双見光
ふたみひかる
概要
『風都探偵』第9集「fに感謝を」第1話より登場。ストリートギャング“蒼炎群”の一員であるソバカスが特徴的な青年。
描写からパシリや実行役を担う、組織の末端メンバーに当たるらしく、リーダーである風吹鉄男に入手したガイアメモリの性能を見極める為、体のいい実験台として利用されていた。そんな自分の境遇に不満を抱いてはいるが、元来小心者である彼は逃げ癖もあって、メモリの携帯を許されていない。
以下ネタバレ注意‼
対外的にはヒカルと名乗っていたが、本名はどうやら警察の捜査力でも判明しなかったらしく、9巻のラストで初めて名乗った。
使用経験のあったマグマやコックローチ等よりも、再生能力に長けたメモリと特別に相性の良い体質だったらしく、Wとの戦いでは同じクラブメモリでドーパント化した鉄男よりも遥かに優れた自己再生能力や、マキシマムドライブを叩き込まれても直ぐに立ち上がるまでに回復力等、その鱗片を見せていた。
自分達が推し進めるとある計画の要となるはずだった『二階堂守の後継者』を探していた万灯はそんな彼の高い素質を見込み、密かに住人の証でもある「ビゼル」とリアクターメモリを彼に支給。
Wとの戦いに敗れた後、病院へと護送される途中で覚醒すると、今まで自分を踏み台にし続けていた鉄男を鬱憤晴らしの意味も含めて始末。
二階堂の後継者、新たなるリアクター・ドーパントとして『街』に迎え入れられた。
万灯の狙い通り、リアクターメモリとの適合率は二階堂よりも高かった様子で、彼では不可能だった使用後に体に溜まる熱の完全放出、彼より高温の青い炎が使える等、従来のナスカ・ドーパント→Rナスカ・ドーパントのようなパワーアップが起きている。
但し、上記の逃げ腰に加え、「自分が優秀」と分かった時の不遜さ等、組織人としては幾分資質に欠けている上、裏風都が彼の理想である『大道克己』と明確に違うと判断された場合、彼の存在が『街』の綻びになる可能性も充分に孕んでいる。
上記の鉄男の始末は『万が一の保険=更なるリアクター適合者の確保』の観点で見れば、裏風都にとってマイナスでしかないが……当の鉄男は短絡的な仕切り屋という性質を持つ。
組織人としてもこの性質はヒカル以上に問題であり、そんな人材に準幹部の地位を与えれば蒼炎群時代以上の横暴がまかり通るようになるのは目に見える。
遅かれ早かれ始末されていた、とまでは断言できずともその点を考慮してヒカルを二代目リアクターに選んだことは想像に難くない。
また、光の臆病とも取れる性質は常に危険と隣り合わせな革命家にとっては必須スキルであり、必要ならば逃走も辞さない考えは組織の利益を生む可能性もある。
事実、自身の持つ素質に気づいてからは『逃げ腰な小心者』=『油断をしない用心深さ』へと欠点が昇華されており、他にも
・「自分が優秀」と分かった時の不遜さ=『勝てる相手には最大限示威行為をする』というイニシアチブの確保。
・勝てない相手には表向きは逆らわない=『戦士』でなく『革命家』を志す以上は『勝てる戦いにのみ挑む』事は戦略以前の大前提であり、またヒカル自身も『勝てる戦いを整える』事自体を怠る事はしない。
・相手の顔色を常に窺っていた経験=見た目等表層的な情報だけで判断しないという事は異能バトルにおいて常識的と言える戦闘思考。
・自己顕示欲は在るが素直には実力を見せない=自身の力を馬鹿正直に開示せず、それでいて開示していい情報だけで周囲に自身の力を見せつける事に成功している。
等、若年でありながら一幹部としての風格を併せ持つようになった。
特に最後の一点は万灯に似ていると評されており、戦略的な立ち回りとしては裏風都の幹部陣からかなりの評価点を貰っている事が窺える。
歴代最速でドライバーを手にしていることもあり、千葉秀夫からも「したたかで底知れない野心を隠し持っている」と称賛されているが、それと同時に「権威欲はないが殺人にしか興味がない」と評される五条一葉に匹敵する危険人物として警戒されている。
一方で一葉からはそこそこ気に入られており『好感は抱くが好きじゃない=殺害対象には毛色が違う為なりえない』という事もあってかかなりフレンドリーに先輩風を吹かせている。
無論の事ヒカル自身は一葉の事を恐怖していた。が、とある一件で深く関わる内にその狂気の純度と方向性を確認した事である種の敬意を抱くことになる。