多魔市とは、伊藤いづもの漫画「まちカドまぞく」の舞台となる町である。
住宅地
せいいき桜ヶ丘
本作の舞台となる町。住民のスルー力が半端無く、傍から見るとかなり変な町らしい。
多魔市においては桜の名所にもなっている閑静なベッドタウン。
神話の時代から現代に至るまで、光と闇の両勢力の中立地帯になっており、両勢力の人々がのんびりと共存している。
住民たちはその事に関して慣れっこになっており、その点が(他の地域住民の目には)特異な状況であっても動じない理由となっている。
また、まぞく専用の「暗黒役所」が存在しており、まぞく、およびまぞくとして覚醒した者は、こちらにまぞくとしての活動名および、活動開始届を申告しなければならないらしい。一話でシャミ子に角と尻尾が生えた時、清子が「シャドウミストレス優子」のまぞく活動名を同窓口へと送っている。
不動産なども、「光闇割」といった特典が存在する物件がある様子(ばんだ荘も参照)。
せいいき桜ヶ丘駅を中心に、駅西側にショッピングセンターマルマ、駅東側にたまさくら商店街や桜ヶ丘高等学校といった施設が存在する。森や山が近く、北部には多魔川(たまがわ)という河川が流れている。
ばんだ荘
シャミ子を含む吉田家が住んでいる二階建て9部屋のアパート。
建物は古く傷んでおり、廃屋に間違われるような見た目となっている。内装も、剥がれかけた壁紙の下には、呪符らしきものが多く張られていた(のちにこれはあるまぞくの仕業だった事が判明)。
光の一族または闇の一族であれば簡単な手続きで格安で住める「光闇割」という割引があり、せいいき桜ヶ丘に引っ越してきたミカンは即決した(ちなみに家賃月120円)。
当初の住民は吉田家のみ(二階の真ん中の部屋)だったが、物語が進むにつれ、ミカンとともに、桃、そしてリコや白澤店長などが引っ越し、住み込むようになる。
ミカンと桃は二階の、吉田家の両脇に引っ越し住むように。一階には桃の階下で白澤とリコが、「喫茶あすら」の仮店舗を開くようになる。
以前は、まぞくを含めて多くの住民がここに住んでいたらしい。また、吉田家の部屋の扉には、ほとんど破れて失われているが、結界が描かれた紙が貼られている。
ちなみに「ばんだ」は漢字で「万朶」と書き、多くの花の枝、または多くの花を意味する。
河川
多魔川
せいいき桜ヶ丘の北部に流れる河川。河川敷には道が伸びており、散歩やマラソンに最適。シャミ子は勝負に桃を呼び出す際に、何度かこの河川敷を指定している。
シャミ子はこの河川敷に伸びる道を、桃とともにマラソンして隣町まで走る羽目になった。
ちなみに桜ヶ丘町内、ばんだ荘の近くの河川敷近くには『よく猫に会える公園』があり、桃は良く赴いている様子。
駅、商業施設・店舗
たまさくら商店街
駅東口側に古くから存在している商店街。南北に長く伸びており、南側の出入口にはゆるキャラ「たまさくらちゃん」の像が設置されている。「レトロで味のあるお店が多い」らしい。
位置的には、ばんだ荘からは駅より若干手前に存在しており、北側出入口はばんだ荘からそう遠くはない。
駅西側のショッピングセンターと連携して、ゆるキャラ「たまさくらちゃん」を作り、イベントを行ったりして、町の活性化に一役買っている。
劇中に登場が判明するのは「ミドリカメラ(シャミ子が、良子へプレゼントしたカメラを購入した)」、「書店」「乾物店」など。喫茶「あすら」の店舗もここに存在している。
また、和菓子屋が一軒だけ存在。そこの薄皮苺大福は、桃にとっては過去を思い出させる苦手なものとのこと。
苺大福自体は、桃曰く「不自然なくらい巨大ないちごが入っていて、皮が薄くて中のあんこが見えるさまがたまらなく不気味で、上質のクリームまで入っている退廃的な大福なんだ」
桃がシャミ子に、怖いものは何かと聞かれた時に答えていた。シャミ子はそれを聞き、弱点を聞いたとばかりに(桃から財布を預かり)実際に買ってくる。
夕方からの販売分はすぐ売り切れてしまう人気商品らしく、シャミ子も走って並び、なんとか二つ購入。桃とともに食している。
更にこの商店街内、または近辺には、某アニメショップが存在している(後述)。
夏には夏祭りが行われ、それに伴いこの商店街にも屋台が出店し、賑わいを見せている。
喫茶「あすら」
たまさくら商店街に存在する喫茶店で、バクのまぞく白澤がオーナーを務める。「腰掛ける場所のない人に居場所を提供したい」という理由から、十年前に白澤が千代田桜の斡旋により開店した。
ショッピングセンターマルマ
駅西側噴水広場前に新しくできた、大型ショッピングセンター。百円ショップやフードコートなど、比較的新しい店舗が多く入っている。
佐田杏里の実家である「マルマ精肉店」の店舗も、こちらに存在する。
極焼肉店「たま川」
シャミ子が予約を入れ、桃とともに赴いた高級焼肉店。ミショラン一つ星、食べロム4.1点の高級店で、杏里のマルマ精肉店の系列店舗。店の外観はシャミ子いわく「武家屋敷?」。この周辺地域だと、一番ハイランクな店らしい。
「桃と話合って色々聞きたい」と、シャミ子から相談された杏里が、「話合いなら焼肉で接待だ」と、この店をシャミ子に予約させ、桃とともに向かわせている(杏里は、自身がシャミ子の誕生日に送った肉チケットの期限が迫っていた事もあったため、それを活用し、彼女に肉を楽しんでもらいたいという意図もあった。また、店自体は杏里自身も家族で何度か赴いていた様子)。
予約した極コースは、信州牛の履歴証明書を提示された後、料理が提供される。コースの内容は「ミスジの握り、トリュフのテールスープ、ノンアルのシャンパン」「山わさびで頂く極上ヒレ」など。
なお、杏里が渡した肉チケットは、彼女が無料券と勘違いしていたもので、実際は単なる割引券。一人25000円コースが、15000円に割り引かれるものだった(ちなみに四条ねぎダレトッピング追加、および桃の飲み物お代わり代も追加し、かかった金額は合計36830円。支払いは桃が黒いクレジットカードで済ませている)。
スイーツラウンジ桜ヶ丘店
スイーツバイキングの店。スイーツ食べ放題の他、オムレツを目前で焼いてくれる。
6巻で、桜ヶ丘高校の一年C組の生徒数人が、杏里とともにシャミ子、桃、ミカンを誘い、この店で女子合コンを行っている。
誘ったのは杏里で、上記肉チケット割引券を、無料券と勘違いしていた事のお詫びも兼ねていた。
たま健康ランド
ジム及びプール、温泉が併設されたスーパー銭湯。町で一番の規模らしい。
学校・病院、公園など
桜ヶ丘高等学校
シャミ子らが通う高校。多魔川からさほど離れていない場所に存在している。
女子高とは言われてないが、男子生徒は劇中には出てこない。
クラスは、シャミ子と佐田杏里は一年D組(後にミカンも転校後このクラスになる)、小倉しおんはC組、桃はA組。
この町の住民同様、生徒たちもスルー力が強く、シャミ子に角が生えてもあまり騒がず、むしろ何事もなく受け止めている。
夏休み明けに体育祭があり、その準備のために夏休みの登校日や新学期直前などに、生徒たちが登校して準備する事も。
また、「生徒は何らかの委員会に所属しなくてはならない」という校則がある。ちなみにシャミ子は保健委員、杏里は体育祭委員会。ミカンも杏里に誘われ、体育祭委員会に入る。
ただしこれはさほど厳しいものではなく、既にある委員会に入る以外にも「自分で委員会を作り活動する」でも許可されている。桃も「猫に群がられ委員会」なるものを作り、猫に群がられていた。
劇中では「人体標本磨き委員会」「つるむらさき栽培委員会(人手不足らしい)」「ゾンビ対策マニュアル作成委員会」が存在し、ミカンを勧誘。ミカン自身も「ミカン栽培委員会」を申請したが、収穫が卒業まで間に合わない事から却下された。
桜ヶ丘公園
高台の上にある公園で、大きな桜の木が象徴的に生えている。この高台は眺めが良く、町全体を見渡す事が可能。桃にとっては、桜との思い出の場所である。
実はせいいき桜ヶ丘の、町全体の霊脈の源流。そのため、魔法少女が魔術を用いた狙撃を行うには最適の場所でもある。
せいいき記念病院
ショッピングセンターマルマの向かいに存在する病院。シャミ子が幼少期に入院しており、清子が良子を出産したのもこの病院。10年前、シャミ子は入院中にとあるものを見ている。
多魔動物公園
多魔市内に存在する動物園。
VIP動物触れ合いコーナーでは、トラの赤ちゃんと触れ合い、抱っこする事ができる。
白澤店長の挨拶品の中には、この動物園の人数限定VIPチケットがあった。夏休みの宿題をしていなかった桃は、シャミ子にこのチケットを持ち出され、発奮し三日で宿題を終わらせ、シャミ子・ミカンとともに赴く。
後に白澤は、この動物園で出会った雌のバクと交際するように。
その他
奥々多魔
都内にある秘境。原作1巻(アニメは一期2話)で、電車で居眠りして駅を乗り過ごしたシャミ子が到着した駅の駅名として登場する。その後、探索や修行、キャンプの舞台として再登場している。
千代田桜の私有地になっている山があり、山中には貴重な霊水の湧き出る泉が存在。これを守るため、千代田桜は罠や見張りの使い魔などを自身で設置している。
また、多魔川の水神である蛟が封印されており、その祠も建てられている。
余談
アニメ二期1話には、劇中にアニメイトが登場した。モデルになった店舗は、アニメイト聖蹟桜ヶ丘オーパ店であり、実際の店舗の外観が使用された。