機体データ
概要
ザフトがZGMF-X09A ジャスティス、ZGMF-X10A フリーダムに採用予定だった各種火器の評価試験を目的に建造した実験機。C.E.71年2月中〜下旬頃に完成した(ちなみに同時期に初の核動力機YMF-X000A ドレッドノートがロールアウトしている)。ゲイツ改という、如何にもZGMF-600 ゲイツのカスタム機のような名前をしているが、ゲイツは鹵獲した初期GAT-Xシリーズの技術を用いた改修措置を行ったために制式配備は大幅に遅延し、先行型でさえ配備が始まったのはC.E.71年7月上旬からであり、実験機とはいえ本機の方が先に完成・運用されていた。
試験運用のため後にジャスティスやフリーダムに採用されたものとほぼ同種の装備を搭載している他、背部にはジャスティスのファトゥム-00の原型となったリフターを搭載している。さらに、ザフトでは初めてフェイズシフト装甲を採用している。なお、ジャスティスとフリーダムの全火器の中で、ジャスティスの「MMI-GAU1 サジットゥス20mm近接防御機関砲」「RQM51 バッセル・ビームブーメラン」とフリーダムの「M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」は搭載していない。サジットゥスは内蔵場所が「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲」と衝突してしまうためか搭載されず、バッセルはジャスティスの開発後期に開発・製造されたため時期が合わず、バラエーナは無理なく搭載しようとするとリフターと干渉してしまうため、ストライクのような背面の交換もしくは同名の別構成機体を用いて試験を行ったようである(つまり、本機にはリフター仕様とバラエーナ仕様の2種類存在する可能性もある)。また、あくまで「火器運用試験」が目的のためか、ジャスティス・フリーダムに共通で装備された防御兵装「ラミネートアンチシールド」も搭載していない。一方、火器同様にエネルギー消費が存在するためか、メインスラスターに関しては、ジャスティス・フリーダムそれぞれの原型となったもの(前者はリフター)が採用されている。
ニュートロンジャマーキャンセラーの実用化前(当時のプラントでは反核感情により核の兵器利用が忌避されており、同時期のドレッドノートもあくまでデータ収集用で処分予定な上、そのドレッドノートで核エンジンの運用テストを行っている状態だった)に建造されているため、動力源は核エンジンでは無く従来のバッテリーを搭載、各種の新型火器の使用やフェイズシフト装甲によって稼働時間は極端に短く、その稼働時間は最長でも5分に満たない。そこで、リフター内部に補助パワーパックが増設されたが、それでも稼働時間を10分に延長するのがやっとである等、火器の運用試験を目的としていたこともあってとても実戦に投入できる機体ではなく、正真正銘実験機として建造されたものであった。
本機による各装備の評価試験を行った後に、バッテリー駆動に合わせて性能を引き下げた省エネモデルが搭載される、あるいは搭載見送りとなる予定だった。わざわざリフターに補助パワーパックを搭載して無理やり稼働時間を引き延ばそうとしたのはこのためである(単に実射するだけならエネルギーケーブルを繋いでおけば済む話である)。しかし、ドレッドノートの運用テストの結果から試験直後に核エンジンの採用が決定したため、リフターを除いて本機と同じものが装備されることとなった。
実験終了後、無事にジャスティス・フリーダム両機がロールアウトし本機は役目を終えた。その後はドックに残されていたようだが、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において文字通り全戦力を投入したザフトによってリフター仕様機が実戦に駆り出された(搭乗者は一般兵)。と言っても燃費最悪の機体であることに変わりはないため、ヤキン・ドゥーエからエネルギーケーブルを接続して固定砲台化し、ヤキンの防衛に就いた。武装だけなら当時最高峰のものを持っていたがまともに動けない機体では攻撃の回避ができず、三隻同盟に所属を移していたジャスティスに一撃で撃破されジャスティスと随伴のストライクルージュ・M1アストレイのヤキン侵入を許してしまった。
機体構成
その名の通り、背部とサイドスカートを除いてゲイツそのままであり、そこに各種装備を搭載した形である。
スラスター
メインスラスターはジャスティス同様に背中に接続しているリフターとなっているが、フリーダムのメインスラスターに近い形を持つ噴射ノズルを2基備えている。しかし、噴射ノズルに関しては、リフターとの干渉を避けるため、リフター側に噴射ノズルを抑えるための凹凸が存在し、リフターを外さなければ使用できないようになっている。
武装
詳しくは正式採用された同型の武装を搭載しているジャスティス、フリーダムの記事を参照。
MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲
頭部に内蔵されている対空防御機関砲。マイウス・ミリタリー・インダストリー製。
MA-M20 ルプス・ビームライフル
本機と同時に完成していたビームライフル。フリーダムのものと同じカラーリングをしている。マティウス・アーセナリー製。
GAT-Xシリーズ等のビームライフルを凌駕する威力を持つが、その分エネルギー消費が激しく性能を引き下げるか採用を見送ることが検討された。また、本装備の量産発展(ダウンスペック)型である「MA-M21G ビームライフル」がゲイツに搭載された。
MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル
ラゴゥやバクゥで導入されたビームサーベルを改良したもの。マティウス・アーセナリー製。
非使用時は両腰のクスィフィアス上部のラックにマウントされる。
MMI-M15 クスィフィアス・レール砲
両サイドスカートに設置された、折り畳み式の砲身とスラスターを併置したレールガン兼AMBAC(姿勢制御)ユニット兼サーベルラック。マイウス・ミリタリー・インダストリー製。
後に、巡り巡って本装備の改良型が系列機のゲイツRに搭載されることになる。
リフター
ジャスティスに搭載されたファトゥム-00の原型。本体と同様にフェイズシフト装甲が施されている。
ファトゥム-00と比較すると、両側にエンジンブロックがその上部に搭載された「M9M9 ケルフス旋回砲塔機関砲」共々存在せず、中央部に縦に二連結したスラスターを搭載している。そのため、中央部が肥大化している。また、そのエンジンブロックの代わりに補助パワーパック(追加のバッテリー)を搭載している。バックパックにバッテリーを追加で搭載して稼働時間を延長する方法は地球連合軍のフォビドゥンでも採用されている。
マウント部(本体との接続部)はジャスティスとは異なり凸型のものとなっており、ハンガーのように機体に引っ掛ける構造となっている。そのため、リフター形態(ハイマットモード)を取ることはできず、リフターに搭載された火器を前方に向けるにはリフターを外す必要がある。
また、リフターの中央裏には本体に搭載されている2基の噴射ノズルを収めるための凹凸が存在する。
MA-4B フォルティス ビーム砲
リフターの前部に2門搭載されている、高出力かつ速射型ビームキャノン。型番的にマイウス・ミリタリー・インダストリー製。
ジンなどの「M69バルルス改 特火重粒子砲」やバスターの「超高インパルス長射程狙撃ライフル」の技術を転用して開発された。
GAU5フォルクリス 機関砲
翼からフォルティス砲身間に内蔵された機関砲。
必要に応じて弾種を炸裂弾や徹甲弾に変更することができる。
その他
M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲
計二門装備された高出力プラズマビーム砲。
一門でもランチャーストライカーの「320mm超高インパルス砲 アグニ」に匹敵する絶大な威力は立証済みでありながらも、2発の発射で本機が機能停止するほどのエネルギー消費量が問題となり、事実上失敗作の烙印を押された(アグニが何発も撃てていたことを考慮するとカタログスペック通りの破壊力を求めて調整せず最大出力で撃った可能性が高い)。
フリーダムの設定にて本機を用いて発射試験を行ったという記述はあるが、その砲身の大きさから無理なく装備しようとするとバックパックのように背負う形となるためリフターと干渉してしまうためか、本記事にて紹介しているリフターを搭載したモデルには搭載されておらず、本装備専用の別モデルが存在した可能性が高い。
関連機体・バリエーション
ZGMF-600 ゲイツ
改修前の素体。なお、完成したのは本機の方が早い。
ZGMF-X09A ジャスティス
新型火器を制式採用した機体その1。
本機の装備から、ルプス、ラケルタ、リフター(搭載の際に改修されファトゥム-00となる)を採用している。
ZGMF-X10A フリーダム
新型火器を制式採用した機体その2。
本機の装備から、ピクウス、ルプス、ラケルタ、クスィフィアスを採用している。
余談
- 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦への参加についてだが、これはスペシャルエディションの新規カットで追加されたもので、TV版には登場していない。なお、HDリマスター版ではちゃんと映っており、こちらの影響で知名度が上がっている。