概要
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の舞台となった宇宙世紀100年代に登場した反地球連邦政府運動若しくは反地球連邦政府組織。(1994年前後に発売された機動戦士ガンダム大図鑑における年表では、小説の公式設定と異なり103年、104年に活動していたと記述あり)
「マフティー・ナビーユ・エリン」とはスーダン語、アラブ語、古いアイルランド語の3つのメドレーからなる造語であり、「正当なる預言者の王」を意味する。
劇中では、敵味方に限らず、「マフティー」、「マフティー・エリン」という略称もよく用いられた。
マフティーの組織を統括しているのは連邦政府の閣僚のトップまたは官僚のトップと目されるクワック・サルヴァー(ヤブ医者)という人物であった。
アマダ・マンサン教授との面会に立ち寄ったクワックにマフティーへと勧誘されたのが、当時植物監査官候補生の実習を教授の下で受けていたハサウェイ・ノア、ブライト・ノアの一人息子なのであった。組織に参加してからのハサウェイは1年で中枢戦闘員となり、そしてマフティーという団体を率いるリーダーとしての「マフティー・ナビーユ・エリン」その者を演じるようになっていき、世間では「マフティーの正体はアムロかシャアではないか?」と言われるようになるのだった。
反連邦組織としてのマフティーは、Ξガンダムやメッサーなど、相当数のモビルスーツを保有しているが、これはアナハイム・エレクトロニクスと繋がりを持った連邦軍の将軍であるクワック・サルヴァーが補給関係に多大な才能を発揮している部分が大きい。
この時代、地球連邦政府機構の直轄にいる者は、好きに地球に居住できるという背景が設定されており官僚独裁の傾向は拍車をかけていた。また、これらの一部の特権階級が地球を独占するため不法地球居住者をマン・ハンター的な行為で一方的に排除することも合法化されていた。
政府の閣僚と議員たちの社会は世襲制の様相を為しており、その政策の元に展開される現実は差別政策であると断ずることが出来た。
だからこそ、彼らマフティーは連邦政府の要職にある人々を粛清し中央閣僚から世襲と血縁による体制を揺さぶり、地球をクリーンにするために、人類の全ては、地球から出なければならない政策を実施するよう、政府に要求を突きつけたのである。
なお誤解されがちだが反政府組織であるものの、目的の根幹は「地球を無人に近い状態にし地球を救う」という地球連邦と同じでありハサウェイ本人もマン・ハンターを「スペースコロニー移民時代の趣旨と移民法の公平な運用にのっとれば彼らの行動は正義に見える」とハンターの存在を容認肯定しており、命を奪いかねない対応や特権階級のみが残るという部分を問題としている。
よくネタにされがちなマフティーの連邦に反省を促すという部分も、宇宙に全人類が移民し地球を救うという創設理由に立ち返るという意味である。
世間的には「テロリスト」と認識されているが、リーダーであるハサウェイの方針によって、キンバレー部隊やマン・ハンター、かつてのネオ・ジオンなどのジオン残党軍とは違い、悪意のある大量破壊や虐殺は行わず、あくまでもターゲットである連邦政府の閣僚のみを攻撃目標として、可能な限り被害を少なくしようと細心の注意を払っている(しかし、モビルスーツによる攻撃な為、民間人の犠牲は止むを得ず、上巻(15 キルケーユニットの章)においてその犠牲者は300人を超えている)。アデレートへの攻撃宣言の際も、無関係な民間人に避難する為の猶予を与えており、時間を厳守する形で粛正を実行に移した。
地球を独占しようとする連邦政府の態度に世間が辟易していた事もあってか、マフティーはテロリストに関わらずスペースノイドの民意を得ていた。しかし、今度はマフティーの名声を当てにして、オエンベリ軍からマフティーを騙り軍資金を集めるために連邦政府の閣僚を処刑をするようなハイジャッカーという非道な集団まで出現するのだった。
また、同じく連邦にはウンザリ且つマンハンターに怯えながら地上で暮らしているアースノイド(の下層に属する人)たちからは、支持こそはされているが、共感はされてなかった。
マフティーは、中央閣僚会議により可決されそうになっている地球の土地を正規の居住者からでも任意で取り上げられる法案を阻止するため、ハサウェイの駆るΞガンダムを中心に攻撃を開始した。しかし、キルケー部隊の設置したビーム・バリアーとその発動タイミングに恩恵を与えた幸運の女神であるギギ・アンダルシアの力により、Ξガンダムは撃破されてしまい、捕らえられたマフティー・エリンことハサウェイは裁判無しで処刑されてしまった。しかし、マフティーの生き残ったガウマン・ノビルなどの戦闘員や黒幕であるクワック・サルヴァーなどは健在で地下に潜ってしまい、原作小説では反抗の機会を窺っているという終わり方になっている。
SDガンダム GGENERATION-Fで閃光のハサウェイが初参戦した際にマフティー・ナビーユ・エリンが声付きのカットインで登場した事から、しばしばハサウェイによる「人の犯した過ちは、マフティーが粛清する」と言うセリフで知られるが、原作においてハサウェイは直接的には言っていない。元となった台詞は、小説下巻における処刑時に彼が発した「マフティーとして言いたいことは言った。いつかは、人類の健やかな精神が、この地球を守ると信じている。それまでは、人の犯した過ちは、今後ともマフティーが、粛清しつづける。」と言う台詞から来ている。
マフティー・エリン処刑後に、メジナウム・グッゲンハイム大将がリークした情報によりマフティーの正体はハサウェイ・ノアであるという暴露と、その処刑の指揮を執ったのはブライト・ノアであったという捏造された情報が同時に新聞で発表された。これに対し、マフティーは読者の投書というかたちで、ハサウェイはシャアの反乱を生き延びたニュータイプであった事、そして父親ブライトに息子であるハサウェイを処刑させた非人道的な行いを痛烈に批判した。
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』において主役組織を成しているマフティーであるが、下巻で今作のヒロインであるギギ・アンダルシアの言った「……でも、いまハサウェイがやっていることは、人の血を噴き出させるだけでおわるよ」の台詞の通り、必ずしも彼らの行いは作中で肯定されているという訳ではなく、むしろ小説のテーマとしてはテロリズムは徹底的に非難されているのである。それはマフティー・エリンことハサウェイ・ノアの考えも同様であり、彼は電波ジャックによる演説中に「テロは、あらゆるケースであろうとも、許されるものではないからです」と自分達の行いを直接的に否定したのだった。
主な構成人員
主な保有戦力
関連項目
かぼちゃマスク(閃ハサ):マフティー・ナビーユ・エリンを騙ったオエンベリ軍の一員である。結局本物のマフティー・エリンであるハサウェイ・ノアにより撃退された。