歴史は我々に何をさせようというのか?
概要
1971年に雑誌「SFマガジン」にて発表された、タイムトラベルを題材とした半村良のSF小説。
「近代装備を保有した自衛隊と刀や弓矢で武装した戦国武将が戦ったらどうなるのか」という疑問に対して真正面から向き合った架空戦記の金字塔として知られており、映画や演劇など様々な派生作品が世に出ている。
何れの作品もメディアによって展開に差異が見られるが、「自衛隊が戦国時代にタイムスリップし歴史に介入する」という大筋は共通であり、それに伴う「歴史の改変と改変の修正」が物語の中核として組み込まれている。
架空戦記というジャンルを確定させた一作である事から、後年には本作と類似した世界観を持つ様々な作品が発表されており、本作が与えた影響の大きさを知る事ができる。
1979年に映画化され、主演はアクションスターで有名な千葉真一。
撮影に際して千葉と夏木勲は自衛隊に体験入隊し、江藤潤ら他の出演者も東宝撮影所内で匍匐前進の訓練を行った。
しかし「過去の時代とは言え自衛官が日本人に銃を向ける」、「無許可で隊を離脱する」、「民衆を襲う」、「自衛官同士の内紛」などの描写に防衛庁が難色を示し、本格的な撮影協力には至っていない
そのため隊員たちの衣装は陸上自衛隊ではなく米軍のものを用いている。
2005年に『戦国自衛隊1549』という江口洋介が主演の映画が公開された。(「自衛官同士の内紛」に関しては緩和されたようで、防衛庁の協力を得ている)
ただし本作は、脚本家の福井晴敏が自著『Twelve Y. O.』の登場人物をメインキャストにした上、内容も「戦国自衛隊」とは全く異なっている等、「名前が良く似ているだけの作品」であるので鑑賞時は注意のこと。
詳細は作品記事参照。
ストーリー
日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如<時震>が襲った。
突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。
伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。
<歴史>は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。
(新装版より)
登場車両・航空機
小説版
小説版にのみ登場。実車には装備されていない106mm無反動砲を装備している描写があり、60式自走無反動砲と混同されたと思われる。
劇画版では60式装甲車と106mm無反動砲を装備したジープ1台に変更されている。
- トラック
米GMC製2トン半トラック。
- KV-107ヘリコプター
- 19号型哨戒艇
海上自衛隊所属。
映画版
本作の撮影用に製造された実物大レプリカ。
本作以降『ぼくらの七日間戦争』を初め多くの映画・ドラマに出演。
2020年時点で現存し自走と砲塔の旋回が可能である。
M16対空自走砲からの改造車。
三菱自動車製。
- 2トン半トラック
いすゞ自動車製。
- シコルスキーS-62
西日本空輸で使用されていた機体に陸上自衛隊風の塗装を施したもの。実際には陸上自衛隊はS-62を運用していない。
撮影終了後に退役し、中日本航空専門学校に保存されている。
出演を記念して千葉真一・真田広之・薬師丸ひろ子が機体のどこかにサインを描いたとされているが、展示中に何度か再塗装も施されているためどこに描いたかは分かっていない。
記憶違いでしたら加筆・修正をお願いします。
外部リンク
関連項目
群青戦記:こちらも現代人が戦国時代にタイムスリップして戦う物語。ちなみに実写映画版の主演は1979年版で主演を務めた千葉真一の息子である新田真剣佑であり、舞台挨拶で本作について言及している。