概要
原作25巻FILE.9「手負いの探偵団」~26巻FILE.7「思い出の場所」に相当。
アニメは「命がけの復活 ○○」というタイトルで、6週にわたり放送された。
本作の主人公・江戸川コナン(工藤新一)と、ヒロイン・毛利蘭との関係性に焦点を当てた長編シリーズ。
また、APTX4869の試作解毒薬が初めて使われたエピソードでもある。
『コナン』全体を通して見ても非常に重要な立ち位置であり、以降のエピソードやOP・ED映像、劇場版などにおいても本シリーズの画や回想が多く登場する。
2020/07/18~2020/07/23にかけて公式チャンネルにて配信された。
ポイント
「洞窟の探偵団/負傷した名探偵」
「バレてんじゃないの?あなたの正体…」
自分の正体が蘭にバレているのでは……というコナンの疑念が、確信に変わるまでを描いたエピソード。同時に、2人に対する哀の複雑な感情も垣間見える。
事件パートでは、歩美・元太・光彦の少年探偵団3人組が大活躍。重傷を負い意識を失ってしまったコナンに代わり、鍾乳洞の謎を解いて見事出口にたどり着いた。
「第三の選択/黒衣の騎士」
「祭りの続きはこの血塗られた舞台に幕を下ろした後で…」
本編では2度目となる新一の復活が実現。有名人の久々の登場に大いに沸く生徒たちや、コナンと同時に存在する事態に困惑する蘭と平次、「工藤」が本当に男性だったことに嘆息する和葉など、新一に対する多種多様な反応が面白い。また、蘭に真相を伝えるかどうか迷うコナンに対し、蘭の身を案じて秘密にするよう釘を刺す哀と、蘭の心情を汲んで全て明かすよう勧める平次の、コナンと蘭の立場を理解しつつも真逆な二人の見解も見所の一つとなっている。
事件自体は特別難解なものではないが、新一の黒衣の騎士姿や大勢の観客のおかげで、まさしく「推理ショー」と呼ぶに相応しい謎解きパートとなっている。
「帰ってきた新一…/約束の場所」
「あいつが…あいつが待ってんだ…」
好きな時に好きなだけ会えない、本当の姿で本当の思いを伝えられない……そんな新一と蘭の恋模様が凝縮されたエピソード。新一の行動の背景に、この2人が意外な形で関係している。
また、元の姿を喜ぶ一方で「江戸川コナン」としての言動が染みついてしまっている新一や、サポート役に徹する哀のコナンへの変装にも注目。
ゲストキャラクター
「洞窟の探偵団/負傷した名探偵」
「第三の選択/黒衣の騎士」
田中理恵氏は後に三池苗子役を演じる(苗子は帝丹小学校OGであり、こちらも新一や蘭たちの先輩役である)。
小山剛志氏はこの時に初めてゲストキャラを演じたが、次に出演したのは2021年11月に放送された「大岡紅葉の挑戦状」と初出演から約21年半後の事である(こちらのエピソードにも平次と和葉が登場している)。
このエピソードに登場する事件関係者の名前は劇作家・劇団または劇曲から取られているが、蒲田役の小林顕作氏は演出家であり、ダンスカンパニー「コンドルズ」の旗揚げメンバーでもある。
「帰ってきた新一…/約束の場所」
小山武宏氏は平次の父・服部平蔵も演じていたが、不定期登場だった為、ゲストキャラを演じる事が何度かあった。
井上喜久子氏は後に黒の組織のスナイパー・キャンティを演じる。
余談
このシリーズ最後の事件となる「帰ってきた新一…/約束の場所」は2011年に実写ドラマ(溝端淳平主演版)化されている。
事件の流れは一緒だが、APTX4869で身体幼児化される前の状態で起こっているので新一が苦しむ描写はなく、蘭への想いを伝えようとする場面では、店員に閉店を理由に邪魔されるオチに変更されている。
またこのシリーズ放送時の30分前に放送されていた別の推理アニメでは工藤新一役・山口勝平氏が犯人を演じたエピソードが放送されている。