概要
サンフランシスコ(英語: City and County of San Francisco)は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州に属する都市。市の人口は約81万人で、サンフランシスコ・ベイエリア全体で709万人である。1年を通して気温の差が比較的小さく住みやすい気候である。移民に寛容な聖域都市として知られ、日本からの移住者や留学生も多かった。リベラルな風土・経済・政治の両面で絶大な影響力を有している。
しかし、これらはすべて過去のことであり、ロス暴動で知られたロサンゼルスの治安が年々改善しているのに対しサンフランシスコは全米屈指の犯罪都市に陥りそれに伴うダウンタウンのスラム化が際立っており、かつてのように気軽に観光できる都市なんかではない。MLBで日本人選手がサンフランシスコ・ジャイアンツと契約しなかった件について、有名選手が「治安悪化」を槍玉に挙げているほど深刻化している。
なお下に挙げるシリコンバレーの窓口となっているのはサンフランシスコの南に位置するサンノゼ(Google、Adobe、Ciscoなど錚々たる企業が本社を持つ)であり、ここは逆に人口増加が顕著で市民の平均収入も圧倒的である。
ちなみにかつては大阪市も同士と姉妹都市関係を結んでいたが、諸事情によって大阪市から提携解消を通達(同時に、大阪市はシカゴを正式な姉妹都市と決定している)。したがって日本では現在、同市と姉妹都市関係を結んでいる都市は存在しない(いちおう堺市が近郊のバークレーと姉妹都市関係を結んでいる)。
経済
都市圏に含まれるサンノゼはシリコンバレーの窓口になっている街で、IT産業が発達している。国内外から移民(富裕層を多く含む)・学生・エンジニアを受け入れており、彼らの持つ資金や知能がサンフランシスコ経済の原動力となっている。逆に言えば海外からの頭脳流出によって支えられているという黒い側面も持つ。
海外から莫大な資金流入があるだけでなく、富裕層にとって投資活動の拠点にもなっており、それゆえ世界に名だたる金融センターとして機能している。
一方で家賃や物価の高騰が続いており、低所得者は別の都市へ退去せざるを得なかったり、ホームレスになる問題も表面化している。
サンフランシスコ・ベイエリアの都市圏GDPは5兆ドルを超えており、世界でも10本の指に入る規模で、大富豪も多い。
リベラルな風土故に世界中の富豪や技術者に好まれる街で、リベラルであることがサンフランシスコ経済にとって重要となっているものの、一方で上記の格差問題を解消できず、現代リベラリズムの限界も露呈している。
政治
同性愛者が多く、1970年6月からLGBTの権利運動の先進地となっている。左派の牙城であり、民主党の政治家が市政を掌握し続けている。一方で共和党の支持者は市民の2割にも満たない。
歴史
1846年7月にアメリカ軍のジョン・スロート大将がカリフォルニアをアメリカの領土と宣言すると、1850年4月にサンフランシスコ市が設置された。当時はまだ辺境地であったものの、ゴールドラッシュによって多くの労働者が金を求めてこの地へやってきた。
その後はゴールドラッシュで成功した多くの企業家が、その財を元手に事業を展開した。同時に海軍基地としても整備され、サンフランシスコは西海岸随一の繁栄を享受した。
1906年4月にサンフランシスコ地震が発生し、市民の約半分が住処を失う甚大な被害を受けた。この教訓のため、防災に対する決まりが非常に厳しく、飲食店であっても21時以降は火を扱えないほど。
第2次世界大戦後は製造業と鉱業の衰退・軍事機能の縮小もあって市経済は冷え込んだ。その代わり観光とIT産業に力を入れるようになり、労働力として移民を入れることで再び経済力を取り戻して現代に至る。
ジャパンタウン
北アメリカ有数の日系人街であり、その歴史は19世紀まで遡る。19世紀末の時点で日本人の人口は1000人近くいたらしい。
1941年12月に太平洋戦争が勃発すると排日運動が激化し、多くが収容所に送られた。戦後は中国系や韓国系も多く移り住み、一方で日系人は混血と分散が進んだ。現代ではアジア人街へと変わってきている。
スポーツ
MLBのサンフランシスコ・ジャイアンツおよびNBAのゴールデンステート・ウォーリアーズ、NFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズの本拠地であり、レスリングシリーズのTDNコスギことヴァン・ダークホームは同市に在住している。
この他、近郊都市を含んだ『サンフランシスコ・ベイエリア』にはMLBのオークランド・アスレチックス、NFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズ、NHLのサンノゼ・シャークスが本拠地を置いている。
市の景色
坂道が多く、街中をケーブルカー・路面電車・トロリーバスの路線が走る。
1963年3月まで連邦刑務所として使用されたアルカトラズ島はこの地にあり、その他にゴールデン・ゲート・ブリッジが架かっている。
ウォーターフロント北部に元々漁港として海鮮料理店が集まるフィッシャーマンズワーフがあり、市の中心部にある双子の山「ツインピークス」はダウンタウンを一望できる景勝地である。また北アメリカ最大のチャイナタウンも存在する。