曖昧さ回避
- 英語圏の姓。Norton。
- 英語圏の地名。ノートン市(バージニア州)、ノートン郡(カンザス州)など。
- イギリスのオートバイのメーカー。
- コンピュータ・ソフトウェアのシリーズ。由来は開発者のピーター・ノートン。
- ゲーム「第五人格IdentityV」のキャラクター。→ノートン・キャンベル
オートバイの「ノートン」
ノートン・モーターサイクル社(イギリス)が製造・販売するオートバイのブランド。
古くからイギリスのロードレース界を牽引し続けた名門企業であったが、経営不振による倒産や合併・解散を経て、インドのTVSモーター傘下に入った。
沿革
1898年、ジェームズ・ランズダウン・ノートンによりバーミンガム(イングランド)で自転車メーカーとして設立された。
1902年、オートバイ製造事業に参入。当初は他社からエンジンを調達していた。
1907年、プジョー製エンジンを搭載したオートバイで第1回マン島TTレース2気筒クラスを制した。同レースでは1954年までに通算10勝を挙げた。
1908年、自社製726ccV2エンジンを製造。
1925年、ジェームズ・ランズダウン・ノートンが死去(56歳)。
1927年、CS1エンジンを開発。セニアTTで7度の優勝を飾る名機であった。
1939年、第二次世界大戦が勃発。イギリス軍にWD16HやWDビッグ・フォア(サイドカー)などのオートバイを10万台以上供給。
1945年、第二次世界大戦が終結。
1949年、ロードレース世界選手権500ccクラスが再開。多気筒エンジンを搭載するAJSやイタリア車が席捲し、ノートンは5位に終わる。
1950年、マッカンドレス兄弟社が製作したフレームのマン島仕様ノートンがレースで活躍。市販カフェレーサーへ反映され、トライアンフからエンジンを供給されたトリトンズなどの名車が誕生した。
1953年、経営難によりAMC社へ身売り。
1954年、ロードレースから撤退。
1962年、バーミンガム工場が閉鎖され、生産はウーリッジのAMC工場に集約された。AMC製ギアボックスを搭載したマンクス・ノートンを販売。アメリカ市場を狙ったアトラスを発表するが、高価過ぎて売れ行きが振るわなかった。
1966年、日本車との激しい競争に晒され、AMCが倒産。ノートンはマンガニーズブロンズ傘下となり、ノートン・ビリヤーズに再編された。
1969年、ロールスロイス社から招聘されたステファン・バウアー博士が設計したアイソラスティック・フレームに強力なエンジンを搭載したコマンドが発表され、ヒット作となる。
1972年、大出力のコンバット・エンジンを発表するが信頼性に乏しく、散々日本車と比較される破目になる。
1973年、イギリス政府の国策でバーミンガム・スモール・アームズ社(トライアンフ・ブランドを所有)と合併し、ノートン・ビリヤーズ・トライアンフが設立された。
1973年、マン島TTレースF750クラスで優勝。
1975年、Mark3インターステートとロードスターの2車種に販売車両を集約。
1976年、ロードレースから撤退。
1977年、ノートン・ビリヤーズ・トライアンフが倒産。ノートンの権利はイギリス・ドイツ・アメリカなど各国に分裂。
1988年、ノートンのブランドが復活。ロータリーエンジン搭載のコマンダーを発表。
1991年、スーパーバイク選手権でレース界に復帰。
1992年、マン島セニアTTで優勝。このレース・マシンをベースにレーサーレプリカのF1が発売され、ヒット作となった。しかし、財政担当のフィリップ・ルルーが投資の不正運用で退社し、ノートンはオートバイ生産を停止。パーツ類を製造する会社として存続。
2005年、ノートン・モーターサイクルUSA(アメリカ)が952コマンドーを限定販売。
2009年、ノートン・レーシング社長のスチュアート・ガーナーがノートンのブランドを買い戻した。
2020年、ノートン・モーターサイクルズが30万ポンドに上る税金未払いを抱え、支払えない場合は政府から清算命令を受けることが発覚。4月17日、インドのTVSモーターがノートン・モーターサイクルズを買収。
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ソフトウェアの「ノートン」
セキュリティ製品大手のジェン・デジタル(旧名ノートン・ライフロック。日本法人の名前は変わっていない)が家庭用に販売しているアンチウィルス及び、総合セキュリティソフトのブランド名。以前はシマンテックが開発・販売していたが、ブロードコムがシマンテックを買収した際に家庭用部門が切り離されたという経緯がある。
「ノートン」とは大本の会社を設立したプログラマーのピーター・ノートン氏に由来しており、かつてはノートン氏の写真がパッケージに印刷されていた。
かつては重い、高い、サポートが最悪、検出率も二流とまで言われていたが、2009年頃に製品を根本的に刷新したため、今ではインストールも非常に早く、PCにかかる負荷も非常に小さくなっている。
ちなみに法人向けのSymantec Endpoint Protectionはファイアウォールや脆弱性保護システム等がノートンと異なる技術が使われており、より高度なセキュリティソフトとなっている。現在こちらはアクセンチュアの傘下に入っている。
動作は基本的に安定しており大きなトラブルは少な目だが、ヒューリスティック機能で誤検出がたまに見られる(こればかりはどうしようもないが)。
無料のアンチウィルスソフトで知られるAvira、Avast(AVG、CCleaner)はいずれも現在はノートン(ジェン・デジタル)傘下に買収されている。