概要ですよ!カテジナさん!
「カテ公」とは『機動戦士Vガンダム』を題材としてことぶきつかさ氏が執筆したパロディギャグ漫画作品集『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』の劇中でカテジナ・ルースに対して付けられた蔑称である。
『機動戦士Vガンダム』が放送されていた1993~1994年当時に視聴者がカテジナに対して抱いていたであろう感情を一言で表した秀逸な呼び名であり、これをきっかけにカテジナは一部ファンから愛を込めて「カテ公」と呼ばれるようになった。
漫画ですよ!?カテジナさん!そこまでやるんですか!
漫画内での「カテ公」の初出は、第1話「いけ!いけ!ぼくらのマーベットさん」より。
ギロチンを免れたカテジナに対してマーベット・フィンガーハットが言い放った台詞内で「カテ公」が初登場した。
「ギロ喰らったのカテ公でなく伯爵だけ!?」
第2話「超悲劇丸出し少女 シャクティ♡シャクティ」ではカテジナは前話でクロノクル・アシャーに拉致られたので一切登場せず、そのため「カテ公」の呼称も登場しなかった。
しかし、 「これ…母さんです…」 と云う、TVアニメ版の台詞とは微妙に異なっているパワーワードの発祥という意味では今やネタ的に有名となっている第3話「いけ!いけ!ぼくらのバイク戦艦!」の頃になると、当時のことぶきつかさ氏の精神状態のせいなのか投げやりで荒唐無稽な描写が多くなり、簡略された棒人形のような落書き風にモビルスーツを描き殴り、カテジナは完全に開き直ったのかアニメとは全く似ても似つかぬ極悪非道な悪女顔で描かれており、そのせいかキャラ判別が出来るようにカテジナが出るコマには小さく「カテ公」と注意書がされている。
同様にウッソ・エヴィンの母親であるミューラ・ミゲルも「ヘルメットを被っているからアニメに似せるのが難しい」という理由で顔は終始適当に描かれ「ウッソ君のお母さん」や「ママ」と注意書がされている。
ちなみにことぶきつかさ氏が当時お気に入りだったマーベットは「マーさん」で、何故か無意味に一年戦争時代のシャアが紛れ込んでいるコマまである。
最終回となる第4話「これで終わりだ!Vガンダム」で完全におかしくなったカテジナさんはTVアニメ版と同様(?)に自信満々でネネカ隊をウッソにぶつけるのだが…。
「あっはぁ~ん♡私たちプリチィセブンで──す♡」
あまりにも軽いノリで登場した際どい水着のお姉さん集団のネネカ隊を目の当たりにしたウッソは興奮する。
「うわっ、ちゃべー!!は…裸のお姉さんだぁ~!!はっはっ、恥ずかしい~」
しかし、ウッソはすぐに開き直ってしまいV2ガンダムでネネカ隊を次々と殺し始めた。
「そうか!!きっとこれも幻覚だな!?もう騙されないぞォ!!これでも喰らえ!!」
悪い方向へと完全に吹っ切れてしまったウッソの駆るV2ガンダムによってネネカ隊をもれなく全員虐殺されてしまい(流石のカテジナさんも惨殺死体が舞うあまりにグロい惨状に「あぶねーっ」とドン引きしていた…)、作戦は失敗。
こうしてカテジナさんは敗北した。
その直後に突如エンジェル・ハイロゥが崩壊し、ウッソとは完全に決着が付くこともなく唐突に戦争は終る(恋人のクロノクル・アシャーも最終回は全く出番無し)。
カテジナさんは極悪非道な行いをしたバチが当たって記憶と視力を失うが生き残り、本能からかウーイッグに帰ろうとしてカサレリアまで辿り着くのだが、彼女の邪悪な気配を感じ取ったカルルマン・ドゥカートゥスをワッパでさりげなく轢き、そこで再会したシャクティ・カリンに引導を渡される事になった。
「カ…カテ公!!この野郎、あんだけ悪事働いといてまだ生きてたか!」
「そんな事はスタッフが許しても、この私と視聴者が許すもんですか」
こうして、カテジナさんはシャクティからワッパに「地獄行きのオートコンパス」として時限爆弾を仕掛けられ、故郷のウーイッグに帰ることもなくカサレリアの森で壮絶に爆死したのであった。
なお、エンジェル・ハイロゥ崩壊の原因はサイコ・ウェーブによって増幅拡散されたシャクティの屁の臭いだった…。
余談ですよ!カテジナさん!
ちなみに、メディアワークスより発売されていた旧単行本にのみ載っていることぶきつかさ氏のコメントページによれば、この漫画の最終回のコンテ締切日の翌週が『機動戦士Vガンダム』最終話の放送日だったそうで、さすがに最終話を観ない状態で漫画のラストを作るのは難しいとの事で「バンダイの担当者から渡されたシナリオ台本を読みながらコンテを切るというつまらない方法で最終話のストーリーを知ってしまった」と愚痴っており、台本では読み取りにくいビジュアル部分は最終話の放送をリアルタイムで観ながら下描きを入れると云う有り様だったらしい。
「この漫画は最後まで気持ち良く作業を進ませてくれることはありませんでした。つくづく初回のマーベットさん漫画でやめておけば良かったと思う…(笑)」と、漫画の執筆時はかなり苦痛だったようだ。
しかも漫画中の台詞に関してバンダイとサンライズ側からは何度もチェックが入り、台詞訂正を喰らって揉めたせいで最早やる気が失せたとの事である。
最終回を描いた時には「ようやく【ガンダムのギャグ漫画】という悪夢から解放される時が来た…」と思ったそうな。
2012年に単行本の改訂版がKADOKAWAから発売される際に行われた対談収録でのコメントによれば、当時のことぶきつかさ氏はバリバリのファースト原理主義者で「『0083でもギリOK』とか生意気言ってた頃」だったらしく、『機動戦士Vガンダム』という作品を視聴してはいたが1stガンダムから70年後と云うストーリーには全く興味が持てず、バンダイから『機動戦士Vガンダム』を題材にした漫画を依頼されても「ストーリー物から逃げたくてネタに困ってギャグに走るしかなかった」と述懐している。
しかもことぶきつかさ氏はそれまでギャグ漫画を描いたことがなく、どうすればいいのか分からず「ブラックな弄り方しか出来なかった」との事である。
しかも、「そんな人間がコミックスのあとがきで『今後のガンダム作品でデザイン参加とかしたいなぁ』とか言ってる(笑)ナメとんのかと(笑)」と、本人はかなり当時の行為を後悔していた。
更に「旧単行本が出た後にVガンダムを何度か観返してるんですが、当時解らなかった味が徐々に見えてくるんですよ。なのに作品の良さに気付けなかった頃の鈍感な自分の言葉しか旧単行本には記録されていない。」とまでコメントしている。
実際に、KADOKAWAの改訂版コミックスに収録されている対談コメントでは、旧単行本に収録していた「ガンダム作品について愚痴る様なコメント」が載っているページを見たKADOKAWAの担当者から「関係者に喧嘩を売っていると思われてもおかしくない」と指摘されており、「当時何の考えもなく書き殴った痛いコメント」だとして改訂版ではことぶきつかさ氏本人の意向により当時のコメントが載ったページは「あとがき」を残して全て削除されている。
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