「暗器とは暗殺を目的とした隠し武器……」
「故に何処に隠すかがその大きな要……」
「だが優れた暗器使いは「何処に」より「如何に」が最大の要であることを知っている!」
「時に魔剣と称し、偽り、凶々(まがまが)しく!」
「時に奇抜な襟飾りに模してこれ見よがしに仰々しく!」
「人間暗器乙和瓢湖は、相手の心理の裏に」
「暗器を隠す!!」
概要
誕生日 | 天保14年11月生まれ(人誅編で30歳) |
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身長 | 183cm |
体重 | 68kg |
CV:上原健太(PSP版)
緋村剣心=抜刀斎への復讐のために集結した「六人の同志」の一人で、「人間暗器」といわれるように全身に13種の暗器を仕込んだ男性。
だが外見は女性のようで、長髪なうえに細身で化粧もしているため、左之助からは「オカマモドキ」呼ばわりされた。ただ、格好がやや女っぽいだけで、言動に女性らしさは見られない。むしろ暗記の仕込みのために意図が読めない傾いた格好を取った結果の節がある。
友人の中条(闇乃武のオカッパ頭の刺客)を抜刀斎に討たれており、その復讐を口実に参加。しかしその実は自らの創り出した暗器により人を殺傷する名目が欲しかったからである。ただ、中条に友情を感じていたことは事実らしく「一晩で何人殺せるか競い合った日々は本当に楽しかった」と語っている。腐った男であることは確かだが、剣心は「拙者が仇であることに変わりはないか」と、彼の復讐心そのものは否定してない。
戌亥番神と組んで人誅に加わり、警察署を襲撃し暴虐の限りを尽くすと一旦番神と別れ浦村署長宅を襲撃した。
神谷道場襲撃時には剣心と戦うつもりだったが、待ちに徹するあまり膠着状態となっていた(剣心がその場から離れれば乙和は神谷薫と高荷恵を襲うつもりだった。そのため剣心も乙和の前から動けなかった)。しかし剣心は戦いの場を弥彦に任せ外印と対峙。きなり剣心が動いたことで動揺した乙和は、明神弥彦の一撃をまともに食らってしまい怒りを露わにする。
弥彦との闘いでは毘沙門剣と毘沙門粉を用いて優位に立つ。しかし薫に正体を暴かれて磁石の力で太刀筋の速さを上げていたことを見抜かれ、磁力を帯びた鞘を弥彦に奪われて毘沙門剣を吸い寄せられ無効化される。
そのまま逆襲されそうになるが切り札・六道蠱を用いて迎撃に成功。哄笑を上げて勝ち誇る。しかし立ち上がって来た弥彦を見て仕留めきれなかったことに憤怒する。
そこへ剣心から睨まれ、戦いの場であるにもかかわらず臆してしまう。
(…ま、まあ潮時と言えば潮時。外印との闘いを見てる分には、こいつには到底敵いそうにない)
(愉しむための戦いで痛え目に遭うなんてバカな真似はさらさら御免だぜ)
(後はこいつにトドメを刺して即トンズラが一番…)
最後は弥彦の脳天を真っ二つにすることで勝負を決めようとする。しかし「刃止め」で受け止められ、そのまま刃渡りで肉薄される。再び六道蠱で迎撃しようとするが弥彦の気迫に怯懦し、市内の一撃を喉に受け敗北した。
以降の消息は不明だが、鯨波同様逮捕されたと思われる。
戦闘能力
暗器を用いた不意打ちを得意としている反面、剣術等の武術に関しては素人であり、戦闘に関しては六人の中で最弱。しかし浦村署長と護衛の警官1名を相手に一方的にいたぶって遊ぶ程度には腕は立つ。
また、暗器の性質上、心理の外から正体が悟られないよう工夫を凝らしており、自身の異様な風体や装飾もその仕掛けに由来するが、同時に真っ向から向かっていく事には向いてないので隙をうかがって引き気味で硬直状態に陥りやすい。
使用した暗器
梅花袖箭
左手首に巻いた鉄筒から矢を撃ち出すバネ仕掛けの発射装置。
掌に書いた梵字と掛け声で相手の注意を反らし、同じタイミングでバネに繋いだ糸を右手で引いてを作動させる。
発射寸前の銃口を撃ち抜き拳銃を暴発させる芸当を見せた。
闇乃武の中条が、乙和から譲り受けたと思われる同じ仕掛けを使っている。
過水毒煙
六面体型の塊で、水に触れると毒煙を発生させる特殊な薬。
致死性のものではなく数分間手足を痺れさせる程度。
毘沙門剣と毘沙門粉
内側に磁石を仕込んだ鞘に納めることで磁力を持たせた両刃剣「毘沙門剣」と砂鉄「毘沙門粉」のセット。
相手に毘沙門粉を浴びせることで磁力によって毘沙門剣を振るう速度を強化する。
六道蠱
一見すると単なる派手な襟飾りだが、正体は自在に動いて相手を刺突する6本の刃。
隠すのではなくあえて普段から見せることで意味の無い飾りであると認識させる。
再筆版
『完全版』カバー下に描かれたリデザインにおいては和服の着流しから一転、タキシードにシルクハットという洋装のマジシャンになっている。
武器は様々な暗器を仕込んだ洋傘、三段構造のシルクハット内にはスズメバチ、毒蛇、暗殺用に調教した猿を飼い、長い髪の先には六道蠱に相当する髪飾りを着けている。
実写版では
演:柳俊太郎
『FINAL』に登場。「親友を殺された恨みから同志に参加」という設定は原作と同じだが、女装の代わりに顔に白粉を塗りたくっているなど、常軌を逸した快楽殺人者の異常者という面が強調されている。また梅花袖箭を使うのは原作どおりなものの、実写版では連射可能に改良されており、毘沙門剣や六道蟲は使わず、2本の歪曲した大鎌を主な武器として剣心と互角に立ち回るなど原作より遥かに強い。
浦村署長宅を襲撃するくだりまでは原作と同じ立ち回りだが、『FINAL』では剣心と交戦し敗北。原作では鯨波の砲撃を前に逃走していたのに対し、こちらは自前の爆薬で自爆して果てるという末路を辿っている。
2本の歪曲した大鎌を主な武器として使う事から、原作者の好きな作品「月華の剣士」に登場する「紫鏡(骸)」へのオマージュが見られる。