データ
性別 | 牡 |
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生没年 | 2020.4.5-(3歳) |
血統 | 父:シニスターミニスター/母:マリアージュ(byブライアンズタイム) |
毛色 | 鹿毛 |
オーナー | 星加浩一 |
調教師 | 渡辺和雄(大井) |
概要
生い立ち
3代母は凱旋門賞馬オールアロングで、近親にリトルビッグベアがいる。
母はオールアロングの11番仔アーミールージュの初仔にあたり、本馬は母の8番仔。
北海道サマーセールで500万円で取引された。
2歳時
大井の渡辺和雄厩舎に入厩し、9月にデビュー。
デビュー戦は矢野貴之騎手を鞍上に5馬身差を開く圧勝。
以後も快進撃が続き、12月までで3連勝。2歳シーズンを無敗で終えた。
…しかし、実はミックファイアはソエ(骨膜炎)を発症しており、快勝したこの3戦はまともな状態ではなかった。
それでありながらも、あれだけのパフォーマンスを発揮するのだから恐ろしいものである。
そのため、全日本2歳優駿などの交流重賞は使わずに休養へと入った。
3歳時
年が明けて3歳となったミックファイアだが、裂蹄が発覚し年明けも引き続き休養。
思った以上に状態がひどかったらしく、当初は雲取賞(SⅢ)を予定していたが、状態が良くならずに断念。セカンドプランとして京浜盃(SⅡ)を予定したが、これもまた状態が良くならずに断念。
その後はなんとか回復し、3歳の初戦はぶっつけ本番で羽田盃からとなった。
羽田盃
そして迎えた羽田盃。鞍上には御神本訓史騎手を迎えた。
1番人気は雲取賞でマンダリンヒーローを下したヒーローコール。続く2番人気には京浜盃を勝ったサベージ。
ミックファイアは無敗ではあるものの、2歳重賞での実績のなさや5ヶ月の休養開け、-16kgという馬体重の大幅減少、有力な騎手ではあるもののテン乗り(初騎乗)の御神本騎手が鞍を務めたことなどの不安要素が重なり、4番人気に落ち着いた。
しかし、本番ではそんな不安を嘲笑うかのように、2番手追走から直線で抜け出しを図り、最終的にヒーローコールから6馬身を突き放す大圧勝。加えて時計は1:50.9のレースレコード。重賞初勝利をつかみ取り、無敗の羽田盃馬となった。
陣営はこの結果には非常に驚き、鞍上の御神本騎手も「こんな強い競馬をする馬とは思わなかった」と語るほどであった。
東京ダービー
この圧勝劇を受けて、一躍クラシックの最大候補となったミックファイア。
次走は勿論東京ダービー。2000mへの距離延長、レコード勝ちの前走の反動などが心配されていたが、前走の圧勝ぶりが評価されてダントツの1番人気に支持された。
しかし、引き続いて鞍を務める御神本騎手は東京ダービーでの優勝経験がなく、「前走のような走りができるのか?」とかなり弱気だった。
…が、本番ではそんな不安もどこへやら。逃げるボヌールバローズを二番手から追走し、3コーナーで捉えるとそのまま直線で後続を突き放してゴールイン。まるで前走の再現かのように2着ヒーローコールを6馬身突き放す大楽勝。
時計は2:04.8のレコードタイム。この勝ち時計は同条件の3冠目であるジャパンダートダービーのタイムと比較しても上位に入る。
この勝利で御神本騎手は東京ダービーを初勝利。ミックファイアはトーシンブリザードに続く無敗での2冠達成となった。
ジャパンダートダービー・夢の三冠へ
こうなれば誰もが願うのが三冠の達成。最終戦・ジャパンダートダービーへの期待は高まっていた。
しかし、ジャパンダートダービーはJpnⅠの交流重賞。強豪が揃う中央馬との対決となる。
過去、2冠を達成しながらもジャパンダートダービーで返り討ちになった馬は多い。かのアジュディミツオーやハッピースプリントも中央勢の壁に阻まれ、3冠を取り逃している。
今回出走する中央勢は7頭。地方勢はわずか4頭の11頭での出走となった。
しかし、ヒーローコールは秋を目標に見据えて回避。ケンタッキーダービーへと挑んだマンダリンヒーロー、中央のデルマソトガケは疲労の面から回避と有力馬の回避が相次いだ。
だが、中央勢には兵庫チャンピオンシップを持ったまま逃げ切ったミトノオー、新馬戦こそ2着に終わったが3連勝で青竜ステークスを勝ち抜いたジャスティファイ産駒の2億円ホース・ユティタム、ダート交流重賞での勝ち馬も2頭(オマツリオトコ、ゴライコウ)おり、油断の出来ない強豪が出揃っていた。
そんな中でも3冠への期待は大きく、ミックファイアは中央勢を押しのけ、単勝2.0倍の1番人気に推されていた。
ゲート入りが終わり、いざ本番。日が沈んだ暗闇の中、三冠に向けての最後の戦いが始まった。
スタート直後からミトノオーがハナを切って逃げ、テーオーリカード、オマツリオトコ、ユティタムらが追走。ミックファイアはユティタムの後ろに位置をつけた。
…しかし、ミトノオーは掛かってしまい、暴走気味にペースを上げ、最初の3ハロンを34.9という超ハイペースの展開となった。
こうなってしまっては先行勢には辛い。苛烈な消耗戦となる中、先行勢の大半は3コーナーで脱落。4コーナーに差し掛かって残ったのは力任せに押し切ろうとするミトノオー、それを追うユティタム、そして…ミックファイア。
あの地獄のようなハイペースの中、ミックファイアは先行勢に喰らいついていたのだ。
最後の直線。逃げるミトノオーとそれを追うユティタムをミックファイアは追撃する。
残り200。ぐんぐんと加速してゆくミックファイアはユティタムを競り落とす。
残り100。ついに逃げ切りを図るミトノオーを捕えた。外からはキリンジが迫る。しかし、ミックファイアは失速せず、キリンジに対し2馬身半の差をつけて、栄光のウイニングポストを通過した。
ミックファイア、無敗三冠達成。灼熱の砂上に猛炎が駆け抜けた。
ウイニングランを終え、ホームストレッチへと帰還したミックファイアは大歓声に迎えられ、「御神本コール」が送られる中、鞍上の御神本騎手は、かのシンボリルドルフの岡部幸雄のように3本指を立て、3冠達成をアピールした。
これによりミックファイアは2001年のトーシンブリザード以来22年振り史上2頭目(※)かつ来年からのダート三冠の整備により現行制度では最後となる無敗南関東三冠馬となった。
また、地方所属馬のJDD制覇は2021年のキャッスルトップ以来2年振り史上7頭目、大井所属馬としては1999年の第1回JDDを制したオリオンザサンクス以来24年振り2頭目の制覇となる。
3歳ダートの頂点に立ったミックファイア。
JDD後、茨城県のミッドウェイファームで休養に入り、8月3日に陣営から秋の予定が発表された。始動戦としては戸塚記念(9月14日)も候補にしていたが休養期間を重視し、左回りと長距離輸送の経験も兼ねて、10月1日のダービーグランプリ(盛岡2000m)が初戦となることを発表(ちなみに候補にされた2レースは3歳限定戦である)。その後、古馬との初対決にもなるJBCクラシックへ経て、年内最終戦としてチャンピオンズカップか東京大賞典へ向かう予定としている。
※トーシンブリザードが三冠を達成した当時は東京王冠賞(2001年を最後に休止)を含めた旧・南関東三冠であり、JDDを三冠目とする2002年〜2023年までの新・南関東三冠としては最初で最後の達成馬となる。