「不機嫌なマーメイド…だね。素敵だ。ンふふ。」
「自分で言うのもなんだけど、ボクはなかなかのナイスミドルだよ」
概要
自らを「世捨て人」・「芸術家（アーティスト）」と嘯く中年男性でディープ・ドーパントの変身者。61歳。
かつては「裏風都」に所属していたが、現在はディープメモリの能力を応用した地下空間に自分しか入れないプライベートビーチを作って以降、悠々自適な生活を送っている。
一般的な依頼と異なり、最初から彼の犯行であると発覚した上での依頼が持ち込まれ、翔太郎達に対し彼の素性やドーパント能力が開示されている。
一方で、あくまで彼の経歴や能力は裏風都に不都合な情報は伏せられた教えても良い範囲の情報であり、尚かつ出奔後の犯行に関する現在の実態は把握しきれていない。
人物像
一人称は｢ボク｣。饒舌かつ飄々としているが、いつも目を見開いており、平常時でも狂気を感じさせる。
誰に対しても不遜かつ見下した態度を隠そうとしない傲慢な人物。絵画を趣味とするが主に若い女性を中心に描いていて、「女性の扱いには自信がある」と自称。
これまでに誘拐してきた女性にもその意思を尊重しており、「最終的には恋仲となった相手もいるし、そうならなかった相手に無理矢理に手を出したりはしていない」とも語る。
尤もモデルとして気に入ると誘拐してでも同棲させる時点で立派な犯罪者であり、誘拐したら全裸にした上に水着のサイズが合っていないと眠らせて着替えさせる行為は、完全なる変質者である。
老化とガイアメモリの副作用か忘れっぽくなっており、覚える際にペンで手の甲にメモ書きする癖がある（この奇癖は万灯も把握している為、ガイアメモリに手を出す以前の生来の物かも知れない）。
かつては財団Xの根幹企業の一つ『カイ・オペレーションズ』の社員であったが、その実態も知らず、年齢の割に待遇にも恵まれない窓際社員であった。その上に重い病に侵されてしまい、若い女性ばかりを描くのも「自らと違い健康的な体」への鬱屈した感情によるものであった。
そして、新たなCEOとなった万灯雪侍にその「心の闇」を見出され、秘書にまで抜擢される。そして長らく表でも裏でも彼を忠臣として支えており、お互いに能力や機密まで知り尽くした関係であった。
そしてついにはその働きを認められ、ガイアメモリを与えられる。適合したディープメモリによって病は完治したが、同時に奥底に深く沈めていた狂気が爆発してしまい、誰の指示も聞かなくなって『街』から離反してしまう。
その後は、予てより目をつけていたときめを誘拐し、自らの伴侶にするべく監禁。彼女を救出しようと動く万灯や翔太郎の前にもわざわざ顔を出し、勝利宣言と降伏勧告までする余裕を見せつけた。
流石の万灯も彼が裏切るとは予想していなかったようで再会した時には珍しく不機嫌な態度を見せていた。
その実態（ネタバレ注意）
｢……もう…メモリの味を知った女性じゃないと興奮しないんだよ！｣
｢これだから若造は嫌いだよ。自分の体力や気力が永遠に同じだと思っている！未来に続く道に成功しかないと思い込んでいる！そんなことは全くないのに！君も！万灯も！｣
監禁されていたときめの調査により、過去の被害者が全員ドーパントに変身したことがある女性であった事実が判明。
その上、全員が既に殺害されている（本人曰く「意図しての殺害ではなく、メモリの毒素を消そうとして失敗した」ような言い回しだが、詳細は最後まで不明となった）。
出奔した際に裏風都にてドーパント能力の向上に使用していた薬物等も入手しており、それを使用して被害者を「ドーパントに最適な体」に徐々に作り変えていた。
更に大量のガイアメモリとコネクタ装置をも所有している。恐らく「首魁の秘書」の立場から所在を把握し、盗み出したものと考えられる。
この為、ドーパントに変身したことがある女性を狙ったのではなく、好みの女性に好みのガイアメモリを無理矢理使用してきた可能性が極めて高い。
地下空間は数百メートル四方程度の狭い空間であるが、これはディープの物体を削る能力で地道に掘り出した空間である。遠景は絵画で隔離された中でも数年は生活できる備蓄を常に確保している。
モデル女性を監禁し、絵を描くだけが目的であれば些か下準備が根気強過ぎるが、これは上述の通り裏風都にも仮面ライダーにも手出しされない安全な空間を作り出す、いざとなれば籠城できる自身の保身の面も大きいのだろう。
また本人の意図ではないようだが、監禁した女性が全員死んでいる以上、それを隠蔽できるよう警察の目からも逃れきる必要があった。
本人は女性の意思を尊重すると語っていたが、この薬物投与には思考力を低下させ「人形」にする洗脳を兼ねた処置である。最終的にときめを洗脳させ、コネクタを胸に付けようとしていた。
つまり、本心から恋仲になどなっておらず、洗脳し女性が自身の従順な恋人になるように仕向けたという極めて卑劣な犯行であり、結果、フィリップ達から「最低の変質者」、「メモリ犯罪者の中でもダントツで酷い男」、「クズ野郎」とストレートに呼ばれてしまう。
ディープの能力は強力であるが、それ単体であればせいぜい住居侵入や逃亡に便利な程度のメモリであっただろう。
しかし、「悪の組織の首魁の秘書」として情報に精通した立場の人間が、知りえた情報と持ち出した道具を駆使し、更にその能力をより高度に使って見せた故にメモリの能力の範疇を超えた風都最凶の変質者を生み出してしまったのである。
しかし、そんな増長した己の傲慢さと悪辣さが二人の怒りに火を着ける。
ときめの絶望感を煽る為に残されていたスタッグフォンを経由し、エクストリームメモリとデータ増幅送信装置を使って「元」データ人間であるフィリップがファングメモリを装填した上で地下空間へと侵入。
フィリップの侵入に動揺しつつも、ディープの能力に慢心していたのに加えて万灯の片腕としてWに関する情報も有していた為に「エクストリームメモリを転送に使っている＝エクストリームには変身出来ない」「翔太郎も居ない以上他フォームにもなれない」という点を見抜き、ファングジョーカーならば勝てると判断して怒りのままにフィリップに襲いかかる。
しかしその情報は既に古い物であり、2人はファングトリガーへと変身。
それに動揺しつつもディープの透過能力なら問題ないと慢心していまが、ファングトリガーの技の1つ「フィストニードル」によってディープの物体をすり抜ける能力を封じられて追い詰められることに。
そのままマキシマムドライブの攻撃を喰らいかけるも、投薬によって洗脳していたときめを肉壁にすることで一転出紋が攻勢に移る。
しかしその行いが2人を更にキレさせ、Wはファングメタルへと初変身。
ファングとメタルの高い適合率、そして出紋への怒りからか圧倒的な力を振るう牙の闘士を前に出紋は手も足も出ず、一方的な戦闘が繰り広げられる。そんな中でもジョーカー以外でのファングは長時間の変身が出来ないという欠点を見抜き、時間稼ぎの為にときめを自害させようとするも、それもアクセルによって阻止されたことでときめは無事に救出された。
アクセルによって救出するときめを前に最後まで「ボクの女を返せ！」と喚き散らすも、翔太郎には「元々お前の物じゃない」と一蹴され、フィリップには「自分の力に溺れた傲慢さこそがお前の敗因」と指摘された。
図星を突かれたからか益々怒りを露わにして最後の足掻きに回転攻撃をしかけたものの、それも容易に防がれた上でファングメタルのマキシマムドライブ、「ファングスピアバレット」を喰らってメモリブレイクされた。
メモリブレイク後は、乱入してきた万灯によって捕獲され、「抹殺することさえ生ぬるい」、「街の土になってもらう」…すなわち、ロード・ドーパントの集団の只中へと投げ飛ばされ、絶叫とともに全身を貪り食われるという作中屈指のむごたらしい最期を遂げたのだった。
余談
出紋のアトリエには最低12枚の女性の絵が飾られており、全て別の女性・別メモリの被害者と仮定した場合、最低12本のメモリを保有していたことになる。
作中判明しているのはときめが発見した「アップル」「ビー」「フィッシュ」、ときめに撃ち込む候補として挙げた「ディーバ」「マーメイド」「ウィッチ」、その後スクリーム・ドーパントの手に渡った「シザーズ」。
関連タグ
ドエタム:似たようなことをしていた変態特撮ヴィランつながり。でもこっちの方がまだ優しい。
「xの残影」以降のネタバレ
ときめが如何にして裏風都と関わり、そして記憶を失いT字路の魔女となったかの「ビギンズナイト」を語る「xの残影」にて秘書時代の出紋が登場。
この時はまだ上記の狂気的な態度と表情は殆ど無く、落ち着いた態度と表情でときめに接している。また、あるドーパントの暴走と「オペレーションX」を発動するよう雪侍からの伝言をときめから受け、行動を開始した(この際、ときめから試作型のビゼルを預かっている)。
その後もタブー・ドーパントの解析や街の監視などで万灯をサポートしたほか、ときめが彼等を圧倒する姿を見て「宗教画のよう」と見惚れたりしている
