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編集者:とある好き
編集内容:文章の整理

※この項目は重大なネタバレが含まれています。

 特に原作小説を未読の方は、ご注意ください。

概要

主人公・上条当麻の存在の根幹に関わるシリーズ最大の謎/ブラックボックスと呼べる概念。

初出は無印1巻で神裂が上条の名を褒めた時に用いられた。

この時はまだ当て字程度の認識だったが、後にコミカライズのコミックガイドにて原作者の鎌池和馬氏から「『神浄』には意味がある」と言及された。

14巻でもあとがきにて『神の右席』が目指す「神上」とは違う事を指摘しており、無印最終巻である第22巻で『人間』アレイスター=クロウリーが求めている概念だと判明した。

曰く、十字教程度の尺度では説明できないモノで、この事からクロウリーが説いた思想テレマに関係すると推測できる。

ただし同時に「『神上』という着眼点は悪くなかった」と言っている事から、何か関連性のようなものはあるらしい。

幻想殺し』や『竜王の顎』にも深く関係していると予想されている。

各巻での言及

無印1巻

神裂火織「神浄の討魔、ですか───良い真名です」

新約13巻

僧正「幻想殺しなどお主の本質の付属物でしかない。というより、全世界の魔術師の願いがさまよっている内に、お主の本質へ吸い寄せられた結果に過ぎん。言ってみれば、つまらぬ横槍じゃな。神浄の討魔とは右手の力につけられたものではなく、お主自身につけられた名であろう? であれば事象の中心は過去のレコードでも右手に宿る力でもなく、お主『そのもの』にあると見るべきじゃ」

新約14巻

ネフテュス「(理想送りを宿した上里翔流ついて)おそらく幻想殺しと同じ、世界の抽選によって選ばれたに過ぎないでしょう。でも私は、幻想殺しはたまたま上条当麻に宿ったとは思っていない。全ての魔術師の夢は、神浄の討魔という真名の持ち主、その魂の輝きに惹かれて吸い寄せられたと今でも信じている」

新約18巻

エイワス『君はよくよくヒーロー気質だなあ。~(中略)~ これは確かに、選ばれるだけのものを持っている』

    『幻想殺しは君を選んだんだよ。どれだけこの男(アレイスター=クロウリー)が焦がれても、例によって失敗と挫折を繰り返したおかげでね』

というように作中で何度も、『神浄の討魔』は上条当麻の真名である事、そして幻想殺しはその名を持つ上条を選んだ事が触れられている。

しかし神裂に関しては、おそらく名前の響きから連想したに過ぎず、幻想殺し云々の事は知らないと思われる。

リバース

ここから先は新約22巻 リバースのネタバレのため注意!

アレイスター「これは、貴様(コロンゾン)が招いた事態でもある。これまでもあのストッパーが破断する機会は何度かあった。右方のフィアンマに、魔神オティヌスエイワスの時もそうだったか。……しかし、今回は流石にやり過ぎだ。錠前は壊れたぞ。分解されぬモノ、その奥に潜んでいたアレを貴様は一体どうするつもりだったのだ?」

      「一番の難問は上条当麻、その右手の力だよ。アレはもう抑えきれんぞ

アンナ「おはよう、幻想殺し。……そして神浄の討魔。貴様達には、世界は何色に見える?」

上条当麻「幻想殺し、じゃなかったのか?」

「そんな安い言葉で説明できるだなんて思ってんじゃねえよ、クズ」

新約22巻リバースでは、神浄の討魔そのものと思しき存在が上条当麻の内から現出する。

経緯

薔薇の魔術師が言うには、ただでさえ上条の脳はインデックス食蜂操祈の件で負った二度ものダメージで不安定な状態だった。そこへアレイスターが右腕を切断して回復魔術を施した事で、これまでかろうじて保っていたバランスが崩壊する。

特に、右腕が無いまま回復魔術を掛けてしまったのが問題らしく、これにより上条の不安定な脳が「右腕(幻想殺し)が無いのが正しい状態」と誤認してしまう。

本来は「上条当麻の右手にこそ幻想殺しが宿る」というルールが働いて修復するはずの右腕が、よりによって上条自身から拒まれる形となってしまったのだ

結果、行き場を失った右腕だったが、そこまでならまだ危ういだけの状態に留まっていたはずだった。

現にコロンゾンと再戦する際は、切断された右腕が今まで通り綺麗にくっつき、そのまま問題なく戦えているのが確認できる。

しかし、その後再びコロンゾンによって切り離された事で今度こそ「右腕は上条当麻とは違う存在」という認識が決定的となった

さらにそこへ能力者である上条の「もっと上手く幻想殺しを扱えていたら」という祈りが合わさり、上条当麻という存在を支える力のほとんどを持っていく形でもう一人の少年が現れた

人格

一見変わったところは無く、インデックスや美琴といった知り合いにも違和感を持たれず、本当に上条当麻そのものとして振る舞っている。

しかし一方で、戦闘時などの火急の事態になると暴力的な言動が目立つようになる。特に、もう一人の自分である上条にはやたら攻撃的。

相手が話している途中で殴って黙らせる、食蜂の弱味につけ込んで能力を使わせる、幻想殺しや英国女王エリザードが背負うものを利用して言いなりにする等、あのお人好しな上条からは想像できない悪辣な方法を躊躇なく選ぶ。まるで新約9巻でオティヌスが見せた「見方が違う世界の上条当麻」を実際に表現した存在で、相手の話や都合を聞かずに要求を押し通し、勝つためには人質すら使う。

この在り方について、本人は「上条当麻はそういう生き物だ」と主張しているが、上条の人間性をよく知るインデックスと美琴からは疑念を抱かれていた(ただし新約9巻でも触れられている通り、そういう見方もできる事を上条がやってきたのも事実ではある)

この上条は失ったはずの記憶を持っており、食蜂の事も認識して思い出す事ができる。

これについてアンナとエイワスは「魔術的記憶(※)という言葉を用いていたが、何故いきなりこれを引用したのかは不明。

ちなみに、登場人物や読者がよく知る上条とは違い、こちらは体のラインが時々ピンクとエメラルドに輝く。

段階を経て記憶を辿ると、ある一点を境に別人、あるいは前世の記憶を獲得するという考え方。

 アレイスターは受精卵の発生後数ヵ月以内に魂が定着すると信じており、この時期と有名な魔術師の死亡推定時刻が重なっていた場合、その魔術師の生まれ変わりの可能性があると考えていた。

能力

上条当麻と全く同じで、人間並の身体能力と異能を打ち消す幻想殺しを駆使して戦う。

なお幻想殺しを有しているためか不幸体質も引き継いでおり、所々で失敗したり凡ミスをしている。

もう一人の上条との激闘を経て、徐々にその正体を現していく。

ショッキングピンクとエメラルド

もう一人の上条当麻、その真の姿。

スカイブルーの外郭を纏う方の上条とは真逆で、こちらは人間という皮の内側にその本性を隠していた。

ドラゴン態のスペックは、スカイブルーとレモンイエローの上条と同じ。そちらは上条当麻の記事を参照。

上条のほとんどの力と幻想殺しを持っていった存在で、その正体はおそらく上条当麻の能力が人の姿となったモノ

アンナ曰く滝壺理后の『能力追跡』で干渉可能な事、AIM拡散力場の集合体である風斬氷華のと似た三角柱が確認された事、本人が自身を「本質はただの能力、量子を歪めるモノ」と自白している事から、ほとんど確定的だと思われる。

そして同時に神浄の討魔は、幻想殺しとは違う力である事も判明した。

風斬氷華、または垣根帝督と似た存在となった彼の行動原理は人を助けること

上条の「上手く幻想殺しを扱えていたら」という祈りを切っ掛けに生まれた彼は、上条当麻らしく在るために動いていたが、スカイブルーの上条が介入してきたせいで平穏に終わるはずだった一日が瓦解したため、互いの存在を懸けて殺し合う事になった。

アンナは「二人の上条当麻は、お互い欠けた不安定の状態だから必ず殺し合う事になる」と予想していたが、この上条は全てが穏便に終わったら人知れずに消える気でいた模様。

ちなみに上述の性格や記憶といった人間的な要素は、上条自身が祈った事によって追加されたオプションのようなものらしい。

決着

激しい殺し合いの末、スカイブルーの上条が勝利。

彼にとって唯一無二となる殺害をもって、ショッキングピンクの誰かは幻想殺しと共に上条当麻の中に戻る。

その決着の寸前、気になる言葉を洩らして。

「そうか。だからアレは、お前を選んで……外から飛来し……」

ドラゴン

竜王の顎』同様、上条当麻の力はドラゴンと関係しているがその理由は明かされていない。

ドラゴンとはただのモンスターではなく、ある象徴として扱われる場合もある。無印18巻では、悪竜は十字教の価値観で「異教、異民族からの侵攻勢力」「悪に染まった堕天使」の意味があると語られた。

そして今回のリバースでは、「地底の財宝を守る番人」「由緒正しい家柄や組織の証」「善悪の二面性を持ち、善悪の二元論を横断する存在」と説明されている。

編集者:とある好き
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