概要
特定の言語・言葉の使用を禁じる社会的な規制をかけることが多々ある。これを否定的に表現した名称である。
筒井康隆が書いた「無人警察」での一連の事件がきっかけで「言葉狩り」が生まれた。
下記の事例が「言葉狩り」と称される。しかしこれらの事例で、例え使用者に悪気はなくとも、心象を悪くする人がいることも忘れてはならない。社会的信用を安定的に保つためには、「言葉狩り」の是非は関係なく「口は災いの元」と肝に銘じ、自身の発言内容に留意するべき、とも言える。
だが、松山ケンイチの「嫁」発言のように、個人の偏った一方的な否定によるものも少なくない。
「言葉狩り」とされる事例
- 矢口高雄の名作漫画である『釣りキチ三平』も、タイトルに含まれる「キチ」の言葉が「気違い」の意味そのままであることから、これが差別的であるとして批判を受けた。作者は「釣りが好きで好きでたまらない三平」という意味で使用したものであり、差別的意識は全くない。
- さだまさしの楽曲『関白宣言』の歌詞が女性差別的として、歌詞を真に受けた女性から抗議を受けた。しかし『関白宣言』は、結婚を前にした男が「亭主関白」となることを宣言しつつも、男の不器用で依存的な性格からそれが実現しないことをほのめかす「コミックソング」として作詞されたものであり、歌詞の内容はさだの考えとは異なる(のちにさだはアンサーソングとして「関白失脚」を発表している)。
- 笠置シヅ子がオリジナルを歌った名曲「買物ブギー」には、曲の後半に「つんぼ」と「めくら」という表現があるため、現代においてカバーされる分には、その部分を改変したり該当箇所を丸ごと削除したりすることで対処している。が、原曲を聞くとこの歌詞は別に目や耳が不自由な人を中傷する意図があるわけではないと解る。障碍のある人が社会参加することでいろいろ困ったことが起こるのは当たり前(そしてそれに対し社会を改めていくことで、健常者にとってもより住みやすい社会になる)なので、この場面自体をなくして最初からなかったことにしようという動きがあるのは残念である。
- 松山ケンイチがバラエティ番組に出演した際、「髪が伸びた時には自分で切ったり、嫁に切ってもらっている」と発言したところ、SNS上で「嫁という間違った言葉を広めないでもらいたい」「嫁という発言はまずかった」という批判の声が投稿された。だが、「何が悪いのか?」「言葉狩りだ」といった擁護の声も寄せられ、ネット上では批判派、擁護派、双方の意見が入り乱れて、ツイッターのトレンド入りするほどの注目を集めた。
- 『雌伏雄飛』という四字熟語は、「女性が人に付き従って、男性が活躍する」として女性差別だという意見が多い。だが、本来の意味は「将来を期して人の下に従い、低い地位に甘んじ、やがては大いに羽ばたき活躍すること」であるため、なんら悪い意味は無いのである。そもそも、「雌鳥が雄鳥に従い伏す」ことの例えであるのに、それを「(人間の)男女」に置き換えるのは見当違いであるという意見も見られる。