そんな……ひどい……ひどすぎる……っ!
もう、二度と……
マ○クのハンバーガーも、す○家の牛丼も、○郎のラーメンも食べられないなんてええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!
こっ……この世界に無いのなら……
自分で作る!
生きている間に、前世の料理を再現し、再会してみせる!
概要
モリタによる異世界転生料理バトル小説。
小説家になろうにて連載。
元々のタイトルは『美食ぼっちゃまの転生メイド』であったが、書籍化に伴うメディア展開によって現在の『異世界メイドの三ツ星グルメ ~現代ごはん作ったら王宮で大バズりしました~』にタイトル変更となった。
2022年11月よりPalcyにて連載(Pixivコミックにも掲載)。作画者はU4。
同年12月にKラノベブックス(講談社)より書籍化予定。イラスト(キャラクターデザイン原案)はnima。
書籍化企画よりコミカライズが行われているものの、メディア展開としてはコミカライズ先行という形になっている。
あらすじ
剣と魔法の異世界に在りしエルドリア王国の王都に居を構える商人の娘、シャーリィ・アルブレラ。彼女は幼馴染のアルフレッドから喰らわされたジャーマンスープレックスによって頭をかな~り強かに打ち付けたショックで「飽食の時代」とまで謳われた前世日本の記憶を思い出す。
そしてシャーリィの前世は社畜生活に人生を引きつぶされながらも、その精神を食で支えきった稀代の食いしん坊……ぶっちゃけジャンクフード・ジャンキーであった。
もはや前世の好物に巡り合えない事に絶望したシャーリィは、それでも諦められず、この異世界でそれを再現する事を決意。適齢期になってなお交際・婚活・結婚になど見向きもせず、ただひたすらにトライ・アンド・エラーを繰り返しながら料理道を邁進し、あげくアルブレラ家は「怪しい料理(みたいなもの)を生み出す魔女の家」などと呼ばれる始末。そんな娘を母親は激怒し、娘に甘い父親がそれを庇う始末。
そんなある日、シャーリィの噂を聞きつけた王宮メイド長のクレア・チャールトンが、アルブレラ家を訪れる。そしてシャーリィに王宮へ仕えるようにと言い渡す。自らの料理は自らのためのものだから、と一時は出仕を辞退しようとするシャーリィだったが、王宮へ来れば料理は作り放題でメニュー開発のための予算は青天井という破格の条件を出され、熱い手のひら返しで王宮への出仕を決めた。
王宮へとやって来たシャーリィは改めて王宮メイドとしての行儀教育を受けた後、メイドたちから「おぼっちゃま」と呼ばれるウィリアム王太子(10歳)のおやつメイドとして、おやつを作る事を言い渡される。しかし、そのための「おやつメイド隊」は4班存在。各班を取り仕切るのは実力も十分な貴族のお嬢様方であり、平民出のシャーリィの出る幕など……と思っていたらシャーリィは新規設立となる、おやつメイド隊第5班の班長として抜擢される事になる。
ポッと出でイキナリ班責任者として抜擢されたシャーリィに先輩たちの目は冷たかった。しかしシャーリィはそれ以上に、出されたおやつを大量ではあるが義務的に食べる王太子の姿にショックを受ける。
「おやつは楽しいものなのに……」
これでは王子様にとっても食にとっても不幸でしかない。その姿に心を痛めたシャーリィはおぼっちゃまの笑顔のためにという信念を持ち料理の腕を全力で揮うことを誓う。こうしてシャーリィの運命はおぼっちゃまの健啖と共に動き出した。
これは、その料理の腕と尽きせぬ工夫によるレシピ、そして前世の味の記憶を駆使して王宮の同僚たちをも率い、のちのちには救国の料理メイドと呼ばれた「美食ぼっちゃまの転生メイド」の物語。
登場人物
シャーリィ・アルブレラ
本作主人公。前世の記憶を思い出しジャンクフード・ジャンキーの魂を覚醒させた料理フリーク。エルドリア王国ウィリアム王子旗下おやつメイド隊第5班・班長。
銀髪のロングヘア(仕事中は当然まとめている)でおっぱいがついたてのイケメン。
前世覚醒と料理ばかりやらかして世間知らずなのとのダブルパンチで発想がかなりの無手勝流であり社会的な上下関係も結構疎い。
あと無類の食いしん坊ゆえに自分用夜食もコッソリ作りまくる、様々な意味での飯テロリストでもある。
アン
シャーリィの部下にされてしまった第5班おやつメイド。元・第2班雑用。シャーリィにとっては経歴的には直上の先輩にあたるが、シャーリィが配属即班長という無茶抜擢をされたため、その補佐としてつけられた。理由はアンがシャーリィが来るまでの時点で一番立場が下だったため。
考える事がすぐに口をついて出るタイプで嘘はあまりつけない。そのためシャーリィからは親近感を持たれた。当初はシャーリィの下につけられた事に不安と不満を隠せなかったが、シャーリィがチョコレートを持ち出して快進撃を始めて以降は、その手腕に大きな信頼を寄せる。
第5班はシャーリィとアンの二人で始まった班なので事実上の運命共同体に近い関係であり、この事から上下には厳しい王宮メイドにおいては珍しい対等関係(互いに先輩後輩の関係と上司部下の関係が打ち消しあっている関係性を持っており歳も近い)として、互いに強い友情を交わすようになる。
なお二人の名前を並べるとどっかで聞いたような名前になるが、おそらくは気のせい。
クリスティーナ
おやつメイド隊第1班・班長にして、おやつメイド隊統轄を務める、おやつメイド隊の総隊長。シャーリィにとっては直属の上司となる。
貴族出身で、慈悲と懐の深い令嬢の鑑。シャーリィの抜擢にはさすがに戸惑うもののメイド長の指示という事もあり、彼女に空いている厨房を差配した。
おやつメイド隊の中でも最も優れた製パン技術(特に生地の生成技術)の持ち主であり、その腕は一流のパン職人ですら兜を脱ぐ。
クラーラ
おやつメイド隊第2班・班長。仲間想いで義理人情に篤い(その分、厳しくもある)気っ風の良い姉御肌の人。アンの元上司で彼女をシャーリィにつけた人。オーブンの扱いに長ける優れた職人で板前で言うところの「焼き方」にあたる人。
エイヴリル
おやつメイド隊第3班・隊長。フルーツの扱いに長けた、フルーツの神。フルーツデザートの仕上げの腕は他の追随を許さない。
ジャクリーン
おやつメイド隊第4班・班長。自らも年若くして班長に抜擢された(それでも、それなりにおやつメイドとして叩き上げの経験を積んできた)ためシャーリィに過剰な脅威と危惧を抱く。結果、様々な(コスい)妨害を仕掛けるようにもなった、いわば(主役になれない)悪役令嬢ポジの一人。
おやつメイドとしては、メイド隊の中で最も手先が器用であり、卓越した飴細工技術を持つ。貧乏貴族の下位中間子であり、その身の上によって両親から好きでもない料理の腕を磨かされた過去があるため、自らにとっては料理は愛憎の入り雑じるものとなっている。ゆえにこそシャーリィの天衣無縫で無邪気な料理には苛立ちを隠せない。(もっとも料理メイド隊の危機には、その一員として呉越同舟的にシャーリィに協力する事も多い)
ウィリアム
エルドリア王国の王子(王太子)。若干10歳だが、母親の夭逝により父王がショックを受けて倒れてしまったため、父に代わり国の執政を取り仕切っている神童。だが、その事に起因する様々なストレスから健啖家となっている。
若くして執政を司る気遣いも一級な賢王子であるが、その一方で「子どもらしい」喜びにはほぼ無縁でワガママも性格的に、なかなか言えない。しかしシャーリィが、その心の内を読み取り自身に食を通じて「子どもらしい時間や喜び」を与えてくれた事に感動。以降、シャーリィを心より慕うようになる。
クレア・チャールトン
エルドリア王国の王宮メイド長。シャーリィを、おやつメイドへとスカウトした人。
メイドである事、その職責に誇りがあり、行儀教育などはシャーリィが「鬼」とまで形容するほどに厳しい。
メイドとしての誇りゆえに大人しく弁えた人……ではあるのだが、存外と怒りの沸点が低い人でもある。特に「メイド如き」などという言を聞いたなれば、その言葉を吐いた相手には完膚なきまでに慈悲も容赦も無い。