スーパータイラント
ぼうそうしたたいらんと
概要
人間に近い容姿でありながら超人的な体力、破壊力を兼ね備え、作戦を忠実にこなす最強クラスのB.O.W.「タイラント」、通称はS・タイラント。その改良種の多くはアンブレラ社によって全力を出さないようにリミッターとなる拘束具を施されている。如何に強力な力を振るえたとしても、それを制御できなかったら兵器としての価値がなくなるからだ。
しかし仮に想定を上回るダメージによって生命の危機が訪れた場合、生存本能からタイラントはその凶暴性を発露させリミッターを自身で解除して全力で暴れまわるという暴走状態「スーパータイラント」へと移行してしまう可能性があるという重大な欠点が存在する。
スーパー化したタイラントはT-ウイルスの暴走により耐久力、攻撃力、俊敏性、凶暴性などが大幅に上昇。両手が肥大化しリッカーの様な鉤爪が生え、新たな副心臓が形成露出するなど、もはや化け物に相違ない凶悪な外観へと変貌する。
その容姿通り規格外の戦闘能力を得たものの一切の制御を受け付けない状態であり、スーパータイラントの鎮圧に向かった、完全武装のU.B.C.S.一個小隊(30人編成)が全滅するほどである。
この欠点を克服して利用するべくアンブレラは様々な手段を講じていた。
最初に明確な描写が成されたのは「バイオハザード2」。
クレア裏編において、タイラントはG-ウイルスのデータ強奪の命を受けてシェリーのペンダントを執拗に狙い、彼女と行動を共にしていたクレアも命を狙われていた。
物語終盤。その事実を知った彼女は、それを逆手にとってペンダントを溶鉱炉の中に投げ落とす。
(ちなみにレオン裏の場合、エイダが偶然シェリーと遭遇しそれを拾ってしまったことで今度はエイダが狙われる羽目になる)
「データを持ち帰ること」としか命を受けていないタイラントにとって欲しいものはデータだけ。誰か持っているのならば殺してでも奪い取るまで。そこに落ちているのならば手にするだけ。それを取るために下が溶鉱炉にもかかわらずタイラントは飛び出し、そして熔解した金属の中に沈んでいった。
(レオン裏編では、エイダのほぼ密着状態で撃った弾数発が頭部に直撃、ふらついた勢いのまま落ちて行った)
金属が溶けているならその温度は1500℃をゆうに超している為、普通は生きてるはずがない。
だがタイラントは生きていた。
拘束具となっていたコートは溶けてなくなり、リミッターが外れ、鋼鉄のような屈強な肉体と化し、腕は何もかも引き裂く巨爪と化した。もはや「暴君」というに相応しい、命令などどうでもよくなったタイラントは、列車に逃げ込む寸前のクレア達の息の根を止めるため、燃え盛る身体を引きずって襲いかかる。
なお、『0』に登場したプロトタイラントも、初期の実験による失敗作とされながら露出した心臓、右手が突撃槍のような鉤爪(左手も形状変化の兆候あり)に変化しているなどスーパータイラントと類似点があり、元々知能の発達が見込めなかった事もあり半ば暴走状態になっている。
後に『バイオハザード』のラスボスであるT-002も極度のダメージを受けたことでリミッターが解除され、スーパータイラント化して暴走したと語られた。
強さ
バイオハザード
シリーズ的には最初の登場。
『0』に登場したアークレイ研究所で誕生した試作品(T-001)を元に作られたのがこのT-002である。
Tウイルスの投与に耐えられる完成品であり、兵器としての戦闘力は当時で言えば随一を誇る。しかし実戦テストが完了していなかったためか、培養液から出た直後は単調で鈍重な動きしかできなかった。
クリスもしくはジルとの戦闘によってダメージを受けた結果、リミッターが外れてスーパータイラント化。脱出を目前とした主人公の前に立ちはだかり、猛ダッシュと爪を駆使した接近戦を仕掛けて来る。
後述のスーパータイラントと比べると外見的な変化は、体色が赤くなった程度となっている。
バイオハザード2
列車に着いた途端(厳密には、脱出の為に行動していた時)、「グォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」と雄叫びをあげてから、燃え盛る身体を震わせて襲いかかってくる(転落後にそれでも死んでいないことを示唆するデモが入るため、襲撃の予告はされている)。
両手の爪はG生物にも劣らない強靭かつ巨大なものに変化しており、タイラントの共通弱点である心臓部分は硬質化した皮膚で守られている。高速移動によって一気に間合いを詰めて爪で引き裂いてくるなど爪を使ったスピーディな攻撃をしてくる。幸い攻撃力自体は控えめで即死攻撃のような凶悪な攻撃はしてこないが、距離をとってもすぐに間合いを詰められてしまう。しかもほとんどの攻撃にひるまない上、いくら銃弾を撃ち込んでも通常武器では絶対に死なない。体力もそれほど高くはないのだが、攻撃する隙が少なく攻めるのが難しい。
時間制限はあるがある程度ダメージを与える(もしくは一定時間戦闘を継続する)とある人物がロケットランチャーをくれるため、それを使って止めを刺そう(ただし、隠し武器の無限ロケットランチャーを所持していると前述のイベントを無視して最初からタイラントを倒すことができる)。
攻略法は直接戦闘よりはロケットランチャー出現まで逃げ回る(タイラントが間合いを詰めてこない程度の距離を維持した上で)のが、比較的安全。自発的にイベントを発生させるなら、高速移動を空振りさせた隙を突くといい。有効武器はカスタムマグナム、カスタムショットガン、硫酸弾。
S.D.ペリーによる小説版ではクレアからのMINIMIの斉射で倒される。
バイオハザード3
直接交戦しないが、ラクーンシティに突入してきた米軍特殊部隊を阻止するため、警察署に投下された個体(=前作に登場したタイラント)以外の5体が投入されており、背景オブジェクトとしてその死体が転がっている。そのうち壁にもたれかかった状態で死んでいる個体はスーパータイラント化している。相打ちという形ではあるものの投入された5体すべてが撃破され、スーパータイラントも米軍の手で倒されたことになる。
バイオハザードRE:2
レオン編のみ交戦。熔鉱炉に落ちて尚再生するという不死身ともいえる生命力を見せつけた2に対し、今作では施設の配管の爆発に巻き込まれるというショボい要因で(棒立ち状態で爆風を浴び続けていた)暴走、スーパータイラントに変化した。
吹き出した炎に炙られたからかコートは焼け落ちている。異形化し燃えているのは右腕だけだが、爆炎で右半身が焼かれた上、顔も右半分が抉れ下顎が完全に欠損しており、更にリメイク前とは異なり肥大した心臓が体表に露出している為痛々しさとグロさは歴代随一の容姿となっている。
暴走前は有効だった頭部への攻撃ではあまり怯まなくなっており、真の弱点は露出した心臓。主な攻撃は小ジャンプ斬りや連続斬り、『2』の突進攻撃はまさかの即死攻撃にパワーアップ。構えを取ったら、直ぐに弱点の心臓に強力な攻撃を叩き込むか閃光手榴弾を使って怯ませ、発動を阻止しよう。やっぱりロケットランチャーがないとトドメを刺せない。
今作ではどれだけダメージを与えてもすぐにロケットランチャーが手に入らないので無限ロケットランチャーが無いならスーパータイラントの攻撃を避け続ける必要がある。前述の即死攻撃はこちらが近くにいると使わないので思い切ってハーブを使ったゴリ押しの接近戦を挑むのも手(2ndのラスボスは実質倒すか倒されるかなので)。
余談だが、今作のスーパータイラントのデザインは実写映画『バイオハザードⅢ』のタイラントと化したサミュエル・アイザックス博士がモデルである。
ガンサバイバー
ヒュプノス-T型と呼ばれる新型タイラントが登場。
眠りの神の名を冠するタイラントであり、外見は初代に登場したT-002型を人間サイズ(細マッチョ)にした感じとなっている。肌の色は蒼色。主人公のアークには「知性を感じる」とまで言われた。
アークを追いかけて来た敵対者によって孤島にある研究所の爆破スイッチが押された際、いつの間にか培養液から抜け出して活動を開始。
手始めにアークを殺そうとした敵対者を殺害し、続けてアークに襲い掛かる。
狭い通路のため戦いにくいが、動きは速くないため上手く横をすり抜けながら銃撃して倒そう。
一度倒されるとスーパー化して復活。口が裂け、左手の爪が肥大化した不気味な姿となってヘリポートへと先回りする。そしてアークを倒すべく最後の戦いを演じることに。
ダッシュで接近してくる点は前回と同じだが、ある程度距離を詰めるとハンターのようにジャンプして飛び掛かって来る。
ある程度ダメージを与えると更に暴走を引き起こし、ゴリラのような巨体へと変異。長い舌を伸ばした醜悪な化け物となった。これが本作のラスボスである。
外見に反してはサルのような俊敏な動きを見せるようになり、またタックルによる中距離攻撃で間合いを詰めて来る。
グレネード弾に耐性があるためそれ以外の武器で戦うといいだろう。
この戦いで今度こそ倒されたかに思われたが、密かに息を吹き替えてしてヘリコプターにしがみ付いており、爆発炎上する孤島から脱出。そのままアークたちに襲い掛かろうとする。
しかし、アークが放ったヘリのミサイルによって引き剥がされ、最後のミサイルを撃ち込まれたことで正真正銘粉微塵となって完全消滅に至った。
自身の最後を感じ取ったのか、ミサイルで吹っ飛ばされる直前に雄たけびを上げている。幾度倒されても目覚め、より凶悪な進化を果たして襲い掛かって来たヒュプノス-T型だが、今度湖二度と目覚めることのない眠りについたのだった。
これらのことから歴代のスーパータイラントの中でもしつこさは群を抜いているのが窺える。
ダークサイドクロニクルズ
列車にたどり着いたクレア達の前に降り立ってくる。身体は燃え盛っていないが、首から胸にかけて溶鉱炉に落ちて金属が体内で冷え固まったような身体になり、胸あたりには熱をたぎらす血管のようなものがみられる。ゆっくりじわじわと近づいたかと思えば、急に大ジャンプして襲いかかってきたり、爪を構えて走ってきたり、挙句の果てには列車をダイナミック発車させてしまう。
しかもこいつ、ロケットランチャーを跳ね返す。途中でHPが回復してしまうので、HPを赤になるまで削ったあと、「今だ!!」というセリフを聞いた瞬間に撃つといいだろう。
オペレーションラクーンシティ
Gサンプル回収後、ラクーン研究棟を抜けるエレベーターの上で戦闘となる。2のように燃えた状態で襲い掛かる。狭い空間での戦闘のため、自分よりむしろ仲間が倒されやすい。
あのタイラントとは一切関係ないウルフパックはとんだとばっちりを受けたものである。
ダムネーション
CG映画にも登場。こちらも燃え盛っていない。リッカー数体を余裕で葬り、BMP-3歩兵戦闘車(注:総重量18.7トン)の突進を正面から受け止め、踏ん張って持ち上げる次元違いの膂力を誇る。
また、レオンが発射したロケットランチャーの弾頭を掴んで投げ返したり、BMP-3の砲口を見て砲撃を予測→発射前に回避したり、そのあと頭を前に突き出して砲搭の可動を封じたり……など、暴走しているにもかかわらず、他の作品の個体には見られない高い知性を持っている。
作中では3体が登場したが、そのうち1体は前述のBMP-3との相撲の末にヘッドショットされて死亡。他の2体はA-10神から7砲身パンチとヘルファイアミサイルをそれぞれ喰らって爆散した。ナムサン!