概要
シャコ(シャコ目、または口脚目)は軟甲綱に分類される甲殻類のグループの1つ。「シャコ」という名はシャコ目全般のほか、転じてそのうち日本で食用とされる種(Oratosquilla oratoria)を指す名でもあるため、そこから区別できるように分類群としてのシャコは「シャコ類(口脚類)」とも呼ぶ。
シャコエビと呼ばれることがあるが、シャコ自体はシャコ目として分類され、エビ・カニ・ヤドカリが属する十脚目の種類ではない。
なお、「アナジャコ」という甲殻類がいるが、これはシャコではなくエビである。
十脚類の5対の歩脚に対して、シャコは5対の顎脚と3対の歩脚を持つ。顎脚のうち第2対が強大な捕脚になっている。後半身は大きく、遊泳に用いている5対の遊泳脚と鰓はその裏側に付く。
十脚類の目は左右に分かれているが、シャコの目は1つの柄で「Y」の字形のように集約している。
また、第1触角が3本のヒゲをもつ・第2触角の左右に張り出したヘラ状の部分も特徴である。
多くの動物は1対の目から2つの視野を持つことに対して、シャコの目はそれぞれ3つの視野を持ち、合わせて6つの視野になっている。他の動物には知覚できない円偏光を見えるなど、動物界の中でも屈指するほど優秀な視力を持つ。
海のハードパンチャー
シャコの捕脚は種類によって2つのタイプを持つ。泳いでいる魚を捕らえるため、カマキリの前足によく似ている刺撃型と、関節部分が太く硬くハンマー状になっていて貝やカニなどの殻を砕く打撃型がある。いずれも攻撃力は強く、捕まえる際は丈夫な手袋を用意することをオススメする。
南洋の珊瑚礁に住むモンハナシャコは非常にカラフルでダイバーに人気だが、打撃型のシャコであり、繰り出される捕脚のパンチは、水槽のガラスにひびを入れる程で、うかつに手を近づけて指の骨を折られたケースもある。
人間との関わり
- 江戸前の寿司ネタとしてお馴染みで、むき身は紫色で柔らかく、淡白だが旨味がある。前脚の肉「シャコ爪」は一尾からわずかしか取れない希少な珍味であるほか、「カツブシ」と呼ばれる卵巣も同様に珍味として珍重され、このためかオスよりもメスのほうが値段が高い傾向がある。また、ストレスに効果があり、リラックスの作用を得られるGABAの含有量が豊富である。
- バブル期はこのネタを「ガレージ」(「シャコ」を「車庫」とかけたダジャレ)と呼ぶのがナウなヤングにバカウケだったらしいが、現在では枯死寸前のオヤジギャグとなっており、今でも使うのはオッサンか三流の寿司職人ぐらいなものである。
- 奇妙な見た目や「水死体に一番早く群がる」といった俗説で敬遠されがちだが、見た目はともかく、スカベンジャーではなく生きた獲物を捕らえて食べているので、俗説は正しくない。
ちなみに、2003年に日本で「えびボクサー」という邦題で公開された、タイトルからしてB級臭プンプンなイギリス映画があるが、出てくるのはエビではなくシャコである(なお、原題は「Crust」で「甲殻」とか「外殻」という意味)。
主な種類
シャコ科
- シャコ(無印)
- セスジシャコ
- ミカドシャコ
トゲシャコ科
- サガミトガシャコ
- トゲシャコ
トラフシャコ科
- トラフシャコ
フトユビシャコ科
- ハナシャコ
- フトユビシャコ
- マルハナシャコ
- モンハナシャコ
創作での扱い
モンハナシャコが使われることが多いが、鎌をもつキャラクターとしてシャコが使われることもある。
- ゴッドエンペラー(メダロット2)シャコをモチーフにしたラスボス。上記のイメージを再現したかのような高火力でシリーズ有数の難敵として多くのプレイヤーを戦慄させる
- クラスティハンマー(ダライアス外伝)同じくシャコをモチーフにしたキャラクター。こちらも屈指の難敵としてプレイヤーから恐れられている
- 鬼塚慶次(テラフォーマーズ)
- シャコモンスター(宇宙刑事ギャバン)ギャバンが戦った怪人第1号。ちなみにシャコがモチーフというのは後付だったりする。
- シャゴン(風雲ライオン丸)おそらく日本特撮初のシャコモチーフであるマントル怪人。
- ジャーゴ星人スキーラ(特捜戦隊デカレンジャー)アブレラ傭兵軍団に所属するアリエナイザーの紅一点。