宇宙貨物船きさらぎ
うちゅうかもつせんきさらぎ
概要
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』に登場する輸送船。デザイン担当は同作副監督の小林誠。
2200年に就役した軍用輸送艦。船籍番号は「U.F.C.F.Com-74885-2200」。船長は元ヤマト航海科気象長である太田健二郎。波動エンジンを搭載しているため恒星間航行が可能。
逆三角形状のシルエットが特徴的で、両舷に取り外し可能な複数のコンテナを搭載している。そのためコンテナが無い状態だと船体中央部がくびれた感じになる。カラーリングは濃いグレーとオレンジのツートンカラー。船体には軍のエンブレムと「CARGO CONTAINER」「NANBU INDUSTRY EXPRESS」「安全第一」といった文字が書かれている。
「NANBU INDUSTRY EXPRESS」という表記から、実運用は南部康雄の実家「南部重工大公社」の関連企業である「南部重工エクスプレス」(この日本語名は小説版より)という輸送会社が行っていると思われる。
アニメでは詳細な設定は語られないが、小説版では多少説明が追加されている。
普段は地球と第十一番惑星を結ぶ定期便として運航されている。設計がかなり優秀なようで、太田曰く「20年くらいは現役でいられる」らしい。また「きさらぎ」をベースとした内惑星用の通常動力型も存在しているとのこと。
劇中ではクラウス・キーマンに招待された古代進が、地球政府の監視を掻い潜って秘密裏に月面のガミラス大使館を訪問しようとした際、彼に協力。彼の乗る100式空間偵察機を積んだコンテナを月付近で事故を装って分離・投下した。
第17話以降は同型船も多く登場。特に第22話における火星域でのヤマトの修理・応急改装時には、本船のコンテナが多数並べられ、ヤマトを覆っていた。
余談
知っている人は一見で分かるが、『宇宙戦艦ヤマト復活篇』序盤で古代が乗っていた貨物船ゆきのデザイン流用である。見た目はほぼ同一だが、『復活篇』時代のものは改修された姿とのことで、舷灯の形や艦橋の窓枠の数などが異なっている。
単純に年代だけ見ると20年近く未来の存在であるため、本作での登場に若干の違和感を感じた視聴者もいた(小説版での「20年くらいは現役でいられる」はその補完と言える)。
前作『宇宙戦艦ヤマト2199』でも続編要素は出ていたが、あれらは旧作でも設定上はその時点で既に存在しているもので、一部はファンサービスとしても機能していた(次元潜航艦とフラーケンといった例外もあるが、あれも一応ファンサービスになる程度の人気はある)。
しかし本船の場合、スタッフが趣味で入れたというくらいしか理由が見当たらなかったため、「“リメイク作品”でありながらスタッフの内輪ネタを見せられてる」「無理矢理『復活篇』へ繋げようとしている」等と受け止め、良い印象を持たない視聴者もいた模様。特にデザイナーである小林氏の影響力の増大が窺えることから、同時期に出た他のリメイク版新規メカと並び、本作のメカデザインの方向性が『2199』はおろか原作となる『さらば』『ヤマト2』とも全く異なるものになるのではないかと一部視聴者から不安視された(そしてその懸念は少なからず的中してしまった)。
ただし、純粋に本船の登場を好意的に受け取る声も多い。『復活篇』絡みという裏事情まで気にしないのであれば、本船自体は別段アクの強いデザインというわけでもなく、元々『復活篇』メカの中では『さらば』『ヤマト2』時代の名残を強く残している方だったので、本作にいてもそれほど違和感はない存在である(むしろ空母型アンドロメダ級などの下手なオリメカより馴染んでいる)。
ただ、改修されたという設定を用意するなら窓枠なんて微々たるところではなく主砲塔や対空砲などをこの時代に合わせたデザインにした方がより良かったのでは…(『YAMATO2520』→『復活篇』のブルーノアがそうだったように)
ちなみに『さらば』『ヤマト2』に元々登場していた輸送船は本作には出なかった。あちらはタンカーなので、本船とは住み分けできるのに…
表記揺れ
輸送船きさらぎ:公式的にはどちらかというと「宇宙貨物船」の方が表記揺れに近い模様。