「私の言葉に不服があるならここから出て行け。出て行けッ!」
「これからだ。全ては、これから始まる。」
「マシンにとって喜びとは、そのポテンシャルを最大限に発揮して最高の走りをする事だ。だが、マシンは自分ひとりで走る事は出来ない。良いパートナーと巡り会えるかどうか…、それ次第だ。」
「良いライバルを持ったな。」 「また走れ。」
CV:中村秀利
概要
ボルゾイスクールの教官も兼任している技術者で豪樹と烈矢の父。Zナンバーズの生みの親。
バンダナを取った豪樹の容姿は正宗の面影をよく引き継いでいることが分かる。逆に弟の烈矢の容姿は母親譲りなのかもしれない。
原作の設定
有名な技術者らしく、土屋博士も名前を知っていた。
一文字兄弟が幼い頃からボルゾイスクールに属し、自らが発見した「MGストーン」をミニ四駆の技術に生かそうと考えていたが、あまりの強大なパワーに導入を断念しようとしていた。しかしMGストーンのパワーに取り憑かれたプロフェッサー・ボルゾイに脅される形で無理矢理研究を続けさせられ、ボルゾイスクールの方針も次第に過激な方向に変わっていくこととなる。
レースの途中ボルゾイが約束を破った(おそらく烈矢が豪樹に勝利し最強のバトルレーサーになれば烈矢ともどもスクールからの開放を許されるといった内容)ことからスクールを謀反し、MGストーンの結晶コアを自ら破壊、破壊の衝撃とファントムブレードとバイスイントルーダーの動作停止の隙に一文字兄弟と竜平と大吾の4人を救出、ボルゾイタワーを脱出し晴れて自由の身となった。
その後は特別編エピソードにしか登場せず、海外でMGストーンの研究などをしている模様。
アニメ版の設定
土屋博士のみでなく大神博士とも面識がある。
また、義理の兄弟に「大前田俊夫」(妻の兄弟)がいる。
原作と違いボルゾイから脅されているわけではなく自らすすんでボルゾイスクールの教官を担当しており、大神同様「厳しい教育でレーサーやマシンを作り上げる」という考えには肯定的な考えを持つ。完全な善人である原作と比べて、ややマッドサイエンティストな一面がある。
一見ではまず理解できないであろうかなり複雑な思想のキャラクターなので、以下の「技術者として」の項目も参照。
物語中盤、愛機のシャドウブレイカーZ-3を失った烈矢のためにボルゾイに無断でタワー内に格納されていた秘蔵機を持ち出したことで「鳥かご」へと追放される。
終盤にMGストーンが宇宙の掌握やバトルマシンの開発に使われることに異論を唱え、ディオマース・ネロの開発も遅らせていたため、スクールを乗っ取ったネロ・ステラ・ボルゾイからクビにされる形でボルゾイスクールを出る。
その後は、豪樹と烈矢を連れて川下町内にある物件を借りて新たな生活を始めた。
技術者として(アニメ版)
製造したZナンバーズも原点となるものがない状態から設計・製造したり 彼らの師匠が生み出した材料に匹敵する硬度を持つ「チタンコーティングスプレー」なる材料を独自に製作するという驚異的な技術力を持っている。
アニメ版の彼の開発するマシンは他のマシンが入ると粉々に切り裂かれる真空チューブや目の前のマシンを粉砕するナックルバリアなど武器としても転用可能な危険な技術も有しているが、あくまでそれは走りのために取り入れた技術の副産物の域を出ない。
思想
優しいのか冷たいのか掴みどころがない性格のアニメ版の一文字博士だが、その思想の根底にあるのは土屋博士と大神博士の両者の思想の肯定がある。
土屋博士は【子供達に独立を促させるため、改造しやすい拡張性のあるマシン】を作り上げ、レーサー第一の開発に主眼を置いていた。
一方、大神博士は【使う子供など道具に過ぎない、誰が使っても速い完璧なマシン】を作り上げ、マシン第一の開発に主眼を置いていた。
そこから一文字博士が行き着いた答えとは、「使い手を考慮しない高性能なマシン」を「そのマシンを使いこなせるように英才教育で優秀なレーサーに育て上げた使い手に与えた上で自立させる」というものである。
無印を主軸に言うなら、土屋博士は大神博士開発のプロトセイバーJBに対し「色んな部品が犇めいていて子供達の夢を乗せるスペースがない」と私見を述べているが、一文字博士の場合は「ならばマシンの性能を英才教育で子供達に熟知させ、そこから手を加えさせさらなる高みに昇らせることで新たに夢を乗せるスペースを作ればいい」というかなりぶっ飛んだ思想である。
原作の豪樹の落ちこぼれ設定がなくなったのもおそらくこのため。
大神と一文字のスパルタ教育の最大の違いは、「教え子に自立を促すか否か」にある。
第一話で豪樹をボルゾイスクールから追い出したのも「教え子が独立した思考を持ち始め機が熟した」ため。やり方が過激になってしまったのもプロフェッサー・ボルゾイの監視もあったので、それを表沙汰に出しづらかったのもあるだろう。
実際、第一回ボルゾイオープンで豪樹は自らアタックを仕掛けることもなくいきなり優勝し、単なる初心者レーサーではないことが証明されている。
以後も「英才教育で育て上げた息子達が独立した思考を持つこと」には敏感に反応している。
- Zナンバーズの副産物を純粋に走りのために使うか、バトルマシンの武器として使うかに関しては完全に所有者の意志に委ねて静観、または助言するにとどまる立場を取る。
- Z-ナンバーズが持つ副産物の破壊力に魅せられた大神博士に「(レーサーを道具のように扱う)貴方好みのマシンではない」と一蹴。
- 烈矢がボルゾイスクールを出ても黙認する(草薙兄弟を送ったのはボルゾイの判断である)。
- 烈矢がZ-3を失った時にはすぐに代替機を与える。
- Z-1の強化案を聴いた時は喜んで協力する行動を見せる。
- 新型Z-2の開発に関しても豪樹の強化案を聞いた上で協力し、土屋博士に頼みこんでいる(この事から社交性も備えているのがわかる)。
- ディオマース・ネロのMGストーン搭載には最後まで反発する(おそらくそこまでやってしまえば拡張性が完全に失われてしまうため)。
土屋博士が彼に好意的だったのは「ハードルこそ高いものの使い手である子供達にしっかり夢を乗せるスペースは残した」からだろう。
一文字製エアロマシン
- インフィニティブレイカーZ-0(劇中未登場)
演者について
正宗を演じた中村秀利氏は、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』シリーズでは42話で南条隼人の父を演じ、『WGP』ではデニスや社長などを演じていた。また、ミニ四駆を題材にしたことが共通する『ダッシュ!四駆郎』では鬼道院陣を演じたほか、同じくこしたてつひろ氏が原作の『ドッジ弾平』では東審判長を演じていた。
関連タグ
一文字豪樹 一文字烈矢 ナックルブレイカー マックスブレイカー シャドウブレイカーZ-3
星馬改造 - 『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』のもとの主人公である星馬兄弟(星馬烈と星馬豪)の父親。改造を演じた宇垣秀成氏は、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』シリーズでは『MAX』にも端役で出演した。