概要
命名は「ガメラマーチ」から。
ガメラの飛行方法として元祖であり、UFOを思わせる姿から第一作目では劇中の人類や観客の度肝を抜いた。ある意味、ガメラというキャラクターの印象付けに貢献した要素の一つだと言える。
一見するとスピードがでなそうな飛行方法ながら、大気圏内でもマッハ3~3.5という速度で飛行でき、『ガメラ3』ではマッハ9で飛行するとされるイリスに追い付いた場面もあった。宇宙空間では、何と亜光速に達するとされる。
なお、回転ジェットとともに、もう一つあるガメラの飛行スタイル、すなわち「両足を引っ込めたジェット噴射飛行」は、第三作目にて初登場する。
同作中にてギャオスに飛びかかる際に、短距離を一瞬飛んだのが初披露だった。
以後、第四作目でこの飛び方も定着する。下記余談も参照。
実際、回転ジェットと両足を引っ込めてのジェット噴射による飛行とのどちらの方が速いのかは不明。
回転ジェットの利点は、『細かい制御や飛行が可能』『防御しながら体当たりや甲羅の縁による斬撃「シェルカッター」ができる事』である。
難点は、火炎噴射や火球攻撃、牙や爪を使った攻撃ができないことが挙げられる。
昭和版では、回転せずに手足を引っ込めて飛行する事で、更に細かい軌道で飛行したり、人間を乗せて飛行したりしていた。「ガメラ対ギャオス」劇中でも、ギャオスから助けた少年を甲羅に乗せて飛行している。
- 『GAMERA』の発表時に発売されたTシャツに描かれていたラフスケッチでも、回転しないで飛行するという物があった。更に甲羅から「ブースター」を噴かせて飛ぶとされている。
どうやって進む方向が分かるのか?、目が回ったり気持ちわるくなったりしないのか?などの疑問点は平成ガメラの製作陣も思っていたらしく、金子修介監督も「回転ジェットは生物的にあり得ないので納得できなかった」と、後に述べている。そこから平成シリーズでは「特殊な三半規管」を持つという設定が追加された。
また、平成ガメラが「超古代文明の生物兵器」という設定になったのも、回転ジェットを始めとする「(ガメラおよびガメラ怪獣たちが有する)生物的にあり得ない機能・特徴を有する理由」として定められたという。
『小さき勇者たち』では、子亀状態で手足も引っ込めない原理不明の浮遊があったが、子供達にテレパシーを使って運ばせた赤い石を摂取してからは回転ジェットを会得している。なお、劇中では披露しなかったが、設定によれば脚からのジェット噴射だけの飛行も可能とされる。
余談
- 第一作目のみ、高速回転している際のシーンがアニメで表現されており、その描写が後の作品と比べて「火の玉」や「UFO」の様な印象が強い。
- 二作目「ガメラ対バルゴン」より、ミニチュアに火薬を仕込んで、回転させつつ飛ばす表現になった。撮影方法を変更した理由は、湯浅監督によると「アニメでは迫力が足りなかったから」。
- しかしミニチュア特撮は難しく、手足を引き込んだ場所から噴き出す火薬が一本でも消えてしまったらNGになり、「タイミングがつかめず苦労した」との事。更にミニチュアを吊るすピアノ線が切れ、見学に来ていた子供に見られて笑われた事もあったらしい。
- 上記の通り「ガメラ対ギャオス」で、両足だけを引き込んでジェット噴射で飛行する様子を見せたが、次回作「ガメラ対バイラス」からはその飛び方が定着。以降の作品でもこの状態で飛行する様子を見せている。湯浅監督も「この飛び方は大変受けて、ガメラの決まりスタイルになった様だ」と述べている。
- 平成シリーズからは、回転ジェットはCGで描かれるようになった。その際には昭和シリーズのミニチュア特撮よりも回転の勢いなどが増しており、グレードアップした様子を見せている。
- ちなみに平成シリーズの金子修介監督は、「回転ジェットは当初出すつもりは無かったが、周囲から出す事を期待されていた」「なので、映画自体をコメディにしようかとも考えた」と、後にインタビューで答えている。
- また、平成シリーズ二作目からは、回転ジェットと異なる飛び方として「ウミガメのように両腕をヒレ状にして、それを翼にして飛行する」というスタイルを披露。一作目から構想していたが、当時の大映の上層部から反対されていた。が、一作目の評判の良さから、二作目から採用されるように。
- 平成シリーズ一作目が公開された1995年発売の小説『ガメラVS不死鳥(フェニックス)』では、回転ジェットの際に甲羅の縁を丸鋸状に変形させ、そのまま体当たりして対象を切断するという、まるで『ガメラ3』での「シェルカッター」を思わせる攻撃を行っている(作風および作中に登場するガメラは、昭和ガメラに近い)。
- ガメラへのオマージュが見られる作品は古今東西にかなりあり、回転ジェットを再現している場合も少なくない。