「踊るぞ、死神のパーティタイムだ!」
CV:中村悠一(『KAMEN RIDER memory of heroez』)
変身する仮面ライダー
概要
死者蘇生兵士「NEVER」第1号であり、仮面ライダーエターナルに変身するNEVER部隊のリーダー格。
風都の住民を「ガイアメモリに命運を握られた、哀れな箱庭の住人たち」と呼び、彼らを恐怖のどん底へ叩き落とす。
仮面ライダーダブルの決め台詞である、「さぁ、お前の罪を数えろ!」に対し、「いまさら数え切れるか!」と正面から返した人物でもある(Wの決め台詞に対して正面から返答した人物は他にも何人か存在するが、自分が罪を犯していることを認めつつ、その罪が『必要だった』とか『忘れた』というような言い訳を一切しなかった人物という意味では、唯一の人物である)。
フィリップを「運命的に誕生した科学の怪物」と評しており、自分と似た境遇を持っていると見なし、兄弟と呼ぶが…。
人物像
性格は冷酷にして残忍、目的のためであれば大勢の人間や仲間の命、果ては実母すら切り捨てる非情さを持ち合わせた、まさに「悪魔」とも呼べる存在。
しかし同時に人を惹きつけるある種のカリスマを持ち合わせており、NEVERの仲間を始めとした彼を慕う者は多い。
戦闘時にはコンバットナイフを武器に、傭兵としての経歴やNEVERの身体能力の高さも相まって最強フォームであるCJXすら圧倒的な力でねじ伏せるなど桁外れの戦闘力を持つ。
また、単身で飛行中のヘリにしがみつくなど生身の戦闘力も高い。
元は病弱な心優しい性格の少年だったが、16歳の頃にトラックの轢き逃げ事故に遭い、死亡。その後、実母のマリア・S・クランベリーの手によってNEVER化、細胞投与により肉体を成長させられ現在の姿になった。
NEVERになった後は、冷酷非情な性格になりながらも、ある種の人間性が残っていたが、とある事件がきっかけで、悪魔と呼ばれる性格に変貌してしまった。
宣戦布告および処刑宣告として、相手にサムズダウンを見せる。
活躍
冒頭では26本のT2ガイアメモリを奪い取るべく財団Xのヘリを襲撃。エターナルメモリの強奪に成功するものの財団職員によってヘリが自爆し、風都中に25本のT2ガイアメモリが散らばってしまう。
その後は仲間と合流して風都タワーを襲撃し占拠。T2ガイアメモリを集めるべくNEVERの仲間やマリアを風都へ潜り込ませ、自身もT2ガイアメモリを集める左翔太郎たちを第2風都タワー建設現場へ呼び出すとT2ガイアメモリを奪うべく彼らと交戦。
彼らを圧倒的な力でねじ伏せると、エターナルの能力でT2以前のガイアメモリを機能停止させてダブルとアクセルを変身不可能な状態に追い込む。
25本のT2ガイアメモリを手中に収めた克己は最後の1本を手に入れるべく、映像を通して風都市民の前に姿を現すと10億の報奨金をチラつかせて最後の1本を捜索させると同時に風都中を混乱の渦へと落とした。
その後はマリアを利用してフィリップの拉致にも成功し、最後の1本を風都タワーで待っているとレイカ、剛三を退けた翔太郎の襲撃を受ける。連戦に次ぐ連戦で疲弊していた彼を撃破して最後の1本を強奪すると26本のT2ガイアメモリと地球の本棚へアクセスできるフィリップを組み込んだエクスビッカーから「死の光」を放ち、風都の住民を生きたまま自分たちと同じ「バケモノ」であるNEVERに変えようと目論む。
しかし自身の悪行に激怒したフィリップの抵抗によってエクスビッカーは破壊、エターナルの能力も無効化されてしまう。加えて自身もマリアによって「細胞分解酵素」を打ち込まれて窮地に陥ってしまう。
何とかエターナルとゾーンのメモリを持ち出して、その場を切り抜けると、今度は自らを媒体として「死の光」を放つという暴挙に出る。
連続ハーフチェンジで果敢に攻めるダブルと互角以上に渡り合うが、エクストリームに変身したダブルを見るやゾーンメモリの力で26本のT2メモリの同時マキシマムドライブを発動。(おそらく、プリズムメモリの力でエターナルの力を無力化することを警戒したと思われる)タワー上空のネクロウェーブを吸収したことでパワーアップ。風都タワーてっぺんの風車の羽を切り落とし、乗っていたダブルをも叩き落とすことに成功。
「メモリの数が違う…終わりだァ!」
彼が勝利を確信したその時、街の人々の声援と風都の風を受け、ダブルがサイクロンジョーカーゴールドエクストリームに奇跡の進化を遂げる。
風都市民とダブルが起こしたその奇跡に仰天しつつも、エターナルネバーエンドをお見舞いするも適わず正面から破られ、ダブルのゴールデンエクストリームを喰らい、風都と仮面ライダーの絆の前に完全に敗れ去る。
「これが…そうか…これが…!」
フィリップ「そう…それが“死”だ…大道…克己」
「久しぶりだな…死ぬのは…!ハハハハハハハハハ!うわぁぁぁ!!!」
と、自分の死を感じながら高笑いと共に爆散。
自身が奪った全てのT2ガイアメモリと共に風都の空に散った。
こうして、極悪人として最期を遂げた彼の名は風都史上最悪の犯罪者として永遠に刻まれたのだった…。
運命のガイアメモリ 主題歌「W」MV
映画の幕間。時系列はT2ガイアメモリ最後の一本の回収を呼び掛けた直後の話で、浮かない表情をした少年がジャズメモリを拾った所から物語は始まる。地下施設で外套を羽織った克己はミュージアムの仕向けたマスカレイド・ドーパントを蹴散らし、少年と出会うが、突如としてジャズメモリは消滅。何かを感じ取った克己は、少年に何らかの言葉を送って帰す。少年は以前よりも堂々とした表情で日常に戻って行く…それを見送る克己の表情はどこか晴れ晴れとした物だった。
奇しくもジャズの頭文字は、ジョーカーメモリと同じ「J」であり、これが劇場版の伏線になっている。
『仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーエターナル』
『運命のガイアメモリ』からしばらくして、翔太郎たちは超能力兵士「クオークス」である少女・ミーナから克己の意外な過去を聞かされた。
財団Xからの資金提供が打ち切られ、NEVERの実験が凍結されてお払い箱になった彼は、生みの親であるマリアの管理下で、同じNEVERの部下と共に傭兵として世界各地の戦場を巡っていた。
ある時、彼はとある戦場で、ミーナと戦うこととなる。彼はミーナを倒すが、ミーナの眼に薄っすらと浮かぶ涙を見た克己は彼女が戦いを望んでいないことを悟り、「殺す価値はない」として止めを刺さなかった。
直後に現れた2人のクオークスの襲撃を逃れた先の海岸で、今度は試作のガイアメモリ「エターナルメモリ」で仮面ライダーエターナル・レッドフレアに変身した財団Xのエージェント・加頭順に襲われる。ミーナに戦いを強制しているのが財団Xと知った克己は加頭と戦うが敗れてしまい、意識を失う(この際ドライバー越しにエターナルメモリに触れようとした瞬間、メモリが突如謎の機能停止を起こしエターナルは変身解除)。
『エタ、エタ、エエエ、エターナル…』
加頭「不調だな」
克己が目を覚ますと、そこは世界中から拉致してきたクオークス達を実験体として閉じ込めておく巨大な箱庭「ヴィレッジ」の中であり、克己はクオークスの能力を試すサンドバッグ代わりに連れて来られていた。克己は脱出を試みるが、「アイズ」のメモリを持つヴィレッジの管理者にしてクオークスの開発者・Dr.プロスペクトに阻まれ、命からがらその場から逃げ出す。
ミーナは能力で克己らNEVERの過去を読み取り、彼らが自分達と同じ様に実験体にされた境遇であることを知って克己の後を追い、「箱庭全体に電磁パルスを照射し、弱いクオークスを殺す選別『ヘブンズ・フォール』がもうじき行われる。高い能力を持つ自分なら、克己(と、同じく捕らえられたレイカ)を電磁パルスから庇うことができる」と伝える。
しかし、彼はその申し出を拒み、『ヘブンズ・フォール』が行われる前にヴィレッジの管理施設を破壊しようと決意。
克己は選別が行われることをクオークス達に告げ、自分の素性や想いを明かすことでクオークス達に希望と勇気を与えた。
「過去が消えていくなら、俺はせめて明日が欲しい! だからあがき続けてるんだよ!」
「なあ、死人の俺のほうが懸命に明日を求めてるってのは、一体どういうわけなんだ!?」
彼は単身ヴィレッジの管理施設に突撃し、ついにDr.プロスペクトと対峙。自身の生まれ故郷である風都がガイアメモリの実験場にされていることを知るが、直後その場に居合わせた加頭が変身したユートピア・ドーパントと戦闘に突入。ユートピアの「精神力を奪う」能力を死体であるという特性によって無力化するも、クオークスとしての能力・パイロキネシスによって全身を焼かれてしまう。
窮地に立たされた克己だが、執念でユートピアの腕にしがみ付き、啖呵を切ってみせた。
「うああっ!…無茶言うなよ…!これ以上死ねるか…!」
「俺は不死身だ…この世に自分の存在を刻みつけるその日まで…永遠に!!」
その時、まるでその言葉に呼応するかのごとくエターナルメモリが輝き出し、再起動。
さきほどの機能停止は加頭を越える適合率を持つ克己と触れあったため、エターナルメモリは加頭を拒絶したのだった。
『エターナル!』
克己「永遠…“エターナル”…!」
加頭「馬鹿な…!壊れていたはずだ!!」
そして加頭があっけに取られた隙にそれとロストドライバーを奪い取り、エターナルへ変身。
その姿は加頭が変身していた両腕に赤い炎の模様を纏った姿とは異なり、黒いマントを纏い、胸部をはじめとした各所にマキシマムスロットが増え、腕の炎は青く染まっていた。
本来の性能を遥かに凌ぐ力でユートピアを圧倒し、エターナル特有の「他のメモリの力を無力化する」能力によって変身が解けた加頭に渾身の蹴りを浴びせ、その息の根を止めた(この後、加頭の遺体は財団Xに回収され、皮肉にも自分を殺した者と同じ怪物として蘇った)。
直後に現れたDr.プロスペクトの管理端末を破壊したことでヴィレッジ上空の電磁パルスが崩壊したため、クオークス達が歓喜しながら箱庭を脱出していく中、克己はプロスペクトが変身したアイズ・ドーパントと戦い、エターナルの力で追い詰めるが、戦いの中でプロスペクトは「何も知らぬまま死ねる『ヘブンズ・フォール』は、むしろ私からの慈悲だ。奴らはかえって地獄を見る。」と意味深な台詞を呟く。
それを聞いた克己はプロスペクトとの戦いを中断し、急いでクオークス達の後を追うも時すでに遅く、箱庭を出た克己が見たものは、もがき苦しみながら次々と死んでいくクオークス達の姿だった。
ミーナは最後までもがき苦しみ、克己の目の前で「助けて」と呟いて息絶えた。
実はクオークスたちの体は、アイズの力で許可なく箱庭を出ると死ぬように改造されていた。そのため、箱庭から脱出した者たちは次々と倒れていった。
勝ち誇るアイズ・ドーパント=Dr.プロスペクト。
ところが克己は悲しむどころか、突然狂ったように大笑いし始めた。
「負けたよドクター、よくこんな残酷な仕打ちを考えつくよ。俺としたことが、一瞬忘れちまってたぜ。人は皆…悪魔だということを!」
「お前の“ヴィレッジ”より面白いところなんざ、もう本当の地獄しかあるまい。先に逝って、遊んでこい」
克己は再びエターナルに変身し、合流した他のNEVERたちと共にその怒りと哀しみ、絶望をぶつける形でプロスペクトを倒し、ミーナたちの仇を討つことに成功(Dr.プロスペクトはメモリブレイクの影響でアイズの能力が跳ね返り、自分が手にかけたクオークスたちと同じように額に電撃が走って死亡した)。
しかし、克己はこの一件でNEVERになったことで元々失いかけていた人間性を完全に失ってしまう。その後、限界まで能力を引き出した変身に耐えきれず完全に壊れてしまったエターナルメモリに「いつかまた会おう」と別れを告げ、ガイアメモリを生み出したミュージアムに一泡吹かせるべく、同じく実験場にされている故郷・風都に帰還した。
しかし、彼らが立ち去って間もなく、クオークスたちの亡骸の山の中からミーナが目を覚ます。なんと彼女だけは奇跡的に一命を取り留めていた。
だが、もはや克己たちにはその事実を知る由はなく、ミーナもこの時の後遺症で克己たちに関する記憶を一時的に失っていたため、結局2人が二度と再会することはなかった・・・。
翔太郎「大道克己!お前は…どこかで一つでも運命が変わってたとしたら、俺たちと同じように、風都を守る仮面ライダーになっていたはずだ。そんな男だよな…。
はぁ〜…ま〜た俺のことを甘ちゃんのハーフボイルドだって笑うんだろ…フィリップ」
フィリップ「笑わないよ翔太郎、僕も同じ気持ちさ。彼がただの悪魔ではないという事実を知った…今では…」
フィリップ「大道克己!君は街を深く傷つけた!その罪は、永遠に消えることはない…だけどせめて…弔いの花を贈ろう」
翔太郎「あぁ…ここ風都がヤツの故郷であり…墓標だ…!」
壮絶な最期を遂げたものの、彼女らを救おうとした彼もまた英雄=仮面ライダーだったと知った翔太郎とフィリップは、克己に弔いの花を贈った。
翔太郎のいった通り、もし運命が一つでも違っていたのなら、彼もまた、風都を守る仮面ライダーになっていたのかもしれない。
ミーナに関しては部下たちが自分たちと同じように蘇生させるべきという案を「決意が鈍る」と一蹴するが、それは「ミーナをこれ以上苦しめたくない」という、克己なりの優しさであったのかもしれない。
ちなみに、『ライダージェネレーション2』では、Wとの会話でミーナについて話していることから、Wが飛ばされてきた時間軸はVシネマ『仮面ライダーエターナル』の後だとわかる。
『風都探偵』
翔太郎とフィリップの回想で「風都に史上最大の危機をもたらしたテロリスト」と語られている。
さらに、彼が起こした事件の影響はまだ残っており、彼を信奉するカルト教団じみた組織「蒼炎群(せいえんぐん)」が発足した。回想では、少年期を演じたのがフィリップと同じ菅田将暉氏であったことや、作中で克己がフィリップのifルートであることを示唆するような描写があることを意識してか、フィリップに寄せた顔つきで描かれている。
万灯雪侍は彼について「(自分を含め)数多くの人間の運命を変えた大変な男だった」と語っている。
そして、彼が発動した「エターナルレクイエム」の影響は裏風都にも大きな影響を及ぼしていた…。
『仮面ライダージオウ』
EP45よりゲスト出演。
劇場版ライダーの変身者としては、リュウガ、アクアに続く3人目のゲスト出演となる。
スウォルツ/アナザーディケイドによって、“最恐のライダー”としてアナザーワールドの「エターナルがWに勝利した世界」から呼び出された(そのため、使用しているガイアメモリはT2ガイアメモリである)。
活躍
- 『2019:エターナル・パーティ』
「またか…!いい加減きちんと死ねたと思ったんだがな」
ソウゴ「え、誰…?」
「死神の名前か…?地獄に行ったらこの名を告げろ…大道克己」
『エターナル!』
「変身」
劇中ではソウゴの元クラスメイト・小和田が閉じ込められたアナザーワールドから入れ替わるように出現。エターナルに変身し、ソウゴが変身したジオウに襲い掛かったが、そこに乱入してきた門矢士がスウォルツから容易くオーロラカーテンの能力を奪い返し、ソウゴもろともアナザーワールドへ移動し、逃げられてしまう。
その後、湊ミハル/仮面ライダーアクアと対峙し、アクアの怒涛の攻撃に押され気味だったが、
ミハル「俺は未来から来た!君なんか、過去の亡霊だ!」
「ふん…結局、未来も過去になるんだ!」
それを上回るかのようにアクアの猛攻を跳ね返し、逆にアクアを追い詰めた。
一方その頃、すぐそばで戦っていたスウォルツが変身したアナザーディケイドの能力によって、ツクヨミを助けようとしたゲイツがオーロラカーテンに連れ去られてしまい・・・。
- EP46『2019:オペレーション・ウォズ』
「教えてやる、俺は負けてはいない!たまたま風が吹いただけだ!!」
不利を悟ったウォズが仮面ライダーウォズギンガタイヨウフォームに変身し、彼の能力でまたしても逃げられてしまう。
その後、アナザーワールドに囚われたゲイツを救うべく白ウォズが立案した作戦でまずはアクアと交戦し、そして入れ替わるようにジオウと交戦する。その際にダブルアーマーの決めゼリフに対し、上記のセリフで返してからジオウの挑発に乗り、ゾーンメモリを始めとする26本のT2メモリを使ってマキシマムドライブを発動する。
しかし、その力をジオウに利用され、そのタイミングでジオウトリニティに変身したことでジオウと共にアナザーワールドへ誘導され、エターナルメモリに内蔵されていた「世界を破壊する」力でアナザーワールドを破壊してしまった。
元の世界に戻った直後に変身を解除するなり、「面白い風を吹かせるじゃないか」とソウゴたちを称賛。自身の力を利用し、自身の存在の維持に必要なアナザーワールドを破壊したことをソウゴから謝罪されるが・・・、
ソウゴ「君の力を利用させてもらった…ごめん」
「いや?おかげで俺は、俺だけを蘇らせた世界を消すことができた。これで…仲間のもとへ行ける…!」
その後、ソウゴにサムズアップを残し、うっすら笑顔を浮かべながら消滅した。
総評
『AtoZ』での克己はフィリップを騙して自らの計画に利用したほか、仲間や母親でさえ手にかけるなど、残虐で狡猾な人物となっていたが(これはVシネマでの事件が原因と思われる)、かつてはクオークスの人々を救う為に奮闘しており、本来は弱者を思いやる優しさがあったと言える。
また、風都に侵攻した際にも、「ガイアメモリから風都の人々を解放する」と言う信念を貫いており、目的そのものに悪意はなく、良心が残っていたのも事実である。
他にも、フィリップを利用したとはいえ仲間意識を抱いていたり、自分の罪を自覚していたりと、人間味のある一面も見せている。
総じて彼は、「風都を地獄にしようとした史上最悪の犯罪者」でもあり、「人々の自由の為に戦う仮面ライダー」でもあったと言えよう。
余談
- NEVER=死人である克己がエターナルのメモリと適合したのはこの世で一番ありふれている「永遠」が「死」である事からと思われる。しかしこの世には「永遠」という概念は存在しないに等しく、風都の仮面ライダーの活躍により、仮染めの「生」が変身した『永遠』は再び死という永遠に帰着したのだった。
- ファンからの愛称は、泉京水の呼び方に倣い「克己ちゃん」。
- 極悪人でありながらその突き抜けた悪役ぶりやカリスマ性、かつては仮面ライダーとして人々の自由の為に戦っていたその勇姿から現在でも根強い人気を誇るキャラクターであり、演者である松岡充氏にとっても変身後のエターナルと共に大道克己への思い入れは強いようで、アニメ版『風都探偵』の配信記念インタビューでは(「今作の声優さん達でまた新しい魅力を引き出してくれるでしょう」と前置きした上で)「克己だけは僕を使ってほしい」と言及している他、『仮面ライダーガッチャード』で別の変身者がエターナルに変身することになった際には、事前に湊陽祐プロデューサーからの説明があり、その意図と熱意を理解して了承したことを明かした上で「"本物の"仮面ライダーエターナルは大道克己しかいない」とコメントしている。
- さらにアニメ版ED「罪と罰とアングラ」を鳴海荘吉を演じた吉川晃司氏と共に歌唱している。
- 演者の松岡氏は後に『仮面ライダー4号』でもダークライダーの仮面ライダー4号の声を担当している。
- 劇中での彼個人のバックグラウンドは不明だが、松岡氏の個人的な見解として「大道克己が仮面ライダーエターナルに変身せずに4号に改造される未来を辿った姿」として演じた事が明かされており、アドリブで「さぁ、地獄を楽しみな!」を取り入れようとしたが、あまりにもエターナルの要素が強すぎたため、却下された。
- 松岡氏曰く、「演じる際はシャア・アズナブルとベジータを足して2で割ったかのような演技を意識した。」とのこと。
- 着用していた青のクロスは松岡氏の私物。NEVERが死人のため、実際のアクションで血が出た際にスタッフから注意を受けたため、ファンデーションを傷口に塗って撮影を続けたという。
『ジオウ』における余談
『平成ジェネレーションズFOREVER』で継承済みであり、かつ一切の事前情報が無く、次回予告で初めてその登場が明かされたため(せいぜい雑誌にて「アクア以外の意外なレジェンドライダーが出る」という情報くらいだった)、視聴者を大いに驚かせた(ちなみにコンプライアンス上の問題か、サムズダウンは健在だがややぼかされた形を取っている)。
- 「未来も過去になる」
このセリフは大道と同じく松岡氏が仮面ライダー4号を演じた『仮面ライダー4号』の主題歌「time」の歌詞「昨日の未来は今過去に」と通じるところがあるが、意識したのかは不明(このセリフ自体は松岡氏の提案とのこと)。
『仮面ライダーエターナル』の主題歌「cod-E〜Eの暗号〜」でも「未来と過去はどれ程の重さが違うだろう」と未来と過去を等価として歌っており、どちらかと言えばこちらを(というかVシネマを)意識している可能性もある。
かつて生者よりも明日を追い求めた死人の克己が未来を否定するという、Vシネでの出来事がどれほど克己の心に影を落としたか窺い知れる。
また、AtoZにおいてWとアクセルを「過去の仮面ライダー」と侮辱した克己が「過去の亡霊」と言われることもまた皮肉な話である。
- 客演としての扱い
次回予告で初めて登場が明かされたことによる話題性、登場直後からジオウを圧倒する強さや、本筋にしっかりエターナルを絡ませる展開、同じ劇場版ライダーであるアクアとの(オリキャス込みで)夢の対決、エターナルと大道克己のキャラを格落ちさせず、さらに克己自身にも(ある意味)救いを与える退場の仕方など、歴代ライダーの中では登場から退場まで完璧な客演と呼ぶファンも(これまで、『W』のオリキャスが映画を含めても風麺のマスターしかいなかったため、若干不遇気味だったのも大きいことや、エターナル自身の人気の高さもあるのかもしれない。なお、後にVシネであるが照井竜が登場している)。ダブルアーマー使用時にはBGMとして『W』の劇伴音楽「ハードボイルド」(『W』本編で変身、戦闘時に使われているあれ)が流れた。
- 奇妙な縁
ジオウで共演した湊ミハルの名前を組み合わせると湊カツミとなる。奇しくも炎と水という組み合わせまで一致しているのであった。
- 「死神」
ジオウでの登場時、上記にもある通り自身を「死神」と称していたが、彼が退場した次の回に登場したレジェンドもまた「死神」の異名を持つ戦士であった。
- アナザーワールドについて
敗北しなかった世界線の存在であるにもかかわらず、登場直後の台詞(後述)からは「誰かに敗北して二度目(ないしそれ以上)の死を迎えた記憶がある」ことが判る。また、ジオウとの戦闘の際の「君はWに倒されたんだよね」と言う挑発に憤った上で「たまたま風が吹いた」とも反論している。
その後のセリフからは仲間も皆死んでいるらしいため、NEVERとしての寿命であったのか。
本来の歴史の世界へ現れたことで認識が書き変わったのか、意識が混ざりあって混同したのか。
あるいはそもそも「敗北しなかった自分」の存在がおかしい事に自覚があったのか。
この点についての詳細は不明である。
一方で、アナザーワールドの破壊によって消滅する際に「俺だけを蘇らせた世界を消すことができた。これで仲間の元へ行ける」と言いながら、ソウゴたちに感謝の意を込めてサムズアップしている。
この事から、自身はWが起こした奇跡「サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム」に破れた事実や既にNEVERとしての2度目の死も迎えている自覚があった節があり、二度目の死を認識しながら生きている事になる。ジオウに返した「たまたま風が吹いただけだ!」に関してもサイクロンジョーカーエクストリームはかなり追い詰められていたので、風が吹かなければ=奇跡が起きなければWに勝てていたの台詞は言葉の通りであり、負け惜しみでも何でも無いのである。
また、自分を蘇生したアナザーワールドに対しては「俺だけを蘇らせた」と仲間たちの蘇生がされず独りで蘇生された事に思うところがあったのか、快く思っていない事も窺える。
また、上述の「克己自身にも(ある意味)救いを与える退場の仕方」は、『RETURNS』での事件の無念を晴らせたということを意味している。というのも、アナザーワールドは「失われた可能性の世界」、つまり「過去の後悔の瞬間が反映された世界」であるからである。つまり克己は、(結果的とは言え)過去というアナザーワールドに囚われた人たちを、明日という現実世界へ救い出したというVシネでの無念を晴らせたかの様な活躍をした。だからこそ「救いを与える退場」と言えるのだ。
関連タグ
ミーナ マリア・S・クランベリー 羽原レイカ 泉京水 堂本剛三 芦原賢
劇場版仮面ライダーボスキャラクター