嚇し、ステイゴールドも威嚇したというエピソードがある。
「弾丸シュート」と言われ、時計を見た解説から「恐ろしい馬!」と言われたことも。
ちなみに「恐ろしい」発言は天馬・トウショウボーイも言われたことがあり偶然か二頭とも「ボーイ」がつく(性格は真反対だが)
このレース(函館記念)で取った記録は今もなお破られていない。
2011年に死去。また甥オルフェーヴルが三冠目に挑む17日前の事だった。
関連タグ
・オグリキャップ・・・同期。結果的な引退試合である有馬記念のみ対決。
・タマモクロス・・・タマモが一つ上、上記の有馬記念で対決。サッカーボーイと違って33回目有馬記念で引退が決まっていた。
・スーパークリーク・・・最後の有馬記念のみ対決。スーパークリークがメジロデュレンの進路妨害をしたことによる失格でサッカーボーイが繰り上がった。
・サクラチヨノオー・・・数回対決し、チヨノオーが1着になった競争が2回ある。
・ヤエノムテキ・・・1度対決。2分の1の着差でサッカーボーイが1着となる。
・ナリタトップロード・・・史実では息子。↓の元ネタにぶつかられた被害者でもある。
・キンイロリョテイ・・・元ネタは甥。上記した通り厩舎で睨み合ったり、ナリタトップロードにぶつかってケガさせたりと因縁がある。
ウマ娘ではモブだが、登場数がそれなりに多く仮名なのも共通している。
・ナカヤマフェスタ・・・また甥(ステイゴールド産駒)。頭にかぶっているものから耳が出ている。
・ゴールドシップ・・・また甥(ステイゴールド産駒)。ゲートで暴れたこともある。ゴルシの場合は負傷がなかった。ちなみにゴルシの菊花賞前にサッカーボーイの妹でゴルシの祖母・ゴールデンサッシュがこの世を去っている。