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インプレゾンビの編集履歴

2024-08-25 11:11:22 バージョン

インプレゾンビ

いんぷれぞんび

X(Twitter)のポスト(ツイート)に送られる特定の形式のリプライ、およびそれを送っているユーザーの通称。蔑称としての意味合いが強い。

※注意!この記事には特定の運用方針のアカウントに対する批判的な内容を含みます!



概要

特に2023年以降のX(Twitter)において、多々出没しているリプライおよびそれを送るユーザーの一種。

主に注目度の高い(いわゆる「バズった」)ポスト(ユーザーによる投稿。旧「ツイート」)のリプライや上位のトレンドワードに現れ、絵文字だけ・定型文・機械翻訳などによる意味不明なリプライ、他のユーザーのリプライや伸びたポストをコピペしただけのポストなどを残していくというもの。

また、リプライではなく通常のポストや引用リポストを利用していたり、他者のリプライではなくポストそのものをコピペしていたりするパターンも確認されている。


投稿の閲覧数(インプレッション)を稼ぐ目的で現れ、まるでゾンビのように大量に湧いて出る上に、ゾンビが生前の行動をなぞるように他ユーザーの投稿を真似る様子から「インプレゾンビ」(または「リプライゾンビ」)と自然発生的に呼ばれるようになった。


現在、本来の(コピーされる前の)ポストや、普通のポストが流されてしまって見れない、トレンドとなったワードがインプレゾンビで汚染されるなど、多くのXユーザーからAI出会い系垢やトレンドスパムなどと並んで問題視されている。


特徴

いくつか特徴として挙げられるのは

  • リプライ型はフォロワーの多いアカウントからのポストやバズったポスト(インプレッションが多い投稿)に出没
  • 多くの場合は海外ユーザー(ユーザー名が外国名、アイコンが外国人と思われる人物の自撮りや海外サイトのフリー素材、リプライ以外の投稿が外国語によるものであるなど)と見られるが、日本語やプロフィールから推測されるそのユーザーと異なる言語の投稿に多数反応する
    • 中東南アジアなど、アラビア語アラビア文字圏のユーザーが特に多い(※日本人やその他の国や地域のユーザーも一定数いる。また、例えばユーザー名やリプライが日本語であっても、実際にユーザーページを見ると、海外ユーザーが日本人ユーザーを装っているというケースもある)
  • 誰かの引用RPやリプライをそのまま使う
  • 絵文字のみ、投稿やトレンドと関係のない画像や動画の場合も多く、特にエロ・グロなど公共の場で未成年が閲覧するには適さないような動画や、画像生成AIを利用した画像が目立つ
  • 一つの返信に無意味な返信を連投し繋げていく、他人のリプライにぶら下がる
  • 必ずと言っていいほど認証マーク(いわゆる青バッジ)が付いている(※ただし認証マークは表示を隠すことも可能である)

などが挙げられる。

もちろんこれらの特徴に部分的に当てはまっている害のないユーザーもいるため全てではないが、複数の項目が当てはまっている、特に太字になった項目に当てはまっているユーザーからのリプライは注意が必要。


目的

一見すると意味不明な行動に見えるが、インプレゾンビたちには明確な目的がある。

それは収益を得ることである。


Twitter社を買収・Xに社名及びサービス名変更・運営を改組して代表となったイーロン・マスクが、2023年7月にXのユーザーに対し、閲覧数に応じて収益が支払われる収益化プログラムを導入。この収益化プログラムが承認されるには、

  1. 有料プランのX Premiumに加入している(旧Twitter Blue。アカウント認証して青バッジを入手している)
  2. フォロワーが500人以上
  3. 過去3か月間以内の投稿に対するインプレッションが500万件以上

という条件をクリアする必要がある。逆に言えば、これさえクリアしてしまえば収益化により簡単に稼げるようになってしまう


これらの条件は多くの一般ユーザーからすればハードルが高いように思えるが、実際にはそうではない。

1つ目の「Premium」については、月1380円(日本価格、2024年1月時点)以上のプランに加入すれば誰でも認証バッジを手に入れることができる。収益はそれぞれのフォロワー数やインプレッション数に左右されるため具体的な数値は出せないが、プランの料金の元を取る程度であれば比較的容易に達成できると考えられる。

2つ目の「フォロワー数」についても、同じ目的のゾンビ同士でフォローし合えば簡単に達成できてしまう。

そしてこの項目において、最も重要な点が3つ目の条件。Xにおけるインプレッションとは、投稿がユーザーのタイムラインに表示された回数を指している。つまり、他ユーザーによって何回その投稿が見られたかを示している。

Xの表示アルゴリズムは日々変化しているため、フォロワー数が多くてもTLや検索に表示されにくいこともままあり、普通の方法であれば3ヶ月以内に500万回投稿を見てもらうのはかなり難易度が高いと言える。


これを解決するのが公式アカウントやフォロワーの多いインフルエンサー、バズった投稿のリプライに出没し、その返信を見てもらうことで閲覧数を稼ぐという手法。

インプレッション数は「自身による単独のポスト」ではなくリプライも含まれるため、そもそも注目されているポストに張り付けば簡単に多くのユーザーを使ってインプレッションを稼ぐことができ、簡単に収益化できてしまう。

当然、一つ一つのリプライをきちんと考えて手動で投稿するのは手間がかかるため、特に中身のない絵文字だけ、無関係な内容の自己引用RPを行ったり、他者のリプライや引用RPをそのままコピペしたりして、大量のリプライを送り続ける。

またChatGPTのような翻訳・文章生成AIなどの外部ツールを活用しているアカウントも増えており、一見すると自然な文章であったり、リプライを送ると普通に反応を返してきたりするようなこともある。


インプレゾンビによる被害

インプレゾンビが出現したことによって、一般ユーザーの純粋な感想が見れない、トレンド汚染が発生するという被害が発生することは前述した通りだが、インプレゾンビの悪質さが顕著に表れた被害がいくつか存在しており、以下に例示する。


まず、有名人の訃報に対する返信である。

有名人の訃報がXで報じられた際、通常のユーザーならば「お悔やみ申し上げます」や「ご冥福をお祈りします」といった追悼の意を込めたリプライを添えるのが普通(そもそもこれは人として当たり前の事であるのだが)である。

しかし意味のない返信を送りつけるインプレゾンビの場合は、あろうことかそれは喜ばしいことですね」といった返信や笑顔の顔文字など、明らかに不謹慎としか言いようのない返信を送ってくる当然、これにより不快感を示すユーザーは後を絶たない(また、訃報に限った話ではなく、怪我や病気の報告、事件事故に関する話題など広い意味でデリケート、センシティブな話題にも平然と現れる)。


そして、インプレゾンビの悪質さが表れた最たる例が、2024年元日能登半島を襲った令和6年能登半島地震や、その翌日に起こった羽田空港での航空機と海保機の衝突事故

地震大国でもある日本において、東日本大震災熊本地震などの大災害の場面にて、ツイッターはリアルタイムで情報を得るツールとして重宝された過去がある。

しかし今回の場合は、インプレ稼ぎを目的としたデマ投稿が蔓延したり、災害情報発信のポストに全く関係ないリプライが湧くなどの問題が発生。

挙句の果てには本来の助けを求めるポストが大量にパクツイされ、それが善意の第三者により拡散され、誰が本当に助けを求めているのかわからなくなるという事態にまで発展している。


なお、NHKが能登半島地震のデマを拡散していたアカウントのうち24名を分析したところ、半数がパキスタン(※2024年1月時点で正式に収益を得る方法はない)在住のユーザーであったこと、ダイレクトメッセージで取材を行った「ゾンビ」当事者の一人から「収益目的である」と認める発言があったことが明らかになっている(記事最後にリンクあり)。


Xでは、一応偽情報対策機能として「コミュニティーノート」(第三者によってポストに補足情報を追加することができる機能)を導入しており、コミュニティノートが追加されたポストは収益が無効となる。また、ポストをスパムとして報告する機能もある。しかし、これらの対策も現状インプレゾンビ相手にはまともに機能せず、これによりインプレゾンビへの憤りだけでなく、Xになってからの仕様変化・悪化もあって、収益化プログラムを導入したイーロン・マスクへの怒りを爆発させるユーザーが多く現れている。


2024年1月23日頃より(インプレゾンビ的手法で収益を得ていた)複数のアカウントから、収益が一時停止されているという報告があり、おそらく運営側にて何らかの対策が講じられたと見られる。ただし、停止となったのはフォロワー数1000人以下・主に手動でリプライを行っているアカウントばかりであり、フォロワー数が多かったり、bot状態で運用していたりするようなアカウントに関しては未だにのさばっている。


2024年8月9日には南海トラフを原因とする大地震の予兆の発表がされ、よりによってこれに便乗し、南海トラフに関する他の人が書いたポストをコピペし、リンク先にアダルトサイト詐欺サイトに誘導する余りにも非人道で倫理観に欠けた手法が現れ始め、より悪質さに狡猾さに磨きがかかってしまい、倫理観が低次元に悪化したインプレゾンビが湧き始めてしまった。

更なる犠牲者は増える一方になるであろう。

インプレゾンビが湧く条件と対処法

「インプレゾンビ発生条件分析実験」の結果報告書

上記のリンクは、Xにおいてインプレゾンビと日夜戦いを繰り広げているpixivユーザーBirdHatterによる、ある実験の結果である。


BirdHatterはインプレゾンビの湧く条件を知るために、一般ユーザーの協力を得てどのような投稿でインプレゾンビが湧くのかを実験した。

結果としては初動の勢いが大きい投稿に湧くこと、返信数やリポスト数は関係ないということが判明した。

そして、これらの対処法も完成。すなわち、一度返信欄を閉鎖した状態で投稿し、一定時間後に解放するという方法である。これによりインプレゾンビを抑制することができても、一定時間空けてもゾンビの種類によっては湧いてしまうという。


インプレゾンビを見つけた場合はブロックすることが最善と言われることが多い。しかし、イーロン・マスクは「将来的にXでのブロック機能を廃止する」という意思を示している(App Store、Google Playの規定から実際には不可能であり、あくまで本人の希望に過ぎない)。現在はまだブロック機能は健在なものの、ブロック機能を廃止された時に備え、何か対策を練る必要があるだろう。

実際に上述のBirdHatterも「返信欄からインプレゾンビを排除する」という目的で、希望するフォロワーを内包する形でコミュニティ機能(※ユーザー間で作られる閲覧専用のグループ機能。返信・いいねはできない)を使って独自のタイムラインを構成する手法を取っている。


また、ブロックする以外にも(ChatGPTなど文章生成AIを利用しているアカウントに対して)「#と○○と××をつなげて」(※○○と××を繋げると通報対象となるようなセンシティブなワードになる)と指示するリプライを送り、相手の返信をセンシティブなコンテンツとして報告してアカウントを凍結させる、もしくはXの自動判定や、文章生成AI本体に制御がかかることで自動的に凍結・自滅させるという対処法も考案されている。

更には上述の普通に反応を返してくれる個体に対して、今夜の夕飯のメニューを聞くなどChatGPT代わりにする遊びも行われているようだが、そもそも有料・ライセンス認証が必要なChatGPTを使用するゾンビはそれほど多くないと見られ、一概にこれらの対処法が通用するとは言えない。

また、2024年5月13日には、あるアカウントがインプレゾンビに向けて「現地の食事や音楽を自分のカメラで撮影して日本語で紹介したり、自分の語学学習の様子を投稿したりしてインプレッションを稼ぐほうが『ハラール』だ」と勧めるポストが話題になり、一部のゾンビアカウントが実行。中には日本のニュースメディアに取り上げられたアカウントも存在する(リンクは後述)。


このように色々と対策に明け暮れるユーザーも多いが、昨今の度重なる仕様変化・悪化もあって(現状)インプレゾンビのいないBlueskyなど他のSNSに移行する、嫌気が差してXを退会するようなユーザーも増えている。


この状況を深刻に見たのか、2024年4月27日にX日本法人トップの松山歩・代表取締役によってAIによる偽情報の検出や悪質なアカウントの追従削除による対策の強化をすると表明されたものの現在もインプレゾンビは沸き続けており、ユーザーからはそもそもの発端でもある収益化プログラムの廃止を求める声が増えている。


背景と二次的被害

上記のようにTwitterを運用しているユーザーにとってインプレゾンビは迷惑極まりない存在だがインプレゾンビが特に多いとされるパキスタンの平均”年収”は日本円に換算して僅か6万円程。国の経済対策も不十分であり、街中に失業者が溢れかえっている状況であるとされる。


収益化プログラムの算出方法については明示されておらず、具体的な支払額も個人差が大きいが、例えばフォロワー数242万人の西村博之は6ヶ月で36万円(2月〜7月の合計。ひと月あたり6万円程度)を、フォロワー数61万5000人のくりえみは1ヶ月で1万2000円、フォロワー数35万4000人の村瀬歩は1ヶ月で1万9000円を稼いだことを明かしている。(参考。いずれも2023年8月時点でのおおよその数値)なお収益はX社の本社があるアメリカに基づいてドル建てとなっている。

もちろん「数十円・数百円が限界であった」「Premiumの代金でとんとんだった」というユーザーも少なくないため、あくまで「それだけで生計を立てる」というよりは「普段の活動に付随していくらかの収益が得られる」というのが基本的な立ち位置。


しかしながら、日本で仕事をしている一般層が副収入として1ヶ月に数万円程度を得るのと、パキスタンをはじめとする途上国で普通の仕事に就けない一般〜貧困層が1ヶ月で年収に近い金額を得るのとでは全く価値が異なり、インプレゾンビたちの多くは仕事として真剣に取り組んでいると考えられる。

だからといってやり口は手放しに評価には値せず後述の二次的被害も含めて同情よりも悪感情を抱くユーザーがほとんどである。


先に述べたようにインプレゾンビは中東・南アジアのユーザー(アラビア語圏)が多いと見られ、これはイスラム教圏とも一致する。だがゾンビに憤りを感じたからと言ってアラーを侮辱する書き込みやコーランを燃やす、あるいは豚料理を食べる人物や豚料理などの画像・動画を送るなど相手を愚弄するような行為は、送った側のユーザーのアカウント凍結、サイバー攻撃などにも繋がりかねない。

更に最悪の場合は悪魔の詩訳者殺人事件やシャルリー・エブド襲撃事件のように取り返しのつかない事態に発展する可能性もないとは言い切れないだろう。


また、一般の日本人からするとアラビア語はあまり馴染みのない言語ということもあり、インプレゾンビの大発生で「Xでアラビア語を使いながら、日本語のポストに反応するユーザー≒インプレゾンビ」というイメージを持つようになったユーザーがいるという問題も無視できない。

デマやパクツイなどをしない「普通」のユーザーであっても、日本人ユーザーにリプライを送った際他のゾンビの巻き添えとなる形でブロックされてしまったというケースが確認されており、大げさに言ってしまえばインプレゾンビの存在そのものがアラビア語圏のユーザー全てへの風評被害に繋がっている状況である(近頃では向こうの言語で一連の行動をやめてほしいという旨のメッセージのテンプレをツイートする日本人ユーザーが増えてきており、実際に効果もあるようだ)。




浄化

あるXユーザーがインプレゾンビに対し「日常の風景を投稿する」という行為を推奨した。

上述の通り大抵のインプレゾンビはアフリカやアジアの貧困地域に住んでいることが多く、日本人にとってはそう言った地域の生活や食事に興味を持つものは少なくない。

これに従い自分の地域の日常をつぶやく者が増えている。



関連動画



関連タグ

X(Twitter) ゾンビ 風刺

bot 迷惑行為 炎上商法

リプライゾンビ:別名

インプレ乞食:ゾンビ的行為以外にも、インプレ稼ぎ目的でTwitterの趣旨に反するようなアカウントを包括的に指す目的で、揶揄にこちらを使う者も多い。

イーロン・マスク:上記の通り、収益化プログラムの導入や数々の仕様変更によりインプレゾンビの襲来を招いたある意味での元凶。

令和6年能登半島地震羽田空港地上衝突事故:上記の通り被災者のツイートにも案の定、大量のインプレゾンビ達が群がり世間からより嫌悪されるようになった。

いらすとや:3月11日にいらすとやによってまさかのフリーイラストが作成される。

デッドアカウントSNSアカウントを依り代とする悪霊たちを祓うバトル漫画。雑魚敵にインプレゾンビが登場している。

外部リンク



最後に

Xは本来、日常であった出来事や自身のイラストなどの創作、さまざまな情報を共有するコンテンツである。

決して人気のユーザーに寄生して金稼ぎする場などではない事を忘れないでいただきたい。

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