概要
茨城県にある地方自治体大洗町のこと。女子高生とちょっとだけ戦車が登場するらしい(監督談)アニメ『ガールズ&パンツァー』(以下ガルパン)の聖地となっている。
太平洋の海産物を使用した料理をメインに提供する飲食店が多く、テレビアニメシリーズと劇場版で市街戦の舞台となった場所をリアルに巡れる。
聖地としての歩み
2011年の東北地方太平洋沖地震で発生した津波により、港町の大洗も大きな被害を受けた。さらに追い打ちをかけるように福島第一原発事故の放射能漏れに関する風評被害が影響し、観光客は減少。町の有志も何とか町を明るくしようと活動する中、2012年にガルパンのTVアニメ放送が始まった。
アニメ放送中から舞台となっている大洗町内をファンが練り歩くようになり、商店街も看板娘(数名の男性含む)としてキャラクターや戦車のパネルを設置。商店や旅館がガルパンとのコラボグッズに前向きな姿勢で臨むなど、バンダイビジュアル公式が(良い意味で)予想の斜め上と評するまでになった。なお、放送当初は当然ながら町内にグッズは皆無であったため、聖地巡礼者が町名の書かれたゴミ袋を買って帰る光景があったとか。
その後もノリノリな現地の方々とのアットホームなふれあいで着実にリピーターを増やし、ガルパンがきっかけで移住する人も多くその数は100人以上に上る。大洗を訪れるガルパンファンを親しみを込めて「ガルパンさん」と呼ぶようになった。
また、海外にもガルパンファンは多く聖地巡礼で訪れる外国人観光客も見受けられる。
町として開催する「あんこう祭り」や「海楽フェスタ」などのイベントにもガルパンが関わるようになり、声優トークショーの他にもガルパングッズを販売するブースを出店。その結果、多い時には数万人もの来場者が訪れる程になり、イベント前後の大洗で宿を確保するのは争奪戦とも言える状態となった。
また、メインキャラクターの誕生日になると該当するパネルのある商店などが主催となり、町の施設を借りて盛大に誕生日イベントが開かれることもあり、平日にもかかわらずファンが大挙して祝福する光景が見られる。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、中止と延期が相次いだ町内のイベントであるが感染対策が落ち着いた現在は再開されており、ガルパン関連も2023年のあんこう祭で復活することが告知されている。
現在と今後の展望
2022年にアニメ放送から10年を迎えたガルパンであるが、最終章が制作されている現在も作品の話題性も手伝って聖地巡礼に訪れる人を多く見受けられる。
一方で、近年は町としてもガルパンだけに頼らない方向にシフトしており、インバウンド需要を見込んでひたちなか市と共にリゾート構想を打ち立てており、大洗とガルパンを取り巻く環境にも変化が起ころうとしている。
主な劇中の登場スポット
テレビシリーズ・劇場版のスポット
鉄道で来る場合の大洗の玄関口。ホームと待合室までの廊下には駅員姿のキャラクターパネルがお出迎えしており、改札横の売店でもグッズを販売するなど聖地巡礼の気分を高めてくれる。
2020年に待合室や駅前ロータリーのリニューアル工事が行われ、新たにカフェスペースと電動レンタサイクルを併設した観光案内所「うみまちテラス」が誕生した。
- 肴屋本店(さかなやほんてん)
明治時代創業の商店街にある老舗割烹旅館。テレビシリーズと劇場版を合わせて2度も派手に戦車が突っ込んだことで、ファンにとって大洗で最も有名なお宿となっている。
- 大洗シーサイドステーション(旧アウトレットモール)
大洗唯一のショッピングモール。みほ達大洗の面々が買い物に訪れるだけでなく、劇場版のエキシビジョンマッチでも登場する。1階には大洗産のお土産が揃う「まいわい市場」、2階にはガルパンのグッズ販売や歴史紹介、過去のイベントで設置されたパネル展示などを行う「ガルパンギャラリー」がある。
- クックファン
茨城県水戸市にあるトンカツ屋。作中では学園艦内の店舗として登場。「ガルパンカツ」こと総重量550gの戦車カツを再現し提供している。2号店が先述したシーサイドステーションにあるが、2023年8月に閉店する予定。
- 大洗マリンタワー
1988年竣工の大洗港を望む港地区にある高さ60mのランドマークタワー。3階展望台からの眺めは絶景で太平洋の海や街並み、快晴で空気が澄んでいれば富士山を拝むこともできる。2015年に2階の喫茶店跡に「ガルパン喫茶」がオープン。2022年にはネーミングライツ(命名権)取得が行われ、「ひたちなかエネルギーロジテック大洗マリンタワー」に改称された。
太平洋の絶景をのぞむ立地に立つ少彦名を主神として祀る歴史ある神社。劇場版でプラウダ高校からの追撃を逃れるⅣ号戦車が参道の階段を下った。
海上の岩場にある鳥居が有名だが岩場は高波で危険なため立入厳禁である。
- 大洗シーサイドホテル&大洗ホテル
磯前神社に程近い太平洋岸にある2大ホテル。劇場版で両ホテルがプラウダ高校のKV-2に砲弾を撃ち込まれており、シーサイドホテルでは弾痕をファンのためにリアルに再現している。
- 潮騒の湯
海水浴場近くに位置する温泉施設。エキシビションマッチ参加校による慰労会の舞台となった。泉質がナトリウム:塩化物強塩温泉なので、夏場の日焼け直後はご用心。
劇場版(最終章)のスポット
- 坂本文具店
肴屋本店のすぐ近くにある文具店。カメさんチームの河嶋桃の実家のモデルとなっている。
- 江口又新堂
肴屋本店の目の前にある大洗唯一の本屋さん。歴女のカバさんチームが買い物に訪れている。店主の江口さん自身も町の生き字引でリアル歴女である。
- サザコーヒー大洗店
シーサイドステーション内にある喫茶店。桃の大学入試の勉強のため、カメさんチームの3人が来店した。BC自由学園のマリーが食すモンブランが再現され人気。
- お好み焼き道(みち)
大洗名物「たらし焼き」を提供するお好み焼き屋。アヒルさんチームと知波単学園の福田が食事のために来店。
余談
- 町のイベントに一度だけであるが自衛隊の戦車を呼んだこともある。ただし、その後は諸事情により残念ながら実現していない。地元民の中には、作中に登場する戦車を実物ばりに再現する強者も現われ、コスプレイヤーにとってもありがたい存在となっている。
- ガルパン以外にもサーフィンアニメ『WAVE!!』や映画・ドラマの舞台にもその名が挙がっており、ガルパン以外でも割と有名な場所である。